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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−26814(T2014−26814/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「小鯛ささ漬」の文字を標準文字で表してなり,第29類「レンコダイのささ漬」を指定商品として,平成25年7月3日に団体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,『小鯛ささ漬』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ,福井県小浜市の名産品で,黄鯛の幼魚を三枚におろし,うす塩と酢に漬け,笹の葉を添えて,小さな杉樽に詰めて作られるものが『小鯛笹漬け』『小鯛の笹漬け』『小鯛のささ漬け』『小鯛ささ漬』『小鯛ささ漬け』のように呼ばれており,多くの業者によって販売されている状況が把握できる。このため,本願商標は,全体として『レンコダイ(黄鯛)の幼魚(小鯛)を塩及び酢で漬け,笹の葉を添えたもの』であると理解させるから,これを指定商品に使用しても,単に商品の品質,原材料,生産方法を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において,請求人に対し,平成27年6月24日付けで,別掲1のとおりの内容を示した上で,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の審尋をし,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は,前記3の審尋に対して,平成27年7月29日付けの回答書において,要旨以下のように述べている。

(1)「小鯛ささ漬」の商標は,昭和45年に登録第84968号(審判注:登録第849358号の誤記と認める。)として商標登録を受けている。このことは,昭和45年の登録時には,「小鯛ささ漬」の商標は自他識別性等の登録要件を具備していたことを示している。

(2)本願商標は,請求人又は構成員によって長年にわたって実質的に独占使用されてきたものである。それを示す事実として,「小鯛ささ漬の原材料」となる連子鯛は,請求人又は構成員がまとまった量を大量発注しており,「小鯛ささ漬」の生産は,請求人又は構成員によって独占されている。したがって,審尋において挙げられているように,請求人又は構成員以外の者によって「小鯛ささ漬」が生産されているとしても,その生産量はきわめて微少なものと推測する。

(3)「小鯛ささ漬」は若狭小浜地域の名産品であるが,近年,低品質な類似品を「小鯛ささ漬」と銘打って販売する請求人又は構成員以外の事業者が目立つようになってきている。本願が拒絶されれば,雑多な事業者が低品質の「小鯛ささ漬」を市場に氾濫させることになり,若狭小浜地域の名産品の一つが失われ,地域産業の衰退につながる。商標法の精神からみても,本願商標は登録されるべきである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,「小鯛ささ漬」の文字を標準文字で表してなり,第29類「レンコダイのささ漬」を指定商品とし,団体商標として登録出願されたものである。

ところで,団体商標として商標登録出願されたものであっても,登録商標として求められる自他商品の識別機能の必要性は,通常の商標登録出願と変わるところはなく,単に商品の産地,品質等を表示すると認識されるものからなる商標については,自他商品識別標識としての機能を有しないものとして,商標法第3条第1項第3号に該当し,商標登録を受けることができないものと解すべきである。

これを本願についてみるに,本願商標は,上記のとおり,「小鯛ささ漬」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「小鯛」の文字は「小さな鯛。または,鯛の幼魚。」(株式会社三省堂 大辞林第三版)を意味する語であり,また,「ささ漬」の文字は,「【笹漬】三枚におろした魚を酢・塩でしめ,笹の葉と一緒に漬けたもの。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語であることからすれば,本願商標は,全体として「小さな鯛を三枚におろし,酢・塩でしめ,笹の葉と一緒に漬けたもの。」の意味合いを容易に理解させるものである。

そして,実際に,請求人の提出に係る資料(資料7)及びインターネット情報(後掲1)によれば,「小鯛ささ漬」「小鯛のささ漬け」等の文字が,「キダイ(レンコダイ)を三枚におろし酢締め小樽に笹の葉とともに詰めたもの」を表すものとして使用されている事実が認められる。

そうすると,本願商標をその指定商品に使用するときは,「小さな鯛(キダイ(レンコダイ))を三枚におろし,酢・塩でしめ,笹の葉と一緒に漬けたもの。」の意味合いを認識させるにとどまり,単に商品の品質,原材料,生産方法を表示するにすぎないから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

なお,平成27年6月24日付けの審尋において,別掲1のとおり,本件商標の商標法第3条第2項の該当性について言及し,資料の提出を促したが,請求人は,本願商標はその構成文字自体が自他商品の識別標識を有する旨主張し,同項の該当性を否定している。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,「『小鯛ささ漬』の商標は,昭和45年に登録第84968号(審判注:登録第849358号の誤記と認める。別掲2。)として商標登録を受けている。このことは,昭和45年の登録時には,『小鯛ささ漬』の商標は自他識別性等の登録要件を具備していたことを示している。」旨主張する。

しかしながら,請求人の構成員が取得した上記登録第849358号商標は,別掲2のとおり,その構成中に,「小鯛ささ漬」の文字のみならず,他の文字や図形等の構成要素をも有するものであるから,上記登録例をもって,「小鯛ささ漬」の文字が,自他商品識別標識としての機能を有するものということはできない。

イ 請求人は,「本願商標は,請求人又は構成員によって長年にわたって実質的に独占使用されてきたものである。それを示す事実として,『小鯛ささ漬の原材料』となる連子鯛は,請求人又は構成員がまとまった量を大量発注しており,『小鯛ささ漬』の生産は,請求人又は構成員によって独占されている。したがって,審尋において挙げられているように,請求人又は構成員以外の者によって『小鯛ささ漬』が生産されているとしても,その生産量はきわめて微少なものと推測する。」旨主張する。

しかしながら,請求人又は構成員が,大量のレンコダイを発注しているとしても,その事実をもって,請求人又は構成員が本願商標を長年にわたり独占使用されてきたことが証明されるものではない。また,本願商標をその指定商品に使用するときは,商品の品質等を表示するにすぎず,自他商品の識別機能としての機能を果たし得ないことは上記(1)で述べたとおりであるところ,当該事実をもって,本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るかの判断に影響を及ぼすものでもない。

ウ 請求人は,「『小鯛ささ漬』は若狭小浜地域の名産品であり,低品質な類似品を『小鯛ささ漬』と銘打って販売する請求人又は構成員以外の事業者が目立つようになってきている。本願が拒絶されれば,雑多な事業者が低品質の『小鯛ささ漬』を市場に氾濫させることになり,地域産業の衰退につながりかねない。商標法の精神からみても,本願商標は登録されるべきである。」旨主張する。

しかしながら,仮に「小鯛ささ漬」が若狭小浜地域の名産品であるとしても,上記(1)で述べたとおり,本願商標をその指定商品に使用するときは,商品の品質等を表示するにすぎず,自他商品の識別機能としての機能を果たし得ないものと認められるから,この主張は採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおりであるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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