結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2015−300133(T2015−300133/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5046558号商標(以下「本件商標」という。)は、「よか」の文字を標準文字で表してなり、平成18年7月20日に登録出願され、第3類「せっけん類,化粧品」、第21類「化粧用具」及び第25類「ずきん,ターバン」を指定商品として、同19年5月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年3月11日である。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第3類「全指定商品」について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
本件商標は、その指定商品中、第3類「全指定商品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)乙第1号証によれば、商品「せっけん」の包装に「然/よかせっけん」という標章(以下「使用商標1」という。)が付されていた事実が認められる。この標章は被請求人が業として販売する商品の包装に付されたものであることから商標として使用するものといえる。
使用商標1は、包装の略中央に「然」の文字を比較的大きく配置し、その下に「よかせっけん」の文字を比較的小さく配置したものである。
使用商標1は、文字の配置及びバランスの観点から「然」の文字が支配的であり、対して「よかせっけん」の文字は、極めて主張が弱く、従属的な印象を与える態様となっている。
したがって、使用商標1は、「然」の文字を要部として称呼や観念が生じるということができる。
そもそも「よか」にはその後に続く名詞を修飾する形容詞的な機能があり、使用商標1の「よかせっけん」のように同一の書体で一連の語として表示された場合には「良い石けん」、「優れた石けん」という商品の質を連想させるにとどまり、出所識別標識としての機能は到底期待し得ないものである。
以上述べたように、使用商標1と本件商標は、同一の称呼及び観念を生ずる商標のような関係にはないことから、両商標の間には商標としての同一性は存在せず、また、商標法第50条第1項に規定する社会通念上の同一性も存在しない。
(2)乙第3号証によれば、商品「せっけん」の包装に「つかってみんしゃい/よか石けん」という標章(以下「使用商標2」という。)が、商品「化粧品」の包装容器に「つかってみんしゃい/よかぼんたん」という標章(以下「使用商標3」という。)が、商品「化粧品」の包装容器に「つかってみんしゃい/よか和蜜発酵」という標章(以下「使用商標4」という。)が、商品「化粧品」の包装容器に「つかってみんしゃい/よか白繭」という標章(以下「使用商標5」という。)が付されていた事実が認められ、これらの標章は被請求人が業として販売する商品の包装に付されたものであることから、商標として使用するものであるといえる。
使用商標2ないし使用商標5は、「つかってみんしゃい」の文字と「よか石けん」、「よかぼんたん」、「よか和蜜発酵」又は「よか白繭」の文字が何れも同一の書体かつ略同じ大きさで表記されており、「よか」の文字のみ白黒反転させた表記となっている。
「つかってみんしゃい」と「よか」の文字を比較すると、後者は文字色を反転させて他の文字との差別化を図る態様となっているが、この程度であれば普通に用いられる手法にすぎず、(1)で述べたように商品の質を連想させるにとどまり、出所識別標識としての機能は期待し得ない。
使用商標2ないし使用商標5は、より注意をひくであろう上段に比較的長い文字列の「つかってみんしゃい」と表記されており、こちらの方に出所識別標識としての機能があると考えるのが自然である。
したがって、使用商標2ないし使用商標5は、「つかってみんしゃい」を要部として、又は「つかってみんしゃい」+「よか」を要部として称呼や観念が生じるということができる。
以上述べたように、使用商標2ないし使用商標5と本件商標は、同一の称呼及び観念を生ずる商標のような関係にはないことから、両商標の間には商標としての同一性は存在せず、また、商標法第50条第1項に規定する社会通念上の同一性も存在しない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)せっけんに対して「よか」の使用について
乙第1号証は、「よかせっけん」という商品名をつけたせっけんが2014年度のグッドデザイン賞を受賞した旨を公示したWebページを印刷したものである。
このWebページは、グッドデザイン賞を主催する団体(=公益財団法人日本デザイン振興会)の公式なWebページであり、被請求人による改変等が不可能なものである。
乙第1号証の第1ページの写真には、4つの商品が記載され、このうち、左から2つめのものがせっけんである。
この商品には、「よかせっけん」との記載があることが明確に読み取れる。
したがって、せっけんに「よか」の標章を付して使用していることが証明される。
