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Trademark Appeal Case

俺の要部と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900322(T2015−900322/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5778840号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5778840号商標(以下「本件商標」という。)は,「俺の蕎麦」の文字を標準文字で表してなり,平成26年2月7日に登録出願,同27年6月17日に登録査定がされ,第29類「そば粉を使用した豆腐」, 第30類「そば粉を使用した菓子,みそ,しょうゆ,そばつゆ,ごま塩,食塩,すりごま,香辛料,そばのめん,そば粉を使用した穀物の加工品,そば粉」及び第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同27年7月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録第4223272号商標(以下「引用商標」という。)は,「俺 の」の文字を標準文字で表してなり,平成9年5月23日に登録出願,第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として,同10年12月18日に設定登録され,その後,同20年7月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証を提出した。(以下「甲第○号証」の表示は,「甲○」と簡略する。)

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は「俺の蕎麦」の文字を書してなるところ,「蕎麦」は「タデ科の一年草。実はひいてそば粉を作る。」,「蕎麦粉につなぎを加え,水でこねて薄く延ばし,細く切ったもの。」,「細長い麺」の意味を表すものであるから(甲5),本件商標の指定商品中,第30類「そば粉を使用した菓子,そばつゆ,そばのめん,そば粉を使用した穀物の加工品,そば粉」との関係においては,その商品自体,あるいは原材料,品質をダイレクトに表示するものである。

したがって,本件商標の構成にあっては,「俺の」の部分と「蕎麦」の部分では,自他商品の識別力の点において大差を有するものである。また,本件商標の商標権者は「俺の株式会社」であるところ,「株式会社」はその組織の種類を表す部分であるから,「俺の」の部分が商号の要部として機能するものである。そうとすれば,本件商標の「俺の」の部分は,商標権者自身を表す「俺の」に通ずるものであるから,本件商標については「『俺の』印の蕎麦」と認識される場合も少なくないものであって,「俺の」の部分が自他商品の識別標識として機能するものである。

よって,本件商標よりは,「オレノソバ」の称呼の他に,「俺の」の部分に照応して「オレノ」の称呼も生じるものである。

一方,引用商標は「俺の」の文字よりなるものであるから,引用商標よりは「オレノ」の称呼を生じるものである。

そうとすれば,両商標は「オレノ」の称呼を共通にするものであって,称呼上類似するものである。

また,本件商標の指定商品中,第30類「そば粉を使用した菓子,そばつゆ,そばのめん,そば粉を使用した穀物の加工品,そば粉」と引用商標の指定商品とは抵触するものであって,引用商標は本件商標の先願・先登録の関係にある。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)東洋水産株式会社(以下「東洋水産」という。)の業務内容,引用商標の著名性について

引用商標権者である東洋水産は,1953年に設立された企業であって,水産食品事業,冷蔵事業,加工食品事業を手がける総合食品メーカーである。事業全体の中で即席麺事業の比率は全売り上げの約3割を占めているところ,即席麺業界において第2位のシェアを有し,「マルちゃん焼そば3人前」,「赤いきつねうどん」,「緑のたぬき天そば」,「マルちゃん正麺」等,多くの大ヒット商品,ロングセラー商品を世に出しているものである(甲6〜甲11)。

東洋水産は,1997年7月に,既存品には存在しなかった,塩味がきいた焼きそば「俺の塩」の発売を開始した。同製品は発売当初から計画の30%増の販売数量を記録してヒット商品となり,発売10周年記念として,2007年には,人気コミック「俺の空」とのコラボレーションや,2010年にはサッカー日本代表のユニフォームをパッケージデザインに取り入れるといった企画商品を展開し,現在でもリニューアル版が発売されるロングセラー商品となっている。1997年10月には,既存品には存在しなかった,味噌味がきいた焼きそば「俺の味噌」の発売を開始,翌1998年10月には,ウスターソースを作る際に溜まる,通称「どろ」と呼ばれる濃厚で辛口の「どろソース」を使用した焼きそば「俺のどろ」を発売している。2010年にはカップ入り大盛り即席麺「俺のでかまる」(大盛カップ麺「でかまる」の発売20周年記念として発売された商品であることから,パッケージデザインにおいては,既存の「でかまる」のロゴマークと「俺の」の部分とを分離して表示している。)の販売を行っている。

