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Trademark Appeal Case

普通氏名のローマ字表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−26630(T2014−26630/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は,登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,「UCHInO」の文字を横書きしてなり,第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年4月18日に登録出願され,その後,指定商品については,審判請求書と同時に提出した同年12月26日受付の手続補正書及び同27年11月26日受付の手続補正書により,最終的に,第24類「布製身の回り品,敷布,布団カバー,まくらカバー,毛布,織物製トイレットシートカバー」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,その構成中の『n』の文字のみ小文字で表され,ややレタリングが施された点はあるものの,『UCHInO』の欧文字をデザイン化したものと容易に看取できるものであり,この程度の文字のデザイン化は,いまだ普通に用いられる方法の域を脱しないというのが相当である。また,東日本電信電話株式会社発行『ハローページ(東京都23区 全区版(個人名)上巻)』(平成14年3月発行)によれば,『内野』の氏を有する者が多数(計300名以上)存在することが認められるところ,日常の商取引において,氏を表す場合は,必ずしも漢字のみに限らず,欧文字で表す場合も決して少なくないことよりすれば,本願商標に接する取引者,需要者は,これをありふれた氏の『内野』を欧文字で表したもの,すなわち,ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し,認識するというのが相当であるから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋(要旨)

当審において,請求人に対し,平成27年4月1日付けの審尋により,補正後の本願商標の指定商品との関係において,本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し,かつ,請求人の提出した証拠によっては,本願商標が同条第2項の要件を具備するとは認められない旨述べ,請求人に対し意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答の要点

請求人は,上記3の審尋に対し,本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当せず,仮に該当したとしても,同条第2項の要件を具備する旨述べ,証拠(甲第32号証ないし甲第137号証)を提出した。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第4号該当性について

本願商標は,別掲1のとおり,「UCHInO」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「U」「C」「H」「I」「O」の欧文字は丸ゴシック体風の書体で表し,かつ,その構成中の「n」の欧文字は語頭の「U」の大文字を上下逆さにしたような書体が用いられ,それぞれの文字は,同じ大きさ及び等間隔をもって表されているものである。

そして,「n」の文字については,上記のとおり,多少レタリングが施されているとしても,本願商標の最初の「U」の文字と共通したデザインであり,また,別掲2の1ないし4のように,各社ブランドロゴ(欧文字)中の一部の文字が小文字に置き換えられ,他の文字と同じ大きさで表されることが普通に行われていることからすれば,この程度のデザイン化は,普通に採択,使用されるものであって,決して特殊な態様からなるものということはできない。

しかも,本願商標は,「UCHINO」の欧文字を表したものと無理なく看取できるものである。

そうすると,本願商標は,「UCHINO」の欧文字を全体として普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものといわざるを得ない。

一方,平成26年11月27日付け拒絶査定により原審が説示したとおり,東日本電信電話株式会社発行の「ハローページ」に,「ウチノ」と読まれる「内野」の氏を有する者が約300人以上掲載されていること,また,当審における職権調査によっても,「全国の苗字(名字)11万種掲載」のウェブサイト(http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/index40.html)によれば,「内野」の氏は,全国で約7,574世帯存在し,635番目に多い氏であることが認められることから,「内野」の氏は,我が国においてありふれた氏の一つであるといい得るものである。

そして,氏を表す場合,必ずしも漢字のみに限らず,ローマ字で表すことが普通に行われている。

以上よりすれば,本願商標は,普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものであって,これに接する取引者,需要者は,ありふれた氏の「内野」のローマ字「UCHINO」を表したものと理解するにとどまるというのが相当であるから,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。

したがって,本願商標は,ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第4号に該当する。

(2)商標法第3条第2項該当性について

ア 請求人は,本願商標は,使用をされた結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから,商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し,その証拠方法として,平成27年5月13日提出の回答書において,甲第32号証ないし甲第137号証を提出したところ,甲各号証によれば,以下の事実が認められる。

(ア)商標の同一性,使用開始時期等

請求人は,2003年から現在に至るまで継続して,日本国内において,本願商標とほぼ同一の態様の標章を,タオル製品をはじめ,補正後の本願商標の指定商品について使用しており,当該標章を,商品タグ等に印字し,同社発行のカタログ,商品説明書に記載し,あるいは,ショールーム,展示会等において掲示している(甲35ないし甲47,甲60ないし甲105,甲122ないし甲137)。

また,当審が職権により調査したところによれば,請求人は,自身のウェブサイト上のオンラインショップのみならず,楽天市場,ヤフー!及びアマゾンにもオンラインショップを開設し,さらに,直営店及び全国の100以上の百貨店等内の店舗において自社製品を販売している(http://www.uchino.co.jp/)。

(イ)販売実績等

株式会社矢野経済研究所が発行した「繊維白書2015」掲載の「タオル問屋売上高順位表」には,2011ないし2013年度のタオル売上高が掲載されており,請求人のタオル売上高は,3年度連続で167億円超を記録し,業界内順位も1位である。また,2013年度のタオル問屋売上高を例にとると,業界の上位15社の総額は約591億円であるところ,請求人の売上高は約168億円であり,そのシェアは3割に近い(甲32)。

(ウ)宣伝広告等

請求人は,2006年頃から,テレビでの紹介をはじめ,雑誌,新聞等の紙媒体を通じて,自社のブランド及び取扱商品について宣伝広告を行っており,そこでは本願商標と同一の態様の標章を視認することができる(甲48ないし甲59)。

イ 小活

以上からすれば,請求人は,2003年から現在に至るまでの約13年間,本願商標と同一の態様の標章を,タオル製品をはじめとする補正後の本願商標の指定商品に使用して全国的に販売しており,2011年度からの3年間において,毎年167億円を超える販売額を記録し,業界の上位15社において3割近いシェアを有している。また,使用商品の宣伝広告も継続的になされてきたといえるものである。

そうすると,本願商標は,使用をされた結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。

6 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第4号に該当するとしても,同条第2項の要件を具備するものである。

その他,本願について拒絶の理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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