Trademark Appeal Case
成分名と役務名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−14743(T2015−14743/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、「ポリリン酸」及び「ホワイトニング」の文字を2段に横書きしてなり、第44類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として平成26年10月9日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同27年8月6日受付の手続補正書により、第44類「美容歯科医業,歯の漂白,歯科医業」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ポリリン酸』と『ホワイトニング』の文字よりなるところ、その構成中の『ポリリン酸』の文字部分は『リン酸塩の鎖状の重合体』を意味する語であり、『ホワイトニング』の文字部分は『白くすること。』等の意味を有する語であって、ポリリン酸を使用したホワイトニングが一般に行われていることから、これをその指定役務中『美容歯科医業,歯の漂白等におけるホワイトニング関連役務』について使用したとしても、本願商標に接する者は『ポリリン酸を利用して歯を白くすること』等を想起し、役務の質を表示するものと認識し、自他役務の標識として機能するものと認めることができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における手続の経緯
当審において、請求人に対し、平成28年1月6日付けで、別掲2及び別掲3のとおりの内容を示した上で、要旨以下のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである旨並びに同法第3条第2項の要件を具備するものではない旨の暫定的見解を示した上で審尋をし、期間を指定して、これに対する回答を求めたところ、請求人は、何らの回答もしなかった。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「ポリリン酸」の文字及び「ホワイトニング」の片仮名を普通の書体で2段に横書き(「ホワイトニング」の文字は、「ポリリン酸」の文字の2文字目の「リ」の片仮名の下より書き始めている。)してなるところ、その構成中の「ポリリン酸」の文字部分は、「縮合リン酸,リン酸ポリマー.」等を意味するもの(「生化学辞典(第4版)」東京化学同人発行)で、物質の名称といえるものであり、「ホワイトニング」の文字部分は、「歯を白くすること」等を意味するもの(「現代用語の基礎知識2015」自由国民社発行)である。
そして、別掲2に示すインターネット情報によれば、本願の指定役務の分野では、「ポリリン酸」(「ポリリン酸の一種である「ポリリン酸ナトリウム」を含む。)を使用した「歯のホワイトニング」が行われている実情があり、さらに、別掲3に示すインターネット情報によれば、「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」の施術を表すものとして、「ポリリン酸ホワイトニング」の語が使用されている実情がある。
してみると、本願商標は、全体として「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」ほどの意味を認識させるにすぎないといえるものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中の「ポリリン酸を使用した歯の漂白,ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」であることを把握、理解されるにとどまるもの、すなわち、役務の質を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、その指定役務中の「ポリリン酸を使用した歯の漂白,ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」以外の役務に使用するときは、これがあたかも「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」であるかのごとく、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人が代表取締役である株式会社西尾が開発した歯のホワイトニング施術方法に使用する名称であり、該会社はこの施術をライセンスする事業を展開し、現在では700を超える歯科医院が加盟しており、該加盟歯科医院による歯のホワイトニングの業務は、請求人(出願人)からライセンスを受けて行っている業務であるから、加盟歯科医院において使用された結果、需要者が出願人の業務又は出願人からライセンスを受けた者の業務に係る役務であることを認識することができるものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するものである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記主張をするものの、本願商標が使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識するに至ったことを明らかにする証拠の提出を行っておらず、また、当審において職権をもって調査するも、そのような事実を見いだすことはできないから、商標法第3条第2項の要件を具備するものということができない。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「ポリリン酸」の文字及び「ホワイトニング」の片仮名を普通の書体で2段に横書きしたものであるから、その構成態様に特徴があるものではなく、普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、本願商標は、前記3(1)のとおり、これをその指定役務中の「ポリリン酸を使用した歯の漂白,ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」に使用しても、「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」という役務の質を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものであって、自他商品識別力を欠くものというべきである。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、その指定役務中の「ポリリン酸を使用した歯の漂白,ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」以外の役務に使用するときは、これがあたかも「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」であるかのごとく、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、原審では、「ポリリン酸」を「リン酸塩の鎖状の重合体」の意として本願指定役務に係る役務の提供者等が実際に使用している例が一切示されておらず、「ポリリン酸」は一般に認知されているとはいえない物質名であるから、本願商標は、「ポリリン酸」の文字が需要者に認知されていないため、これに接した需要者は、一種の造語として認識するものである旨主張している。
しかしながら、「ポリリン酸」を使用した歯のホワイトニングの施術が一般に行われており、この施術のことを多数の歯科医院において、「ポリリン酸ホワイトニング」と称している事実を踏まえると、本願の指定役務の取引者、需要者に、「ポリリン酸」の語は「歯のホワイトニング用の物質」であることを認識させるものであり、また、本願商標は、「ポリリン酸を使用した歯のホワイトニング」であることを把握、理解されるものとみるのが相当であること、前記3(1)のとおりである。
イ 請求人は、審判請求書において、本願商標は、請求人の会社が開発した歯のホワイトニング施術の名称であり、ライセンスされた加盟歯科医院により使用された結果、需要者が請求人(出願人)の業務又は請求人(出願人)からライセンスを受けた者の業務に係る役務であることを認識することができることから、商標法第3条第2項の要件を具備するものである旨主張している。
しかしながら、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するとはいえないものであって、前記3(2)のとおり、請求人に対し、本願商標が使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識するに至ったことを明らかにする証拠の提出を求めたが、請求人は、相当の期間が経過するも何らの証拠の提出を行っていない。
ウ 以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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