Trademark Appeal Case
「おもてなし」と国名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−1139(T2015−1139/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として,平成26年1月21日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN』(構成中の『A』の文字がやや図案化されている。)の文字を表してなるところ,その構成中の『O・MO・TE・NA・SHI』の文字は,2020年東京オリンピックの招致活動におけるIOC総会の最終プレゼンテーションにおいて使用された語として広く知られており,また,2013年の流行語としても親しまれているものであり,『JAPAN』の文字部分は,『日本』を意味する語として広く親しまれているものですから,本願商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,東京オリンピックの招致活動で用いられた話題の語と国名とを表示したものと理解するか,あるいは,流行語に便乗したキャッチフレーズを表したものと認識するに止まり,自他商品の識別標識としての機能を有しないものであり,結局,何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,黒色のゴシック体で,「O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN」の文字及び記号を横書きし,その構成中,「JAPAN」の文字部分の2文字目の「A」の文字において,その中央上の空白部を赤色で彩色してなるところ,本願商標の各構成文字を詳細にみれば,「T」,「E」,「S」及び「J」を構成する線の端が斜めに描かれている箇所があり,また,赤色彩色部が円形とおぼしき形状で表されているとしても,各種のレタリング文字が広く使用され,商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては,これらが特殊な態様とはいい得ないものであるから,本願商標の構成態様は,普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが相当である。
そして,本願商標の構成中,「O・MO・TE・NA・SHI」の文字部分は,「客に対する扱い。待遇。客に出す御馳走。接待。人や物事に対する振る舞い方。態度。」(大辞林第3版 株式会社三省堂)の意味を有する「もてなし」の語に,丁寧の意を表す接頭語である「お」を冠し,例えば,相手に対する気遣いとして,「おもてなしの心」,「おもてなしの精神」,「おもてなしサービス」のように使用されている「おもてなし」の語のローマ字表記に中黒(・)を配してなるものと看取されるものであり,これに続く「JAPAN」の文字部分は,「日本」を意味する英語として親しまれたものであるから,本願商標の構成全体からは,「お・も・て・な・し・日本」の語が容易に理解,認識される。
ところで,各種商品の宣伝広告において,平仮名や漢字からなる日本の言葉などをローマ字で表記することは,本願の指定商品の分野も含め広く一般に行われているところ,本願商標と同様に「おもてなし」の語と日本を意味する語とを結合した「おもてなしジャパン」又は「おもてなしニッポン」等の文字が,別掲2のとおり,「日本のおもてなし」や「日本流のきめ細やかなおもてなし」程の意味合いで使用されている実情があるのに加え,「おもてなし」又は「OMOTENASHI」等の文字が,別掲3のとおり,本願の指定商品に関連する食品業界において,商品の宣伝広告に使用されている実情も認められる。
さらに,2013年9月に開かれた2020年東京五輪招致活動の最終プレゼンテーションにおいて,日本社会に根付く歓待の精神を表す「おもてなし」の語が「お・も・て・な・し」と一音一音丁寧に発音して紹介されたことが大きく注目され,本願の指定商品の主たる需要者である一般消費者にも広く認識されるに至ったことは,2013年12月に発表された新語・流行語大賞において,「お・も・て・な・し」の語が年間大賞を受賞したことからもうかがえるものであって,これを受けて,「O・MO・TE・NA・SHI」及び「お・も・て・な・し」の文字が,別掲4のおり,外国人観光客等に向けた観光事業等に使用されていることも認められる。
そうすると,上記のとおりの本願商標を構成する各文字部分が有する語意に,その指定商品に係る取引の実情を勘案し,さらに,「おもてなし」の語を一音一音丁寧に発音した語が流行語となるほど広く知られ,使用されていることをも踏まえれば,本願商標は,これに接する取引者,需要者に,単に日本の歓待の意を表したものと理解され,その指定商品の宣伝広告を表示したものと認識されるにすぎず,自他商品の識別標識としての機能を有するところがないものと判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「本願商標はその構成全体をもってまとまりのよい造語として認識できるものであり,本願の指定商品との関係において『東京オリンピックの招致活動で用いられた話題の語と国名とを表示したもの』あるいは『流行語に便乗したキャッチフレーズを表したもの』と認識されることはない。むしろ,出願人の展開する『O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN』ブランドとして,本願の指定商品の需要者・取引者に対し,自他商品識別機能を十分に発揮するものと思料する。」旨主張する。
しかしながら,上記(1)において述べたとおり,本願商標の構成態様は,「O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN」の文字及び記号を,普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものであって,本願の指定商品を取り扱う業界の実情及びその主たる需要者である一般消費者の認識などに鑑みれば,本願商標をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体をもって,日本の歓待の意を表したものであること,すなわち,商品の宣伝広告を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。
また,本願商標は,例えば,これが継続的に使用された結果,請求人(出願人)の出所に係る商品であることを取引者,需要者が認識できるものとなっているなど,上記と異なる判断をすべき特段の事情を見いだすことができない。
したがって,請求人の主張は,採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。