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Trademark Appeal Case

資格名称の公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成6年審判第5261号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「動物看護士」の文字を書してなり、第26類「印刷物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年7月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定において「本願商標は、『動物看護士』と書してなるので、弁護士等と同様に恰も法律等によって定められている資格を有するかのような「士」の文字を有するので、これを一私人である出願人が自己の商標として使用したときは、公の秩序を害するおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、その構成前記のとおり「動物看護士」の文字を書してなるものである。

(1) ところで、近時、いわゆるペットブームの高まりと相俟って、飼育動物の医療、衛生、介護又は管理等の業務の重要性と同業務に専門的知識をもって従事する者の必要性も高まっていて、専門知識の養成と人材の育成は社会的な要請ともいえる状況である。そして、現段階では公的な認定機関による資格制度はないものの、国内各地の獣医師団体等が中心となって、動物専門学校等の教育施設をつくり、一定の資格認定を行い、当該資格者を「動物看護士」、「アニマル・ヘルス・テクニシャン(略して『AHT』)」などと称して獣医師の補助業務や飼育動物の衛生管理に当たらせているのが実情である。

これらの状況は、例えば、「・・・ペットが大事にされ、人工透析や電気メスを使った高度な医療の広がりとともに、アニマル・ヘルス・テクニシャン(AHT)の需要が増えた。AHTとは獣医師の補助や動物の衛生管理を担当する動物看護士。AHTを雇用する動物病院は限られていたが、現在は東京都の動物病院の五割がAHTを採用しているという。専門学校などで即戦力を身につけたAHTは、人間の看護婦同様、専門職として迎えられる。AHTの養成に力を入れてきたヤマザキカレッジ日本動物看護学院(東京・渋谷)は、今年、卒業予定者数の七倍の求人があり、七割の卒業生が動物病院に就職。・・・東京では他に東京愛犬高等美容学園(中野)、青山ケンネルカレッジ(渋谷)などがAHT養成に熱心だ。・・・AHTは国家資格でなく、職域も待遇も公に明文化されていない。各養成機関が独自のカリキュラムで教育し、資格を認定してきた。・・・現在、日本小動物獣医師会が中心となり、カリキュラムと資格認定の統一を図ろうと動き出している。・・・」(95.09.30日経新聞朝刊35頁)、「・・・三年前に全国の獣医師四十人と財団法人『鳥取県動物臨床医学研究所』を創設、理事長を務める。動物の病気治療のほか、・・・動物看護士の育成などを目的とした国内初の専門機関だ・・・」(94.01.27朝日新聞夕刊2頁)、「・・・動物の介護問題は国内では模索中の段階だ。獣医師らによる飼い主の心のケアを含めた研究のための『動物看護学会』が4年前に発足したばかり。動物病院のス夕ッフが『動物看護士』を名乗り、看護や飼い主の指導などを行っている例もあるが、資格制度がないため、あいまいな存在だ・・・」(99.05.12東京読売新聞朝刊23頁)、「・・・ペットの寿命が延びている・・・こうした長寿化に伴い老人性ちほう症や悪性しゅようなど人間と同じ病気を抱えるペットも少なくなく、獣医さんは大忙し。今年に入り獣医師を補助する動物看護士の全国組織も発足、活発な活動を始めている。・・・」(96.05.21東京毎日新聞朝刊12頁)、「・・・最近ではペット関連の専門学校や民間スクールなどが乱立している。そのベスト3は・・・(2)動物看護士(獣医助手)・・・」(95.08.22日刊スポーツ18頁)等の各新聞記事の記載より、その一端を窺い知ることができる。

(2)一方、わが国においては、飼育動物の診療に関する業務は専ら獣医師法所定の定めにより、「獣医師」免許の認定を受けた者がこれに当たることとされている。同法によれば、獣医師の任務は、「飼育動物の診療、飼育者に対する保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどること等」(同法第1条)とされ、獣医師でなければ動物の診療を業務としてはならないこと(同法第17条)、また、獣医師でない者が獣医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないこと(同法第2条)、これらの規定に反した場合は、懲役又は罰金刑に処されること(同法第27条,第29条)等の規定が置かれていて、無資格者による診療行為や獣医師と紛らわしい名称使用の禁止を規定するなど、獣医師業の専門性の確保を図っている状況が認められる。

(3)以上によれば、前述「(1)」の飼育動物に関する社会情勢は、飼育動物に関する業務の増大及び多様性に対応して、獣医師だけでは十分に手が行き届き難い業務分野について、獣医師の管理・指導のもと、獣医業全体を円滑に運営するための方策として考えられているものと推測され、その業務内容は、人の場合における医者と看護婦同様に、獣医師と看護士の連携業務として位置づけられているものと認められる。

してみれば、現状において、仮に、「動物看護士」、「アニマル・ヘルス・テクニシャン(略して『AHT』)」等の名称を特定の者に商標登録した場合、もとより商標権は全国単一の権利であって、当該商標権者の独占使用を容認することとなるから、商標に化体した業務上の信用の保護を法目的とする商標法の立法趣旨よりして、かかる名称の商標登録については、前述した社会情勢に照らし、その適否を慎重に判断する必要があると解される。

(4)しかして、本願商標は「動物看護士」の文字よりなるものであり、該文字は、飼育動物に関する前述した実情よりして、国内各地の獣医師団体又は動物病院等が獣医師業の補助業務としてそれを指称し或いは当該従事者の呼称として使用する名称と同一にするものであるから、かかるものを特定の事業者に対して商標登録を認めることは、前述獣医師業に関する事業関係者の営業活動ないしは商取引の秩序を混乱させるばかりでなく、社会公共の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標を、商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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