Trademark Appeal Case
原材料表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−21439(T2015−21439/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「さとうきびスクワラン」の文字を緑色で横書きしてなり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年3月31日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同年9月15日受付の手続補正書において、第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,スクワラン配合のせっけん類,スクワラン配合の台所用洗剤,歯磨き,スクワラン配合の薬用化粧品,その他のスクワラン配合の化粧品,香料,薫料,害虫忌避効果または防虫効果を有する芳香剤」及び第5類「スクワラン配合の薬剤,スクワラン配合の害虫忌避剤,スクワラン配合の愛玩動物用害虫忌避剤,はえ取り紙,防虫紙,医療用ラクトース,乳幼児用粉乳」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、緑色で『さとうきびスクワラン』の文字を書してなるところ、サトウキビ由来のスクワランが存在し、スクワランは、クリーム、乳液、ヘアオイルや口紅、アイシャドーなどのメークアップ化粧品をはじめとした多くの化粧品に使用されるもので、スクワランオイル配合のせっけんが通信販売され、スクワランを基剤の一つとした皮ふ疾患を治す軟膏が通信販売される事情を考慮すると、スクワラン配合の化粧品、スクワラン配合のせっけん、スクワランを基剤とする軟膏について『さとうきびスクワラン』という表記はさとうきび由来のスクワランが原料とされた商品というような意味を理解させる表記というべきである。そうすると、本願商標は、指定商品中『スクワラン配合のせっけん類,スクワラン配合の台所用洗剤,スクワラン配合の薬用化粧品,その他のスクワラン配合の化粧品,スクワラン配合の薬剤,スクワラン配合の害虫忌避剤,スクワラン配合の愛玩動物用害虫忌避剤』に使用するときには、さとうきび由来のスクワランが原料とされた商品というような意味を理解させるにとどまり、商品の品質、原材料を表示したものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、前記商品以外の『せっけん類,台所用洗剤,薬用化粧品その他の化粧品,薬剤,害虫忌避剤,愛玩動物用害虫忌避剤』に使用するときは、スクワランを原料とする商品もしくはスクワランを基剤とする軟膏のように商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3項第1項第3号該当性について
(1)本願商標を構成する文字について
本願商標は、前記第1のとおり、「さとうきびスクワラン」の文字を緑色で横書きしてなるところ、その構成中の「さとうきび」の平仮名は「イネ科の多年草。栽培上は二年生の作物。原産地はニューギニア、またはその周辺。最も重要な糖料作物で、キューバ・ハワイなど熱帯各地に大規模に栽培。」される作物を表すもの(「広辞苑第六版」岩波書店発行)であり、「スクワラン」の片仮名は、「アイザメ(Centrophorus)やその他の深海に生息するサメ類の肝油から炭化水素であるスクワレンが得られるが,それを還元して得られる飽和炭化水素である.」を表示するものであり、該物質は「油性原料としてクリーム,乳液,ヘアオイルや口紅,アイシャドーなどのメークアップ化粧品をはじめとして多くの化粧品に使用される.」もの(いずれも「化粧品事典」丸善株式会社発行)である。
そして、「さとうきび」及び「スクワラン」の文字については、以下のとおりの事実が認められる。
(2)「スクワラン」の文字の本願の指定商品における使用について
ア 「化粧品」における使用ついて
(ア)「@cosme」のウェブサイトにおいて、「モイスタージュ リンクルエッセンスミルク(超しっとり)」の見出しの下、「商品説明」の欄に「リンクルケア美容液配合で肌にハリや弾力を与え、乾燥による小じわを目立たなくするミルク。高保湿美容液成分(コラーゲン、スクワラン、ローヤルゼリー)配合により、肌のすみずみまでしっかりうるおい、超しっとり肌をキープします。」との記載がある。
(http://www.cosme.net/product/product_id/10038742/top)
(イ)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「SCローション(エスシーローション・プロ) 460ml」の見出しの下、「商品説明」の欄に「『SCローション(エスシーローション・プロ) 460ml』は、スクワランオイルとコラーゲンローションの二層式の化粧水です。精製度99%以上のスクワランに、低分子コラーゲン、甘草エキスとヒアルロン酸を配合。」との記載がある。
