Trademark Appeal Case
「○○屋さんが創った△△」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−12678(T2015−12678/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「乾燥パスタ,生パスタ,調理済みパスタ,調理済み冷凍パスタ,パスタソース」を指定商品として、平成26年7月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『そうめん屋さんが』の文字と『創ったパスタ』の文字を縦に書し、『創』の文字部分には、『つく』の仮名を付してなるものである。そして、本願商標の構成中の『そうめん屋さん』の文字は、『そうめんを取り扱う業者』程の意味合いを表し、『創った』の文字部分は、『つくった、物事をはじめた』等の意味合いを表すものである。また、『そうめんを取り扱う業者が製造したパスタ』が販売されている実情がある。そうすると、本願商標を指定商品に使用しても、需要者は『そうめんを取り扱う業者がつくりはじめたパスタ、そうめんを取り扱う業者がつくったパスタ』程の意味合いを表したものと理解するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における手続の経緯
当審において、平成27年12月18日付け証拠調べ通知書により、そうめん製造販売者のことを「そうめん屋さん」、「素麺屋さん」、「そうめん屋」と称している事実、そうめん製造販売者がそうめんの手延べ製法を使ってパスタを製造している事実及びそのパスタと共にパスタソースが販売されている事実に加え、様々な食品について、「○○屋さんがつくった(作った)△△」の語句が商品の広告、包装において使用されている事実、麺類について、「創る」、「創ります」の語が使用されている事実が見いだせるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、請求人に対し、別掲2に示すウェブサイト情報を提示し、意見を求めたところ、請求人は、同28年2月1日付けで意見書を提出した。
4 請求人の意見
請求人は、上記3の通知書に対し、以下を要旨とする意見を述べた。
(1)本願商標は、「そうめん屋さんが」の文字と「創ったパスタ」の文字を二行に縦書きし、「創」の文字の右側に「つく」の平仮名を小さく表示してなるものであるが、「つく」の文字が振り仮名の如く非常に小さく表示され、かつ、「そうめん屋さんが」と「創ったパスタ」の文字が同書・同大・同色で表示されており、これらがまとまりよく一体に構成されている。
(2)本願商標は、「そうめん製造業者」、「そうめん販売業者」、「そうめん屋」、「そうめん屋さん」などの中からあえて「そうめん屋さん」の文言を選択し、かつ、「つくった」、「作った」、「創った」、「造った」、「製った」などからあえて「創った」の文言を選択し、左と右の段において和と伊の対比、字面の柔らかさと固さの対比をしたユニークな商標である。このような文言を商標的に使用する点においても大変ユニークなものであり、十分に識別力を有するものである。
(3)本願商標の「そうめん屋さんが/創ったパスタ」の文言を使用した例及び本願商標のように同書・同大・同色で二行にわたる態様での使用例はひとつもない。
(4)「○○屋さんがつくった(作った)△△」の語句の使用の事実は、わずか6例にすぎず、いずれも商品の説明に使用されているにすぎないから、商標的な使用とまではいえない。
(5)本願商標を登録しても当業者の不利益や需要者の不利益など公益には何ら反しない。
(6)本願商標と似た構成の商標が登録されている事実がある。
以上のとおり、本願商標は十分に識別力を有するので、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「そうめん屋さんが」の文字と「創ったパスタ」の文字を二行に段違いに縦書きし、「創」の文字の右側に「つく」の平仮名を小さく表示してなるものである。
ところで、別掲2(1)のとおり、そうめん製造販売者が自らのことを「そうめん屋さん」、「素麺屋さん」、「そうめん屋」と称している事実が認められ、また、別掲2(2)のとおり、そうめん製造販売者がそうめんの手延べ製法を使ってパスタを製造している事実及びそのパスタと共にパスタソースが販売されている事実も認められる。
加えて、別掲2(3)のとおり、様々な食品について、たとえば「そうめん屋さんが作った中華麺」「和菓子屋さんがつくったロールケーキ」のように、本業を離れて製造販売する商品(△△)の広告、包装において、「○○屋さんがつくった(作った)△△」の語句を使用している事実が数多く認められる。
また、本願商標の構成中、「創った」の文字部分は、「創」の漢字が「新しくはじめる。はじめてつくる。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版 DVD−ROM版」)の意味を有し、請求人も自認するように、「創造した」や「はじめてつくった」程の意味合いを容易に理解させ、さらに、別掲2(4)のとおり、オリジナル、特注の麺類について、「創る」、「創ります」の語が一般に使用されている事実も認められる。
以上のとおりの事実から、本願商標に接する取引者、需要者は、「そうめんの製造販売者が創造した(はじめてつくった)パスタ」程の意味合いを理解するにとどまるとみるのが相当であって、本願商標は、その指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書及び上記4の意見において、本願商標について、「そうめん屋さんが」の文字と「創ったパスタ」の文字を二行に縦書きし、「創」の文字の右側に「つく」の平仮名を小さく表示してなるものであることに加え、「つく」の文字が振り仮名の如く非常に小さく表示され、かつ、「そうめん屋さんが」と「創ったパスタ」の文字が同書・同大・同色で表示されており、まとまりよく一体に構成されているものであること、また、「そうめん製造業者」、「そうめん販売業者」、「そうめん屋」、「そうめん屋さん」などの中からあえて「そうめん屋さん」の文言を選択し、かつ、「つくった」、「作った」、「創った」、「造った」、「製った」などからあえて「創った」の文言を選択し、その左と右の段において、「そうめん」という和の食材と「パスタ」という伊の食材の対比と字面(印象)の柔らかさと固さの対比をしたユニーク(特徴的、創造的、個性的)な商標であり、このような文言を商標的に使用する点においても大変ユニークなものであることから、十分に識別力を有するものと主張する。
しかしながら、本願商標のように、文字を二行に段違いに縦書きすること、及び、ルビとして平仮名を小さく表示することは、指定商品の分野を含め一般的に行われていることといえ、本願商標は、その構成態様において特殊なところはないものである。
さらに、本願商標を構成する各語は、上記(1)のとおり、いずれも指定商品の分野を含め食品分野において一般に使用されているものであり、その各語の組合せ、順序にも特殊なところはないから、本願商標に接する取引者、需要者が上記意味合いを理解するにとどまるとみるのが相当であって、本願商標は、その指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
イ 請求人は、本願商標を登録しても当業者の不利益や需要者の不利益など公益には何ら反しないと主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ないものであり、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録する
ことができない。
ウ 請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、登録例を挙げているが、いずれも本願商標とは、商標の構成態様を異にするものであって、出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるものであるから、他の登録例等の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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