結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2015−300411(T2015−300411/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5012368号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成18年5月27日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧,書籍の制作,放送番組の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,写真の撮影,通訳,翻訳」を指定役務として,同年12月22日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年6月22日である。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(審決注:甲第2号証は欠番である。)を提出した。
本件商標は,その指定役務中,第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧,図書の貸与」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)「電子出版物の提供」について
特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説(国際分類第10版対応)」(発明推進協会)によれば,第41類における「電子出版物の提供」とは「電気通信回線を通じて電子出版物を供覧させるサービス」と定義されている(甲3)。
被請求人は,「PDFファイルを記録したオリジナル教材をCD−ROMで販売している。同CD−ROMには本件登録商標がパッケージに記載されている」旨を主張しているが,CD−ROMの販売は,電気通信回線を通じた電子出版物の提供には該当しない。
また,被請求人は,自己のホームページ又はブログにおいて日々のレッスンの様子やイベントレポートを公開している旨を主張するとともに,同ホームページ及びブログの画像を乙第1号証として提出しているが,これらの行為は,被請求人の業務である「英語に関する知識の教授」の付随的役務にすぎず,独立して取引の対象となる役務ではない。
一般に,事業者は取り扱う商品・役務の内容等,自己の業務に関する各種の情報を自己のウェブサイト等を通して需要者等に提供している。例えば,英語教室であれば,レッスンの内容,スケジュール,料金,授業の様子等を自己のウェブサイト等で公開しており,本件もこれに該当するものである。これらの情報は,それ自体が独立して取引の対象となり得る「電子出版物」には該当せず,単に主たる役務に関する情報の公開にすぎないものである。
(2)「図書及び記録の閲覧」及び「図書の貸与」について
前述の「商品及び役務の区分解説」によれば,第41類における「図書及び記録の供覧」とは,「図書,記録その他必要な資料を収集し,整理し,保存して,一般公衆の利用に供する施設(例えば,図書館)が提供するサービス」と定義されている(甲3)。
当該定義に照らせば,第41類における「図書の貸与」とは,図書を一般公衆に貸与するサービスを意味するものと理解するのが妥当である。
被請求人は,「Oxford Reading Tree」なる書籍の貸与をおこなっており,これが「図書の貸与」に該当する旨を主張するとともに,乙第2号証として当該書籍の写真,乙第3号証として当該書籍の貸出記録らしき書類及び当該書籍の写真を提出している。
「Oxford Reading Tree」とは,イギリスの約80%以上の小学校で採用されている「国語」(=英語)の教科書である(甲4)。すなわち,被請求人の業務である「英語に関する知識の教授」において使用される「教材」の一種である。被請求人のホームページ及びブログによれば,当該書籍は被請求人の英語教室に通う「4th」というレベル以上の生徒を対象に貸し出しがなされており(甲5,甲6),被請求人が提出した乙第4号証(ブログ)において当該書籍を数多く借りた生徒が発表されている。
以上のことからすれば,当該書籍の貸与は,被請求人が運営する英語教室の生徒に対して,英語教育の一環として自習教材となる書籍を貸し出す行為であり,図書を一般公衆に貸与するサービスには該当しない。このことは,答弁書において「さらに,平成27年3月からは,Readingを更に強化のため図書の大量購入行い,閲覧,貸出を実施している。」との記載からも明らかである。
すなわち,当該書籍の貸与は,被請求人の業務である「英語に関する知識の教授」の付随的役務にすぎず,独立して取引の対象となる役務ではない。
なお,被請求人は乙第5号証として,当該書籍の購入に係る取引書類の写しを提出するとともに,当該書籍を大量に購入している旨を主張しているが,一種類の書籍についての購入冊数は多いものでも30冊程度であり,総購入冊数も300冊に満たないものである。生徒数が多ければ,この程度の冊数は自ずと必要となるものであり,このことをもって当該書籍の貸与が独立した役務に該当すると認めることはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,被請求人の行為は,いずれも「英語に関する知識の教授」の付随的役務にすぎず,独立して取引の対象となる役務に該当するものではない。
したがって,被請求人の主張及び乙第1号証ないし乙第5号証をもって,本件商標が「第41類 電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧,図書の貸与」に使用されていると認定すべきではない。
