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Trademark Appeal Case

登録商標の使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2015−300563(T2015−300563/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5271054号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5271054号商標(以下「本件商標」という。)は、「宇都宮」、「生意気餃子」、「なま意気餃子」、「生粋餃子」及び「なま粋餃子」の文字を5段に横書きしてなり、平成20年11月21日に登録出願、第30類「宇都宮産のぎょうざ」を指定商品として、同21年10月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判請求の登録日は、平成27年8月10日である。以下、本件審判請求の登録日前3年間を「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び上申を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人が提出した証拠

ア 平成22年12月22日付け納品書(控)(乙1)と平成22年12月31日付け請求書(乙2)は、その日付が発行日と仮定しても、要証期間内のものに該当しないから、これらによって、本件商標が指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明するものとはならない。

また、平成27年5月10日付け納品書(控)(乙1)、及び平成27年5月31日付け請求書(乙3)については、作成者が被請求人であること、及び「宇都宮 生意気餃子」という品名の商品及びその数量等に関する数字が記載されていることが確認されるのみで、それ以外の大半の部分にはマスク処理がされている。平成27年5月31日付け請求書(乙3)には、年月日欄に「27 5 10」と記載された数字があり、これが平成27年5月10日付け納品書(控)(乙1)に対応する日付と仮定しても、マスク処理によって取引先が不明であるから、これらが同一の取引に相当するものであるか否か真偽不明である。

被請求人が提出した取引書類は、すべて被請求人が自ら作成し発行したものであり、被請求人は、取引先が作成し発行する発注書等や、取引先から被請求人への代金支払いの事実を証する証拠等、現実に取引がされたのであれば当然に存在するはずの、取引先が作成する証拠を一切提出していない。また、マスク処理によって取引先が秘匿されていることから、上記の取引が現実に行われたのか否かさえも不明である。

さらに、「宇都宮 生意気餃子」という品名の商品についても、具体的に文字として表示されているだけで、「餃子」の文字があるからといって、それが指定商品の「宇都宮産のぎょうざ」であるのか否か、いかなる商品に関する取引書類であるのかが不明である。仮にその商品が文字どおり「餃子」であるとしても、指定商品は「宇都宮産のぎょうざ」であるから、「宇都宮」で生産された紋子であるか否かも不明である。

イ 乙第4号証には、毛筆書体で大きく横書きした「生意気餃子」の漢字と、その上部に小さい文字で横書きした「宇都宮」の漢字及び「UTSUNOMIYA」の欧文字を表した看板(「生意気餃子」右側には、縦書きした「宇都宮」、「ぎょうざ」、「本舗」の各文字を、右から左へ配列させた落款風の文字が表されている。)を撮影した写真が収録されている。CD−Rのケースには、「直営店舗看板写し(宇都宮生意気餃子)」の標題と、「撮影日時2011.2.10」の文字、及び「撮影日時はプロパティで検索できます。」と書かれたラベルシールが貼付されている。

しかしながら、上記写真の撮影日時が2011年(平成23年)2月10日だとすると、乙第4号証は、要証期間内のものに該当しない。また、乙第4号証が、被請求人による「直営店舗」の看板の写真だとしても、いずれの店舗であるのか不明であり、当然にその所在も不明である上、指定商品の「宇都宮産のぎょうざ」との関係も全く不明である。

ウ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標の使用をなんら証明するものとはならない。

(2)本件商標の登録商標としての使用

ア 答弁書によると、被請求人は、提出した取引書類に記載されている「宇都宮生意気餃子」(以下「本件使用商標」という。)が本件商標の登録商標としての使用にあたると述べているものと思われるが、本件使用商標と本件商標は社会通念上同一の商標とはいえず、本件使用商標が本件商標の登録商標としての使用にあたるということはできない。

