Trademark Appeal Case
コア&サテライトの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900236(T2015−900236/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5755679号商標(以下「本件商標」という。)は、「コア&サテライト」の文字を標準文字で表してなり、平成26年12月10日に登録出願、同27年3月16日に登録査定、第36類「投資信託に関する情報の提供,遺言信託の引受け,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供」を指定役務として、同27年4月3日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人は、本件商標について、これをその指定役務中、「コア・サテライト戦略に関連する役務」に使用するときは、単に役務の質を表示した語と認識されるにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記役務以外の指定役務に使用するときは、その役務の質について誤認を生じるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するとして、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、本件商標はその指定役務についての登録が商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるとして、商標権者に対して平成28年2月23日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
1 登録異議申立人の提出に係る証拠(各項の括弧内に掲記)及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)「コア&サテライト」の語の意味について
本件商標は、前記第1のとおり、「コア&サテライト」の文字を標準文字で表してなるところ、株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」によれば、その構成中の「コア」の文字が「ものの中心部、中核、核心」の意味を有すること、また、同じく「サテライト」の文字が「衛星、人工衛星」の意味を有することが記載されており、さらに、上記文字の間に表された「&」は、「・・・と・・・、・・・および・・・」の意味を有する英語の接続詞「and」の略記号として一般に親しまれているものである。
(2)「コア」と「サテライト」を並列的に表示した語の使用状況について
ア 「コア・サテライト」及び「コア・サテライト戦略」の語の使用状況について
(ア)2008年9月21日付け日本経済新聞朝刊15頁には、「資産運用に関して、『コア・サテライト戦略』という言葉をときどき聞くようになりました。どういう意味ですか?」と題して、「運用資産を大きく二つに分け、中心的な部分(コア=核)では安定的な成長を、残りの一部資金(サテライト=衛星)では比較的高リターンを目指して運用する考え方です。こうすることにより資産全体として過度のリスク(ブレ)を取ることを回避しながらリターンの上積みも狙えます。年金基金など機関投資家にはこうした戦略をとる場合が増えています。」と記載されている(甲5の1)。
(イ)2008年1月28日発売「週刊東洋経済 臨時増刊 投資信託ベストガイド」70頁には、「最強の国際分散投資可能に有望な海外EFT続々登場」と題して、「コア・サテライト戦略という言葉を聞いたことがあるでしょうか。資産配分やポートフォリオの核となる投信をコア投信、それをサポートする役割の投信をサテライト投信とする考え方です。サテライト投信はあくまで脇役で配分比率も投資資産全体の5〜10%の範囲内にとどめるのが基本です。」と記載されている(甲5の2)。
(ウ)2007年6月16日発行「100歳までの長期投資−コア・サテライト戦略のすすめ」と題する書籍が発売され、書籍内容の紹介文として、「全体の設計図をきちんと描き、それに基づいていろいろな金融商品を組み立てる―定年後の投資手法として最適な「コア・サテライト戦略」。本書は年金資産の運用で広まったこの手法を投資初心者向けに平易に解説しました。」と記載されている(甲5の3)。
(エ)2011年9月5日付け日本経済新聞朝刊17頁には、「中心か、資金の一部か 位置づけも重要」と題して、「投資評論家の岡本和久さんは『資金の中心(コア)部分は、投資信託を使って国内外の株や債権に幅広く分散して安定的な運用を目指し、資金の一部(サテライト部分)を割安な個別株投資に充ててリターンの上積みを目指す選択肢もある』と話す。『コア・サテライト戦略』と呼ばれる長期投資の手法だ。」と記載されている(甲5の4)。
(オ)2012年10月7日付け「日経ヴェリタス」63頁には、「インデックス連動型はもう古い 進化する米国上場商品、資産配分を適時見直し」と題して、「新興国に投資するなら、主要新興21カ国の株式に投資する『バンガードMSCI・エマージング・マーケッツ』がまず候補となる。ただ同ファンドは中国やブラジルの比率が高く、両市場の値動きに左右されやすい。そこで注目を集めているのが、主要市場のETFを中核的な資産(コア)としつつ、余裕資産の一部(サテライト)を使ってリターンの上積みを狙う『コア・サテライト』と呼ばれる運用戦略だ。」と記載されている(甲5の5)。
(カ)2013年11月の野村アセットマネジメント株式会社の販売用資料「ネクストコア」11頁には、「《(ご参考)資産運用の考え方〜コア・サテライトの紹介〜》」と題して、「資産運用のベースとなる『コア(=核)』部分と、積極的に運用する『サテライト(=衛星)』部分に分けて考えましょう。」と記載され、コア・サテライトのイメージ図が掲載されている(甲5の6)。
