sokuhyo

Trademark Appeal Case

略語の記述性と要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−685023(T2015−685023/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1177915号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第1177915号商標(以下「本件商標」という。)は,「NXT PP」の欧文字を表してなり,2013年(平成25年)5月27日にGermanyにおいてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成25年7月18日に国際商標登録出願され,第1類「Artificial resins and plastics,unprocessed;thermoplastic plastics,as compounds,included their components,included in this class;all aforementioned goods in particular containing silane and/or fiber glass and/or polypropylene.」を指定商品として,同27年5月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

国際登録第801543号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなるものであり,第9類「Lenses for spectacles and lenses for sunglasses.」については,2002年(平成14年)9月19日にItalyにおいてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2003年(同15年)1月16日に国際商標登録出願され,同16年1月9日に設定登録されたものであり,また,第17類「Plastic materials in the form of liquid resins;plastic sheeting for agricultural purposes,metal foil for insulation,bars,blocks,rods,balls,flexible pipes not made of metal for construction purposes.」については,2013年(平成25年)3月1日に国際商標登録出願(事後指定)され,同年11月8日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,商標法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標について

ア 本件商標は,「NXT PP」の欧文字を表してなるところ,その構成中,「PP」の文字は,その指定商品との関係においては,「Polypropylene(ポリプロピレン)」の略語であると容易に認識できる。

したがって,「PP」の文字は,本件商標の指定商品との関係においては,商品の品質を表示する部分であるから,本件商標の要部は「NXT」の文字である。

よって,本件商標は,「エヌエックスティー」の称呼のみが生じ,「NXT」の文字は,英和辞書などには掲載されている語ではなく,造語であると考えられるので,「ポリプロピレン」に関連するものであろうことは想像し得るが,特定の観念は生じない。

イ 本件商標権者のウェブサイトにある製品データベースの製品名に「NXT PP」の文字を入力して検索すると,11件ヒットする(甲3)。

いずれも製品タイプの欄には「・・・NXT PP−B・・・」若しくは「・・・NXT PP−H・・・」と表示される。

製品のベースとなるポリマーが「PP COPO(Polypropylene Heterophasic Copolymer/ポリプロピレン ヘテロファジック コポリマー」であれば「PP−B」であり,「PP HOMO(Polypropylene Homopolymer/ポリプロピレンホモポリマー)であれば「PP−H」と表示されている。

ちなみに,ポリプロピレンは,ホモポリマー(PP−H),ブロックコポリマー(PP−B),ランダムコポリマー(PP−R)に分類され,ブロックコポリマーは,インパクトコポリマーや異相共重合体(heterophasic copolymer)とも呼ばれることから,この「PP−B」や「PP−H」の表示は,ベースとなるポリマーの名称であることがわかる(甲4ないし甲5)。

よって,本件商標の「PP」の文字は,ポリプロピレンを表していることが明らかである。

また,本件商標は,その使用態様をみると,一連一体ではなく,「NXT」の文字は,「PP」の文字とは独立して看取されるべきものであるという本件商標の商標権者の意図をうかがうことができる(甲6及び甲7)。

ウ 上記に述べたとおり,本件商標の「PP」の文字部分は,「ポリプロピレン」を意味し,商品の品質を表示するものである。

したがって,本件商標は,「NXT」の文字部分を要部とするものであり,当該文字から「エヌエックスティー」の称呼が生ずるものである。

(2)引用商標について

ア 引用商標は,別掲のとおりの態様であるところ,その構成文字から「エヌエックスティー」の称呼が生ずるものである。

「NXT」の文字は,英和辞書などには掲載されておらず,申立人の創作に係る造語であるので,特定の観念は生じない。

イ 申立人の「NXT」の文字は,優れた耐衝撃性を発揮する透明プラスチック素材であり,1990年代に軍事目的のためにアメリカで行われた開発プロジェクトから生まれた。

申立人は,オプティカル分野に応用すべくその成果を受け継ぎ,それまでのプラスチック素材では不可能だった軽さと強度を持ち,さらにゆがみのない光学特性を実現したマテリアルである「NXT」ポリマーの開発に成功した。

「NXT」は,現時点において入手可能な他の透明プラスチック素材の限界を超える革新的な性能を発揮する素材で,申立人のみが独占的に供給できる素材である(甲8)。

Googleで「NXT素材」で検索してみると,上位100件のうち7件以外は全て,申立人の製品に関する記事であり(甲9),「NXT」の文字が申立人の独占に係る素材及びそれを使用したレンズの名称であることは,プラスチック業界においては周知の事実であることは明らかである。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は,共に「エヌエックスティー」の称呼を生ずるから,称呼において類似の商標である。

本件商標も引用商標も共に「NXT」の文字を共通にするから,時と所を異にした場合に,商標に接する需要者及び取引者が,両商標を混同するおそれは十分にあり得るので,本件商標は,外観においても引用商標に類似する。

