Trademark Appeal Case
称呼・観念の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900047(T2014−900047/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5629741号商標(以下「本件商標」という。)は、「Turbine」の欧文字を標準文字により表してなり、平成25年6月25日に登録出願され、「家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」を始めとする第9類及び「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」を始めとする第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年10月4日に登録査定、同年11月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、第10号、第15号又は第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、申立人が本件登録異議の申立ての理由として引用する商標は、申立人が、ダウンロード可能なゲームプログラム及びコンピュータネットワークによるゲームの提供等、その業務に係る商品及び役務に使用する、別掲1のとおりの構成からなる引用商標1及び別掲2のとおりの構成からなる引用商標2である(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。)。
(1)商標法第4条第1項第8号
本件商標は、本件商標の登録出願前より、タービン社(米国マサチューセッツ州)の著名な略称「Turbine」であって、また、本件商標権者は、その登録査定時までに他人であるタービン社の承諾を得ていないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号
引用商標は、本件商標の登録出願前より継続してタービン社の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者間に広く認識されているものであるところ、本件商標は、「タービン」の称呼及び観念を生じ、他方、引用商標は、その構成中の「Turbine」の文字部分から、「タービン」の称呼及び観念が生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念が共通し類似するものであり、また、本件商標の指定商品は引用商標の商品と同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号
引用商標は、本件商標の登録出願前からタービン社の商標として、広く一般に知られていることから、引用商標と類似する本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、商品及び役務の出所について混同が生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号
引用商標は、本件商標の登録出願前からタービン社の商標として、日本国又は米国を始めとする外国における需要者間に広く一般に知られているところ、引用商標と類似する本件商標は、引用商標に化体した高い業務上の信用に只乗りすべく登録されたものであって、いわゆる不正目的で使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)「タービン社」の略称及び引用商標の著名性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証によれば、タービン社は、1994年に米国においてコンピュータゲーム開発会社として創業したものであり、2005年から「Turbine.Inc」の名称を採用し、その後も継続してオンラインロールプレイングゲームの開発に係る事業を行っているものであって、2010年に申立人の傘下となった(甲2の1、5、9)。
日本においては、ゲーム紹介サイト、下記の通信事業者のプレスリリース等において、2006年から「Turbine(社)」又は「タービン(ターバイン)社」と表示されたタービン社が我が国の通信事業者と契約し、その業務に係るオンラインゲームの配信を開始したことが報じられているが(甲3の4〜7・11、4、8)、これらは、我が国の通信事業者がゲーム関連企業と提携したことを主な内容とするものである。
申立人は、我が国において、タービン社の業務に係るゲームソフト(DVD−ROM)の販売及びオンラインゲームの配信情報サイトをわずかに示しているものであり(甲4、6)、また、我が国におけるタービン社に係るゲーム配信による営業収益を、2013年には約2200万円、2014年1月ないし4月に約640万円である等と述べているが、その実績及び市場における占有率等について具体的な証拠の提出はない。なお、職権調査により、例えば、我が国の2013年におけるオンラインゲームの市場規模をみると、約8000億円とされているものであり(http://www.gamer.ne.jp/news/201407180026/))、これに占める上記タービン社の営業収益は極めてわずかである。
その他の申立人の提出に係る甲各号証によれば、タービン社のホームページにおいて引用商標が表示されること(甲2の2、3の10、7)、米国においてタービン社の業務に係るゲームが複数の賞を受賞したこと(甲10)、タービン社がアジアに事業拡大をしたこと(甲3の1)が窺える。
イ 以上の事実を総合すると、タービン社の略称と認められる「Turbine」の表示及び引用商標が、オンラインゲームソフト及びオンラインゲームの開発又は提供について使用されていることを認めることができる。しかしながら、提出された証拠の多くは外国のウェブサイトによる情報であり、我が国のオンラインゲームの一般の需要者が、これらにより「Turbine」及び引用商標の周知性を認識するものとはいえないものであって、申立人又はタービン社が引用商標を使用して商品又は役務について積極的に販売活動や宣伝広告等を行った事実を示す証左はないものである。
したがって、申立人が主張する程度の営業収益、さらに、その他、提出された証拠を総合してみても、「Turbine」の表示及び引用商標が、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、我が国ないし米国及びその他の外国の取引者、需要者の間で広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
申立人が提出された証拠により、「Turbine」の表示がタービン社を示すものとして用いられていることは認められるが、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願の時及び登録査定時に、その取引者、需要者の間においても広く認識されていたと認めることはできないものであるから、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているものということはできない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標とはいえないものであり、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び第15号について
引用商標は、上記(1)のとおり、タービン社の業務に係る商品又は役務を表すものとして、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
また、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者がタービン社又はタービン社と何等かの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とが類似するものであるとしても、引用商標は、上記1のとおり、我が国ないし外国の取引者、需要者の間で広く認識されていたとはいえず、さらに、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りしたり、不当に利用するなど、不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠は一切見当たらない。なお、甲第11号証(枝番号を含む。)により、本件商標の商標権者の事業概要や商標登録の事実が確認できるとしても、このことによっては、商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用をする意図を有していたということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、第10号、第15号及び第19号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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