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Trademark Appeal Case

著名物の出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−21690(T2015−21690/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は,登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第18類「かばん類,袋物,財布,キーケース,小銭入れ,バッグ,ビジネスバッグ,ショルダーバッグ,皮革,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,携帯用化粧道具入れ,傘」を指定商品として,平成26年12月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,「本願商標は,豪華客船タイタニック号に乗船していた者が書いた手紙の1頁目(以下,『引用手紙』という。)からなるものであり,これは,家族から競売会社を経て,平成26年4月のオークションにおいて高額で落札されたものであるところ,タイタニック号衝突当日に書かれた手紙としては,現存する唯一のものとして財産的価値が非常に高く,この手紙の価値,話題性を考慮すると,その真正な所有者であると確認できない出願人に,商標登録を認めたときは,その顧客吸引力のただ乗りや希釈化を招くとの懸念を排除することができず,これに接する需要者は,あたかも真正な所有者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨,認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号について

本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するというためには,本願商標の登録出願時及び査定時(又は審決時)に,引用標章が他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていることが要件の一つと解されるものであるところ,この点につき,以下検討する。

(2)引用手紙について

引用手紙について,原審において引用した新聞記事及びインターネット情報によれば,以下の事実が認められる。

<原審において引用した新聞記事及びインターネット情報>

ア 2014年4月28日付け産経新聞において,「【チャイム】タイタニック沈没直前の手紙に2040万円」の見出しのもと,「英豪華客船タイタニック号が沈没する数時間前に乗客が船内で書いた手紙が26日,英国で競売に掛けられ,11万9000ポンド(約2040万円)で落札された。競売会社は『これほど高額なのは初めて』と驚いている。・・・手紙は夫と娘とともに乗船し,救助された英国人女性が英国の母親に宛てて書いた。『船員たちはここまで素晴らしい航海だと話しています。嵐が来たら一体どうなることでしょう』などと記されている。・・・手紙は投函(とうかん)されず,夫の上着のポケットにしまわれていた。夫は沈没の際,妻を助け,命を落とした。AP通信によると落札者は『国外からの電話による競売参加者』で名前などは明らかにされていない。(共同)」との記載がある。

イ 2014年4月28日付け東京新聞において,「タイタニック衝突直前の手紙 2000万円落札」の見出しのもと,「【ロンドン=共同】英豪華客船タイタニック号が氷山に衝突,沈没する数時間前に乗客が船内で書いた手紙=写真,競売会社ヘンリー・オルドリッジ&サン提供・共同=が二十六日,英国で競売に掛けられ,十一万九千ポンド(約二千四十万円)で落札された。競売会社は『タイタニックからの手紙は何点か扱ってきたが,これほどの価格は初めて』と驚いている。欧米メディアが伝えた。」との記載がある。

ウ 「AFPBB News」のウェブサイトにおいて,「タイタニック号で事故当日に書かれた手紙,約2000万円で落札」の見出しのもと,「【4月27日 AFP】1912年4月15日未明に沈没した豪華客船タイタニック(Titanic)号の乗客が船内で書いた,現存する最後の手紙が26日に英国で競売にかけられ,11万9000ポンド(約2040万円)の高値で落札された。・・・手紙を売却した英イングランド(England)南西部ディヴァイザス(Devizes)のオークションハウス,ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サン(Henry Aldridge and Son)のアンドリュー・オルドリッジ(Andrew Aldridge)氏は,この手紙はタイタニック号の事故発生当日に書かれ,沈没を逃れて知名度の高い生還者が所有していた手紙としては現存する唯一のもので,その重要性はどんなに高く評価しても評価しすぎるということはないとコメントした。」の記載とともに,引用手紙の画像(別掲2)が掲載されている。

(http://www.afpbb.com/articles/-/3013680)

エ 「Ceron.jp」のウェブサイトにおいて,「衝突直前,母親宛ての手紙に2千万円 タイタニック,英で落札 − MSN産経ニュース」の見出しのもと,「タイタニック号の乗客が衝突の直前に記した手紙(競売会社ヘンリー・オルドリッジ&サン提供・共同) 英豪華客船タイタニック号が氷山に衝突,沈没する数時間前に乗客が船内で書いた手紙が26日,英国で競売に掛けられ,11万9千ポンド(約2040万円)で落札された。競売会社は「タイタニックからの手紙は何点か扱ってきたが,これほどの価格は初めて」と驚いている。欧米メディアが伝えた。」との記載がある。

(http://ceron.jp/url/sankei.jp.msn.com/world/news/140427/erp14042709550003-n1.htm)

上記認定の事実によれば,引用手紙については,以下のことが認められる。

引用手紙は,別掲2の構成からなるものであって,1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の乗客が船内で書いた,現存する唯一の手紙であり,2014年に英国で競売にかけられた結果,高値で落札され,我が国においても,落札直後に,引用手紙に関するニュースが複数の新聞記事やインターネットに掲載されたことにより,広く世間に知られたものといえる。

しかしながら,引用手紙についてメディアが報じたのは,ほぼ2014年4月28日の一日限りとみられるものであり,当審において調査するも,その後継続して報道されている事実も確認できないことからすれば,引用手紙は,一時的にその存在が知られたにすぎず,現在まで継続して我が国の需要者に相当程度認識され,周知・著名性を有しているとはいい難いものである。

また,引用手紙の落札者も明らかにされておらず,真正な所有者が不明であることから,他人が引用手紙を業として使用しているものとも認められない。

そうすると,引用手紙が,特定の者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,需要者に認識されているものということはできない。

(3)本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

本願商標は,別掲1のとおり,白色の縦長長方形の左上部分に旗の図形を描き,右上部分には「On board R・M・S・“TITANIC”」の欧文字を青色のブロック体で書し,その下には,筆記体の欧文字を複数行にわたって横書きしてなるものであるところ,本願商標は全体として,便箋に書された手紙を表したものと認識されるというのが相当である。

そして,本願商標と,別掲2に示す引用手紙の画像とを比較するに,両者は,その構図や文字,色彩等,細部にわたって共通するものであり,構成の軌を一にするものといえる。

しかしながら,上記(1)で述べたとおり,引用手紙は,取引者及び需要者に広く認識されているものとはいい難いものであり,また,他人が業として商品に使用しているものとも認められないものである。

してみれば,本願商標の登録出願時及び本件審決時において,引用手紙が他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められないから,これをもって本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。

(4)小括

以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。

その他,本願について拒絶の理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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