(http://www.kenko.com/product/item/itm_8804788072.html)
(ウ)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「アロエスキンクリーム 220g」の見出しの下、「商品説明」の欄に「『アロエスキンクリーム 220g』は、アロエエキスのほか、コラーゲンやスクワランを配合。」との記載がある。
(http://www.kenko.com/product/item/itm_6511374072.html)
イ 「せっけん類」における使用について
(ア)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「HABA(ハーバー) ピュアルーツ スクワフェイシャルフォーム 100g」の見出しの下、「商品説明」の欄に「『HABA(ハーバー) ピュアルーツ スクワフェイシャルフォーム 100g』は、保湿成分スクワラン、シルク(皮膚コンディショニング剤)配合の洗顔フォームです。」との記載がある。
(http://www.kenko.com/product/item/itm_6924725972.html)
(イ)「男美vs女美」のウェブサイトにおいて、「スクワラン ハーブソープ」の見出しの下、「スクワランハーブソープは、数種類のハーブと、アロエ、海草エキスに天然スクワランを配合し、天日で乾燥させた石けんです。」との記載がある。
(http://suhadabi-club.com/products/detail.php?product_id=31)
(ウ)「Pigeon」のウェブサイトにおいて、「ベビーソープ」の見出しの下、「固形・透明タイプのベビーソープ。お肌の成分に近いスクワラン(皮膚保護成分)、お肌に水分を蓄えるセラミドを配合。」との記載がある。
(http://products.pigeon.co.jp/category/index-35.html)
ウ 「薬剤」における使用について
(ア)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「くすりのインディアン」の頁において「【指定第2類医薬品】ヂナンコーハイAX 2g×20」の見出しの下、「成分・分量」の欄に「添加物として、サラシミツロウ、流動パラフィン、スクワラン、オリブ油、ワセリンを含有します。」との記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/papamama/4987388305216/)
(イ)「大和製薬株式会社」のウェブサイトにおいて、「ヒフケスU(医) [第2類医薬品]」の見出しの下、「主成分」の欄に「硝酸エコナゾール、尿素、塩化ベンゼトニウム、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルレチン酸、スクワラン」との記載がある。
(http://taiwa-p.co.jp/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%97%85%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%83%93/%E3%83%92%E3%83%95%E3%82%B1%E3%82%B9%EF%BD%95/)
(ウ)「日野薬品工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「外皮用薬 ノリアス20α」の見出しの下、「成分・分量」として「添加物としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート60、グリセリン、プロピレングリコール、パラベン、ステアリルアルコール、セタノール、パラフィン、流動パラフィン、カルボキシビニルポリマー、ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、トリエタノールアミンを含有します。」及び「特徴」として「基剤にスクワランを配合した尿素20%タイプの皮膚軟化剤です。」との記載がある。
(http://www.hinoyakuhin.co.jp/products/skin/nori.html)
(3)「サトウキビ」由来の「スクワラン」について
ア 「ALL HAND SPA ACADEMY」のウェブサイトにおいて、「サトウキビ由来のBIOHEAL オーガニックスクワラン」の見出しの下、「サトウキビ由来の天然スクワラン」の項目に「『ビオヒール』オーガニックスクワランは、サトウキビ由来の100%スクワランオイルです。」との記載がある。
(http://all-hand.net/news/2014/02/09/806/)
