Trademark Appeal Case
吸入器形状の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−8197(T2015−8197/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、2014年1月30日にインドにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成26年3月10日に登録出願されたものである。そして、その指定商品は、原審における平成26年10月31日付け手続補正書により、第10類「投薬治療用の吸入器」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、その構成から明らかなように、蓋の付いた簡単な形状の投薬治療用の吸入器の一形態を表すものであるから、これを本願の指定商品『投薬治療用の吸入器』に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定商品自体の形状と認識するにすぎない。そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、指定商品の形状、品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、白色の本体部分と丸みを帯びた蓋部分と緑色の作動部からなり、一部に滑り止めの突起を有する立体的な形状からなるものである。
ところで、投薬治療用の吸入器(以下「吸入器」という。)は、容器内に入れた薬剤を吸入口から吸い込むことにより薬剤を局所投与するために使用されるもので様々な方式、形状のものがある。そのうち、ドライパウダー吸入器においては、本願商標のように吸入口が蓋で覆われ、外観に筒形状を有さないものが複数存在しており、それぞれ操作方法について異なる部分もあるが、薬剤を投与するために重要である薬剤をセットする動作、吸入口をくわえ吸い込む動作については共通しているものである。また、その形状については、別掲2のとおり、薬剤のセットを確実、簡便にできるような改良や、本体を持ちやすくする改良などがそれぞれ行われているものである。
そして、そのような実情よりすれば、本願商標の形状は、容器に薬剤を入れ、その薬剤を吸入する機能を効果的に発揮させるため、又は、美感を高めるために採用されたものと理解させるものといえる。
そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、吸入器において、一般に採用されている形状(吸入口が蓋で覆われていてボタン等の作動部を有する形状)の一形態を表したものと認識し、その特徴は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるから、商品の機能や美感を際立たせるために選択したものと理解するにとどまり、商品の出所を識別する標識とまでは認識しないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品に使用するときには、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、吸入器が一般的に備えている特徴を有していないことから、直ちに吸入器の形状を表すものと認識されない旨主張する。
しかしながら、吸入器を製造するメーカーは、別掲2のとおり、使いやすさや携帯性などを考慮して改良しているところ、本願商標に接する取引者、需要者は、これが操作性や携帯性などに考慮した結果の形状であると認識するというのが相当であるから、請求人による上記主張を採用することはできない。
イ 請求人は、需要者等が、吸入器の有する個性的な形状に着目し、当該形状を出所識別の手がかりとして取引にあたる場合も少なくない旨主張する。
しかしながら、本願商標のように吸入口が蓋で覆われ、外観に筒形状を有さない吸入器が複数存在し、また、その特徴は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲であることは、上記(1)において認定、判断したとおりである。また、本願商標が現実の取引において自他商品識別力を有していると認められる証拠は提出されておらず、本願商標が自他商品の識別力を有するに至っているとも認められない。
ウ また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例等は、本願商標とは、商標の構成態様等において相違し、事案を異にするものであって、そのような例が存することをもって、本願商標についてした上記認定、判断が左右されるものではない。
エ したがって、上記アないしウのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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