Trademark Appeal Case
「かんたん」の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−14407(T2015−14407/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「かんたんゆかた」の文字を標準文字で表してなり,第25類「ゆかた」を指定商品として,平成26年3月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「かんたんゆかた」の文字を標準文字で表してなるが,その構成中の「かんたん」の文字は,「てがるなこと。」の意味を表す語として普通に用いられており,さらに,商品「ゆかた」を取り扱う業界においては,簡単に着られることを商品の特徴としてあげて,広告,宣伝が一般に行われているとともに,そのような広告、宣伝において,「かんたんゆかた」,「簡単に着られる浴衣」等の文字が広く使用されている実情にある。そうすると,本願商標全体としては,「簡単に着られるゆかた」程度の意味合いを容易に理解,認識させるから,本願商標をその指定商品ついて使用するときは,「簡単に着られるゆかた」ほどの意味合いにおいて,単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審における証拠調べ
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,意見を申し立てる機会を与えるべく,相当の期間を指定して,平成28年1月28日付けで証拠調べの結果を通知したところ,請求人は,同年3月8日に意見書を提出した。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)「かんたん」は多義語であり,「簡単」の他に「感嘆」や「感歎」などの意味を示す語であるから,本願商標の「かんたん」の文字部分が「簡単」を意味するものであると特定することはできず,仮に本願商標の「かんたん」の文字部分が「簡単」を意味するものであるとしても,「簡単」は「行為や動作などに手間がかからない様子」を示す語であり,本願商標に行為や動作を示す用語が含まれていないこと,さらに,ゆかたに関しては着付け以外にも仕立て方,洗い方,シワのとり方,畳み方など様々な面で難しいことが知られていることから,取引者,需要者は「ゆかた」についての何が「簡単」であるのかを認識することはできない。
(2)「着付け」は,「着物をきちんと着せてやること」又は「衣服を体に着せ付けること。主に他人に衣服を着せ付ける場合を指す。」を意味する語であり(甲7の1及び同2参照),ゆかたを「着る」という動作と,ゆかたを「着付ける」という動作とは全く異なる動作であるところ,証拠調べで挙げられた事例においては,「かんたんゆかた」の文字は,「簡単に着られるゆかた」という意味合い又は「簡単に着付けられるゆかた」という意味合いで使用されている場合とが混在しているから,「かんたんゆかた」の文字は特定の品質を示しているということはできない。
(3)したがって,本願商標「かんたんゆかた」は,「簡単に着られるゆかた」というほどの意味合いを直ちに認識,把握させるものではなく,指定商品との関係において,商品の品質を直接的かつ具体的に表示したものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,上記1のとおり,「かんたんゆかた」の文字を標準文字で表してなり,その指定商品を第25類「ゆかた」とするものである。
そして,上記3のとおり,当審が職権で調査したところ,別掲のとおり,「かんたんゆかた」(漢字表記を含む)の文字を「簡単に着られるゆかた」ほどの意味合いで使用している事実,さらに,本願商標の指定商品「ゆかた」と流通経路,販売場所,需要者等を共通にし,これと密接な関係を有する「着物」等を取り扱う和服業界において,「かんたん+○○(着物等の商品名)」(漢字・平仮名表記を含む。)からなる文字を,「簡単に着付けられる○○」ほどの意味合いで使用している事実が認められる。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,本願商標の構成中の「かんたん」の文字部分を,「こみいっていないこと。てがるなこと。てみじか。」を意味する「簡単」(広辞苑第6版)の平仮名表記であると理解し,本願商標「かんたんゆかた」全体として,「簡単に着られる(着付けられる)ゆかた」であるという,商品の品質を表示したものと認識するというのが相当であり,本願商標は,かかる意味合いを表す語として,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,商品「ゆかた」について,一般的に使用される標章であって,商品の出所識別標識としての機能を欠くものであるといわざるを得ない。また,本願商標は標準文字で表されたものであるから,態様上顕著な特徴は認められない。
以上から,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「かんたん」は多義語であり,「簡単」の他に「感嘆」や「感歎」などの意味を示す語であるから,本願商標の「かんたん」の文字部分が「簡単」を意味するものであると特定することはできず,仮に本願商標の「かんたん」の文字部分が「簡単」を意味するものであるとしても,「簡単」は「行為や動作などに手間がかからない様子」を示す語であり,本願商標に行為や動作を示す用語が含まれていないこと,さらに,ゆかたに関しては着付け以外にも仕立て方,洗い方,シワのとり方,畳み方など様々な面で難しいことが知られていることから,取引者,需要者は「ゆかた」についての何が「簡単」であるのかを認識することはできない旨主張する。
しかしながら,「かんたん」の文字から複数の意味を生じる場合があるとしても,本願商標をその指定商品に使用した場合においては,これに接する取引者,需要者は,別掲に示した取引の実情により,本願商標全体として「簡単に着られる(着付けられる)ゆかた」であるという,商品の品質を表示したものと認識するというのが相当であることは,上記(1)のとおりである。
イ また,請求人は,「着付け」は,「着物をきちんと着せてやること」又は「衣服を体に着せ付けること。主に他人に衣服を着せ付ける場合を指す。」を意味する語であり,ゆかたを「着る」という動作と,ゆかたを「着付ける」という動作とは全く異なる動作であるところ,証拠調べで挙げられた事例においては,「かんたんゆかた」の文字は,「簡単に着られるゆかた」という意味合い又は「簡単に着付けられるゆかた」という意味合いで使用されている場合とが混在しているから,「かんたんゆかた」の文字は特定の品質を示しているということはできない旨主張する。
しかしながら,「着付け」は「着物を身に合うようにきちんと着ること。また,着せてやること。」を意味する語であり(広辞苑第6版),また,別掲のとおり,「着付け(着つけ)」の文字は,着物等を自身で着る場合及び他人に着させる場合で特に区別することなく使用されている実情もあるから,請求人の主張はその前提を欠くものである。
ウ 請求人は,過去の登録例を挙げて,本件も同様に取り扱われてしかるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた審決例は,いずれも本願商標とは,使用する商品が異なるものであるばかりか,商標の構成態様においても異なるものであるから,事案を異にするものというべきであり,また,過去の登録例が存在することをもって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
エ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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