「NXT」の文字は,英和辞書には掲載されていない語であるので,造語と認識される。

よって,本件商標からも引用商標からも特定の観念は生じないので,観念においては比較することはできない。

本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品中「Plastic materials in the form of liquid resins」に類似する。

(4)むすび

上記のとおり,本件商標は,引用商標と類似のものであり,また,その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は,前記1のとおり,「NXT PP」の欧文字を表してなるところ,その構成は,「NXT」と「PP」との間に半角程度のスペースを有するとしても,同じ書体,同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものである。

そして,「PP」の文字が,「ポリプロピレン(polypropylene略称」(甲5)を意味するものと理解される場合があるとしても,「NXT PP」の欧文字を全て大文字で一体的に表した本件商標に係る構成においては,「PP」の文字部分が,「ポリプロピレン(polypropylene)」の略称としてのみ把握されるものとはいえず,その構成文字全体をもって一体不可分の造語として認識され,取引に資されるとみるのが自然であり,他に,その構成中の「NXT」の欧文字のみが独立して認識されるものとみるべき特段の事情は見いだせない。

また,欧文字からなる商標の称呼については,特定の称呼を生じる既成語,あるいは,音節が形成されるようなものは別として,通常は一字毎に区切って発音される実情にあるといえるものであり,本件商標は,欧文字を綴り合わせて一連の成語を形成するものではなく,アルファベット文字を羅列してなるものであるから,その構成各文字から「エヌエックステイピーピー」の称呼を生ずるものである。

そうとすれば,本件商標は,「エヌエックステイピーピー」の称呼を生じ,観念を生じないものである。

イ 引用商標について

引用商標は,別掲のとおりの構成態様からなるところ,左の文字が「n」を,また,右の文字が「t」を表したものとみることができるとしても,その間に表された「く」と思しき形状を背併せにして特異なデザインを施した態様の部分からは,これに接する者に,直ちにいかなるものを表したものであるかを,理解,認識させるものということができない。

そうとすれば,引用商標は,一種の図形を表したものとみるのが自然であるから,これからは,称呼及び観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,本件商標は,「NXT PP」の欧文字からなるのに対し,引用商標は,別掲のとおり,中央部分において,外観上の顕著な特徴を有する構成態様からなるものであるから,両商標は,その構成文字及び態様の差異により明確に区別できるものである。

そして,称呼においては,本件商標は「エヌエックステイピーピー」の称呼を生じるのに対し,引用商標からは称呼が生じないものであるから,両商標の称呼を比較することはできないものであり,両商標は,称呼において相紛れるおそれはないものである。

また,観念においては,本件商標及び引用商標は,いずれも観念を生じないものであるから,観念上,互いに相紛れるおそれはないものである。

してみれば,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点においても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)申立人の主張について

ア 申立人は,「本件商標の構成中,『PP』は,その指定商品との関係においては,『Polypropylene(ポリプロピレン)』の略語である」旨を主張する。

そして,甲第5号証によれば,「ポリプロピレン」について「ポリプロピレン(polypropylene)略語PPは,・・・」の記載があることから,本件商標の構成中の「PP」の文字部分から,「ポリプロピレン(polypropylene)」を想起させる場合があるものといえる。

しかしながら,「NXT PP」と一連一体に表された係る構成においては,該文字部分が,その指定商品の原材料の一つを表したものとして認識され,捨象されて取引に当たるとまではいえないものであり,また,本件商標の構成中の「NXT」の文字部分のみが,その指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとすべき事情も見いだせない。

そうとすれば,本件商標は,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握されるとみるのが自然である。

イ 申立人は,引用商標の構成文字から「エヌエックスティー」の称呼が生ずること,「NXT」が申立人の独占に係る素材及びそれを使用したレンズの名称であることはプラスチック業界においては周知の事実である旨を主張する。

しかしながら,仮に,申立人の引用商標の採択の意図が「NXT」の文字を表すことにあったこと,また,欧文字が様々な形状にデザインされ,表現されることを考慮して引用商標をみても,かかる構成態様では,上記(1)のとおり,看者が,「n」と「t」の間の部分から大文字の「X」を表したものと認識するということはできないから,引用商標から「エヌエックステイ」の称呼が生ずるものということができない。

そして,申立人が提出した「IC−Japan」のウェブサイト(甲8の1)には,引用商標のほかに「NXT」の欧文字が使用され,「NXTポリマー」の開発に成功したこと,また,「NXTレンズ」(甲8の2,甲9)のように,「NXT」の欧文字は,「レンズ」について使用されているといえるとしても,これらのみをもって,引用商標が「NXT」の文字を表したものとして周知であるということはできないし,また,「NXT」が申立人のプラスチック素材及びそれを使用したレンズの名称としてプラスチック業界において周知であるということもできない。

よって,申立人の主張はいずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。