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Trademark Appeal Case

商標使用の同一性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2014−300664(T2014−300664/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

登録第4864705号商標(以下「本件商標」という。)は,「アイデアルスクエアー」の片仮名と「IDEAL SQUARE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり,平成16年11月17日に登録出願,第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振り出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」を指定商品として,同17年5月20日に設定登録されたものである。

なお,本件審判請求の登録日は,平成26年9月18日である。

第2 請求人の主張

請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出している。

1 請求の理由

本件商標は,本件審判請求前3年以内に,継続して日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,その指定商品について,本件商標を使用していない。

2 弁駁の理由

商標権者は,答弁書で提出した乙第1号証ないし乙第11号証から明らかなように商標「アイデアルスクエアー」を商品「アイデアルスクエアーカットのダイヤモンド」に継続して使用しているものと主張しているが,その主張は妥当なものではない。

(1)乙第1号証,乙第2号証

被請求人は,乙第1号証のパンフレットおよび乙第2号証のカタログが,2013年1月23日から2月6日まで東京国際展示場にて開催される国際宝飾展に出展した際に使用したパンフレットおよび公式カタログであると主張している。

乙第1号証では,証拠書面の左上側に,上段に「Ideal Square cut」,下段に「アイデアルスクエアーカット」と2段に横書きしており,上段の「cut」の文字の右側に丸アールの記号が記されている。また,証拠正面の左下側に「トリプルエクセレントの究極の輝きをスクエアーシェイプの上質の輝きとコラボーションさせた新しい輝きを持つオリジナルカットです」と記されている。

乙第1号証では,上記期日において使用したパンフレットであるとしているが,その出所は明らかでなく,その書面を上記宝飾展で使用した事実は何ら立証されていない。

また,乙第1号証で示される標章は,上記のように,上段側では3つの単語が並べて一体に記載されており,しかもその右側に丸アールが記されていることから,これらの単語が一体になったものとして表示されていることが明らかである。また,下段側では,カタカナの文字が一列に表示されており,これらの文字が一体になっている。しかも,これらの文字は,下段の説明文に明らかなように,ダイヤモンドの品質等を示すために使用されている標章であり,自己の業務に係る商品に使用する商標として,使用されているものとは認められない。

なお,本件商標は,上段に「アイデアルスクエアー」を一連に横書きし,下段に「IDEAL」の文字と「SQUARE」の文字とをスペースを設けて横書きしたものである。

しかし,上記したように,乙第1号証に示される標章は,「Ideal Square cut」,「アイデアルスクエアーカット」をそれぞれ一体にして記載したものであり,本件商標と社会通念上同一とされる商標を使用したことを立証するものではない。

次に,乙第2号証では,73頁の左第2段落で,上段に「アイデアルスクエアーカット」が一連で横書きされ,下段に「Ideal」,「Square」,「Cut」の単語が一連で横書きされている。また,中段では,「スクエアーカットに最高の輝きを実現したニューファンシーカットです。スクエアーカットでありながら,H&Cが出現します。」と記載されている。

乙第2号証で示される標章は,上記のように,英文字,仮名文字とともに一連に記載されており,これを分断すべき理由はない。しかも,これらの文字は,下段の説明文に明らかなように,ダイヤモンドの品質等を示すために使用されている標章であり,自己の業務に係る商品に使用する商標として,使用されているものとは認められない。

したがって,乙第2号証に示された標章は,本件商標と社会通念上同一とされる商標を使用したことを立証するものではない。

したがって,乙第1号証,乙第2号証は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証するものではない。

(2)乙第3号証

被請求人は,乙第3号証のカタログが,2014年1月22日から25日まで東京国際展示場にて開催される国際宝飾展に出展した際の公式カタログであると主張している。

乙第3号証では,60頁の左第1段落で,上段に「アイデアルスクエアーカット」が一連で横書きされ,下段に「Ideal」,「Square」,「Cut」の単語が一連で横書きされている。また,中段では,「スクエアーカットに最高の輝きを実現したニューファンシーカットです。スクエアーカットでありながら,H&Cが出現します。」と記載されている。