上記商品はマスコミでも大々的に取り上げられ,品質の優良なことと相侯って,正に「俺のシリーズ」として,東洋水産の主力商品の一つとなっているものである(甲12〜甲58)。

上記した状況からすれば,引用商標は,遅くとも,本件商標の出願日である2014年2月7日の時点において,即席麺の分野において周知・著名性を有していたものであって,その周知・著名性は本件商標の登録日である2015年7月17日の時点においても継続していたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

東洋水産の販売に係る「俺の塩」,「俺の味噌」,「俺のどろ」,「俺のでかまる」は,いずれも「俺の」の文字を含むものであるところ,「俺の」と,「塩」,「味噌」といった「フレーバー」,ソースの種類を表す「どろ」とからなり,あるいは,既存製品の商品名「でかまる」に「俺の」ブランドを付加したものであるから,「俺の」の部分が強く支配的な印象を需要者に与えるものであって,これらは「俺のシリーズ」を形成しているものである。

一方,本件商標は,前記したように「俺の」の部分が要部として見られる場合も少なくないことから,仮に本件商標が,東洋水産が第2位のシェアを誇る「即席麺」の分野,すなわち,「即席そばのめん」,「即席焼きそばのめん」,「即席中華そばのめん」,「即席うどんのめん」等に使用された場合には,恰も,引用商標権者である東洋水産の業務に係る商品,あるいは,東洋水産と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くに混同を生じさせるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は,前記第1のとおり「俺の蕎麦」の文字からなるところ,その構成文字は,同じ書体及び同じ大きさをもって等間隔に,視覚上まとまりよく一体に表されているものである。

また,その構成文字全体から生ずる「オレノソバ」の称呼は,一連に称呼できるものである。

そして,本件商標の構成中の「俺」の文字は,「自分のこと」の意味を有し,「蕎麦」の文字は,「タデ科の一年生作物。蕎麦粉・小麦粉にヤマイモ・卵白などを入れ,こねて細く線状に切った食品(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)」の意味を有するものと認められ,また,該両文字を繋ぐ「の」の文字は,格助詞,並立助詞,終助詞,間投助詞の各用例があるとされるところ(広辞苑第六版),本件商標においては,その前後の「俺」と「蕎麦」の語との関係からすれば,所有者を示す格助詞として用いられているとみるのが相当である。

そうすると,本件商標を構成する「俺の蕎麦」の文字は,その構成全体をもって,「俺が所有する蕎麦」程の意味合いを認識させるとみるのが自然であり,ことさら「蕎麦」の文字部分を捨象し,「俺の」の文字部分をもって取引に資されるとみるべき特段の事情も見出せない。

してみれば,たとえ,「蕎麦」の文字が本件商標の指定商品中,その商品自体や原材料を表す場合があるとしても,本件商標の構成においては,その全体が一連一体のものとして把握され,「オレノソバ」の一連の称呼及び「俺が所有する蕎麦」の観念が生じるというべきである。

(2)引用商標

引用商標は,「俺 の」の文字からなるところ,その構成文字に相応して「オレノ」の称呼及び「俺が所有する」程の観念を生ずるものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,本件商標は「俺の蕎麦」の文字であり,引用商標は「俺 の」の文字であるから,「蕎麦」の文字の有無による明らかな差異を有するものであって,外観上,判然と区別し得るものである。

称呼においては,本件商標より生ずる「オレノソバ」の称呼と引用商標より生ずる「オレノ」の称呼とは,「ソバ」の音の有無において明らかな差異を有し,その構成音数及び音の配列を異にするものであって,全体の語感,印象も相違するものであるから,称呼上,明らかに聴別できるものである。

また,観念においては,本件商標からは「俺が所有する蕎麦」の観念を生じるのに対し,引用商標からは「俺が所有する」程の観念を生じることから,両者の観念は相違するものであって,観念上,相紛れるおそれはない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標と引用商標とは,指定商品及び指定役務において同一又は類似する関係にあるとしても,相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標「俺の」の周知性について