イ 「THE FARM」のウェブサイトにおいて、「W COCO MORINGA OIL」の見出しの下、「奇跡の木と呼ばれるモリンガの種子からとれたオイル。植物油の中で最高の酸化安定性。エモリエント。植物性スクワラン(サトウキビ由来)、医薬部外品への配合も認められているオーガニックサトウキビから抽出されたスクワラン。」との記載がある。
(http://wthefarm.jp/coconut/03.html)
ウ 「あぶら屋ヤマケイ」のウェブサイトにおいて、「マッサージオイル・石鹸材料」の見出しの下、「植物スクワラン(さとうきび由来) 1L プッシュポンプ付」の項目に「サトウキビ由来のスクワランです。化粧品原料として、お使いいただけます。」との記載がある。
(http://yamakei.b-smile.jp/products/list.php?category_id=189)
エ 「G&A tea cosmetics」のウェブサイトにおいて、「純度99.9% 高品質保湿オイル オーガニック スクワラン」の商品の紹介で、「ジーアンドエーのスクワランの特徴」の見出しの下、「サトウキビから作られたスクワラン」との記載がある。
(http://www.ujino-hana.co.jp/squalane.html)
オ 「幸書房」のウェブサイトにおいて、「最新油脂事情」における「2011.09.20」に掲載の記事で「日光ケミカルズが『シュガースクワラン』の販売を開始」の見出しの下、「日光ケミカルズは、米国のリニューアブル(再生可能)製品開発企業でアミリス(Amyris)社が製造するサトウキビ由来の高純度スクワラン『NIKKOL シュガースクワラン』を化粧品原料として発売を開始した。」との記載がある。
(http://www.saiwaishobo.co.jp/yushi/?time=20110920163025JST&&cate[]=0)
(4)「サトウキビ」由来の「スクワラン」の本願の指定商品における成分としての使用について
ア 「こだわりコスメ 天使の森」のウェブサイトにおいて、「ジャパンビューティプロダクツ スクワラン80 美容液スティック 2本セット」の見出しの下、「さとうきび由来のスクワラン 80% 配合」との記載がある。
(http://tenshinomori.jp/shop/2607)
イ 「AFP BB NEWS」のウェブサイトにおいて、2016年3月11日付け記事で「『RMK』選べる3種のクレンジング、4月1日発売」の見出しの下、「スキンケアの最も大切なステップであるクレンジング。新成分にエモリエント効果のあるサトウキビ由来のスクワランとオリーブオイルを配合し、使い心地や効果によって選べるバーム、オイル、ミルクの3種をラインナップした。」との記載がある。
(http://www.afpbb.com/articles/-/3078274)
ウ 「CAMERON & GABRIEL」のウェブサイトにおいて、「高濃縮ナイトリペア美容液『セラフィム』」の見出しの下、「全配合成分のご案内」の項目に「・スクワラン(サトウキビ由来)」として「鮫由来とオリーブ由来のスクワランもありますがセラフィムではサトウキビ由来のものを使用しています。」との記載がある。
(http://www.cameron-gabriel.co.jp/hpgen/HPB/entries/21.html)
エ 「エステティック通信」のウェブサイトにおいて、2015.10.05の記事で「CBSより美容液オイルが新発売」の見出しの下、「『クリアビー アミュレットオイルSQC』は、皮脂の構成要素であるサトウキビ由来のスクワランオイルや皮脂の構成要素の60%を占めるオレイン酸を多く含むカメリアオイル(椿油)を独自配合。」との記載がある。
(http://www.esthe-news.jp/posts/8396)
オ 「ハイム化粧品」のウェブサイトにおいて、「マッサージクリーム」の見出しの下、「サトウキビ由来のスクワランを45%も配合し、伸びが良いリッチな使い心地。」との記載がある。
(https://www.heim-cosmetic.com/item/1100000101925.html)
カ 「bleu clair organics」のウェブサイトにおいて、「ティートリーモイストソープ(化粧石けん)」の商品の紹介で「全成分」の見出しの下、「◆スクワラン:ブラジル産サトウキビ由来」との記載がある。
(https://www.blcl.jp/products/detail14.php)
(5)小括
上記(2)ないし(4)の事実から、「スクワラン」は本願の指定商品中の「化粧品,せっけん類,薬剤」の原材料として使用されており、「スクワラン」にはサメの肝油由来のもののみならず、「サトウキビ」を由来とするものが存在し、さらには、「サトウキビ由来のスクワラン」が「化粧品」等の原材料に使用されていることが認めらる。