乙第3号証で示される標章は,上記のように,英文字,仮名文字とともに一連に記載されており,これを分断すべき理由はない。これらの文字は,下段の説明文に明らかなように,ダイヤモンドの品質等を示すために使用されている標章であり,自己の業務に係る商品に使用する商標として,使用されているものとは認められない。

したがって,乙第3号証に示された標章は,本件商標と社会通念上同一とされる商標を使用したことを立証するものではない。

したがって,乙第3号証は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証するものではない。

(3)乙第4号証

被請求人は,乙第4号証の納品書(41177)が,「2014年6月20日に当該商品を当社の顧客に売買したときのものである。記載されているISCはとはアイデアルスクエアーのダイヤモンドの当社の略称である。」と主張している。しかし,乙第4号証は,いかなる商標について使用されたものであるかを客観的に示しておらず,本件商標を使用したことについて立証するものではない。また,ISCがアイデアルスクエアーの略称であると主張しているが,いかなる略称によってISCが得られるかは不明であり,Cの略称がアイデアルスクエアーの略用によって如何様に生み出されるかは全く不明である。すなわち,これを以って,商標「アイデアルスクエアー」が使用されているとすることはできない。

したがって,乙第4号証は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証するものではない。

(4)乙第5号証ないし乙第9号証

被請求人は,乙第5号証ないし乙第9号証が,2014年10月1日から3日までサンシャインシティコンベンションセンター(池袋)にて開催された第2回国際宝飾展秋に出展したときのブースの写真であると説明している。しかし,乙第5号証,乙第6号証,乙第8号証は,標章と商品との関係が一切示されておらず,商標の使用を判断することはできない。

乙第7号証では,「アイデアルスクエアーカット」なる標章が横書きで一連に示されたものが表されていることが認められる。しかし,標章は「アイデアルスクエアーカット」のみが表示されており,本件商標と同一視される商標の使用は一切示されていない。

また,乙第9号証では,「Ideal」と「Square」とが一連に記載された標章が示されている。しかし,乙第9号証では,標章と商品との関係が不明であり,本件商標を指定商品に使用していることを示すものではない。

さらに,乙第5号証ないし乙第9号証は,2014年10月1日から3日までの実績を示している。しかし,本件審判請求の予告登録は,2014年9月16日であり,登録前3年以内に本件商標が使用されていることを示すものではない。

したがって,乙第5号証〜乙第9号証は,本件審判の請求の登録(平成26年9月16日予告登録)前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証していない。

(5)乙第10号証

被請求人は,乙第10号証が2010年12月30日徳間書店より発行された雑誌デラックスダイヤモンド2011にアイデアルスクエアーの広告を掲載したものであると主張している。乙第10号証の添付書面2頁目では,上部側に,「Ideal」と「Square」とが一連に記載された標章が示されている。その下部側には,「ラウンドブリリアント カットの究極の輝き,トリプルエクセレント カット(H&C)をスクエアーシェイプの上質な輝きとコラボレーションさせたニューファンシーカットです。」と記載されている。

しかし,上記「IdealSquare」は,下段に示されるように商品の品質等を示すために使用されており,ダイヤモンドの品質等を示すために使用されている標章であり,自己の業務に係る商品に使用する商標として,使用されているものとは認められない。

また,乙第10号証は,2010年12月30日に発行されており,その後,継続して出版されたものではないから,本件審判の請求の登録(2014年9月18日予告登録)前3年以内に登録商標が使用されていることを示すものではない。

したがって,乙第10号証は,本件審判の請求の登録(平成26年9月18日予告登録)前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証していない。

(6)乙第11号証

乙第11号証は,乙第5号証ないし乙第9号証の写真説明報告に係るものであり,商標の使用に関し,立証するものではない。

(7)結論

以上のように,被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第11号証は,本件審判の請求の登録(平成26年9月18日予告登録)前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを立証するものではなく,また,本件商標が使用されていないことについて正当な理由を有するものではないから,本件商標は,商標法50条の規定に基づき登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は,結論と同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。