(2)使用の時期の証明
乙第2号証は、2014年度のグッドデザイン賞の受賞結果が発表された日についての記述のあるWebページを印刷したものである。
乙第2号証の第1ページには、真ん中から少し上の行に2014年度の発表が10月1日に行われたことが記載されている。
したがって、当該使用は少なくとも2014年10月1日及びその前には使用されていたことが証明される。
(3)小結論
以上より、少なくとも、2014年10月1日及びその前には、せっけんに「よか」の標章を付して使用していたことが証明される。
(1)せっけんに対して「よか」の使用について
乙第3号証は、2014年の正月に頒布したパンフレットの表面の写しであり、乙第4号証は、乙第3号証のパンフレットの裏面の写しである。
乙第3号証の下側中央の画像を拡大し右に90度回転した画像(審判事件答弁書3頁上部)からは「よか」という標章がせっけん類の容器に付されて使用されていることが証明される。
(2)使用の時期の証明
乙第3号証及び乙第4号証のパンフレットが、2013年の冬頃から2014年1月31日までの間のものであることを述べる。
乙第3号証の上側左側の画像を拡大し右に90度回転した画像(審判事件答弁書3頁下部)には、このパンフレットの有効期限が2014年1月31日であることが記載され、さらに、乙第4号証の中央の画像を拡大し右に90度回転した画像(審判事件答弁書4頁上部)には、「迎春」及び「新年、明けましておめでとうございます。」との記載がある。
これらの画像をまとめると、2014年1月31日の期限のパンフレットであったこと、頒布がお正月にされたことが確実である。
他方、この手の期限は、通常数ヶ月間の期間としている。
したがって、このパンフレットは、2013年の冬ごろから2014年1月31日の前までに頒布されたパンフレットであることが証明される。
(3)小結論
以上より、少なくとも、2013年の冬頃から2014年1月31日、せっけんに「よか」の標章を付して使用していたことが証明される。
(1)化粧品に対して「よか」の使用について
乙第3号証の下側中央の画像を拡大し右に90度回転した画像(審判事件答弁書5頁上部)からは、クレンジングの容器に「よか」の標章が付されていることが明確に分かる。
また、乙第3号証のほぼ中央の画像を拡大し右に90度回転した画像(審判事件答弁書5頁中部)からは、化粧水の容器及び美容液の容器に「よか」の標章が付されていることが明確に分かる。
そして、クレンジング、化粧水、美容液はいずれも化粧品の一分野である。
(2)使用の時期の証明
上記2(2)のとおり、これらの画像が付されたパンフレットは、2013年の冬頃から2014年1月31日のものである。
(3)小結論
以上より、少なくとも、2013年の冬頃から2014年1月31日、化粧品に「よか」の標章を付して使用していたことが証明される。
以上より、第3類の全指定商品である「せっけん類」及び「化粧品」の両方について、審判請求の前より、「よか」が使用されていたことが証明される。
(1)乙第3号証はパンフレットであるところ、中央部右下に、クレンジングオイル、石けん、化粧水及び美容液の写真が掲載され、次の記載等がある。
ア クレンジングオイルの容器には、中央上部に「つかってみんしゃい」の文字、黒塗り楕円形内に白抜きした「よか」の文字と「ぼんたん」の文字及び「くれんじんぐオイル」の文字が3段に横書きされ、下部に「長寿の里」の文字が横書きされている。
イ せっけんの容器には、「つかってみんしゃい」の文字、黒塗り楕円形内に白抜きした「よか」の文字と「せっけん」の文字及び「長寿の里」の文字が3段に横書きされている。
ウ 化粧水の容器には、中央上部に「つかってみんしゃい」の文字、黒塗り楕円形内に白抜きした「よか」の文字と「和蜜発酵」の文字及び「化粧水」の文字が3段に横書きされ、下部に「長寿の里」の文字が横書きされている。
エ 美容液の容器には、中央上部に「つかってみんしゃい」の文字、黒塗り楕円形内に白抜きした「よか」の文字と「白繭」の文字及び「美容液」の文字が3段に横書きされ、下部に「長寿の里」の文字が横書きされている。
オ 石けん、クレンジングオイル、化粧水及び美容液の写真の横に、「注文番号966−25052(ジャータイプ)」の記載があり、その下に、「よか4点セット」「ぼんたんくれんじんぐオイル(150mL)+医薬部外品よか石けん(80g)+よか和蜜発酵化粧水(150mL)+よか白繭美容液(30g)」の文字及び金額の記載がある。
(2)乙第3号証の左側には、「郵便往復はがき(返信)」の記載、返信用はがきの宛名面に「神奈川県横浜市西区みなとみらい3―6―3 MMパークビル12階 長寿の里」の記載、「料金受取人払郵便」及び「差出有効期限平成27年2月28日まで有効(切手不要)」の記載等がある。
(3)乙第4号証は、乙3号証の裏面であるところ、左側には、「お得意様限定」、「5,000円(税込)以上ご購入で」、「新春2大キャンペーン」、「キャンペーン期間 2014年1月31日金(当日消印有効)」の記載等がある。
(4)乙第4号証の中央には、「郵便往復はがき(往信)」の記載、「迎春 新年、明けましておめでとうございます。」の記載等がある。
