Trademark Appeal Case
「プロ」と「はさみ」の結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−20204(T2015−20204/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)」を指定商品として,平成27年1月29日に登録出願され,その後,指定商品については,審判請求と同時に提出された同年10月23日付けの手続補正書により,第8類「美容・理容用はさみ」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「プロシザーズ」の片仮名と「PROSCISSORS」の欧文字とを上下段に横書きしてなるところ,その構成中「プロ」及び「PRO」の文字は「プロの,専門家の」等を意味する語として,我が国において広く親しまれているものであり,また,「シザーズ」及び「SCISSORS」の文字は,「はさみ」を意味することから,本願商標は,全体として「プロのはさみ」程の意味合いを認識させる。
そして,本願商標の指定商品の分野においては,「プロ」及び「PRO」の文字が「プロ用,プロ仕様」程の意味合いを表す語として広く一般に使用されている実情にあるから,本願商標をその指定商品中「はさみ類」に使用しても,これに接する需要者は,その商品が「プロ用(プロ仕様)のはさみ」であることを理解するにとどまり,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,また,本願商標を,「プロ用(プロ仕様)のはさみ」以外の「手動利器(「刀剣」を除く。)」に使用した場合は,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審における審尋
当審において,平成28年3月1日付けの審尋により,請求人に対し,別掲2のとおり,本願商標の補正後の指定商品を取り扱う業界において,「プロ」の文字が商品の品質を表すものとして,また,「シザー(ズ)」の文字が商品「はさみ」を意味するものとして使用されている事実を挙げて,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しない旨説示し,相当の期間を指定して意見を求めたところ,請求人からは,何らの回答もなかった。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「プロシザーズ」の片仮名と「PROSCISSORS」の欧文字を普通に用いられる態様の文字により,上下二段に横書きしてなるところ,その構成中,「プロ」及び「PRO」の文字部分は,「プロフェッショナル(professional)」の略語であって,「専門家。職業としてそれを行う人。プロ。」等を意味し,また,「シザーズ」及び「SCISSORS」の文字部分は「はさみ」を意味する,それぞれ平易な外来語及び英単語(広辞苑第6版,ジーニアス英和辞典第5版)であることから,本願商標はこれらの語を結合した商標であると容易に認識し得るものである。
そうすると,本願商標構成中の「シザーズ」及び「SCISSORS」の文字部分が,本願商標の補正後の指定商品との関係においては,商品の普通名称である「はさみ」の外来語表記及び英語表記であることを踏まえれば,本願商標に接する取引者,需要者は,本願商標をその構成全体で「プロのはさみ」ほどの意味合いを認識するとみるのが自然である。
そして,当審が職権で調査したところ,別掲2のとおり,本願商標の補正後の指定商品「美容・理容用はさみ」を取り扱う業界において,「プロ」の文字が,「プロ」,「プロ用」,「プロ仕様」など,プロ向けであることを意味し,商品の品質を表すものとして,また,「シザー(ズ)」の文字が商品「はさみ」を表すものとして使用されている事実が確認できる。
以上からすれば,本願商標をその補正後の指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体から,「プロ用(プロ仕様)のはさみ」であると,商品の品質を表示したものと認識,理解するというのが相当である。
そうすると,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商品の出所識別標識とは認識されないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標が,「プロシザーズ」の片仮名と「PROSCISSORS」の欧文字とを一定の文字体系のもとにある文字について,それぞれの字体が一貫した様式を備えた字形として書き表されたものを普通に用いられる方法で上下二段に横書きしてなり,それぞれ一綴りの辞書上存在しない完全な独創的造語として創作されたものである旨主張する。
しかしながら,本願商標は,その構成全体をもって「プロ用(プロ仕様)のはさみ」ほどの意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,商品の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であるのは,上記(1)のとおりである。
イ 請求人は,仮に「プロ(PRO)」が「プロフェッショナル(PROFESSIONAL)」の略語と解釈されるとしても,これらが単独で用いられた登録例,また,「プロ(PRO)」と,商品役務名又は品質・質を表す語とを一綴りの造語とした例も多数散見される旨主張する。
しかしながら,本願商標が,商品の出所識別標識としての機能を果たすものであるか否かは,本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から,審決時において,指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた商標登録の事例は,いずれも本願商標とは,使用する商品又は役務が異なるものであるばかりか,商標の構成態様においても異なるものであるから,事案を異にするというべきであり,また,そもそも,他の商標登録の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
ウ 請求人は,昭和56年4月24日以来,複数の公式サイト等,あるいは,総合カタログ等の印刷物において,本願商標を国内外問わず継続的に使用しており,これら立証資料は求めに応じ提出する準備がある旨主張する。
しかしながら,当該主張は,本願商標が使用による識別力を獲得したものであって,商標法第3条第2項の要件を具備する旨を主張する趣旨であると解されるところ,審判請求書の記載によっては,請求人が,本願商標を,その指定商品に使用した結果,本願商標が請求人の業務に係る商品であること,すなわち,請求人の商品の出所を表すものとして,我が国の需要者が認識するに至っている事実を確認することができず,また,当該事実を立証する証拠の提出を求める上記3の審尋に対して,請求人は応答していない。そうすると,本願商標は,同条第2項の要件を具備するものとはいえない。
エ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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