乙第1号証のパンフレット及び乙第2号証のカタログは,2013年1月23日から26日まで東京国際展示場にて開催される国際宝飾展に出展した際に使用したパンフレットおよび公式カタログである。

乙第3号証のカタログは,2014年1月22日から25日まで東京国際展示場にて開催される国際宝飾展に出展した際の公式カタログである。

乙第4号証の納品書(41177)は2014年6月20日に当該商品を当社の顧客に売買したときのものである。記載されているISCとはアイデアルスクエアーのダイヤモンドの当社の略称である。

乙第5号証ないし乙第9号証の写真は,2014年10月1日から3日までサンシャインシティ コンベンションセンター(池袋)にて開催された第2回国際宝飾展秋に出展したときのブースの写真である。

乙第10号証は,2010年12月30日徳間書店より発行された雑誌デラックスダイヤモンド2011にアイデアルスクエアーの広告を掲載したものである。

以上の証拠からも,2010年から現在まで継続して本件商標を株式会社ホープインターナショナルが使用していることは明らかである。

第4 当審の判断

1 使用の事実について

証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)ア 乙第1号証は,被請求人の主張によれば,2013年の国際宝飾展に出展した際に使用した出展商品「ダイヤモンド」に係るパンフレット(以下「宝飾展パンフレット」という。)である。

イ 宝飾展パンフレットには,左上に「Ideal Squre cut」の欧文字(当該文字中の「cut」の文字は,その他の文字に比べてやや小さく書してなる。また,「cut」の文字の右肩には登録商標を示す「丸R」の記号の記載がある。)及び「アイデアルスクエアー カット」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなる商標(以下「本件使用商標」という。)が記載されている。

すなわち,上段の欧文字部分は,「Ideal」,「Squre」及び「cut」の3つの単語からなるところ,「Ideal」及び「Squre」の各文字は,いずれも頭文字を大文字とし,それ以外を小文字とする同書・同大の文字からなるものであるが,「cut」の文字は,書体は同じではあるものの,すべて小文字からなり,「Ideal」及び「Squre」の各文字に比べてやや小さく書されている。また,片仮名部分は,同書・同大の文字からなるものの,「アイデアルスクエアー」と「カット」との間には,半文字程度の空白が設けられている。したがって,本件使用商標は,「cut」及び「カット」の文字を後部に有してなるが,外観上,「Ideal Squre」及び「アイデアルスクエアー」の文字とは,それぞれ,分離して見ることもできる構成態様からなる。

ウ 本件使用商標の下には,正面から見た四隅が丸みを帯びた略正方形状のダイヤモンドの写真の掲載とともに,「トリプルエクセレントの究極の輝きを/スクエアーシェイプの上質の輝きとコラボレーションさせた/新しい輝きを持つオリジナルカットです」との記載が,また,宝飾展パンフレットの右上には「2013 NEW ARRIVAL」の文字の記載,左下には本件商標の登録番号である「商標登録取得:第4864705号」の記載及び右下には本件商標の商標権者である「株式会社ホープインターナショナル」(以下,「ホープ社」という。)の各記載がある。

(2)乙第2号証は,株式会社矢野経済研究所が「JAPAN PRECIOUS別冊」として発行した「IJT/LUX/GJT 2013 ガイドブック」(以下「宝飾展ガイドブック」という。)である。宝飾展ガイドブックには,2013年1月23日(水)ないし26日(土)の期間において,東京ビックサイト(東京国際展示場)で開催された「第24回国際宝飾展」,「第1回ガールズジュエリー東京」及び「第2回高級アイテムEXPO」の各概要及び各出展者紹介記事が掲載されている。

