Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼・観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−1865(T2015−1865/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年5月16日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、当審における平成27年1月30日付け手続補正書により、第9類「ダウンロード可能な携帯情報端末用コンピュータアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータゲーム用プログラム,ダウンロード可能な音楽ファイル,ダウンロード可能な電子書籍,電子出版物を記憶させた記録媒体,動画像を記憶させた記録媒体,ダウンロード可能な動画像ファイル再生用コンピュータプログラム」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第2310093号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和63年3月10日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月31日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたる商標権の存続期間の更新登録及び指定商品の書換登録がされた結果、その指定商品については、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」となり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、灰色で縁取りされた「STAR」の欧文字と灰色で彩色された「PLAYER」の欧文字とを上下二段に書し、その上段の欧文字部分の右端に星形をモチーフにしたとおぼしき図形を赤色で表してなるものである。
そして、本願商標の構成中、「STAR」と「PLAYER」の欧文字部分は、それぞれの文字の開始位置である左端を揃えて書され、上下の間隔も僅かであることから、欧文字部分全体が一体的に看取され得るものである。一方、図形部分は、上段の欧文字部分右端の「R」の背面に一部が重なるように表されていることも相まって、単に欧文字部分を強調するための背景図形と看取されることも少なくないものである。以上のことから、本願商標は、「STAR」と「PLAYER」からなる欧文字部分が、視覚上、図形部分から浮き出たように看取され、欧文字部分と図形部分とが分離して観察され得るものである。
また、「STAR」の欧文字と「PLAYER」の欧文字とを結合してなる「STAR PLAYER」の欧文字やその読みを表した「スタープレーヤー」の片仮名は、「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の意味を表す語として各種辞書に載録され、我が国において広く一般に親しまれた語であることから、本願商標の欧文字部分を構成する「STAR」と「PLAYER」とは観念上の結びつきが極めて強いといえるものであり、該欧文字部分からは、その全体の構成文字に相応して、「スタープレーヤー」の称呼及び「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の観念が生じるものである。
一方、本願商標の構成中の図形部分は、「STAR」の欧文字部分と併せてみれば、それが星形をモチーフにしたものと看取できたとしても、それのみから直ちに特定の図形を表したものと看取されるとはいい難いものであり、特定の称呼、観念が生じるとまではいえない。
そうとすれば、本願商標は、その構成中の欧文字部分が商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものであって、本願商標から該欧文字部分を分離、抽出し、これをもって取引に資されるというのが相当であるから、本願商標からは、自他商品の識別標識としての要部となり得る「STAR」と「PLAYER」からなる欧文字部分に相応して、「スタープレーヤー」の称呼及び「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の観念が生じる。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「STARPLAYER」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「STAR」及び「PLAYER」の欧文字が、それぞれ「星。特に人気のある運動選手。花形。」及び「競技者」の意味を有する英語として親しまれていることから、両欧文字からなるものと容易に理解され、かつ、両欧文字を結合してなる「STAR PLAYER」の欧文字やその読みを表した「スタープレーヤー」の片仮名は、上記のとおり、我が国において広く一般に親しまれた語であることから、引用商標からは、「スタープレーヤー」の称呼及び「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の観念が生じる。
ウ 本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標の類否についてみるに、本願商標は、その要部となり得る「STAR」と「PLAYER」からなる欧文字部分が、引用商標を構成する「STAR」と「PLAYER」の欧文字と文字綴りを同一にするものであるから、両商標は、外観上近似した印象を与えるものである。
また、本願商標と引用商標とは、共に「スタープレーヤー」の称呼と「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の観念を生じるものであるから、両者は、称呼及び観念を共通にするものである。
そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観上近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にすることから、互いに紛らわしい類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否
本願の指定商品中の「ダウンロード可能な携帯情報端末用コンピュータアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータゲーム用プログラム,ダウンロード可能な動画像ファイル再生用コンピュータプログラム」は、引用商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似するものである。
