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Trademark Appeal Case

称呼・外観の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2014−890017(T2014−890017/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5621414号の指定役務中「第42類 ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」についての登録を無効とする。
その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5621414号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブロマガ」の片仮名と「BlogMaga」の欧文字を上下二段に表してなり、平成24年9月13日に登録出願、第42類「インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づくインターネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安全確保のためのコンピュータプログラムによる監視,インターネットサイトにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与」を指定役務として、同25年9月25日に登録査定され、同年10月11日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標はその登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第141号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求の根拠

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号、及び、同第19号に該当するので、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。

2 請求人が引用する商標

請求人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5023859号商標(以下「引用商標」という。)は、「ブロマガ/BlogMag」の文字を書してなり、平成18年4月12日に登録出願、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、並びに、第35類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年2月9日に設定登録され、その後、同24年10月3日に登録された「商標権一部取消し審判の予告登録」について、同25年8月8日の審判の確定登録によって、指定商品及び指定役務中、第42類に属する役務については、「第42類 気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」となったものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 請求人が使用する商標

請求人が使用する商標は、「ブロマガ」という標章(以下「請求人商標」という。)であって、請求人が自ら提供するブログ記事配信サービスの名称として、2012年(平成24年)8月21日から現在に至るまで使用されている。

4 請求人商標の周知・著名性について

(1)請求人は、ネットワークを通じた娯楽サービスの先駆者として知られるインターネットにおける総合エンターテインメント企業である株式会社ドワンゴ(以下「ドワンゴ社」という。)の子会社として、多様なコンテンツの共有・配信サービスである「niconico」(以下「ニコニコ」という。)の企画・開発・運営等を行っている(甲6及び甲7)。請求人は、ニコニコのサービスの一つとして、請求人商標を使用してブログ記事配信サービス(以下「請求人ブログ記事配信サービス」という。)を提供している。以下に詳述するとおり、ニコニコの高い著名性と相まって、請求人ブログ記事配信サービスはインターネット利用者の間で周知・著名となり、これに伴って請求人ブログ記事配信サービスの名称である請求人商標も、インターネット利用者の間で周知・著名となるに至った。

(2)請求人は、2006年に、ニコニコの前身である動画共有サイトである「ニコニコ動画」のサービス提供を開始した。ニコニコ動画では、利用者が配信される動画の画面上に直接コメントを書き込むことができ、書き込んだコメントは動画にオーバーレイして一緒に再生されることになる。これにより、利用者間で、動画の特定の場面についてのコメントを共有することができる(甲8)。ニコニコ動画は、他にも、動画の視聴者と投稿者が交流できる数多くの機能を提供しており、サービス開始以降、爆発的にファン層を拡大していった。

ニコニコ動画の事業の拡大につれ、様々なコンテンツの共有サービスとして、例えば、「ニコニコ静画」、「ニコニコ生放送」、「ニコニコチャンネル」など多くのサービスがニコニコ動画に追加されていった。

「ニコニコ動画」という名称は動画共有サービスのみならず、上記の各種コンテンツの共有サービスを包含する総称であったが、2012年5月1日に、「niconico(ニコニコ)」が新しい総称となり、「ニコニコ動画」はニコニコのサービスのひとつとなった。

なお、ニコニコのコンテンツの多くは、会員登録した者だけが閲覧又は視聴することができる。会員登録には、無料の一般会員と、視聴に際して様々な優遇が受けられる有料のプレミアム会員とがあるが、一般会員であっても、一部の有料コンテンツを除いて、ほとんどのコンテンツを閲覧又は視聴することができる。このように、ニコニコのコンテンツの多くは会員登録した者だけが閲覧又は視聴できることからすれば、ニコニコの会員数は、そのままニコニコの利用者数といえる。

2009年から2013年のニコニコの一般会員数、プレミアム会員数及び一日の平均PV数(PageView、ウェブサイトの閲覧回数)は、2009年12月がそれぞれ1500万人、60万人、及び約6339万PVであったものが、2012年9月13日には2900万人、175万人及び約1億1363万PV、2013年12月には3900万人、223万人及び約1億3278万PVとなっている。

また、請求人及びドワンゴ社は、インターネットの世界にとどまらず、「ニコニコ超会議」「ニコニコ超会議2」「ニコニコ町会議」などのニコニコが現実世界とコラボレートしたイベントを主催して多くの来場者を集めている(甲9〜甲11)。

また、ニコニコは政治の分野ともコラボレートしており、大きく注目を集めている(甲12、甲13)。さらに、これにとどまらず、現役プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの対局のニコニコ生中継なども行われている(甲10)。この結果、ジャンルや地域を問わず、日本国内において社会的に影響力を有するメディアとなっている。

したがって、ニコニコは、本件商標の登録出願時点及び登録査定時点において周知著名であったことは明らかである。

(3)2012年夏頃、請求人は、ニコニコの新たなサービスとして、「ニコニコチャンネル」のチャンネル開設者が投稿した文字や写真等で構成されたブログ記事を、メールマガジン又は電子書籍として、ニコニコの会員に有料又は無料で配信することを可能とするブログ記事配信サービスを企画し、その名称に請求人商標を使用し、2012年8月21日にサービスを開始した(甲14)。

請求人ブログ記事配信サービスにより、ニコニコのプラットフォームにおいて、動画、画像、文字コンテンツを配信することができ、メールマガジン又は電子書籍としてのダウンロードの方法など適宜配信手段を選択し、有料又は無料で、ブログ記事を配信することができるようになった。これにより、一般のインターネット利用者にとっても、チャンネル開設者が提供する映像・画像・文字コンテンツ等の多様な形式のコンテンツを、ニコニコのプラットフォームにて閲覧することが可能となり、高い利便性を享受できることとなった。

請求人ブログ記事配信サービスの開始は、著名なコンテンツ共有・配信サービスであるニコニコが提供する新たなサービスとして開始前から多くの社会的関心を集めた。新聞や雑誌で紹介されたことに加え(甲15〜甲17)、新聞社や雑誌出版社が提供するニュースサイト、ポータルサイトで提供されるニュースサイト、IT関連の著名ニュースサイト、また、大手映画情報配信サイトなど日本全国に所在する多くのインターネット利用者が日常的にアクセスする主要なインターネットメディアで、請求人ブログ記事配信サービスは「ニコニコが有料メルマガに参入 動画や生放送とあわせて配信」などと大々的に取り上げられた(甲18〜甲105)。

請求人ブログ記事配信サービスで配信される多くのブログ記事は有料であり、チャンネル開設者のチャンネルに入会し、ブログ記事を「購読」しなければ閲覧することができなかったにもかかわらず、かかる購読の登録を行った利用者(以下「購読者」という。)の総数は、請求人ブログ記事配信サービス開始から1か月後の2012年9月19日にして既に1万人を突破していた(甲106)。被請求人が本件商標を出願したのは、2012年9月13日である(なお、同日における請求人ブログ記事配信サービスのブログ記事の購読者の総数は、1万2000人であった。)。

こうした記事やコラム等が掲載される中で、請求人商標は請求人が提供するブログ記事配信サービスの名称として着実に市場に浸透していき(甲107〜甲126)、IT用語辞典等に掲載されるまでになった(甲127、甲128)。

