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Trademark Appeal Case

障害年金の窓口の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−9618(T2015−9618/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「障害年金の窓口」の文字を標準文字で表してなり、第45類「公的年金に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供,公的年金に関する助言,社会保険に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供」を指定役務として、平成26年7月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『障害年金の窓口』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『障害年金』の文字部分は、公的年金の種類の一つであり、『窓口』の文字部分は、「窓を通して、人と応対し、それに関する事務をとる所。転じて、外部との折衝を担当する役」の意味を有するから、これらを助詞『の』で結合した本願商標からは、『障害年金に関して事務を行う所(窓口)』程度の意味合いを容易に理解させるものである。そして、障害年金に関する事務・相談等を行う所が、一般に『障害年金の窓口』と称されている実情が窺える。そうすると、これを本願の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、前記意味合いを認識・理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年9月17日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

(1)証拠調べ通知書においては、本願商標中の「障害年金」と「窓口」という語を分断した上で、それぞれの語のインターネット上の使用例が引用されている。しかし、インターネット上等の使用例を根拠に、世間一般において、本願商標が自他役務識別力を発揮するものであるか否かを認定するにあたっては、「障害年金の窓口」という本願商標全体の使用例を根拠とするべきである。商標の構成要素をばらして、それぞれの語が説明文等の文中に使用されているに過ぎない例に基づき、商標全体の自他役務識別力の判断をすることは妥当ではない。

さらに、本願の指定役務の内容とは関係のない公的機関である日本年金機構を指すものであり、したがって、公的サービスであって本願の指定役務におけるものとは異なるものである。

(2)また、請求人は、業界において障害年金の第一人者として著名であり、社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めてきた。こうした請求人に係る役務の質を担保し、一人でも多くの障害を抱える方を救うため、本願商標が登録されることが不可欠であると考えており、請求人による役務の質の毀損を防止し、信用の化体を図り、商標法本来の目的を達成するためにも、本願商標は登録されるべきものである。

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号にいう「需要者が何人かの業務にかかる役務であることを認識することができない商標」に該当するものではなく、自他役務識別力を発揮する商標である。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、「障害年金の窓口」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「障害年金」の文字は、「一定程度以上の障害の状態になった者に支給される年金。」等の意味の語であり、「窓口」の文字は、「窓を通して、人と応対し、それに関する事務をとる所。転じて、外部との折衝を担当する役。『役所の―』」等の意味を有する語であり(いずれも、株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)、そして、両語を、格助詞「の」で組み合わせたものであるから、本願商標からは、容易に「障害の状態になった者に支給される年金に関する事務をとる所」程の意味合いを看取させるものといえる。

そして、「窓口」の文字が、障害年金を取り扱う業界において、「公的年金に関する申請書類を提出する所」又は「公的年金を申請するために相談を行う所」に使用されている事実が、別掲のインターネット情報から窺い知ることができる。

そうとすれば、「障害年金の窓口」の文字からなる本願商標を、その指定役務、「公的年金に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供,公的年金に関する助言,社会保険に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供」に使用しても、「障害年金に関する相談を行う所」であること、すなわち、単に役務の提供をする者の所在程度を表すものと認識させるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標が自他役務識別力を発揮するものであるか否かを認定するにあたっては、「障害年金の窓口」という本願商標全体の使用例を根拠とするべきであり、商標の構成要素をばらして、それぞれの語が説明文等の文中に使用されているに過ぎない例に基づき、商標全体の自他役務識別力の判断をすることは妥当ではない旨、主張する。

しかしながら、本願商標のような一連の使用事実がないとしても、本願商標は、その構成された各語から、直ちに「障害の状態になった者に支給される年金に関する事務をとる所」程の意味合いを看取、理解させるものであって、障害年金を取り扱う業界において、「窓口」の語が、「公的年金に関する申請書類を提出する所」であったり、「公的年金を申請するために相談を行う所」を表す表示として、採択、使用されていることは、前記(1)のとおりであり、これらの取引の実情をも勘案すれば、本願商標全体からは、「障害年金に関する申請手続き又は相談を行う所」程の意味合いを表すものと認識、理解させるといい得るものであり、その指定役務との関係において自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいえない。

イ 請求人は、業界において障害年金の第一人者として著名であり、社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めてきた。こうした請求人に係る役務の質を担保し、一人でも多くの障害を抱える方を救うため、本願商標が登録されることが不可欠であると考えており、請求人による役務の質の毀損を防止し、信用の化体を図り、商標法本来の目的を達成するためにも、本願商標は登録されるべきものである旨、主張する。

しかしながら、商標法は、「『商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする』ものであるところ(同法1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標』を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号参照。役務についても同様に解される。)旨、判示されている。

そして、「障害年金の窓口」の文字は、これに接する需要者に、「障害年金に関する相談を行う所」の意味合いを理解、認識させるにとどまり、その指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能し得ないことは、前記(1)のとおりであって、請求人が、「障害年金の第一人者」であるとか、「社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めていること」が、本願商標が、その指定役務との関係において自他役務の識別標識として機能を果たし得るか否かの判断に影響をおよぼすものということができない。

よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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