(キ)2014年7月6日付け「日経ヴェリタス」4頁には、「進化形その3コア・サテライト戦略 別枠でリスク取る 高リターンや優待も狙う」と題して、「佐久間さんのように、安定的に資産を積み立てる中核(コア)部分と少しリスクをとってでも高いリターンを狙う衛星(サテライト)部分を分けて管理する投資手法を『コア・サテライト戦略』と呼ぶ。機関投資家の間では一般的な投資戦略で、コツコツ投資家にも向いている。」と記載されている(甲5の7)。
(ク)2014年11月16日付け「日経ヴェリタス」61頁には、「FP資格取消し、分散投資」と題して、「この頃から上場投資(EFT)などにも投資を開始。中核(コア)部分と、リスクをとって高リターンを狙う衛星(サテライト)部分を分ける『コア・サテライト戦略』という投資戦略を始めた。12年にはひふみ投信、コモンズ投信などで、日本株の積み立て投資を開始。」と記載されている(甲5の10)。
(ケ)2015年2月26日付け日本経済新聞夕刊5頁には、「低リスクファンドに資金流入『コア・サテライト戦略』普及」と題して、「要因のひとつとして、リスクリターンが小さい『コア(核)ファンド』をポートフォリオの中心に据えて、残りをリスクリターンが大きい『サテライト(衛星)ファンド』に分散投資する投信の『コア・サテライト戦略』が急速に普及していることがあげられる。」と記載されている(甲5の11)。
(コ)2015年3月9日格付投資情報センター発行「ファンド情報 No.192」3頁には、「琉球銀行の戦略『我謝トーク』映像を武器に」と題して、「長期保有で安定収益を確保するためのファンドと、旬なテーマで収益性を追求するファンドに区分するポートフォリオ戦略は、いわゆるコア・サテライト戦略に通ずるものだ。」と記載されている(甲5の12)。
イ 「コア&サテライト戦略」の語の使用状況について
(ア)2012年10月のセゾン投信発行の「お客様へのメッセージ2012 10月号」には、「バランス型投信は魅力的か?〜分散投資は本当に重要か?〜」と題して、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドやeMAXISバランス、マネックス資産設計ファンドなど販売手数料、信託報酬が安いバランス型投信をコア資産、個別投信・銘柄をサテライト資産とし、コア&サテライト戦略で自分に合った資産配分(アセット・アロケーション)を構築し、長期分散投資を心掛けることが個人投資にとって王道ではないでしょうか。」と記載されている(甲6の5)。
(イ)2012年4月2日付け秋田銀行発行の「投資をはじめるときに読む本」には、「Step2資産配分を考える〜コア&サテライト戦略のススメ〜」と題して、「負けにくい投資のためのコア&サテライト戦略 <育てるお金>の中を考えるにあたり提案したいのが『コア&サテライト戦略』です。コア&サテライト戦略とは安定的に運用する『コア』部分と、積極的に運用する『サテライト』部分を分け、投資する資産の役割と分量を考えた投資戦略です。」と記載されている(甲6の9)。
(ウ)2015年3月3日付けゴールドマン・サックス証券株式会社の販売用資料「GS債券戦略ファンド」には、「『コアファンド』へのニーズ増加」と題して、「<コア&サテライト戦略>」の概念図に「『守り=コア』と『攻め=サテライト』の役割を分担する効率的なポートフォリオ運用戦略」、「コアファンド 『守り』の資産であるコアファンドに求められるもの ・長期安定運用に向いた低リスク型運用・市場環境に応じた機動的な運用・金利変動への対応」及び「サテライトファンド 『攻め』の資産であるサテライトファンド」と記載されている(甲6の12)。
ウ 「コアとサテライト」の語の使用状況について
(ア)2008年5月18日付け「日経ヴェリタス」67頁には、「リスク資産の『コア』と『サテライト』」と題して、「コアとサテライトの割合は、個人の事情により異なってきますが、当然、サテライトはコアより小さくあるべきです。もし、資産額が少ない、忙しくて投資に時間をかけられない、投資知識も十分ではない、といった事情があればコアだけでも構いません。反対にサテライトだけだと結局、市場動向を追いかけるだけになりがちで、資産運用上は健全とはいえません。目的はあくまで経済基盤の確立であることをしっかり認識し、コアを中心に運用を考えます。」と記載されている(甲7の1)。
(イ)2009年10月9日付け「AllAbout」には、「投信の攻めと守りのコア・サテライト戦略 コアとサテライトの配分は」と題して、「コアとサテライトの配分は、安定運用を望む方は、コアの資産だけでも、ただし、昨今の先進国の状況をみると、経済が成熟し今後大きな成長は見込めそうにもありません。コアの資産も、ずっと寝かしたままではなく、景気のサイクルによって利益確定をしていくことも必要になってくるでしょう。」と記載されている(甲7の2)。
(ウ)2009年12月11日付けFujiSankeiBusiness i.32頁には、「【万友美流FX】長く付き合い続ける方法 自分なりの心地よい戦略を」と題して、「これは、機関投資家の『コア・サテライト戦略』に通じるものがあるかもしれません。『コア』というのは、ポートフォリオの中核に成る部分です。たとえば株式の個別銘柄でポートフォリオを組む場合、コアの部分には国際優良銘柄のように財務内容が盤石で国際的にも知名度が高く、誰もが安心して保有できる銘柄をあてます。反対に『サテライト』の部分は、新興企業など成長性が期待できる銘柄などに投資するのです。コアとサテライトの比率にもよりますが、基本的にはコアの部分で安定感を維持しつつもサテライトの部分で少しでも高いリターンを狙っていくという投資法です。」と記載されている(甲7の3)。