宝飾展ガイドブックの73頁には,第24回国際宝飾展に出展したホープ社の紹介記事が掲載されており,「(株)ホープインターナショナル/HOPE INTERNATIONAL INC.」の見出しの下,「アイデアルスクエアーカット」,「カテゴリー:ダイヤモンド」,「スクエアーカットに最高の輝きを実現したニューファンシーカットです。スクエアーカットでありながら,H&Cが出現します。」,「Ideal Square Cut(H&C)」,「category:Diamonds」及び「価格帯:上代10〜30万円」等の各記載とともに,正面から見た四隅が丸みを帯びた略正方形状のダイヤモンドの写真が掲載されている。また,同頁の下段欄外には「上記は,出展商品の一部抜粋となります。この他にも会場では多数の商品が出展されます。」の記載がある。

2 判断

上記1の認定事実によれば,2013年1月23日(水)ないし26日(土)の期間中,東京ビックサイト(東京国際展示場)で開催された「第24回国際宝飾展」において,本件商標の商標権者は,「Ideal Square Cut(アイデアルスクエアーカット)」と称する商品「ダイヤモンド」を出展したものと認められる(乙2)。そして,この種の展覧会では,会場内の出展者ブースにおいて,出展商品のパンフレット・カタログ等を頒布することは通例であるから,被請求人の主張も踏まえれば,本件商標の商標権者は,当該宝飾展の開催年と同じものと認められる「2013 NEW ARRIVAL」と記載された,本件使用商標を付した宝飾展パンフレットを,当該宝飾展において使用(展示)し,頒布したものと優に推認できる(乙1)。なお,請求人は,宝飾展パンフレットが当該宝飾展で使用された事実は何ら立証されていないと主張するが,上記のとおり,この種の展覧会において,出展商品のパンフレット・カタログ等を頒布することは通例であるところ,宝飾展パンフレットは,当該宝飾展の出展商品に係るものであって,その開催年との関係からしても何ら不自然なところはないのであるから,本件商標の商標権者は,宝飾展パンフレットを当該宝飾展において使用(展示)し,頒布したものと優に推認できるというべきである。

そこで,以上を前提に,以下で更に検討する。

(1)本件使用商標の使用者及び使用商品について

本件使用商標の使用者は,本件商標の商標権者であり,その使用商品は,「ダイヤモンド」である(乙1,2)。そして,商品「ダイヤモンド」が,本件請求に係る指定商品中「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」に含まれる商品であることは,明らかである。

(2)本件使用商標の使用時期及び使用場所について

本件使用商標の使用時期は,「第24回国際宝飾展」の開催時期である2013年(平成25年)1月23日ないし26日であり,その使用場所は,当該宝飾展が開催された東京ビックサイト(東京国際展示場)である(乙2)。本件商標の商標権者は,宝飾展パンフレット(取引書類)を当該宝飾展において使用(展示)し,頒布したものと優に推認できる。

(3)本件商標と本件使用商標との同一性について

ア 本件商標について

本件商標は,上記第1のとおり,「アイデアルスクエアー」の片仮名と「IDEAL SQUARE」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものである。

イ 本件使用商標について

本件使用商標は,上記1(1)イのとおり,「Ideal Squre cut」の欧文字と「アイデアルスクエアー カット」の片仮名とを上下二段に横書きしてなるところ,「cut」の欧文字部分は,「Ideal Squre」の欧文字に比べてやや小さく書されていること,「カット」の片仮名部分は,「アイデアルスクエアー」の片仮名とは,半文字程度の空白が設けられていることから,外観上,「Ideal Squre」及び「アイデアルスクエアー」の文字と「cut」及び「カット」の文字とは,それぞれ,分離して見ることもできる構成態様からなるものである。