さらに、2013年1月23日には、「ニコニコチャンネル」のチャンネル開設者のみならず、ニコニコの有料会員である「プレミアム会員」も請求人ブログ記事配信サービスを通じてブログ記事を配信できることとなり、また、同サービスによりブログ記事を配信するニコニコチャンネル開設者も増加していった。この結果、請求人ブログ記事配信サービス開始から1年2か月後の2013年10月28日には、同サービスによるブログ記事の購読者の総数は10万人を突破した(甲129)。これは、本件商標に登録査定日のおよそ1か月後である(なお、同日における請求人ブログ記事配信サービスのブログ記事の購読者の総数は、9万2000人であった。)。

2014年3月23日時点における購読者の総数は、13万7000人であり、利用者数は今も増加の一途をたどっている。

なお、請求人ブログ記事配信サービスによりプレミアム会員が配信するブログ記事は、無料で配信されるため、ニコニコの会員であれば誰でも受信できる。したがって、無料利用も含めれば請求人ブログ記事配信サービスによるブログ記事の購読者の総数は、ニコニコの会員数と同視できる。本件商標の出願時点では、ニコニコの会員数は、合計2791万1418人、登録査定の日には合計3600万人となっていたことからすれば、無料利用を含めた請求人ブログ記事配信サービスの利用者の数は3600万人と推認することができる。

(4)以上の事実によれば、ニコニコの高い著名性と相まって、請求人ブログ記事配信サービスは日本全国に所在するインターネットユーザの間で周知・著名となっている。この結果、「ブロマガ」という請求人商標も、本件商標の出願時である2012年9月13日において、請求人が提供しているブログ記事配信サービスの名称として広く知られるに至っていた事実は疑いようがなく、さらには、登録査定時においても継続してその周知・著名性を維持していたと優に推認できるものである。

5 本件審判の請求に至る経緯

(1)請求人は請求人ブログ記事配信サービスの開始に先立って第三者の商標権を侵害することがないように調査を行った上で、引用商標を取得して請求人商標を使用したサービスを開始したが、被請求人は、引用商標に係る商標権を侵害しながら有料ブログ記事の配信サービスを開始し、請求人が請求人ブログ記事配信サービスを開始するや否や、無効理由のある本件商標に係る商標権侵害を主張して、請求人のサービスを妨害せんとするものである。

本件審判請求に至る詳細な経緯は以下のとおりである。

(2)請求人は、請求人ブログ記事配信サービス開始直前に、株式会社ナノプロ(以下「ナノプロ社」という。)が引用商標に係る商標登録を有している事実を知るに至った(甲6)。なお、この時点では、引用商標には、第42類の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」も指定役務に含まれていた。

そこで、請求人は、調査会社を通じ、ナノプロ社による引用商標の使用状況を確認した。この結果、引用商標は2007年2月9日に登録されたものであったが、3年以上使用されていない可能性が高いことが判明したので、引用商標よりも幅広い商品、役務について商標権を得ることを希望し、商標「ブロマガ」について登録出願(商願2012−078173、登録第5617331号)を行うとともに、引用商標に対し、2012年9月27日に、不使用取消審判の請求を行った。

ところが、ナノプロ社について、2011年9月16日に破産手続廃止の決定がなされていたことが判明したことから(甲130)、ナノプロ社の破産管財人との間で、引用商標をナノプロ社から譲り受けるべく、交渉を開始した。

その結果、2013年6月になって、破産管財人より引用商標の譲渡に応じるとの回答を受け、最終的に引用商標を譲り受けることについて合意に達するに至り、同年8月13日に請求人は、引用商標について移転登録を受けることができた(甲3)。

(3)一方、被請求人の主張によれば、被請求人は、2009年1月20日に「ブロマガ」という名称の有料ブログ記事の配信サービスを開始したとのことである。

この時点では、引用商標の登録日である2007年2月9日から1年11か月あまりが経過しただけであるから、引用商標には不使用による取消理由は存在していなかった。被請求人のサービス開始日についての主張が正しければ、被請求人は、ナノプロ社の商標権を侵害しながらサービスを開始したことになる。

その上、被請求人はサービス開始後も、引用商標の存在にもかかわらず、請求人がサービス提供を開始した2012年8月21日以降まで、引用商標に対して無効審判請求や取消審判請求を行うことなく、漫然と引用商標に係る商標権侵害を行いながら、「ブロマガ」を使用していたのである。

被請求人は、2012年8月21日に、請求人が請求人ブログ記事配信サービス開始を発表し、瞬く間に請求人商標が請求人ブログ記事配信サービスの名称として周知性及び著名性を獲得していくのを目の当たりにし、同サービス開始からわずか23日後の2012年9月13日に、引用商標の第42類の指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について不使用取消審判請求を行うと共に、本件商標の出願を行った。その後、引用商標の第42類の指定役務部分に係る不使用取消審判が認められた結果、本件商標は2013年9月26日に登録査定を受けた。

(4)請求人が、2013年8月13日に引用商標についての移転登録を受けて3か月程度が経過した後、突如、請求人は、被請求人から、2013年11月18日付通知書を受領した(甲131)。被請求人の主張は、同社は2009年1月20日から「ブロマガ」という名称のサービスを提供し、本件商標に係る商標権を保有していることから、請求人が「ブロマガ」を使用する行為は、本件商標に係る被請求人の商標権を侵害するというものであった。

このような被請求人の主張に対し、請求人は、請求人は「ブロマガ」を本件商標の指定役務について使用するものではないとして非侵害を主張し、また、仮に本件商標の指定役務について使用するものであるとしても商標法第4条第1項第10号違反の無効理由があると反論した。さらに、請求人が本件商標の有効性について精査したところ、他にも無効理由が存在することが判明したため、本件無効審判請求に踏み切った次第である。

6 本件商標と引用商標の類似性について

本件商標と引用商標は、観念上比較出来ないものであるが、「ブロマガ」の称呼を共通にするものであり、また外観上近似するものであるから、互いに相紛らわしい類似の商標といわなければならない。

7 商標法第4条第1項第11号について

(1)前記6のとおり、本件商標と引用商標とは類似の商標というべきものである。

(2)次に、本件商標の指定役務中「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」(以下、これらをまとめて「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」ということがある。)及び「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与」(以下、これらをまとめて「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」ということがある。)は、引用商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子計算機用プログラム」に類似するので、この点について述べる。

(3)ここで、願書に指定商品として記載されたものがどの範囲の商品(商品群)であるかは、第一義的には、願書に指定商品を記載することによって表示された意思の客観的な解釈の問題である。これが定まった後に初めて、対比されるべき商標の指定商品との間で商品が類似するか否かを判断することになる。そして、指定された商品の範囲についての判断の基準は、商標法第4条第1項第11号(商標登録阻却事由)にいう商品の類否判定について用いられる判定基準、即ち、同一又は類似の商標を使用した場合に出所の誤認混同を生ずる商品かどうかを取引の実情を考慮して判断するという、出所混同が生ずる客観的範囲に基づく判定基準とは自ずと異なったものになると解する(東京高裁平成14年(行ケ)266号)。

また、指定商品が類似のものであるかどうかは、商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるか否かにより判断される(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決)。

(4)「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」について

ア 本件商標のこの指定役務は、いずれも特許庁作成の「類似商品・役務審査基準」に掲載されている第42類「電子計算機用プログラムの提供」の各種態様である。

イ 他方、引用商標の指定商品中の第9類「電子応用機械器具及びその部品」は、出願当時採用されていた国際分類第8版の「類似商品・役務審査基準」によれば、当該「電子応用機械器具及びその部品」には「電子計算機用プログラム」が含まれていることが明記されているところから、「電子計算機用プログラム」が包含されているとみて差し支えないものである。

