Trademark Appeal Case
記述的役務表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−11892(T2014−11892/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「岩塩詰め放題」の文字を横書きしてなり,第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成25年5月7日に登録出願された。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「岩塩詰め放題」の文字を書してなるところ,その構成中の「岩塩」の文字は,「塩化ナトリウムからなる鉱物。少量の不純物を含む。立方体の結晶または粒状・塊状で産出し,等軸晶系で,無色または白色。食塩の製造原料として重要。山塩(やまじお)。石塩(いしじお)。」の意味を有し,「詰め放題」の文字は,「容器などに詰めたいだけ詰めること。また,小売店などで,決まった袋や箱であれば,どれだけ詰め込んでも定額とするサービスの形態。」の意味を有することから,構成全体として「岩塩を容器などに詰めたいだけ詰めること」程の意味合いを容易に認識させる。
そうすると,かかる意味合いを有する本願商標をその指定役務である「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関して用いる場合には,これに接した取引者,需要者は,それを妨げる何か特別な事情がない限り,かかる意味合いを想起した上で,ごく自然に「岩塩を容器に詰めたいだけ詰めることができる」という,当該役務に係る取扱商品(岩塩)に関する役務の提供方法等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズとして認識,理解することになるものというべきであるところ,上記認識,理解を妨げる特別な事情を見いだすこともできない。
したがって,本願商標に接した取引者,需要者は,これをその指定役務に係る取扱商品(岩塩)に関する役務の提供方法等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズであると認識,理解するにとどまり,自他役務の識別標識とは認識しないものと認めるのが相当である。
以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 当審における手続の経緯
当審において,平成27年10月2日付けの審尋により,請求人に対し,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しない旨説示し,相当の期間を指定して意見を求めたところ,請求人からは,何らの回答もなかった。
なお,原査定は,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして,本願を拒絶したものであるが,その理由は,本願商標をその指定役務について使用しても,本願商標は,取引者,需要者に自他役務の識別標識とは認識されないものであると認定,判断したものであるから,審尋における理由も原査定の認定,判断とは実質的に相違せず,新たな拒絶の理由には当たらないものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「岩塩詰め放題」の文字を横書きしてなり,その指定役務を第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とするものである。
そして,本願商標の構成中,「岩塩」の文字は,「塩化ナトリウムが主成分の鉱物。立方晶系に属し,ガラスのようなつやがあり,白色または灰色。海水などの蒸発によってでき,厚さ数百メートルの岩塩層として産出することもある。工業原料・食塩原料として重要。やまじお。石塩。」の意味(大辞林第3版)を,「詰め放題」の文字は,「容器などに詰めたいだけ詰めること。また、小売店などで、決まった袋や箱であれば、どれだけ詰め込んでも定額とするサービスの形態。『お菓子の−』」の意味(デジタル大辞泉)をそれぞれ有する平易な語であるから,本願商標の指定役務が第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であることを踏まえれば,本願商標に接する取引者,需要者は,本願商標を正に「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」程の意味合いで認識するのが通常である。
また,当審が職権で調査したところ,「岩塩詰め放題」(これに類するものを含む。)の文字及び「○○(商品名)詰め放題」の組合せからなる文字は,別掲2に示すとおり使用されていることからしても,本願商標は,その構成全体をもって上記意味合いを表す語として,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,自他役務の識別力を欠くものであるといわざるを得ない。
してみれば,本願商標をその指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体から,「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」といった役務の提供方法を端的に表示したものとして認識,理解するにとどまるというべきである。また,本願商標の態様上顕著な特徴は認められない。そうすると,本願商標は,役務の提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,自他役務の識別標識とは認識されないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「〜放題」という言葉を商品や役務に使用すると一種の面白さが醸し出され,一定の識別力が認められる傾向があり,同様の構成の既登録商標が多数あることからすれば,「岩塩詰め放題」と一体の語を形成する本願は,全体として自他商品識別力が評価される余地がある旨主張する。
しかしながら,本願商標は,その構成全体をもって「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」程の意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,役務の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であるのは上記(1)のとおりである。
また,本願商標が,役務の出所識別標識としての機能を果たすものであるか否かは,本願商標自体の具体的な構成とその指定役務との関係から,審決時において,指定役務の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた商標登録の事例は,いずれも本願商標とは,使用する商品又は役務が異なるものであるばかりか,商標の構成態様においても「○○(商品名)詰め放題」とは異なるものであるから,事案を異にするというべきであり,また,他の商標登録の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は,実際に店舗を展開し,商品タグを付して多数の商品を販売しており,請求人の使用を経て業務上の信用も化体しつつある旨主張する。
しかしながら,仮に,当該主張が,本願商標の使用による識別力を獲得したものとの趣旨(商標法第3条第2項の要件具備)であると善解したとしても,請求人が原審において提出した意見書並びに当審において提出した審判請求書及び証拠によっては,請求人が展開する店舗への出店例として確認できるのは,株式会社東急ハンズのハンズメッセ2013(平成25年8月29日−9月4日)及び京都ミネラルショー2013(平成25年10月11日−14日)のわずか2例にすぎず,これらにおいて「岩塩詰め放題」の文字が記されたノボリ等が使用されていることは窺えるものの,それぞれの売上高等は一切不明である。また,請求人は,上記ハンズメッセでの請求人ブースの様子が朝日放送のテレビ番組「おはよう朝日です」で放映され,平成25年10月30日にJCOMの番組「おちゃのこsaisai」の「いらっsaiコーナー」で本願商標と請求人の役務が紹介されたとするが,放映に係る写真(甲2における最後の2枚の写真)を見ても,本願商標と社会通念上同一の商標すら写っておらず,その使用の事実を確認することができない。そして,上記(1)で認定した本願商標から生ずる意味合い及び「岩塩詰め放題」等の他人による使用状況を鑑みると,請求人が主張する使用状況からは,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなっているとは認められない。そうすると,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
ウ したがって,上記の請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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