すなわち、本件商標は、毛筆体で横書きした「宇都宮」、「生意気餃子」、「なま意気餃子」、「生粋餃子」、「なま粋餃子」の各文字を上下5段に併記し、最上段の「宇都宮」の文字を他の文字よりも大きく太い書体で表した構成からなるところ、商標全体としては、「ウツノミヤナマイキギョウザナマイキギョウザナマイキギョウザナマイキギョウザ」、または「生粋紋子」の文字部分を「キッスイギョウザ」と称呼し、「ウツノミヤナマイキギョウザナマイキギョウザキッスイギョウザナマイキギョウザ」の称呼が生じるものである。

これに対して本件使用商標は、本件商標を構成する上下5段で併記した各文字の中の、最上段の「宇都宮」及び2段目の「生意気餃子」のみを横書き一連に併記したものであり、「なま意気餃子」、「生粋餃子」、「なま粋餃子」の各文字が欠落しているから、ここから生じる称呼は「ウツノミヤナマイキギョウザ」であって、本件商標とは称呼が異なる。欠落している「なま意気餃子」、「生粋餃子」、「なま粋餃子」は、いずれもそれ自体単独でも商標としての要部となりうる部分であるから、本件使用商標は、東京高等裁判所昭和57年9月30日判決(甲3)が「取引社会の通念上登録商標の使用と同一と認められる商標」とする「登録商標の要部とは認められない附記部分を除いて使用する場合」には該当しない。

特に、4段目の「生粋餃子」については、これを構成する「生粋」の部分が「まじりけが全くないこと」といった意味合いを有する「きっすい」と称する語(甲4の第689頁)であるから、本件商標からは、要部となりうる「生粋餃子」の部分から「キッスイギョウザ」の称呼と「まじりけが全くない餃子」といった観念が生じるものである。

これに対し、本件使用商標からは、「生意気(なまじいに意気がること。甲第4号証の第2097頁)な餃子」という全く異なった観念のみが生じるから、本件商標は、本件使用商標とは別異の観念を含むものである。

イ 登録商標の使用に該当するか否かの認定については、特許庁の審判実務において、使用商標と登録商標が同一の称呼を生ずる場合であっても、別異の観念が含まれる場合は、登録商標の使用と認められない事例として挙げられている(甲5)。

上記の判決及び特許庁の審判実務に照らすと、本件使用商標は、本件商標とは、顕著に異なる外観構成はいうにおよばず、常に同一の称呼及び観念のみを生ずるものともいえないから、両商標は、別異の商標というべきである。

また、本件使用商標は、商標法第50条第1項が「社会通念上同一と認められる商標」として例示する、(ア)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(イ)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(ウ)外観において同視される図形からなる商標のいずれにも該当しないものである。

ウ したがって、本件使用商標は、本件商標の社会通念上同一と認められる商標に該当しない。

(3)特許庁の審決

特許庁の審決においても、登録商標に別異の観念が含まれる場合は、その使用商標は登録商標の使用とは認められないと判断している。

(a)平成24年7月3日審決(取消2011−300956、甲6)

(b)平成27年3月31日審決(取消2013−300417、甲7)

(c)平成27年6月26日審決(取消2014−300275、甲8)

(d)平成23年5月25日審決(取消2010−300596、甲9)

(e)平成25年2月19日審決(取消2011−300247、甲10)

(f)平成21年10月30日審決(取消2008−300842、甲11)

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、指定商品の「宇都宮産のぎょうざ」について本件商標を使用していたとはいえず、また、本件使用商標も、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。

