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Trademark Appeal Case

著名略称の混同可能性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−3736(T2015−3736/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「2ch」の文字を標準文字で表してなり、第38類「電子掲示板による通信及びこれに関する情報の提供,インターネット利用のチャットルーム形式による電子掲示板通信及びこれに関する情報の提供」及び第42類「インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板用のサーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板へのアクセスのためのコンピュータープログラムの提供及びこれに関する情報の提供」を指定役務として、平成26年3月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『2ch』の文字からなるところ、これは、『電子掲示板による通信及びこれに関する情報の提供,インターネット利用のチャットルーム形式による電子掲示板通信及びこれに関する情報の提供,インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板用のサーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネット又は移動体通信端末による通信を利用した電子掲示板へのアクセスのためのコンピュータープログラムの提供及びこれに関する情報の提供』等について使用され、取引者又は需要者の間に広く知られている電子掲示板の名称『2ちゃんねる』の著名な略称『2ch』と同一又は類似のものである。そして、該電子掲示板は、『2ch.net』のドメイン名として広く知られており、現在は、『Race Queen,Inc』が、『2ch.net』のドメイン名を用いて、該電子掲示板『2ちゃんねる』を運営していることが確認できる。以上のことから、本願商標は、『Race Queen,Inc』の業務に係る上記役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標『2ちゃんねる』と同一又は類似のものであり、かつ、本願商標は、前記役務と同一又は類似の役務に使用するものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標及び「2ch」の周知性について

本願商標は、「2ch」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字については、以下に示すような情報がある。

ア 知恵蔵2007年版(朝日新聞社 2007年1月1日発行)によれば、「2ちゃんねる」の見出しのもと、「インターネット上の巨大な掲示板。1999年、西村博之が開設。時事ネタからアンダーグラウンドな話題まで、ありとあらゆることを匿名で語り合える場として人気を博し、インターネット内のみならず、世論にも少なからぬ影響力を持つ存在になってきた。正確な利用者数は定かではないが、書き込まず、見ているだけの人まで含めれば、数百万人に上ると見られる。その巨大さ・匿名性ゆえに、誹謗中傷などの問題が発生することもある。」の記載がある。

イ 現代用語の基礎知識2011年版(自由国民社 2011年1月1日発行)によれば、「2ちゃんねる/2ちゃん/2ch」の見出しのもと、「提携サイトまで含めると800を越える種々雑多の掲示板サイト。『板(いた)』とも呼ばれる各掲示板には、さらに多数の『スレッド/スレ』(同じ話題に関する一連の流れ)が含まれる。基本的には誰でも匿名で投稿できる。・・・2ちゃんねる自体はニワンゴの取締役にも名前を連ねる西村博之(ひろゆき)が開設し、管理人として公開していたが、2009年に『PACKET MONSTER INC.』という会社に管理が譲渡された。」との記載がある。

ウ 「大辞泉」(株式会社小学館発行、2012年11月7日第二版第一刷)によれば、「2ちゃんねる」の見出しの下、「日本最大規模の電子掲示板(BBS)サイト。平成11年(1999)に西村博之が開設。ニュース、世界情勢、趣味、芸能、ゲームなど、分野別に数百の掲示板が設けられ、それぞれ話題別に細分されたスレッドからなる。匿名での投稿が基本であり、独特な言い回しや隠語が多用される。2ちゃん。2ch。」の記載がある。

以上のことから、「2ちゃんねる」は、1999年に請求人である西村博之氏が開設した電子掲示板の名称であって、「2ch」とも略称されること、そして、2009年には、「PACKET MONSTER INC.」(以下「パケットモンスター社」という。)に譲渡されたことが確認できるものである。

そして、原審における平成26年7月28日受付けの意見書により提出した甲第7号証ないし甲第8号証及び不服2015−3735拒絶査定不服審判事件における同27年12月18日受付の請求人の回答書により提出した甲第6号証ないし甲第11号証によれば、該パケットモンスター社は、シンガポール国における法人登記の代行業者により、形式的に設立された法人であって、実質的には請求人が管理する法人といえるものである(職権調査)。

他方、2014年(平成26年)4月11日付け「産経新聞東京朝刊6頁」によれば、「今年2月、実質的な管理人が、これまでサーバー管理などを行っていた人物に移った」とされているところ(平成26年6月12日付け拒絶理由中(6))、該「2ちゃんねる」の2014年(平成26年)3月5日のトップページにおいて、「Race Queen,Inc」(以下「レースクィーン社」という。)の記載がある(甲3の1ないし甲3の2)ことから、少なくとも該日付以降においては、「レースクィーン社」が、「2ch.net」のドメイン名の「2ちゃんねる」の管理人ということができる。

さらに、請求人は、「2ch.sc」のドメイン名で、電子掲示板「2ちゃんねる」の運営を平成26年(2014年)4月に開始したことがうかがえるものであり、「2ch.net」の掲示板を開設した請求人が、新たに、「2ch」の文字を含む電子掲示板を開設したことも相まって、かかる実情は、電子掲示板を利用する一定程度の取引者、需要者においては、知られているものといえる(平成26年4月24日付け刊行物提出書(03))。

そうすると、本願商標の登録出願時において、電子掲示板「2ちゃんねる」の略称である「2ch」の文字は、レースクィーン社が使用しているものである。

しかしながら、仮に、平成26年2月にレースクィーン社が「2ch」の文字の使用を開始したとしても、本願商標の登録出願日が、同年3月27日であり、請求人の「2ch.sc」の使用開始が、同年4月であることから、そのレースクィーン社が使用していた期間は僅かであって、そうすると、「2ch」の周知性は、該レースクィーン社が唯一獲得しているものということができない。

そうとすれば、本願の指定役務を取り扱う業界においては、「2ch」の文字が獲得している周知性は、該掲示板の開設から本願商標の登録出願時においては、請求人が運営していたときによるものとしての割合が相当程度高いといえるものである。

してみれば、本願商標の登録出願時である平成26年3月27日若しくは査定時及び審決時においては、「2ch」の文字が、他人の業務に係る役務を表示する商標として、需要者の間に広く認識されているものということができない。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性について

本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、本願商標の登録出願時及び審決時に、「2ch」の文字が他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていることが要件の一つと解されるものであるところ、上記(1)に記載のとおり「2ch」の文字は、他人の業務に係る役務を表示する商標として需要者の間に広く認識されているものということができない。

したがって、本願商標と、レースクィーン社が電子掲示板について使用する「2ch」とが類似するとしても、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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