ウ 近年、「電子計算機用プログラム」は、記録媒体に記録された電子計算機用プログラムとして店頭にて、あるいはダウンロードにより流通されているのみならず、インターネット等の通信回線を通じ、サーバー上に保管された電子計算機用プログラムを使用させる役務(電子計算機用プログラムの提供)として提供されている実情がみられ、このような役務を提供する者は総称して「アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)」と呼ばれ、一般的なものとなっている(甲132)。

上記事実に基づけば、本件商標の指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」の各役務と引用商標の指定商品中の「電子計算機用プログラム」は、流通におかれるプログラムの状態が、記憶媒体に記録されたものであるとか、利用者の端末に保存が可能であるとか可能でないとかという僅かな違いがあるとしても、役務の提供者と商品の製造・販売者を共通にする。また、上記各役務・商品の需要者となるのは、共にコンピュータやインターネットの利用者であり需要者を共通にするものであって、さらに商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲、並びに商品と役務の用途・内容が共通である場合が多いため、密接な関係がある。

よって、本件商標と引用商標を、それぞれ、指定役務及び指定商品に使用したときには、これに接する取引者・需要者が同一の営業主の製造・販売又は提供に係る役務又は商品と誤認・混同されるおそれがあるとみるのが相当である。

なお、本件商標の出願当時採用されていた国際分類第10版に係る「類似商品・役務審査基準」には、その備考として、第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」は類似すると推定する旨が記載されており、引用商標の出願当時採用されていた国際分類第8版に係る「類似商品・役務審査基準」には、その備考として、第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」は類似する旨が記載されている。

また、上記と同様の判断がなされた商標登録異議申立事件、商標登録無効審判事件がある(甲133〜甲135)。

エ よって、本件商標の指定役務中の「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」は引用商標の指定商品中の「電子計算機用プログラム」に類似する。

(5)「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」(審決注:審判請求書17頁13行目記載の「電子計算機の貸与」は誤記と認め削除した。)について

ア 本件商標のこの指定役務は、要するに第42類「サーバーの記憶領域の貸与」の各種態様と「電子計算機の貸与」である。

イ 上記(4)ウで述べたように、近年「電子計算機用プログラムの提供」は、記録媒体に記録された電子計算機用プログラムとして店頭を通じた販売あるいはダウンロードによる販売とともに広く一般的なものとなっており、このような役務を提供する者は総称して「アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)」と呼ばれている。

ASPは、ネットワークを利用し、ソフトウェアを顧客に提供するビジネスモデルをいい、利用者はASP事業者側のサーバーで管理されるソフトウェアをネットワーク経由で利用し、ソフトウェアの利用料を支払う仕組みである(甲132)。このような仕組みは、同じソフトを多数の端末で利用することの多い企業や官公庁などでは、管理コスト、トラブルの低減といったメリットがあり、この点が評価され、盛んに利用されるようになり(甲136)、今日ではさまざまなサービスが提供されている(甲137)。また、このような役務は企業が個人向けに提供するサービスの一部としても用いられており、例えば、地図の検索表示システムを持っている会社が、そのシステムを不動産情報サイトや飲食店の情報サイトの運営会社にソフトウェアを貸与することにより、一般の利用者はこれら情報サイトを利用する際には、地図情報も合わせて利用できることになる(甲136)。

もっとも、ASPの役務は、その提供の際、単にサーバーに保管されたソフトウェアを利用させるだけでなく、ユーザーによるソフトウェアの利用によって、映像・文字情報などのデータが生成されることがあり、継続したソフトウェアの利用のためには、これらのデータを事業者側のサーバーに保管する必要があるので、ASPの役務内容としては、「サーバーの記憶領域の貸与」が不可欠となるので、これらを取り扱うASP事業者が存在する(甲138、甲139)。

また、ASPの役務の利用者は、ソフトウェアを含めたシステムの全体を自前で準備する必要がないことから、このような仕組みは急速に普及することとなったが、ASP事業者の中には、より高い利便性の提供のために、単なるソフトウェアの提供やサーバーの(記憶領域の)貸与にとどまらず、コンピュータ端末や周辺機器の貸与までを総合的に提供するASP事業者も存在する(甲140、甲141)。

以上の事実に基づけば、本件商標の指定役務中の「サーバーの記憶領域の貸与」「電子計算機の貸与」の各役務と「電子計算機用プログラムの提供」は極めて密接な関係を有し、「電子計算機用プログラムの提供」と類似する引用商標の指定役務中の「電子計算機用プログラム」においても、役務の提供者と商品の製造・販売者を共通にする場合が少なくないといえる。また、上記各役務・商品の需要者となるのは、共にコンピュータやインターネットの利用者であり需要者を共通にするものであって、さらに商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲、並びに商品と役務の用途・内容が共通である場合が多いため、密接な関係がある。

(6)したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品は類似するものである。

よって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。

8 商標法第4条第1項第7号について

(1)一般に、本号にいう「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合のほか、商標自体には公序良俗を害するおそれがない場合であっても、その商標の登録に至る出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合には、本号に該当するものと解される(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第403号事件・平成15年3月20日判決、同平成14年(行ケ)第616号事件・平成15年5月8日判決、同平成16年(行ケ)第108号事件・平成16年12月8日判決、知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10349号事件・平成18年9月20日判決)。

(2)この点、前記5(3)において説明したように、被請求人が「ブロマガ」という表示を使用してサービスを開始した日は2009年1月20日とのことであり、その時点では、2007年2月9日に登録された引用商標には不使用による取消理由は存在していなかったにもかかわらず、ナノプロ社に何らの通知すら行うことなく、無断で引用商標と類似する商標を使用していたものであって、被請求人は、ナノプロ社の引用商標に係る商標権を侵害しながらサービスを開始したことになる。

その後、被請求人は、3年以上もの間、引用商標について使用権を取得することや、本件商標について商標権を取得するための具体的な手続きを行っていない。

ところが、2012年8月21日に、請求人が請求人商標を用いたブログ記事配信サービスを開始するや否や、被請求人は、突然、引用商標の一部について不使用取消審判を請求し、不使用取消審判に係る指定役務について本件商標を商標登録出願したものである。

被請求人が、偶然にこの時期に引用商標の不使用取消審判請求を行い、本件商標の登録出願を行ったとは考え難いものであり、請求人が請求人商標を用いてブログ記事配信サービスであるブロマガを提供し、インターネット利用者の間で広く認識されるに至った事実を知り、専ら請求人のサービス提供を妨害する加害目的で、不使用取消審判請求を行って引用商標の一部を取り消した上で、取消した部分について、剽窃的に本件商標の登録出願を行ったものであると無理なく推定されるものである。その上で、被請求人は、本件商標が登録されるや否や、請求人に対して商標権侵害の警告を行ったものである。請求人ブログ記事配信サービスは、本件商標の指定役務には含まれず、被請求人の商標権侵害の主張は根拠のないものである。さらに、請求人の請求人商標の使用は、請求人が保有する商標登録第5617331号の指定役務中の「電子出版物の提供」(第41類)についての使用行為に他ならないため、請求人は被請求人に対し、請求人の商標権の正当な権利行使である旨の反論も行っている。