ア 申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。

甲6〜甲11は,東洋水産のホームページ(写し)等であるところ,「ご挨拶(社長メッセージ)」の見出しの下「1975年発売のチルド麺『マルちゃん焼そば3人前』,1978年発売の『赤いきつねうどん』並びに1980年発売の『緑のたぬき天そば』といった多数のロングセラー商品が生まれ,2011年発売の『マルちゃん正麺』につきましては,袋麺の新しい価値を創造した商品として好評を頂いております。」の記載(甲6),「事業内容」の見出しのもと,「・即席麺類の製造・販売」の記載(甲7),インターネット記事において,「インスタントラーメンの製造・販売を開始。即席麺業界では日清食品に次いでシェア第2位である。」との記載(甲8)がある。

甲12〜甲58は,東洋水産の製造・販売する即席麺の広告・宣伝及び各種新聞記事での紹介であるところ,各種の即席麺に「マルちゃん 今どきの焼きそば 俺の塩」(甲12),「マルちゃん 今どきの焼きそば 俺の味噌」(甲13),「マルちゃん 今どきの焼きそばDX 俺のどろ」(甲15),「マルちゃん 俺の塩」(甲17〜甲19),「マルちゃん 俺の塩 大盛」(甲18),「マルちゃん 俺の塩 たらこ味」(甲20),「俺の塩 しょうが風味」(甲21),「マルちゃん 俺のでかまる ねぎだくニンニク焦がし油入り豚骨」(甲22),「俺の塩 復刻版」(甲26),「サッカーTV観戦のおともに! 縦型 俺の塩 HOME編塩ラーメン AWAY編豚骨ラーメン」(甲28)等の記載がある。

また、「サッカー日本代表チームオフィシャルライセンス商品! マルちゃん 俺の塩 サムライブルー編」(甲29),「サッカー観戦のお供に!サッカー日本代表チームオフィシャルライセンス商品 俺の塩 青い海の塩焼そば」(甲36),「サッカー観戦のお供に!サッカー日本代表チームオフィシャルライセンス商品 俺の塩 なでしこジャパン編 うまみ塩焼そば」(甲41),「東洋水産 『俺の塩』と『俺の空』 人気コミックとコラボ」(甲48)等の記載がある。

イ 以上によれば,東洋水産は,1975年から,即席麺の製造・販売を行い,1978年発売の「赤いきつねうどん」,1980年発売の「緑のたぬき天そば」,2011年発売の「マルちゃん正麺」といった多数のロングセラー商品が生まれ,即席麺について「俺の塩」は平成9年7月7日,「俺の味噌」は平成9年10月20日及び「俺のどろ」は平成10年10月5日から製造・発売されている事実(甲12,甲13,甲15)や,コミックやサッカーとのコラボレーションをした企画商品が販売されていることが認められる。

しかしながら,上記アのとおり,即席麺の商品名として使用しているのは,「俺の塩」,「俺の味噌」,「俺のどろ」及び「俺のでかまる」であり,それぞれの名称には共通して「俺の」の文字が含まれているものの,「俺の」が単独若しくは強く支配的な印象を需要者に与える構成態様で使用されているものは見当たらない。

そうすると,前記の即席麺の名称は,それぞれ一体の名称として認識,記憶されるものとみるのが自然である。

その他,引用商標ないし前記商品名中の「俺の」の文字部分が独立して,東洋水産の商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日(平成26年2月7日)及び登録査定日(平成26年6月17)の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。

以上を総合勘案すると,引用商標は,東洋水産の商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めることができない。

(2)出所の混同のおそれについて

引用商標は,前記のとおり,我が国における取引者,需要者の間で広く認識されているとは認められないものである。

そして,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであって,かつ,本件商標の構成中には,「俺の」の文字が含まれているものの,該文字が構成中にあるとの一事のみをもって,本件商標が引用商標に関連あるものとして看取されるとは認め難いものであるから,結局,本件商標は,引用商標とは全く別異の商標として看取されるというべきである。

してみれば,本件商標は,商標権者がこれを本件申立てに係る指定商品に使用しても,取引者,需要者が引用商標を連想,想起するものとはいえず,当該商品を東洋水産あるいは同社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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