(エ)2010年8月14日付け北日本新聞朝刊5頁には、「投信フォーラム2010in富山 〜資産運用は時間を味方につけましょう〜 『投資信託で”草食系”の資産づくり』ファイナンシャルプランナー 馬養雅子氏 長期で保有するのが基本」と題して、「運用に際しては、コアとサテライトという考え方が重要です。日本の株、債券、先進国の株、債券の4つをコアとすることが基本となります。サテライトとして新興国の株やREIT(不動産投信)などの商品を組み合わせることで、幅広い分散投資ができます。何より資産全体のバランスを考えながら運用していくことが大切です。」と記載されている(甲7の4)。
(オ)2011年1月28日付けのマネックス証券株式会社のウェブサイトにおいて、「資産の種 第94回 成功している投資家はやっている、コア・サテライト戦略とは」と題して、「資産運用をするにあたっては、運用する資金のバランス配分が大切です。これによってリスクを抑えることが可能になるからです。バランス配分というのは『攻めの運用を行う資金』と『守りの運用を行う資金』のバランスのことです。・・・運用する総額の一部をリスクの高い運用先に振り向け、大部分は減らさないことに重きを置いた安定運用をしたりしています。これは多くの機関投資家が実践している『コア・サテライト戦略』と呼ばれ、資産運用のポートフォリオを組むときに有効な考え方です。・・・自分のリスク許容度を鑑みてコア・サテライトの比率を決めたら新たに金融商品を買うときに、その商品がコアとサテライトのどちらに振り分けられるものなのか、その商品を買うことでリスクバランスが崩れないかを確認してから購入します。これならば気がつくと資産がリスクの高いものばかりに偏っていた、なんてことを避けられます。」と記載されている(甲7の5)。
(カ)2012年バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社発行の「コア・サテライト投資」7頁には、「2.コアとサテライトの配分の決定」と題して、「次に、各資産クラスを、コア投資(インデックスファンド)と、サテライト投資(アクティブ運用ファンドまたは特化型インデックスファンド)に、どのような比率で割り当てるかを決める必要があります。コアとサテライトのバランスは、最終的には、各投資家が許容できるリスクの程度によって決定されます。」と記載されている(甲7の8)。
(キ)2013年10月14日付け「ファンド情報」11頁には、「【インタビュー】キーパーソンに聞く 水戸証券 真殿修治社長」と題して、「コアとサテライトをどのように提案しているのか。『ファンドラップを中心においてニーズに合わせて対応する。ただファンドラップには分配がないので、ニーズに応じて毎月分散型の投信やメキシコペソ債券などを提案していく。コア資産は預金として確保し、サテライトを楽しむために当社で投信を購入する顧客もいるので、その場合はサテライト商品をニーズに応じて提供していく。』」と記載されている(甲7の9)。
2 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「コア&サテライト」の文字を標準文字で表してなるところ、上記1(1)のとおり、「コア」の語と「サテライト」の語を接続詞「and」の略記号として一般に親しまれている「&」で結合したものと容易に理解され得るものであるから、それを構成する各単語の語義から「コアとサテライト(中核と衛星)」なる意味合いを有する複合語を表したと理解、認識されるとみることができる。
そして、本件商標は、その商標中の「&」の略記号が、その前後の語を単に結合するにすぎない記号と認められるものであるから、その前後に表された「コア」と「サテライト」の片仮名部分のみが看者の記憶に残るというべきであり、加えて、商標全体として称呼するときは「コアアンドサテライト」と比較的冗長であることを併せ考慮すれば、簡易迅速を旨とする商取引においては、「&」の部分が省略され、「コア」と「サテライト」の文字から生ずる「コアサテライト」の称呼をもって取引される場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
さらに、上記1(2)アのとおり、本件商標の登録査定時前に、本件商標に係る指定役務を取り扱う金融業界において、顧客への役務の提供に際して、本件商標中の「&」を「・」に置き換えた「コア・サテライト」の語及び上記の語に「戦略」の文字を連ねた「コア・サテライト戦略」の語が、「運用資産において、中心的な部分(コア)では安定的な成長を、残りの一部資金(サテライト)では比較的高リスクを目指して運用する考え方」程の意味合いで広く使用されている。
加えて、上記1(2)イ及びウのとおり、本件商標の登録査定時前に、本件商標に「戦略」の文字を連ねた「コア&サテライト戦略」の語及び本件商標の意味合いを表した「コアとサテライト」の語も、上記の考え方を表すものとして、金融業界において普通に使用されている実情があることが認められる。
以上を踏まえれば、本件商標は、これに接する取引者、需要者に対して、当該役務が「運用資産において、中心的な部分(コア)では安定的な成長を、残りの一部資金(サテライト)では比較的高リスクを目指して運用する考え方」に基づくものであることを表したものと理解、認識させるにすぎないといえる。
そうすると、本件商標は、これをその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者が指定役務の質、内容を示すものとして認識するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録を取り消すべきものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本件商標について通知した前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定役務について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。