(3)これらの事実によれば、被請求人は、引用商標に係る商標権を侵害する態様で本件商標の使用を開始した上で、請求人商標が日本国内で広く一般に知られている商標である事実を知りながら、商標法制度を尊重して引用商標に係る商標権侵害を回避するための手続及び旧商標権者との交渉を行っていた請求人の間隙を突き、請求人ブログ記事配信サービスを妨害する目的で、引用商標の一部に取消事由があったことを奇貨として、一部の指定役務に係る引用商標の取消審判請求を行い、取り消した引用商標の役務と同一又は類似の役務について自ら本件商標を出願・登録し、登録になった直後に、引用商標の商標権者となった請求人による請求人商標の使用の妨害を試みているのであり、商標制度を利用して請求人のサービスを妨害する目的で剽窃的に本件商標を登録したものである。

したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものであって、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」に該当する。

(4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

9 商標法第4条第1項第19号について

(1)前記4で詳述したとおり、請求人は、請求人商標を自らが提供するブログ記事配信サービスの名称として使用し、その結果、本件商標の出願時において、日本国内において広く知られるに至っていたものであり、登録査定時においても継続してその周知・著名性を維持していたと優に推認できるものである。

(2)また、本件商標と請求人商標とは、観念においては比較できないものの、「ブロマガ」の称呼を共通にし、外観においても相紛らわしい類似の商標というべきものである。

(3)さらに、以下のとおり、本件商標が不正の目的で使用されているものである。

前記5において説明したように、被請求人は、請求人商標が、請求人のブログ記事配信サービスの名称に使用され、広く一般に知られている商標であることを知りながら、当該商標が出願・登録されていないことを奇貨として同一又は類似の商標を先回り的に出願・登録し、登録になるや否やその使用の妨害を試みているのであり、本件商標は請求人に損害を与える目的、すなわち、不正競争の目的あるいは不正の目的をもって登録出願したと評価せざるを得ないものである。

(4)以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

10 審判事件弁駁書による主張

(1)商標法第4条第1項第11号について

引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」と、本件商標の指定役務「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」の類似性について、被請求人は、互いに類似しないと判断するのが相当と主張するが、被請求人の主張には具体的根拠がないばかりでなく、過去における同一商標・同一商品及び役務に関する主張と矛盾するものであって、合理性に欠くものである。

また、引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」と、本件商標の指定役務「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与、ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与、インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与、インターネットなどの通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与」の類似性についても、被請求人の主張には具体的根拠がなく、その主張は説得力に欠ける脆弱なものといわざるを得ない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

被請求人は、自らが使用開始後3年以上もの間、引用商標について使用権を取得することもなく、本件商標について商標権を取得するための具体的な手続きを行っていなかったにも拘らず、請求人が商標「ブロマガ」を用いたサービスを開始した後になって、突然、本件商標について登録出願を行い、登録されるや否や、請求人に対して商標権侵害の警告を行ったのであるが、この点について何ら合理的理由を説明していない。

また、被請求人が、「ブロマガ」の名称を用いて行ったという役務の内容が何であるかを示す証拠が何一つ提出されていないのであり、被請求人のいう「ブログ記事配信サービス」はもちろんのこと、これと「同様のサービス」が何たるかを理解することは困難であるし、被請求人による「ブロマガ」の名称を用いた何らかのサービスがわが国において需要者等の間で周知又は著名となっている事実は立証されていない。よって、被請求人の主張は、説得力に欠ける脆弱なものといわざるを得ない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

被請求人は、請求人商標が、商標法第4条第1項第19号にいう「需要者の間に広く認識されている商標」になったことを裏付ける証拠は何一つ提出されていないと主張するが、請求人は、審判請求書においてブログ記事配信サービスを企画し、その名称に請求人商標「ブロマガ」を使用し、2012年8月21日にサービス開始した事実に関する証拠(甲14)に始まり、100を優に超える証拠を現に提出しているものであるから、当該被請求人の主張は失当である。

また、不正の目的については、上記(2)の被請求人による商標登録出願及び請求人に対して商標権侵害の警告等を行った経緯そのものである。

被請求人による上記行為は、偶然に行ったとは考え難く、本件商標は請求人に損害を与える目的、すなわち、不正競争の目的あるいは不正の目的をもって登録出願したと評価せざるを得ないものである。

11 むすび

以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号、及び、同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出している。

1 商標法第4条第1項第11号に該当しない理由(1)

(1)引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」と、本件商標の指定役務「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」とは非類似である。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)「電子応用機械器具及びその部品」の欄の中には「電子計算機」のほか「電子計算機用プログラム」が入っている。ここで、なぜ「電子計算機用プログラム」が入ったかにつき考察する。

電子応用機械器具、電子計算機には電子計算機用プログラムがあらかじめ格納されて使用されることが多くなってきている。例えば、近年において、マイコンチップに埋め込まれたプログラムが多くの電化製品に組み込まれて使用されているがごときであり、また、パソコンにパソコン用ソフトがインストールされているがごときである。

よって、電子計算機のプログラムがこれらの電子応用機械器具の「部品」に相当すると考えられ、かかる経緯から「電子計算機用プログラム」が「電子応用機械器具及びその部品」の欄に追加されたものと思料される。

また、「電子計算機用プログラム」が、電子応用機械器具に当初収められずに、あるいは当初付帯されずに、例えば、別途インターネットにおいて前記電子応用機械器具の製造販売会社などが展開するホームページ上などでダウンロードさせて取得させる場合もある。かかるインターネットなどによりダウンロードしてあるいはダウンロードせずにインターネット上で「電子計算機用プログラム」を提供する場合も含めて「電子計算機用プログラムの提供」が電子応用部品の部品提供となる場合もある。

この場合、前記の「電子計算機用プログラム」が「電子応用機械器具及びその部品」の欄に追加された経緯と同様の考え方が採用される。

よって、「類似商品・役務審査基準」第9類の説明中「(備考)『電子計算機用プログラム』は、第42類の『電子計算機用プログラムの提供』に類似する」と記載されたのである。

すると、第42類に規定される「電子計算機用プログラムの提供」が第9類に規定する「電子計算機用プログラム」に類似する場合は、あくまで、「電子計算機用プログラム」が電子応用機械器具の部品の一つであり、その提供は「電子応用機械器具の部品」の提供の一形態内であるとの考えに立脚していると言わざるを得ない。

そうであるならば、前記「備考類似」の記載から、直ちに「電子計算機用プログラム」と、いかなる種類を問わず全ての「電子計算機用プログラムの提供」とが必ず「類似する」と判断されるものではないと言わねばならない。すなわち、全ての「電子計算機用プログラムの提供」が、直ちに「電子応用機械器具の部品の提供」にはならないからである。

近年、特に電子計算機用プログラムの提供と電子応用機械器具等の供給とが別個に消費者に提供されている場合が多々見受けられる。しかも、電子応用機械器具等がパーソナルコンピューターのように汎用性の高い製品であればあるほど、それに利用される多種多様のプログラムの提供については、電子応用機械器具及びその部品、電子計算機用プログラムなどと分離されて、かつ取引上の独立性が担保されて提供されているのである。

したがって、前記「備考類似」の記載があったとしても、電子計算機用プログラムの提供と電子応用機械器具及びその部品、電子計算機用プログラムとは別個に消費者に供給される可能性はさらに高まっているのである。

そして、多種多様の「電子計算機用プログラムの提供」であればなおさら、多くの種類の「電子計算機用プログラムの提供」と「電子応用機械器具及びその部品」、またこれに伴う「電子計算機用プログラム」とは別個に消費者に供給されているのである。