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
<答弁の理由>
本件商標は,その指定役務中,第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧,図書の貸与」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在している。
まず,「電子出版物の提供」については,平成20年4月1日以降,PDFファイルを記録したオリジナル教材をCD−ROMで販売している。同CD−ROMには本件商標がパッケージに記載されている。
また,スターリーのホームページ(http://www.kotoba−starry.com/)を平成18年5月16日に開設し現在に至る。同ホームページでは日々のレッスンの様子やイベントレポートを写真付きで公開したり,日々の様子をスターリーブログで公開しており(乙1),同ホームページ及び同ブログには本件商標が用いられている。
次に,「図書の及び記録の閲覧,図書の貸与」については,Oxford Reading Tree「たくさん読んで,リーディングマスターになろう」を平成24年4月から取入れ,図書の貸与を始め現在に至る(乙2,乙3)。
貸本には,それぞれ本件商標のシールが貼られており,借りた子供が記載する閲覧記録においても本件商標が記載されている。
また,平成25年3月14日に1年間のリーディングトップ3の発表をスターリーブログ(http://blog.goo.ne.jp/kotoba−starry/d/20130314)(乙4)で行っている。さらに,平成27年3月からは,Readingを更に強化のため図書の大量購入行い,閲覧,貸出を実施している(乙5)。
以上より,請求人の請求に理由がないことは明らかである。
(1)乙第1号証は,英会話教室の「KOTOBA WORLD STARRY(ことばわ〜るど スターリー)」に係るウェブサイトの写しであって,白黒で印刷されており,2015年7月30日の印刷日がある。
そして,ウェブサイトの1頁目の左上には,使用標章が表示されているものであるが,これには,本件商標の構成文字である「ことばわ〜るど スターリー」の文字がない構成態様によって表示されているものである。
また,このウェブサイトの内容として,レッスンの様子及びイベントレポートなどが写真によって紹介されている。
さらに,その3頁目には,英会話教室の住所として,「仙台市太白区長町南3−5−23」の記載がある。
(2)乙第2号証は,「STARRY LIBRARY 棚及び書籍の写真」とされるものであるところ,書籍の入った棚及び子供用の英語の本と見られるものが写真に写っているものの,写真の撮影日及び撮影者が不明であり,かつ,その写真において,いずれも使用標章が不鮮明であり,本件商標の使用は確認できない。
(3)乙第3号証は,「図書の閲覧,貸与記録及び図書の写真」とされるものであるところ,1枚目の上の写真には,貸与記録についての記入例が示されており,例えば,「What happens next?」の欄には,「読む前に表紙やタイトルを見てどんな話か予測してみよう!!」,また,「Ending Comments」の欄には,「読んでみての感想と自分の予測と比べてどうだったかを書こう!!」の記載がある。
1枚目の下,2枚目,3枚目の写真には,上記記入例に応じた記載がされた「My Book Journal」の文字のある「記録表」が写っている。
また,4枚目から11枚目の写真には,上記「記録表」に記載された本の写真が写っている。
なお,写真の撮影日及び撮影者が不明であり,かつ,その写真において,いずれも使用標章が不鮮明であり,本件商標の使用は確認できない。
(4)乙第4号証は,「ブログ掲載ページの写し」とされるものであるところ,このウェブページは,白黒で印刷されており,2015年7月31日の印刷日がある。
そして,このウェブページは,「KOTOBA WORLD★STARRY★/仙台 長町南 子供英会話スクール ことばわ〜るど★STARRY★から情報発信!」の記載がある。
また,同ページの左側には,「プロフィール」の文字の下に,使用標章が表示されているものであるが,これには,本件商標の構成文字である「ことばわ〜るど スターリー」の文字がない構成態様によって表示されているものである。
(5)乙第5号証は,「図書の購入請求書の写し」とされるものであるところ,1枚目及び2枚目からなる1件目の「請求書」には,上部に「www.ELTBOOKS.com」/英語教材のオンラインショップ『ELTBOOKS』:各種リーダーズと教材を割引価格で」の文字の記載がある。
これには,「日付」として「24/03/2015」の記載,宛先として,「STARRY御中/(森山 由紀子様)/仙台市太白区長町南3丁目5−23 小川ビル1F/(株)バスプル」の記載,及び,「以下の通り¥188,599 ご請求申し上げます。」の記載があり,その下に,購入書籍の内訳表として,「タイトル」,「出版社」,「価格」,「数量」,「合計金額」等が表示されている。
3枚目及び4枚目からなる2件目の「請求書」も,同様のものであり,「日付」として「17/04/2015」の記載,及び,「以下の通り¥253,884 ご請求申し上げます。」の記載がある。
なお,この請求書の内訳票には,「数量」の欄において,「27」,「15」,「13」,「13」,「30」等の記載がある。
5枚目ないし9枚目の5件の「請求書」も,上記した請求書と同様のものである。
被請求人の主張及び上記乙各号証によっては,次の理由により,被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない。
(1)「電子出版物の提供」について
