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Trademark Appeal Case

A級グルメの識別力と記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−8389(T2015−8389/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「A級グルメ」の文字を標準文字で表してなり、第42類「食品の品質及び飲食店や宿泊施設が提供する飲食物と役務の質に関する審査・評価・認定並びに認定証の発行」を指定役務として、平成26年7月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『A級グルメ』の文字を標準文字で表してなるものであり、全体として、『A等級(高級)の料理』程の意味合いを生ずるものである。そして、地域おこしの一環として、地元の食材の周知や、地元の食材を使った地域の新商品、新メニューについて、『A級グルメ』の語が用いられており、また、商品や役務の品質(質)を評価する際、『A級』のように判定・評価している実情が認められる。さらに、実際に、A級グルメやB級グルメの認定制度を創設し、対象となる飲食物について審査・評価・認定しているような自治体の取組みも認められる。そうとすると、本願商標を本願の指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、『食品及び飲食物の品質及び役務の質に関する審査・評価・認定を実施した結果、A等級の料理(A級グルメ)であること』程の意味合い、すなわち、役務の提供の際に汎用される表現を表示したものであると認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年8月31日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

(1)前記3の証拠調べ通知書(以下「通知書」という。)で挙げられている「A級グルメ」の文字の使用例は、請求人が役務の一環として提供しているものも含んでおり、かつ、単に料理の説明文の記載の中に「A級グルメ」の文字が使用されているに過ぎないものである。

したがって、「A級グルメ」の語が使用されている事実は認められるが、例示された使用例によって「A級グルメ」という語が「高級な料理や食材及び飲食店」の意味を表すために一般的に使用され広く知られている語であることを直接的に証明されるものではなく、本願の指定役務との関係においても、実際に使用されているものでもない。

(2)通知書で挙げられている「認定制度としての『A級グルメ』『○級グルメ』の使用例は、「○級グルメ」としての認定制度が示されているが、請求人以外が使用する『A級グルメ』認定制度は発見されなかった。また、本願は『A級グルメ』として一体の商標であり『A』部分を他のアルファベット1文字に置き換えた使用例は、本願との関連性は非常に薄いものといわざるを得ない。『○云々』が使用されている事実があったとしても、それをもってして『○』を『A』に置き換えた語句が一般的に使用されている根拠とすることは早計である。

(3)本願商標は、英文字・漢字・カタカナを含む5文字からなり、構成自体は商標としての体をなしていることは明らかである。また、取引の実情を考慮した場合に自他役務の識別力を有するかについて検討するに、審判請求時に請求人が提出した証拠からは、本願指定役務に係る分野の取引者、需要者の間に請求人の業務に係る役務を表示する商標として自他役務の識別標識としての機能を果たしていることが窺えるものである。

(4)以上のことから、「A級グルメ」の文字からなる本願商標を、その指定役務「食品の品質及び飲食店や宿泊施設が提供する飲食物と役務の質に関する審査・評価・認定並びに認定証の発行」に使用しても「高級な食材、料理及び飲食店」として審査・評価・認定するものであることを表すものとはならず、本願商標が何人かの業務に係る役務であることを需要者が認識することができない商標ということはできない。したがって、本願商標は自他役務の識別標識として十分機能するものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、「A級グルメ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中「A」の文字は、「アルファベットの最初の文字。転じて、第1位。『―級品』」の意味(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を有してなるものであり、「第1級品のグルメ」と容易に認識できるものである。

そして、近年、「B級グルメ」の語が、「庶民的な地方の名物料理、有名な郷土食が全国的に人気を博したもの。」を意味(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2015」)するものとして、一般的に広く知られている語であるのに対し、「A級グルメ」の語が、「高級な料理や食材及び飲食店」程の意味を有する語として使用されている事実を、窺い知ることができる。

また、一定程度の品質を有する食材や料理を、地元の食材や料理で地域興しを目的とする団体や自治体が、その地元の、「A級グルメ」として認定していること、さらに、「○級グルメ(「○」の部分は、アルファベット一文字。以下同じ。)」として、地元産品を認定し、紹介しているものもある。

そうとすると、「A級グルメ」の文字からなる本願商標を、その指定役務「食品の品質及び飲食店や宿泊施設が提供する飲食物と役務の質に関する審査・評価・認定並びに認定証の発行」に使用しても、取引者、需要者は、「高級な食材、料理及び飲食店」として審査・評価・認定されたこと、すなわち、評価、認定の等級又はランクのひとつを表すものと認識するに止まり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、通知書において、例示された使用例は、「A級グルメ」という語が「高級な料理や食材及び飲食店」の意味を表すために一般的に使用され広く知られている語であることを直接的に証明されるものではない旨主張する。

しかしながら、通知書においてした例示中、(6)ないし(24)の記載内容を勘案すれば、「A級グルメ」の文字は、一般に、「高級な料理や食材」を指称するのみならず、それらを提供する「飲食店」も含めた意味合いを表すものと理解、認識させるといい得るものである。

イ 請求人は、通知書で挙げられているのは、「○級グルメ」としての認定制度が示されているものの、請求人以外が使用する『A級グルメ』認定制度は発見されなかった。また、本願は『A級グルメ』として一体の商標であり『A』部分を他のアルファベット1文字に置き換えた使用例は、本願との関連性は非常に薄いものといわざるを得ない。『○云々』が使用されている事実があったとしても、それをもってして『○』を『A』に置き換えた語句が一般的に使用されている根拠とすることは早計である。また、本願商標は、英文字・漢字・カタカナを含む5文字からなり、構成自体は商標としての体をなしていることは明らかである旨、主張する。

しかしながら、「B級グルメ」の語は、一般に広く知られているものであり、通知書で示したように、「A級グルメ」、「S級グルメ」、「Y級グルメ」及び「O級グルメ」等と、欧文字の頭文字を置き換えて使用されている実情があることと、「A級グルメ」の文字が、前記アのとおり、一般に使用されている実情を、併せ考慮すれば、本願商標が、「高級な料理や食材及び飲食店」程の意味として容易に認識されるに止まり、食品の品質及び飲食店の役務の質と深く関連する本願の指定役務について使用しても、自他役務の識別標識として、機能しないものというべきである。

ウ 請求人は、本願商標は、請求人の提出した甲第2号証のコメントからすると、本願の指定役務の取引者、需要者の間において、請求人の業務に係る役務を表示する商標として自他役務の識別標識としての機能を果たしている旨、主張する。

しかしながら、提出された甲2号証は、「邑南町A級グルメ認定制度ワーキング会議報告書」であり、その創設に係る会議の場で発言または意見があったことを記録しているにすぎず、かかる証拠をもって、本願商標が、本願の指定役務の他の取引者、需要者の間に、請求人の業務に係る役務を表示するものとして認識されているということができない。

よって、請求人の主張はいずれも採用することはできない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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