しかも、本件商標の指定役務は、単なる「電子計算機用プログラムの提供」ではない。「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」なのである。

そして、これら「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」は、引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」とは全く別個に提供されるものであることも紛れもない事実である。

特に、近年のインターネットのめざましい発展を考察すると、前記の本件商標の指定役務と、引用商標の指定商品とは、多くの取引の対象、形態、流通経路について全く共通するものではない。

よって、本件商標の指定役務「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」と引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」とは、前記役務の提供と前記商品の製造、販売とが同一の事業者によって行われていないこと、また役務の提供場所と商品の販売場所が一致しないことなどから両者は互いに類似しないと判断するのが相当なのである。しかして、被請求人はかかる見解の判決例を乙第1号証(平成11年(行ケ)392号審決取消請求事件)として提出する。

2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない理由(2)

(1)引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」と、本件商標の指定役務「インターネットにおけるブログのためのサーバの記憶領域の貸与等」とは非類似である。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)前述したように、第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」とは、備考により「推定類似」と記載されている。

しかし、これはあくまで例外的な取扱であり、いったん非類似として登録された後、無効審判などで問題となったとき、それぞれ別個の事情を踏まえて具体的に第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」とが類似するか否か判断するためのものである。

したがって、全ての事例においてこれらが類似すると判断されるわけではない。この様に「備考類似」と記載されている第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」でさえ、全てが類似でないにもかかわらず、「備考類似」とすら記載されていない前記「電子計算機用プログラム」と、本件商標の指定役務「インターネットにおけるブログのためのサーバの記憶領域の貸与等」とは全く類似しないと言わざるを得ないものである。

通常、「電子計算機、電子計算機用プログラム」にかかる商標は「電子計算機、電子計算機用プログラム」を製造、販売するものが付するものであるのに対し、「電子計算機の貸与」などの「貸与」に付する商標は、これら「貸与」を業として行っているものが付するものであり、本件商標の指定役務と引用商標の商品を扱う主体、販売・提供場所などが全く一致するものではない。

すなわち、役務の提供者と引用商標の商品の製造、販売者は共通ではなく、需要者も共通するものではなく、本件商標の指定役務と引用商標の商品の提供場所や需要者の範囲も異なり、かつ本件商標の指定役務と引用商標の商品の用途や内容も異なっているのである。かかる見解を示した審決例も存在している(乙2、乙3)。

3 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当しない理由

(1)本件商標を登録出願した経緯は、以下に述べるとおり、著しく社会的相当性を欠くものとは全くいえず、したがって、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとは到底いえない。

(2)商標法第4条第1項第7号の解釈について、裁判例は、「商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法4条1項7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。」としながらも、「しかし、同号が『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法4条1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法4条1項7号に該当するとするのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。」として、非常に厳しい要件を設けている(乙4。なお、東京高裁平成14年(行ケ)第403号判決、平成16年(行ケ)第108号判決等も同旨)。

本件において、請求人は、本件審判請求に至る経緯として、本件商標取得の経緯や引用商標取得の経緯等について縷々述べた上で、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと主張するものであるが、請求人主張の本件商標の登録出願の経緯は、いずれも自らに都合の良い事実のみを並べ、又は曲解したものであって、到底認められるものではない。

(3)本件商標の登録出願の経緯は以下のとおりである。

被請求人は、2009年1月20日、自らが提供するブログ記事配信サービスの名称として「ブロマガ」という名称の使用を開始し、各種メディアでも取り上げられた(乙5の1〜3)。なお、被請求人は、2009年当時、ナノプロ社が「ブロマガ」に係る商標を使用している事実を確認できなかった。また、その商標登録を有している事実も認識していない。そして、今日に至るまで、ナノプロ社から商標権侵害を指摘されたことは一度もなかった。

その後、2012年8月21日、請求人が「ブロマガ」の名称を使用して、被請求人と同様のブログ記事配信サービスを開始することをマスメディアに発表した。被請求人としては、この当時既に、2009年1月から3年半以上にわたって「ブロマガ」の名称でブログ記事配信サービスを展開しており、請求人が同様のサービスを開始した2012年8月時点で、ブロマガの作者は4,000人以上、配信した記事も10万件以上となっていた等、インターネット上では一般に周知され、著名となっていたため、請求人の発表を受けて、自らのサービスを模倣されたものと認識した。

そのため、被請求人は、弁護士及び弁理士に相談し、自らの権利の保全を求めたところ、ナノプロ社が「ブロマガ」に係る商標登録を有している事実が判明するとともに、ナノプロ社が当該商標を3年以上使用していない可能性が高いことが判明した。そこで、被請求人は、2012年9月13日、自らが使用する部分に限定し、本件商標登録出願をすると同時に、不使用取消審判を請求するに至ったのである。

この際、ナノプロ社においては、2011年9月16日時点で破産手続に関する費用不足による破産手続廃止の決定が確定していたため、破産管財人すら選任されていない状態であり、被請求人から清算人選任の申立てを行って、清算人を選任した上で、不使用取消審判の手続を進めるといった状況であった。

なお、請求人は、ナノプロ社の破産管財人と交渉し、引用商標を譲り受けたと主張するが、上記のとおり、ナノプロ社には破産管財人すら存在しない状態であり、被請求人の申立てによって清算人が選任されたのは、2013年1月15日であることから(乙6:清算人選任決定)、2012年8月21日前から破産管財人と交渉していたかのように主張する請求人の主張は、客観的事実と矛盾するものであり、信用できない。

また、被請求人としては、請求人とナノプロ社の交渉の経緯は全く認識していなかったが、請求人も、ナノプロ社の有する「ブロマガ」に係る商標について、不使用取消審判を請求しており、先願主義の下、被請求人の商標出願登録及び不使用取消審判の請求に遅れたため、なんとか挽回するためにナノプロ社から商標権を譲り受けようと考えたものと思われる。

(4)以上のとおり、本件商標登録出願の経緯は、被請求人が先行して提供していたサービスの名称である「ブロマガ」を自らの権利として保全するために行ったものであり、何ら社会的相当性、社会的妥当性を欠くものではない。

したがって、商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとは到底いえず、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

4 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当しない理由

(1)請求人商標は、本件商標登録出願時点において、日本国内における需要者に広く一般に周知され、著名であったとはいえず、また、本件商標の商標権者である被請求人は、請求人に損害を与える目的、すなわち、不正の目的をもって本件商標を使用するものではない。

(2)商標法第4条第1項第19号に該当するためには、「周知性」及び「不正の目的」が必要であるが、本件においては、いずれの要件も欠いている。

(3)本件において、請求人は、請求人商標の「周知・著名性」について縷々述べるが、これは請求人が提供する「ニコニコ」のサービスの周知・著名性であり、「ブロマガ」の周知・著名性を論じたものではない。請求人は、「ニコニコ」の周知・著名性を論じた後、「ニコニコの高い著名性と相まって」請求人商標も周知・著名となった、と論じるが、論理の飛躍も甚だしい。

請求人が「ブロマガ」の名称でサービスを開始したのは、2012年8月21日であり、本件商標登録出願がされたのが2012年9月13日である。わずか1か月足らずの間に商標法第4条第1項第19号にいう「需要者の間に広く認識されている商標」になったことを裏付ける証拠は何一つ提出されておらず、あまりにも客観性に乏しく、根拠のない主張であると言わざるを得ない。

