Trademark Appeal Case
スポーツ大臣商標の誤認性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−4723(T2015−4723/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「スポーツ大臣」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー,ココア,コーヒー豆,茶,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」を指定商品として、平成25年9月20日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『スポーツ大臣』の文字を書してなるところ、その構成中の『スポーツ』の語は、国民一般がそれぞれの目的をもって取り組み、かつ、親しまれているものといえ、また、『スポーツ』の語を含む『スポーツ・青少年局』が文部科学省内に実際に存在し、これは、『スポーツの振興』等を目的として、国際競技力の向上に関する施策に取り組んでいるものであり、国を挙げて『スポーツの振興』に力を注いでいるといえるものである。また、その構成中の『大臣』の語は、行政組織のために置かれる国の行政機関の長であって、一般に○○大臣と名称の末尾に『大臣』の文字を付したものは、国の行政機関の長の名称を表したものと理解される場合が少なくない。そうとすると、『スポーツ大臣』の文字からなる本願商標をその指定商品について使用した場合、『スポーツに関する行政事務を管理する大臣』の名称の如く、需要者を誤信させるおそれが少なからずあるというのが相当であるから、かかるものを商標として採択、使用することは、国家行政への信頼を損ねるおそれがあり、社会公共の利益に反するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲1のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)国務大臣の数が厳格に定められ、かつ、国の行政機関における「省」の長のみが大臣と明確に定められている現状を鑑みると、たとえ国の行政機関であっても「省」ではないものの長を「大臣」と認識するとは理解され難い。
(2)文部科学省の外局として置かれた「スポーツ庁」においても、「庁の長は長官」とする、という原則を順守するものであり、「スポーツ庁」の語が、ただちに「大臣」との関連が連想されるものではない。
(3)証拠調べ通知で示された新聞記事は、いずれもスポーツ省ではなく、スポーツ庁ができることを紹介する記事であり、また、これら新聞記事によりスポーツ庁の長は「長官」であることが広く国民に知れ渡ったものといえる。
(4)証拠調べ通知で示された新聞記事からは、「五輪担当大臣」、「オリンピック担当大臣」が新設された事実が理解されるだけであり、これらの意味を全く有しない「スポーツ大臣」なるものが新設されたと誤認することはない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「スポーツ大臣」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「スポーツ」の文字は、「陸上競技・野球・テニス・水泳・ボートレースなどから登山・狩猟などにいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛錬の要素を含む身体運動の総称。」の意味を有するものであり、また、「大臣」の文字は、「国務大臣または各省大臣の称」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有するものである。
そして、証拠調べ通知で示したとおり、「大臣」は、国の行政機関として設けられた各省の長の名称に用いられているものであり、総務大臣、文部科学大臣などそれぞれの省名を冠して示される公的な名称として、広く知られているものである。そして、別掲2のとおり、各省の大臣から許認可や賞を受けた商品には「○○大臣認定」、「○○大臣指定」、「○○大臣賞受賞」などのように、その商品の品質の優位性を表すための表示として使用されている実情がある。このように「大臣」の文字は、実際の取引において、商品について行政機関による公的な基準や規格等を満たしていることや、優れた商品として認められたということを示す表示としても使用され、これに対する取引者、需要者の信頼も大きいものといえる。
ところで、我が国には、スポーツ省という名称の行政機関はなく、スポーツ大臣という大臣も存在していない。しかし、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、平成27年10月1日に文部科学省の外局としてスポーツ庁が設置されたことから、スポーツに関する行政機関が存在することは一般に知られているものである。
そして、別掲3のとおり、諸外国において、「スポーツ大臣」という名称の大臣が存在することが新聞記事等に掲載されており、広く一般に知られているものといえる。
してみれば、行政機関名の一部である「スポーツ」の文字と公的名称として用いられる「大臣」の文字からなる「スポーツ大臣」の文字からは、スポーツに関する行政機関の大臣という観念を想起させるものである。
そうとすると、「スポーツ大臣」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用したときは、「スポーツに関する行政機関の長」を示す公的な名称であるかの如く、需要者を誤信させるおそれがあるというべきであるから、かかるものを商標として採択、使用することは、国家行政への信頼を損ねるとともに、商取引の秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、前記4のとおり、国の行政機関における「省」の長のみが大臣と明確に定められていることから、たとえ国の行政機関であっても「省」ではないものの長を「大臣」と認識するとは理解され難く、また、「スポーツ庁」の長は「長官」であって「スポーツ大臣」なるものが新設されたと誤認することはない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、諸外国において「スポーツ大臣」が存在し、それについて新聞記事等で紹介されていることや、我が国においてもスポーツに関する施策を担当する行政機関が存在し、「大臣」の文字が公的名称として用いられている実情などを総合的に勘案すると、「スポーツ大臣」の文字からは、「スポーツに関する行政機関の長」を示す公的な名称であるかの如く、需要者を誤信させるおそれがあるというべきものである。
イ また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例は、本願商標とは、商標の構成態様等において相違し、事案を異にするものであって、そのような例が存することをもって、本願商標についてした上記認定、判断が左右されるものではない。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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