オ 小括
以上からすれば、本願商標と引用商標とは、類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標からは、「スター」と「プレーヤー」との間に一拍おいて、「スター、プレーヤー」と明瞭に区切った称呼が生じ、また、図形部分から生じる「ユニークなスター、個性的なスター」という観念と欧文字部分から生じる観念とが結び付いた「ユニークなスター選手、個性的なスター選手」の観念が生じるに対し、一体不可分に構成された引用商標からは、一気一連の「スタープレーヤー」という称呼のみが生じるものであって、特定の観念は生じないとした上で、本願商標は、外観、観念、称呼のいずれにおいても、引用商標とは混同を生じるおそれのない非類似の商標であると主張する。
しかしながら、本願商標の欧文字部分は、「STAR」と「PLAYER」とを、それぞれの文字の開始位置である左端を揃えて、僅かな間隔を空けて上下二段に表してなるものであり、両文字の観念上の結びつきも極めて強いのに加え、欧文字部分全体から生じる「スタープレーヤー」の称呼も長音を含め8音と冗長とはいえないものであって、よどみなく一連に称呼し得るものであること、また、その図形部分は、直ちに特定の図形を表したものと看取されるとはいい難いものであり、特定の称呼、観念が生じるとまではいえないことは、上記(1)アで述べたとおりである。一方、引用商標の構成中の「STAR」及び「PLAYER」の欧文字は、いずれも我が国において親しまれている平易な英語であることから、引用商標は両欧文字からなるものと容易に理解されるものである。
してみれば、本願商標において自他商品の識別標識としての要部である欧文字部分と引用商標とは、文字綴りを同一にするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものであり、かつ、共に「スタープレーヤー」の称呼及び「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
よって、本願商標と引用商標は、これを同一又は類似の商品に使用したときには、商品の出所について混同が生じるおそれがある類似の商標というのが相当である。
イ 請求人は、「STAR」及び「PLAYER」の欧文字は、いずれも造語等とは異なり本願商標に接する取引者、需要者に広く親しまれているのであるから、本願商標の欧文字部分は格別に強い印象を与えるとはいえず、また、引用商標の指定商品に抵触するとされる本願の指定商品の分野においては、取引者・需要者が、電子商取引を通じて情報端末上にアイコンとして表示された図形を含む商標に接するという取引態様が通常行われていることも考慮すると、本願商標の図形部分を殊更に捨象して、欧文字部分のみに注目し、これより生じる称呼を持って取引に資する場合も少なくないとした判断は、妥当性を欠くものであると主張する。
しかしながら、本願商標の欧文字部分は、「人気のあるスポーツ選手。花形選手。」の意味を有する語として一般に親しまれ、上記の商品分野における取引者、需要者についても同様であるといえるものの、それが本願の指定商品の品質を想起させる語として使用されているなどの特段の事情を見いだすことはできず、該欧文字部分が有する意味をもって、その自他商品の識別標識としての機能が弱まるということはできない。また、請求人が審判請求書に添付された資料2(「GooglePlayのAndroidアプリ無料トップメディア&動画」表示画面の写し)で立証しようとする取引態様は、上記商品分野における取引態様の一つにすぎないものであって、この証拠をもって、本願商標の図形部分が捨象されることはないとはいえない。
ウ 請求人は、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者・需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼・観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきであるところ、本願商標は、欧文字部分と図形部分とがまとまりよく一体的に構成された外観を有し、かつ観念上の自然な結び付きをも有しているにもかかわらず、図形部分よりも欧文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして、あるいは図形部分から出所識別標識としての称呼・観念が生じないものとして、欧文字部分だけを抽出し、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することはできないと主張する。
しかしながら、本願商標の構成において、その欧文字部分が自他商品の識別標識としての要部となり得ることは、上記(1)アで述べたとおりであるところ、たとえ、請求人主張のとおり、本願商標の欧文字部分と図形部分とが一体不可分と看取され、図形部分が星をモチーフにしたものと理解される場合があったとしても、図形部分の構成態様や「STAR」の文字の背面に表された配置等からすれば、単に該欧文字部分を際立たせている装飾的な図形であると認識されるというのが相当であり、かつ、請求人は、図形部分から「ユニークなスター、個性的なスター」という特定の観念を生じさせると主張するのみで、このような図形が特定の意味合いを有するものとして使用されていること、又は、当然に認識され得る図形であることを立証する証拠の提出もされていない。
エ 請求人は、異議2012−900295の異議決定を例に挙げて、本願商標と引用商標においても、外観において顕著な差異を有するものであり、観念において紛れるものでないことから、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標をそれぞれの指定商品について使用しても、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがなく、ましてや、両商標は、称呼についても非類似であることから、尚更、全体として非類似の商標といえるものと主張する。
しかしながら、上記(1)ウで述べたとおり、本願商標と引用商標とは、外観上近似した印象を有し、称呼及び観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに紛らわしい類似の商標というのが相当である。
オ 上記のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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