したがって、本件商標登録出願時点において、請求人商標は「周知性」を欠いている。

なお、請求人は、請求人商標の周知・著名性を主張するが、請求人が「ブロマガ」のサービス開始を発表した記者会見の際、記者から「ブロマガ」という同じ名称のサービスを既に被請求人が提供していることについて問われたこと(乙7)、請求人のプレスリリースの直後、インターネット上で、一般ユーザーが、「ブロマガ」という名称は既に被請求人が使用しているのではないか、といった指摘が複数あったこと(乙8)、請求人がサービスを開始する以前、インターネット上で被請求人の「ブロマガ」サービスに関するQ&A等が見られること(乙9)等からすれば、請求人のサービス開始時点で、被請求人の「ブロマガ」という名称を使用したサービスが既に周知・著名となっていたことが明らかである。

(4)本件において、請求人は、請求人商標が「不正の目的」で使用されていると主張するが、請求人が述べる理由は単なる推測に過ぎず、客観性のある証拠は何一つ提出されていない。請求人は、自ら「ブロマガ」という名称の使用を被請求人に遅れて開始しているが、そのことを棚に上げ、被請求人の本件商標登録出願について、初めから被請求人が請求人を妨害しようとしている、不正の目的で商標を取得している、と決めつけ、根拠のない主張を展開しているだけである。

前述したとおり、被請求人は、請求人が「ブロマガ」のサービスを開始する3年半以上も前から、「ブロマガ」という名称を使用して同様のサービスの提供をしており、その後、請求人が「ブロマガ」という全く同じ名称を使用し、被請求人と同様のサービスを開始することを知ったため、やむを得ず自らの権利を保全するために本件商標の登録出願を行ったものであるから、請求人に損害を与える目的、すなわち「不正の目的」は存在しない。

したがって、本件商標の使用において、「不正の目的」は存在せず、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、上記第1のとおり「ブロマガ」と「BlogMaga」の文字を二段に書してなるところ、それぞれの構成文字に相応する「ブロマガ」及び「ブログマガ」の称呼を生じ、これらの文字は造語と認められるものであるから、特定の観念は生じないものである。

これに対し、引用商標は、上記第2 2のとおり、「ブロマガ/BlogMag」の文字からなるところ、その構成中「ブロマガ」の文字と「BlogMag」の文字とは、その間に「/」(スラッシュ)をもって区分けした表示として看取されるものであることから、引用商標からは、「ブロマガブログマグ」の一連の称呼の他に、それぞれの構成文字に相応して「ブロマガ」及び「ブログマグ」も生ずるものである。また、該「ブロマガ」及び「BlogMag」の文字は、造語と認められるものであるから、特定の観念は生じないものである。

そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、両者は、外観においては、二段に表されているか一般で表されているか、また、その構成文字中「/」及び「a」の有無の差異を有するものであるが、「ブロマガ」及び「BlogMag」の文字部分を共通にするものである。そして、称呼においては、「ブロマガ」の称呼を共通にする場合があって、観念においては、本件商標と引用商標は、「ブロマガ」の片仮名を共通にするものであり、観念において相違はないものであるから、両者の外観、称呼及び観念を総合してみれば、両商標は、類似する商標といえる。

なお、被請求人は、本件商標と引用商標とが類似することについて争っていない。

(2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品の類否について

請求人は、本件商標の指定役務中「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」及び「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」が、引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子計算機用プログラム」に類似すると主張するので、それら役務と商品の類否について検討する。

ア 商品と役務の類否は、それら商品及び役務に同一又は類似の商標が使用された場合、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認されるおそれがある関係にあるか否かにより判断し、その際には、例えば、(a)商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、(b)商品と役務の用途が一致するかどうか、(c)商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、(d)商品と役務の需要者の範囲が一致するかどうかを総合的に考慮して個別具体的に判断するのが相当である。

イ 「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」と「電子計算機用プログラム」の類否について

(ア)「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」で提供される役務は、その用途が限定されているものの、いずれも「電子計算機用(コンピュータ)プログラムの提供」の範ちゅうに含まれるものといえる。

そうすると、これらの役務で提供される内容はいずれも「電子計算機用プログラム」であることから、提供される役務と商品「電子計算機用プログラム」とはその用途を共通にし、その需要者も共通にするものといえる。そして、商品「電子計算機用プログラム」の製造・販売者がかかる役務の提供を行うことも少なくない。さらに、これら役務はインターネット等の通信回線を通じてその提供がなされるのに対し、該商品は記録媒体に記録されて店頭で販売されるほか、インターネット等の通信回線を通じてダウンロードすることによっても販売され、両者の取引形態が共通する場合もあるというのが一般的である。

してみれば、「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうに含まれる「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」と商品「電子計算機用プログラム」とは、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認され、その出所について混同するおそれがある、互いに類似のものと判断するのが相当である。

(イ)しかしながら、「オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供」に含まれる「オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供」以外の役務(「オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供に関する情報の提供」に相当する役務)については、当該役務と商品「電子計算機用プログラム」とが類似するというべき証左の提出もなく、そのような事情も発見できないから、両者は類似するものとはいえない。

ウ 「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」と「電子計算機用プログラム」の類否について

(ア)これらの役務中情報の提供以外の役務(「○○○の記憶領域の貸与」の役務)は、主に通信事業者やインターネットサービスプロバイダによって提供され、商品「電子計算機用プログラム」は、コンピュータのソフトウェアメーカーによって開発・製造されるものであるから、両者の事業者は異なっており、また両者はいずれもコンピュータに関連するものの、その用途は異なるとみるのが自然であり需要者も自ずとそれぞれを利用する者に限られるといえるから、両者は、これらに同一又は類似の商標が使用されたとしても、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認されるおそれがある関係にない、非類似のものと判断するのが相当である。

次に、「インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与」と「電子計算機用プログラム」についてみると、前者は主にレンタル業者、リース業者によって提供され、後者は前述のとおりソフトウェアメーカーによって開発・製造されるものであり、両者の事業者は異なっており、また、前者が電子計算機そのものの利用であり、後者は電子計算機を利用するために使用するものであるから、両者の用途は異なるといえ、さらに需要者も前者がコンピュータを保有していない者、後者がコンピュータを保有している者と異なっている。そうとすれば、両者は、これらに同一又は類似の商標が使用されたとしても、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認されるおそれのない、非類似のものと判断するのが相当である。

さらに、「ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供」に含まれる「ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与」以外の役務(「ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与に関する情報の提供」に相当する役務)については、当該役務と商品「電子計算機用プログラム」とが類似するというべき証左の提出もなく、そのような事情も発見できないから、両者は類似するものとはいえない。

(イ)してみれば、「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」と商品「電子計算機用プログラム」とは、非類似のものというべきである。

エ 当事者の主張について

(ア)被請求人は、「電子応用機械器具及びその部品」に「電子計算機用プログラム」が入った経緯及び本件商標の指定役務が単なる「電子計算機用プログラムの提供でなく「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」であることなどを理由に、その証拠(乙1〜3)を提出し、「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」と「電子計算機用プログラム」が非類似であると主張しているが、商品と役務の類否は上記アのとおり判断するのが相当であり、「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラム」などのように用途が特定(限定)されている電子計算機用プログラムであっても、「電子計算機用プログラム」の範ちゅうに含まれるものであるし、また、上記イ(ア)の判断を覆すに足りる証拠の提出もないから、かかる主張は採用することができない。

