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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900367(T2015−900367/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5788198号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5788198号商標(以下「本件商標」という。)は,「Cereje」の欧文字と「セレジェ」の片仮名を二段に書してなり,平成27年2月25日に登録出願,同年7月22日に登録査定,第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」のほか,第3類及び第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同年8月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4021429号商標(以下「引用商標」という。)は,「CERES」の文字を書してなり,平成6年8月17日に登録出願,第32類「清涼飲料,果実飲料(但し、トマトジュースを除く。)」を指定商品として,同9年7月4日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標はその指定商品中「第32類 全指定商品」について,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,「Cereje」と「セレジェ」の文字を二段に書してなり,これらの文字に照応して「セレジェ」の称呼が生ずるものである。

他方,引用商標は,「CERES」の文字からなり,該文字に照応して「セレス」の称呼が生ずる。

してみれば,本件商標と引用商標の称呼においては,語尾音の「ジェ」と「ス」の差異しか存在しないことに加え,該差異音はいずれもその前に位置する「レ」の音に吸収され易いばかりか,一般に語尾音は極めて弱く発音され,聴者に強い印象を与え難いことにかんがみると,両称呼を一気一連に称呼した場合,両者は語感・語調が近似し,称呼上相紛れることは明らかである。

そして,本件商標と引用商標の指定商品は,同一又は類似の関係といえるものである。

したがって,本件商標は,引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 申立人及び引用商標について

申立人は,1923年に南アフリカで設立された同国でも有数のフルーツジュース製造販売業者であり,現在は世界中でフルーツジュースの販売を行う法人である。

このような申立人の業務に係るフルーツジュース(以下「申立人商品」という。)は,我が国では,東京都千代田区所在のコルドンヴェール株式会社等によって1993年から現在に至るまで継続的に輸入され,多数の小売店で販売されると共に,申立人からの直接的な卸売りを介して会員制倉庫型店舗であるコストコ等でも広く販売されている(甲3の1)。

そして,申立人商品は,上述のように20年以上も前から我が国にも輸入され,積極的な広告活動がなされた結果,需要者の間でも好評を博しており,そのような需要に応じて2013年には2,600万リットル,2014年には2,200万リットルも輸入された。

上述の状況において,申立人商品の包装容器には,いずれも引用商標が顕著に表されている(甲3の1,2)ことからすると,引用商標は,申立人を指称するいわゆるハウスマークとして十分認知されているのと同時に,これが付された商品は申立人商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く知られているといった事実は容易に理解できるものである。

イ 商標法第4条第1項第15号該当性

(ア)引用商標の周知著名性について

引用商標が遅くとも本件商標が出願・登録された日までに,申立人商品を表示するものとして,我が国の需要者・取引者の間に広く認識されていることは上述したとおりである。

さらには,90年を超える申立人の事業の継続性から,引用商標が申立人自身を指称するいわゆるハウスマークとして機能し,その周知著名性とあいまって,申立人の業務に係る一群の商品を表す,「CERES」なるブランドも既に確立していると考えられるものである。

上述の状況にかんがみると,引用商標は,申立人商品に付される商標として,又は申立人に係る「CERESブランド」の名称として,多角的な面から需要者・取引者に広く認知されており,このような長年に亘る努力の結果得られた業務上の信用を保護するのが商標法制定の趣旨といえるものである。

(イ)本件商標と引用商標等との混同について

本件商標と引用商標との類似性は上述のとおりであり,いわゆる一般的出所の混同という観点からは両者が互いに相紛れるものであることは明白であるが,本件商標から生ずる称呼「セレジェ」は3音という極めて短い音数から構成され,引用商標から生ずる称呼「セレス」とは語頭の2音を共通にするものである。

この点に加え,一般に語尾音は他の音に比して聴取され難いことをも考慮すると,本件商標より生ずる称呼「セレジェ」が発音された場合,需要者・取引者には語頭の「セレ」の音のみが強く印象付けられ,語尾の「ジェ」の音は極めて印象に残り難いことは容易に想像でき,故に本件商標が付された商品「果実飲料」が取引に資された場合,これに接した需要者・取引者をして,正に申立人と経済的・組織的に何らかの関係性を有する者の業務に係る商品であると容易に想起させ得るものであり,具体的な取引の実情という観点からも,本件商標は出所の混同を生じさせかねるものである。

(ウ)小結

したがって,本件商標が付された商品「果実飲料」等が実際の商取引に資された場合,これに接した需要者・取引者は,申立人又は「CERESブランド」を容易に想起又は連想し,申立人又はこれらと営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く,その商品の出所について混同を生じさせる蓋然性は極めて高いものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

(3)むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し商標登録を受けることができないものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標は,上記1のとおり「Cereje」と「セレジェ」の文字からなり,「セレジェ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

イ 他方,引用商標は,上記2のとおり「CERES」の文字からなり,「セレス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

ウ そこで,本件商標と引用商標の類否を検討すると,両者は,外観において構成文字が明らかに異なり,明瞭に区別し得るものである。

次に,本件商標から生じる「セレジェ」と引用商標から生じる「セレス」の称呼を比較するに,両称呼は,語尾において,「ジェ」と「ス」の音の差異を有するところ,「ジェ」の音が濁った音で重く発音,聴取されるものであるのに対し,「ス」の音は舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦子音[s]と母音[u]との結合した音節であって,澄んだ音として軽く発音され聴取される音であるから,かかる差異が共に3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は小さいものとはいえず,それぞれを称呼するときは,全体の語調,語感が相違し,十分に聴別することができるものである。

さらに,観念においては,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念上類似するところのないものである。

そうすると,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきである。

その他,両商標が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標の指定商品中の登録異議の申立てに係る第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」と引用商標の指定商品とが,同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)引用商標の周知性について

申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,申立人の業務に係るフルーツジュース(申立人商品)の包装容器に引用商標(それと同一の文字からなる商標)が表示されていること,及び申立人商品は遅くとも2012年(平成24年)7月頃には我が国において販売されていたことが認められる(甲3の1,2)。

しかしながら,その量の評価はともかく,申立人商品が我が国に2013年(平成25年)に2,600万リットル,2014年(平成26年)に2,200万リットル輸入されたことを裏付ける証左はなく,また,申立人商品の我が国における売上高,シェアなど販売実績を示す主張,証左もないことから,申立人が提出した証拠からは,引用商標が,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

また,同様の理由から,引用商標が申立人を指称するハウスマークとして認知されていると認めることもできない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

前記(2)のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記(1)のとおり,本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれを登録異議の申立てに係る第32類「全指定商品」について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標の指定商品中,登録異議の申立てに係る第32類「全指定商品」についての登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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