(5)乙第4号証の右側には、「ご注文ハガキ」、「期間 1月31日金」の記載、「注文番号」の欄に「966−25052」の記載並びに「商品名」の欄に「よか4点セット」、「ジャータイプ」及び「・ぼんたんくれんじんぐオイル ・よか石けん ・よか和蜜発酵化粧水 ・よか白繭美容液」の記載等がある。
(1)使用商標について
ア 上記1(1)のとおり、乙第3号証のパンフレットには、クレンジングオイル、石けん、化粧水、美容液の写真等が掲載され、それらの各商品の包装容器には、「つかってみんしゃい」の文字とその下段には、黒塗り楕円形内に白抜きで表した「よか」の文字と「ぼんたん」、「石けん」、「和蜜発酵」又は「白繭」の文字を横書きした表示があるところ、「よか」の文字部分は、黒塗り楕円形内に白抜きで表してなるから、他の文字とは分離して把握されるものである。そして、「つかってみんしゃい」の文字は「使ってみなさい」程の意味を容易に理解させる語であり、また、「ぼんたん」、「石けん」、「和蜜発酵」又は「白繭」の文字は商品名や原材料名を表したものと理解せるものであるから、自他商品の識別標識としての機能が強いものとはいえず、「よか」の文字部分が自他商品の識別標識として強く印象付けられるといえる。さらに、パンフレットにおいて、これらのクレンジングオイル、石けん、化粧水、美容液を合わせて「よか4点セット」として宣伝、販売しているから、「よか」の文字部分が自他商品の識別標識として認識されると判断するのが相当である。
以下、「『よか』の文字を黒塗り楕円形内に白抜きで表したもの」を「使用商標」という。
イ 本件商標は、前記第1のとおり、「よか」の文字からなるものであるところ、使用商標は、本件商標と「よか」の構成文字を共通にするから、社会通念上同一と認められる商標といえる。
(2)使用商品について
乙第3号証のパンフレットに掲載された各商品の容器には、いずれも被請求人の名称と同視できる「長寿の里」の文字が表示されているから、パンフレットに掲載されている商品は被請求人の商品と認められ、さらに、使用商標が表示されているから、使用商品は、クレンジングオイル、石けん、化粧水及び美容液であり、これらは、本件商標の指定商品「せっけん類、化粧品」の範ちゅうに属する商品である。
(3)使用者及び使用時期等について
上記1(2)ないし(5)からすれば、乙第3号証及び乙第4号証のパンフレットは、2014年お正月キャンペーンの商品紹介パンフレット及び商品の注文用はがき(郵便往復はがき形式のもの)であり、また、該注文用はがきは、被請求人の商品であるクレンジングオイル、石けん、化粧水、美容液をセットにした商品「よか4点セット」などに関する事項を内容とするものであることから、該パンフレットは、宣伝用と商品注文用(取引書類)を兼ねたものと認められる。
そして、返信用はがきの宛名が「神奈川県横浜市西区みなとみらい3―6―3 MMパークビル12階 長寿の里」となっているから、該パンフレットは、被請求人が作成したものであって、乙第4号証には、「キャンペーン期間 2014年1月31日金(当日消印有効)」、「迎春 新年、明けましておめでとうございます。」及び「お得意様限定」等の記載があることからすると、遅くとも2014年(平成26年)の年始めには使用され、得意先等に頒布されたものとみて差し支えない。
(4)まとめ
以上のことからすれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)である平成26年1月頃に、日本国内において、「せっけん類、化粧品」の範ちゅうに属する商品「クレンジングオイル、石けん、美容液、化粧水」に関するパンフレットに、本件商標と社会通念上同一の標章を付して頒布したとみるのが自然である。
そして、被請求人による上記行為は、「商品に関する広告及び取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
請求人は、「そもそも『よか』にはその後に続く名詞を修飾する形容詞的な機能があり、使用商標1の『よかせっけん』のように同一の書体で一連の語として表示された場合には『良い石けん』、『優れた石けん』という商品の質を連想させるに止まり、出所識別標識としての機能は到底期待し得ないものである」旨、主張をしている。
しかしながら、「よか」の語は、「善か:形容詞『よい』の九州方言。」(広辞苑第六版)の意味を有するものであるとしても、「よか」の語が、「せっけん類」及び「化粧品」等を取り扱う分野で、良い商品、優れた商品を示すものとして一般に使用されているという証拠はなく、請求人においてもそのような実情を示すものは、提出されていない。
そうとすれば、「よか」は、商品の品質を直接的かつ具体的に認識させるものとまではいえないから、請求人の主張は、採用することができない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品、第3類「全指定商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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