(イ)請求人は、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)の業務内容を述べ、ASP事業者中にソフトウェアの提供、サーバー(記憶領域)の貸与及びコンピュータ端末の貸与を行う者がいること、及び「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」と「電子計算機用プログラムの提供」は極めて密接な関係を有し、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」も密接な関係があるなどとして、その証拠(甲132〜141)を提出し、「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」と商品「電子計算機用プログラム」が類似すると主張しているが、商品と役務の類否は上記アのとおり判断するのが相当であり、ASP事業者中に上記各役務の提供を行うものがいるとしても、ここで判断すべきは「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与等」と「電子計算機用プログラム」の類否であるし、また、上記ウの判断を覆すに足りる証拠の提出もないから、かかる主張は採用することができない。

オ 小括

本件商標と引用商標とは上記(1)のとおり類似するものであり、両者の指定役務と指定商品の類否は上記イ及びウのとおりであるから、本件商標は、その役務中「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供、オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供、インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」については、同法第4条第1項第11号に該当するものであり、その余の役務については同号に該当するものではない。

2 商標法第4条第1項第7号及び同第19号該当性について

(1)請求人の主張について

請求人は、2007年2月9日に登録された引用商標には不使用による取消理由は存在していなかったにもかかわらず、被請求人はナノプロ社に何らの通知すら行うことなく、無断で引用商標と類似する商標を使用していたものであって、ナノプロ社の引用商標に係る商標権を侵害しながらサービスを開始したことになること、被請求人は3年以上もの間、引用商標について使用権を取得することや、本件商標について商標権を取得するための具体的な手続きを行なわず、請求人が請求人商標を用いたブログ記事配信サービスを開始するや否や、本件商標の登録出願や引用商標に対する不使用取消審判請求を行ったこと(請求人は、被請求人が平成21年1月20日から「ブロマガ」の表示を使用していることを前提としている。)は偶然とは考えがたく、請求人のサービス提供を妨害する加害目的で登録出願したものと無理なく推定されること、さらに、本件商標と請求人商標が類似すること、請求人商標は本件商標の登録出願の時には日本国内において広く知られるに至っていたことなどを理由として、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当すると主張しているので、その点について検討する。

(2)当事者提出の証拠及び当事者の主張によれば、次の事実を認めることができる。

ア 請求人は、東京都中央区所在の株式会社ドワンゴ(ドワンゴ社)の子会社であり、情報配信及び動画配信を事業内容としている(甲6、甲7及び甲9)。

イ 引用商標の当初(平成19年2月9日に設定登録)の商標権者「株式会社ナノプロ」は、平成19年6月5日に「グルーヴプロモーション株式会社」と商号を変更し(同月29日登記)、その後、平成23年6月22日に破産手続開始(同月27日登記、破産管財人も同日登記)、平成23年9月16日破産手続廃止の決定確定(同年11月11日登記、同日登記簿閉鎖)がなされた(甲130)。

ただし、引用商標に係る商標登録原簿においては、登録名義人は平成25年7月12日受付の届出により「グルーヴプロモーション株式会社」に、同年8月13日受付の届出により「株式会社ニワンゴ」(請求人)となった(甲3)。

ウ 被請求人は、平成24年9月13日に本件商標の登録出願をするとともに、引用商標に対し、その指定役務中の一部の役務について不使用取消審判を請求した。当該取消審判は、被請求人が特許庁からの通知に基づき清算人選任の申立てをし、清算人が選任され、同25年7月16日に取消審決が確定(同年8月8日登録)した。当該審判の確定登録がなされたことにより、本件商標は同年9月25日に登録査定された。(甲1、甲3及び乙6)

エ 請求人は、ドワンゴ社が、平成24年9月27日に引用商標に対し不使用取消審判を請求すると同時に、「ブロマガ」の文字からなる商標を第9類、第38類、第41類及び第42類に属する商品及び役務を指定して登録出願した。当該不使用取消審判は同25年9月12日に取下げられ、当該登録出願は同25年9月20日に設定登録された。(甲3、甲6及び請求人主張)

オ 被請求人は、請求人に対し、平成25年11月18日付けで「ブロマガ」という名称を使用した有料ウェブサービスについて、本件商標の商標権を侵害する旨の通知を送付した(甲131)。

(3)本件商標と請求人商標の類否について

本件商標及び請求人商標は、上記第1及び第2 3のとおりであり、外観において「ブロマガ」の文字を共通にし、「ブロマガ」の称呼を共通にし、ともに特定の観念を生じないものであるから、両者の外観、称呼及び観念を総合してみれば類似する商標といえる。

なお、被請求人は本件商標と請求人商標とが類似することについて争っていない。

(4)請求人商標の周知性について

ア 請求人提出の証拠によれば、次のとおりである。

(ア)甲第14号証は、ドワンゴ社と請求人の連名による2012年(平成24年)8月21日付けプレスリリースであり、甲第15号証ないし甲第17号証は「‘12.8.23」「‘12.8.22」「‘12.8.27」と記載された新聞記事である。甲第18号証ないし甲第105号証は2013年(平成25年)12月18日以降にプリントアウトされたウェブページであり、それらのほとんどは2012年(平成24年)8月21日又は22日の記事内容と認められるものである。

そして、これらには、その表現振りは異なるものの、総じて「ドワンゴ社、請求人又は両者のいずれかが、2012年8月21日から、『niconico』の『ニコニコチャンネル』にブログやメールマガジンなどの記事コンテンツの配信機能『ブロマガ』を開始した旨」などが記載されている。

(イ)甲第106号証はドワンゴ社と請求人の連名による2012年(平成24年)9月19日付けプレスリリースであり、甲第110号証ないし甲第120号証は2013年(平成25年)12月18日ないし同20日にプリントアウトされたウェブページであり、それらのほとんどは2012年(平成24年)9月19日の記事内容と認められるものであり、それらには、その表現振りは異なるものの、総じて「ドワンゴ社(又はドワンゴ社と請求人)は、9月19日に、『niconico』の『ニコニコチャンネル』で8月21日からスタートした『ブロマガ』の有料登録者数が9月18日時点で1万人を突破したことを発表した」旨などが記載されている。

(ウ)甲第108号証及び甲第109号証は、2013年(平成25年)12月20日にプリントアウトされたウェブページであり、「ドワンゴが8月21日にスタートしたサービス『ブロマガ』。」の記載がある。甲第121号証ないし甲第126号証は2013年(平成25年)12月19日にプリントアウトされたウェブページであり、それらは2012年(平成24年)9月21日又は同28日の内容と認められるものであり、それらには、「ニコニコチャンネルが、8月21日よりスタートした新サービス『ブロマガ』の有料登録者が、9月18日時点で合計1万人を突破した。」又は「8月21日よりニコニコチャンネルでスタートした新機能『ブロマガ』はリリースから1ヶ月経ち、早くも月額会員数1万人を突破しました!」の記載がある。

(エ)甲第127号証は、2014年(平成26年)3月25日にプリントアウトされた「IT用語辞書BINARY」と題するウェブページであり、「ブロマガ」の項に「ブロマガとは、niconicoがニコニコチャンネルの追加機能として提供している記事配信サービスの名称である。」などの記載がある。甲第128号証は、2014年(平成26年)3月25日にプリントアウトされた「Hatena Keyword」と題するウェブページであり、「ブロマガ」の項に「ニコニコチャンネル(ニコニコ動画)内のブログ+メルマガ月額課金プラットフォーム。ドワンゴが運営。」などの記載がある。なお、これらの記載が本件商標の登録出願日前からのものであることは確認できない。