してみると、「さとうきびスクワラン」の文字は、「サトウキビ由来のスクワラン」であることを、容易に把握、理解させるといえるものであるから、本願商標を「スクワランを使用した商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「サトウキビ由来のスクワラン」を原材料に使用している商品であることを認識するにとどまるものというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その指定商品中の「スクワラン配合のせっけん類,スクワラン配合の台所用洗剤,スクワラン配合の薬用化粧品,その他のスクワラン配合の化粧品,スクワラン配合の薬剤,スクワラン配合の害虫忌避剤,スクワラン配合の愛玩動物用害虫忌避剤」に使用しても、「サトウキビ由来のスクワラン」という商品の原材料を認識させるにすぎないものといわなければならない。
また、本願商標は、緑色で横書きしてなるものであるが、該色彩が自他商品の識別力を発揮するほどに特徴的なものであるとはいえないことから、普通に用いられる方法により表されたものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張
(1)請求人は、スクワランは、サメの肝油から抽出されたもので、通常、サトウキビを原料とするとの認識はなく、また、サトウキビとの関係では、サトウキビが原料ではなく糖液が原料とされるものであるから、「さとうきびスクワラン」はサトウキビを原料とするスクワランとの意味を示すものではなく、「さとうきびスクワラン」は商品の品質、原材料を表示したものとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記1(3)及び(4)に示した事実を踏まえれば、サトウキビを原料とするスクワランは、一般に認識されるものといい得るものであって、それが使用された商品の紹介においては、サトウキビの糖液を原料にしているものであるとの記載ではなく、サトウキビを由来とするスクワランであるとの記載が一般的であるといえることからすると、本願商標は、「サトウキビ由来のスクワラン」であることを容易に認識させるものであるとみるのが相当である。
(2)請求人は、サトウキビ由来の糖液を用いたスクワランは、サメ由来スクワラン及びオリーブ由来スクワランと同等の品質ではあるが、これらは従来のものに比して優れたものではなく、このことからスクワランに関してその取引者及び需要者が、糖液原料、サメ原料及びオリーブ原料の別を認識して取引するものではない旨主張する。
しかしながら、商標が品質表示等であるか否かについては、その商標が商品に使用された場合における取引者及び需要者の一般的な認識に基づき判断されるものであり、商品の品質の優劣により判断されるものではない。そして、本願商標は、上記1(2)ないし(4)によれば、取引者及び需要者に「サトウキビ由来のスクワラン」であることを容易に認識されるとみるのが相当である。
(3)請求人は、「さとうきびスクワラン」は、本願の指定商品の業界において、商品の品質や原材料を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実はない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当するためには、本願商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者によって、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるとされているところ、本願商標は、上記1のとおり、取引者及び需要者に「サトウキビ由来のスクワラン」であるという商品の原材料を表示するものと認識されるといえるものである。
(4)請求人は、商品の品質や原材料を示すと思われる部分を含む商標が、商品の品質等を直接的かつ具体的に表示したものとはいえず、その構成文字全体として自他商品の識別標識として機能しうるとされた判断例が多数存在する旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定商品との関係及び該商標が使用される商品の取引の実情を踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、「さとうきび」の平仮名と「スクワラン」の片仮名を一連に表した「さとうきびスクワラン」が、その指定商品に使用された場合における同号該当性を判断するものである。そこで、請求人の主張する過去の判断例をみると、これらはいずれもその構成態様が本願商標とは全く異なるものであり、かつ、指定商品を異にするものも含まれているものであり、事案を異にするものといえるものであることから、これらの判断例より本願商標の認定、判断が左右されるものではない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)とおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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