ウ 本件商標と本件使用商標との比較について

本件商標の「アイデアルスクエアー」及び「IDEAL SQUARE」の文字と本件使用商標の「アイデアルスクエアー カット」及び「Ideal Square cut」の文字とをそれぞれ比較すると,両者のつづり上の相違は,後部の「カット」及び「cut」の文字の有無のみである。そして,当該「カット」及び「cut」の語は,「カット【cut】 切ること。一部を削ること。『原石を―する』」(広辞苑第六版)の意味を有する平易な片仮名語及び英語として親しまれている語であり,商品「ダイヤモンド」との関係においては,「希少価値の高い天然物を美しくカットしてあります。」(乙3,51頁,シリ トリヴェニジェムス株式会社の出展紹介記事欄)や「熟練の職人技によりカットされた小さなダイヤを各種扱っております。」(乙3,79頁,GRUNBERGER DIAMONDS JAPANの出展紹介記事欄)ようにダイヤモンドの加工方法を表すものとして用いられる語であるから,商品「ダイヤモンド」との関係においては,自他商品識別力を全く有しないか,それが極めて弱い語というべきである。

他方で,「スクエアーカット」の語も,宝飾展ガイドブックのホープ社の出展紹介記事中に,「スクエアーカットに最高の輝きを実現したニューファンシーカットでありながら,H&Cが出現します。」の記載及び正面から見た四隅が丸みを帯びた略正方形状のダイヤモンドの写真がある(乙2)ことからすれば,商品「ダイヤモンド」との関係においては,「四角い形状にカットされたダイヤモンド」を指称するものと理解することができ,この部分自体も自他商品識別力を有しないか,それが弱い語といえなくもないところである。

しかしながら,(a)本件使用商標は,上記イのとおり,「Ideal Squre cut」の欧文字及び「アイデアルスクエアー カット」の片仮名からなるものであって,「cut」の欧文字部分は,「Ideal Squre」の欧文字に比べてやや小さく書されていること,「カット」の片仮名部分は,「アイデアルスクエアー」の片仮名とは,半文字程度の空白が設けられていることから,外観上,「Ideal Squre」及び「アイデアルスクエアー」の文字と「cut」及び「カット」の文字とは,それぞれ,分離して見ることもできる構成態様からなるものであること,(b)また,宝飾展パンフレットには,本件使用商標の下に,正面から見た四隅が丸みを帯びた略正方形状のダイヤモンドの写真の掲載とともに,「トリプルエクセレントの究極の輝きを/スクエアーシェイプの上質の輝きとコラボレーションさせた/新しい輝きを持つオリジナルカットです」との記載があることからすれば,当該ダイヤモンドが,スクエアーカット又はスクエアーシェイプと呼ばれる四角い形状にカットされたダイヤモンドの中でも,本件商標の商標権者が「Ideal Squre(アイデアルスクエアー)」と称しているオリジナルなカット方法と理解できること,(c)さらに,宝飾展パンフレットには,本件使用商標の右肩に登録商標を示す「丸R」の記号が付され,かつ,本件商標の登録番号である「商標登録取得:第4864705号」の記載があること,(d)上記のとおり,「cut」及び「カット」の文字部分は,商品「ダイヤモンド」との関係では,自他商品識別力を全く有しないか,それが極めて弱い語であることから,これらの事実を総合的に判断すれば,本件使用商標は,その構成中に「cut」及び「カット」の文字部分を伴っているとしてもなお,「Ideal Squre」及び「アイデアルスクエアー」の文字部分が別個の要部として理解されるものというべきである。

そうすると,本件使用商標は,その要部である「アイデアルスクエアー」及び「Ideal Square」が本件商標と文字つづりを同一にするものであるから,本件商標とは社会通念上同一の商標と認め得るものである。

(4)小活

以上によれば,商標権者は,本件審判の請求の登録前3年以内である平成25年1月に,日本国内において,本件請求に係る指定商品中「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」に含まれる商品「ダイヤモンド」について,宝飾展パンフレット(取引書類)に本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付して展示し,頒布したものと認めるのが相当である。

そして,商標権者の上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品に関する取引類に標章を付して展示し,頒布する行為」に該当するものと認められる。

4 まとめ

以上のとおり,被請求人は,本件審判請求の前3年以内に日本国内において,商標権者が本件請求に係る指定商品中「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」に含まれる商品「ダイヤモンド」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得る。

したがって,本件商標の登録は,商標法第50条により,取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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