(オ)甲第129号証は、ドワンゴ社と請求人の連名による2013年(平成25年)10月28日付けプレスリリースであり、「ドワンゴ社と請求人は、両社が運営する日本最大級の動画サービス『niconico』の『ニコニコチャンネル』にて、2012年8月より開始した『ブロマガ』を配信しているチャンネルの有料登録者数が、10月27日に合計10万人を突破したことをお知らせする。」旨の記載がある。

イ 上記アからすれば、上記(2)の事実に加え、本件商標の出願日前における次の事実を認めることができる。

(ア)ドワンゴ社及び請求人は、本件商標の登録出願の日前である平成24年8月21日に、動画サービス「niconico」の動画配信サービス「ニコニコチャンネル」に新機能「ブロマガ」を追加し、同日からブログやメールマガジンなどの記事コンテンツの配信を開始し、また、同日その旨プレスリリース(発表)した(上記ア(ア))。

(イ)当該発表の内容は、同日以降、数日のうちに、新聞3紙及び多くのウェブページに掲載された(上記ア(ア))。

(ウ)「ブロマガ」の有料登録者数を具体的に裏付ける証左はないが、ドワンゴ社と請求人がプレスリリースを行っていること、その内容が多数のウェブページでも掲載されていること(上記ア(イ)、(ウ))から、ドワンゴ社と請求人による「ブロマガ」の有料登録者数は平成24年9月18日時点で1万人を突破したと認めて差し支えない。

ウ 請求人商標「ブロマガ」の使用が開始されたのは、上記イのとおり平成24年8月21日であり、本件商標の出願日から23日前であること、請求人商標の使用開始が新聞報道されたのはわずか3紙でありいずれも記事はさほど大きくなく、かつ、いわゆる五大紙ではないこと、また、多数のウェブページは見ることはできるもの、膨大なウェブページの中から実際に乙各号証を見た者の数は不明であること、いずれの記事等でも「ブロマガ」の文字は常に「ドワンゴ」「ニワンゴ」「niconico」「ニコニコチャンネル」などの文字とともに表示されていること、本件商標の出願日における有料登録者数は多くみても1万人程度と推認されることをあわせみれば、請求人商標「ブロマガ」は、該商標のみをもって、本件商標の登録出願の日以前に、請求人(及びドワンゴ社)の業務に係る役務(ブログ記事配信サービス)を表示するものとして我が国おける需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできないと判断するのが相当である。

(5)本件商標の登録出願の不正の目的について

ア 被請求人提出の証拠によれば、次のとおりである。

(ア)乙第5号証の1は、「MarkeZine」と題するウェブページであり、2009年(平成21年)1月20日付けで「FC2ブログ、記事に課金できる『ブロマガ』サービスを開始」のタイトルの記事に、「FC2ブログは、記事に課金設定して投稿することで、月額購読ポイントを支払った読者が閲覧できるようになる『ブロマガ』サービスを開始した。」などの記載がある。

(イ)乙第5号証の2は、2013年(平成25年)2月4日にプリントアウトされたウェブページであり、2009年(平成21年)1月20日付けで「FC2ブログ、記事を月額購読制にできる課金記事『ブロマガ』を開始」のタイトルの記事に、「FC2は、2009年1月20日、同社が運営する無料Blogサービス『FC2 ブログ』にて、ユーザーがBlog記事を月額購読制にできる、課金記事『ブロマガ』を開始した。」などの記載がある。

(ウ)乙第5号証の3は、2009年(平成21年)1月20日付けの「国内最大級『FC2ブログ』が『ブロマガ(課金記事)』機能をリリース。」と題する記事が掲載されたウェブページであり、そこには「FC2.incは、運営する無料ブログサービス『FC2ブログ』にて、2009年1月20日より、ユーザーがブログ記事を月額購読制にできる、課金記事『ブロマガ』を開始。」などの記載がある。

(エ)乙第7号証は、2013年(平成25年)3月22日にプリントアウトされた「ニコニコ大百科(仮)」と題するウェブページであり、「ブロマガとは、」の項に「1.ウェブサービス会社『FC2』の提供しているサービス。2.2012年8月21日に発表されたニコニコチャンネルの新機能。 本項では2.について記述する。」の記載があり、「概要」には「・・・『ブロマガ』を名乗っているサービスはFC2が先行しており、サービス内容も類似している部分がある。このことは発表会での質疑応答で問われているのだが、・・・『ブロマガはブログ・メルマガの略で一般名称だ』と説明している。」などの記載がある。なお、これら記載の掲載日は確認できない。

(オ)乙第8号証の1は、上段に「Business Media 誠:ドワンゴが新サービス『ブロマガ』発表−−誠も参加」の記載があるウェブページであり、2012年(平成24年)8月22日付けで「ブロマガは、FC2がやってたよね。(有料のとこは読んだことがないけど)」の記載がある。

(カ)乙第8号証の2は、2014年(平成26年)6月17日にプリントアウトされた「量産型ブログ」と題するウェブページであり、2012年(平成24年)8月24日付けで「ブロマガの商標権について」のタイトルの下、「ニコニコの新機能『ブロマガ』スタート!−ニコニコインフォ」「・・・この名称はFC2でも使われてますよね−っていう指摘が既にありますが...」の記載がある。

(キ)乙第9号証は、2014年(平成26年)5月15日にプリントアウトされた「YAHOO!知恵袋」と題するウェブページであり、2012年(平成24年)4月18日付けで「fc2ブログのブロマガ制度について」のタイトルで、資本金が必要か、必要なfc2ポイントについての質問が記載されている。

イ 上記アに加え、乙各号証に疑義を持つべき特段の理由がないこと、及び請求人の主張(被請求人は使用開始から3年以上もの間、本件商標について商標権を取得するための具体的な手続きを行っていない旨など。)をあわせみれば、被請求人は、2009年(平成21年)1月20日に、有料ブログ記事の配信サービスに「ブロマガ」の名称の使用を開始したものと推認して差し支えない。

また、被請求人は、平成21年1月20日から「ブロマガ」の名称を使用しており、本来、他人の商標登録の有無の調査や商標登録出願などは商標を使用する前に行うものではあるが、自己が使用している未登録の商標について他人の使用を知った場合、その対策としてその商標について商標登録出願など商標権取得のための手続きをすること、及び商標権取得後にその権利を侵害していると思われる者に警告を発することは、いずれも不適法な行為でないことは明らかであるし、かつ、通常行う範囲の行為といえるから、例え本件商標の登録出願がなされたのが被請求人の使用開始から3年半以上経過し、その時期が請求人商標の使用開始から23日後であるとしても、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものということはできず、また、本件商標は請求人に損害を与える目的、すなわち、不正競争の目的あるいは不正の目的をもって登録出願したもの認めることもできない。

なお、請求人は、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがある及び本件商標は不正の目的をもって登録出願されたものである旨の理由を種々述べているが、それを認めるに足りる証拠の提出はないから、上記判断を覆しえない。

ウ 小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するものとはいえない。また、請求人商標は上記(4)ウのとおり、本件商標の登録出願の時に、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであるから、本件商標はこの点においても商標法第4条第1項第19号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定役務中「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供、オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供、インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものであり、その余の指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号、同第7号、及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、その登録を無効にすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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