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Trademark Appeal Case

品種名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−15976(T2015−15976/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「信州大黄」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年7月10日に登録出願、その後、指定商品については、当審における同27年8月28日付けの手続補正書により、第5類「大黄を使用した便秘薬」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『信州大黄』の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、出願人の『大黄』の新品種として、昭和63年8月18日に種苗法に基づき品種登録(品種登録の有効期限:2003年(平成15年)8月19日満了)されたものである。そして、今日においては、『信州大黄』の文字は、大黄の一品種を表し、普通名称として使用されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、原材料を表示したものと認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「信州大黄」の文字からなるところ、その構成中の「信州」の文字は、「信濃国の別称、いまの長野県」等の意味を有する語であり、「大黄」の文字は、「タデ科の多年草。黄色い根茎の外皮を除き乾燥したものが生薬の『大黄』で、健胃剤・下剤とする。」等の意味を有する語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」。)であるから、これよりは、「長野県産の大黄」程の意味合いが理解されるものである。

ところで、該文字は、請求人が、植物の「大黄」の新品種として、種苗法に基づき「信州大黄(シンシュウダイオウ)」の名称で、1988年(昭和63年)8月18日に品種登録され、2003年(平成15年)8月19日に期間が満了するまで、品種の名称として登録されていたものである。

そして、大黄の新品種として種苗法に基づき品種登録された「信州大黄」は、従来種よりも、大量生産が可能であり、有効成分の含有量も多いなどの多くの特性をもつことが新聞等で紹介されている実情がある。

また、薬品関連の商品の取引者、需要者の間においては、「信州大黄」の語は、大黄の品種の名称であると認識されているとみるのが相当であり、かつ、「信州大黄」は「薬剤」の原材料として利用されているものである。

そうすると、本願商標の「信州大黄」は、本願商標をその指定商品、「大黄を使用した便秘薬」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「信州大黄」という植物を使用した商品であると理解するものであって、商品の原材料、品質を表示したものと理解し、自他商品の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)商標法第3条第2項該当性について

請求人は、本願商標「信州大黄」は、請求人が販売する便秘薬において長年使用されており、その結果、現在において、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認められるから、本願商標は、当該便秘薬について商標法第3条第2項に規定する要件を満たしている旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。

そこで以下検討する。

ア 請求人は、本願商標に係る商品「タケダ漢方便秘薬」(以下、「タケダ便秘薬」という。)は、1973年(昭和48年)3月に発売され、現在に至るまで販売されており、そして、本願商標は、遅くとも1993年(平成5年)2月より、テレビ広告等で使用が開始され、現在も様々な媒体を通じて継続して使用されているとして、甲第1号証ないし第7号証を提出している。

しかしながら、提出されたこれらの証拠は、いずれも画像が小さくて、表示されている文字が判別しがたいものであるが、たとえ、本願商標が、1993年(平成5年)より、テレビ等の広告で使用されていたとしても、それらは、「タケダ便秘薬」の宣伝広告に用いられているものであり、本願商標が、自他商品の識別標識として使用されているものとはいえない。

イ 請求人は、タケダ便秘薬は、日本の大手及び中小のドラッグストアチェーンやスーパーマーケットチェーン、あるいは家電量販店やインターネット通販等の様々な経路にて、北海道から沖縄県にわたる全国的規模で市場流通に供されているとして、甲第8号証を提出している。

しかしながら、提出された証拠は、インターネット検索の検索結果一覧画面であるところ、その検索ワードは、「タケダ漢方便秘薬 取扱店」であり、本願商標「信州大黄」が使用されている証拠とはいえない。

ウ 請求人は、タケダ便秘薬の2010年4月から2015年3月までの販売金額を挙げて(出典:インテージSDI)、タケダ便秘薬は市場シェア第一位を維持している旨、主張している。

しかしながら、請求人の挙げる販売金額は、「タケダ便秘薬」の販売金額であり、本願商標「信州大黄」の取引についてのものとはいえないものである。

エ 請求人は、本願商標が種苗法により登録された品種の名称であることに異論はないが、当該品種は、登録満了後も現在に至るまで請求人及び請求人と契約した農家のみが栽培を行っており、且つ当該品種を含有する医薬品は、請求人のみが製造・販売している現状である。すなわち、本願商標は、請求人の商品(タケダ便秘薬)のみに関連して使用されてきており、タケダ便秘薬の出所標識としての機能を十分に有していると考えられるとして、甲第9号証を提出している。

しかしながら、提出された証拠は、書籍の写しであり、その内容は、信州大黄の生産までの過程を記載したものであり、請求人の主張を裏付ける証左とはならないものである。

オ また、原審における平成26年11月27日付けで提出された意見書と同時に提出された物件名「タケダ漢方便秘薬の外箱図」からは、「信州大黄配合『大黄甘草湯』製剤」と使用されていることから、取引者、需要者は、商品の原材料として配合されているものと把握し、理解されるというのが相当であって、このような使用によれば、本願商標を商品の原材料、品質として表示したに過ぎないものというべきである。

以上のことから、請求人の提出に係る証拠は、請求人が販売した便秘薬に関するものであり、「信州大黄」の文字が、出所識別標識として長年使用されているとする証拠とは認められない。

そうすると、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標に至っていたものということができない。

してみれば、本願商標がその指定商品について使用された結果、取引者、需要者が、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。

(3)まとめ

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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