ア 被請求人は,「『電子出版物の提供』については,平成20年4月1日以降,PDFファイルを記録したオリジナル教材をCD−ROMで販売している。同CD−ROMには本件商標がパッケージに記載されている。」旨主張している。
しかし,オリジナル教材をCD−ROMで販売している事実,及びそのCD−ROMに本件商標を使用している事実を証明する書類の提出がなく,また,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによって,そのCD−ROMが販売されているのかも不明である。
イ また,乙第1号証は,英会話教室の「KOTOBA WORLD STARRY(ことばわ〜るど スターリー)」に係るウェブサイトの写しであって,この英会話教室の住所(仙台市太白区長町南3−5−23)は,商標権者の住所と一致することから,同英会話教室及びそのウェブサイトは,商標権者によって運営されているものと認められる。
そして,被請求人は,「スターリーのホームページを平成18年5月16日に開設し現在に至る。同ホームページでは日々のレッスンの様子やイベントレポートを写真付きで公開したり,日々の様子をスターリーブログで公開しており(乙1),同ホームページ及び同ブログには本件商標が用いられている。」旨主張している。
しかし,その主張及び証拠からは,どのような内容の「電子化された出版物」を提供しているのかが明らかでないため,被請求人が第41類「電子出版物の提供」に係る役務を行っていることの確認をすることができない。
なお,「電子出版物」とは,「CD−ROM等の記録媒体やインターネットなどで提供される電子化された出版物」であり,また,「電子出版物の提供」とは,「電気通信回線を通じて電子出版物を供覧させるサービス」である(特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説(国際分類第10版対応)」参照)。
すなわち,「インターネットなどで提供される
ダウンロード可能な電子出版物
」や「
(CD−ROM等の)記憶媒体に記録された電子出版物
」は,
第9類に属する商品
となり,また,「インターネットなどで提供される
ダウンロードすることができない電子出版物
」は,
第41類の「電子出版物の提供」に属する役務
となるものである。
(2)「図書及び記録の閲覧,図書の貸与」について
被請求人は,「Oxford Reading Tree『たくさん読んで,リーディングマスターになろう』を平成24年4月から取入れ,図書の貸与を始め現在に至る(乙2,乙3)。貸本にはそれぞれ本件商標のシールが貼られており,借りた子供が記載する閲覧記録においても本件商標が記載されている。また,平成25年3月14日に1年間のリーディングトップ3の発表をスターリーブログ(乙4)で行っている。」旨主張している。
しかし,乙第2号証の「STARRY LIBRARY 棚及び書籍の写真」及び乙第3号証の「図書の閲覧,貸与記録及び図書の写真」は,写真の撮影日及び撮影者が不明であり,かつ,いずれも使用に係る商標が不鮮明であり,役務(図書及び記録の閲覧,図書の貸与)を提供している場所及び役務の提供者も明らかでない。
また,乙第3号証の1枚目ないし3枚目の書類は,表題がなく,その用途も明らかではない。仮に,図書の閲覧又は貸与の記録簿とした場合でも,使用に係る商標が不鮮明であり,図書の閲覧又は貸与の日,返却日,役務の提供者等も不明なため,その書類が,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによるものか明らかでなく,かつ,この証拠によって,要証期間内に「図書及び記録の閲覧,図書の貸与」の役務を行っていたと認めることはできない。
なお,上記の乙第3号証の1枚目ないし3枚目の書類は,乙第1号証の英会話教室「KOTOBA WORLD STARRY(ことばわ〜るど スターリー)」に係るウェブサイト及び乙第4号証の「ブログ掲載ページの写し」の内容を考慮すると,子供英会話スクールの受講生の学習進捗状況(達成度等)を確認するための書類とも考えられるものであって,この場合は,「図書及び記録の閲覧,図書の貸与」の役務を行っていることを証明するものではない。
(3)その他,本件商標が,要証期間内に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって,その請求に係る指定役務「電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧,図書の貸与」について使用されていた事実を証明する証拠の提出はない。
(4)したがって,被請求人提出の各乙号証をもって,仮に,使用標章中のいずれかが本件商標と社会通念上同一の使用であるとしても,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標を,その請求に係る指定役務について使用しているということはできない。
なお,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったとは主張していない。
以上のとおり,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて,本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,本件審判請求に係る指定役務について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,取消請求に係る指定役務中,結論掲記の指定役務について,商標法第50条の規定に基づき,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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