よって、本件商標は、商標法第50条第2項本文の規定によってその登録を取り消されるべきである。

3 平成28年5月10日付け上申の内容

請求人は、「提出した審判事件弁駁書及び審判事件弁駁書(2)において、主張、立証を尽くしたから、書面審理を希望する」旨、述べた。

第3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

1 答弁の理由

本件商標は、商標権取得後使用しており(乙1〜乙4)、現在も継続使用中につき、本件審判請求は成り立たない。

2 平成28年4月21日付け上申書の内容

被請求人は、「答弁書において主張、立証を尽くしたから、書面審理を希望する」旨、述べた。

第4 当審の判断

1 被請求人は、本件商標は、商標権取得後使用しており、現在も継続使用中である旨主張しているところ、被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第1号証は、平成22年12月12日付け及び平成27年5月10日付けの「株式会社 宇都宮ぎょうざ本舗」からの「○○」宛て(「○○」は宛名であり、黒くぬりつぶされている。以下、同じ)「納品書(控)」であるところ、それぞれ「品番・品名」の欄に「宇都宮 生意気餃子」、「総数」の欄に「30」の記載がある(以下、平成22年12月12日付け「納品書(控)」を乙第1号証の1」、平成27年5月10日付け「納品書(控)」を「乙第1号証の2」という。)

(2)乙第2号証は、平成22年12月31日締切り分の「株式会社 宇都宮ぎょうざ本舗」からの「○○」宛て請求書(写し)であるところ、「年月日」として「22 12 12」、「商品名」として「宇都宮生意気餃子」、「数量」として「30」の記載がある。

(3)乙第3号証は平成27年5月31日締切り分の「株式会社 宇都宮ぎょうざ本舗」からの「○○」宛て請求書(写し)であるところ、「年月日」として「27 5 10」、「商品名」として「宇都宮生意気餃子」、「数量」として「30」の記載がある。

(4)乙第4号証は、2011年(平成23年)2月10日撮影の直営店舗看板の写真であるところ、看板には「宇都宮 UTSUNOMIYA」の文字の下に、「生意気餃子」の文字が大きく記載され、その右側に「宇都宮」、「ぎょうざ」及び「本舗」の文字を3列に記載した落款風の表示がある。

2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。

(1)乙第1号証の2の「納品書(控え)」及び乙第3号証(請求書(控え)」には、「宇都宮 生意気餃子」及び「宇都宮生意気餃子」の文字が記載されている。

以下、これらの文字を「ぎょうざ」について使用をする商標(以下、これらを「使用商標」という。)とみて、本件商標との同一性について検討する。

使用商標は、「宇都宮 生意気餃子」又は「宇都宮生意気餃子」の文字を書してなるものであるところ、本件商標は、「宇都宮」、「生意気餃子」、「なま意気餃子」、「生粋餃子」及び「なま粋餃子」の文字を5段に書してなるものであるから、使用商標と本件商標を比較すると、使用商標は、本件商標を構成する文字の中の、最上段の「宇都宮」及び2段目の「生意気餃子」の文字のみを横書きしたものであり、3段目の「なま意気餃子」、4段目の「生粋餃子」及び5段目の「なま粋餃子」の各文字を有していない。

そして、使用商標と本件商標が共に有する「宇都宮」及び「生意気餃子」の文字部分についてみると、「宇都宮」の文字部分が産地・販売地を表すものとして自他商品の識別力を有しないため、「生意気餃子」の文字部分から、「ナマイキギョウザ」の称呼及び「生意気な餃子」程の観念を生じるものである。

また、本件商標が有する3段目の「なま意気餃子」及び5段目の「なま粋餃子」の文字部分は、それぞれの上段に表示された「生意気餃子」又は「生粋餃子」の「生」の文字を平仮名の「なま」と表したものと見るのが自然であるから、3段目の「なま意気餃子」の文字部分は、「ナマイキギョウザ」の称呼を生じ、「生意気な餃子」程の観念を生じるものといえ、また、4段目の「生粋餃子」及び5段目の「なま粋餃子」の文字部分は、「ナマイキギョウザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。

そうすると、使用商標は、本件商標とは、「ナマイキギョウザ」の称呼及び「生意気な餃子」程の観念が同一であるものの、「生粋餃子」及び「なま粋餃子」の文字を有する本件商標とは、構成文字及び生じる観念が同一とはいえない。

したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができない。

(2)乙第1号証の1、乙第2号証及び乙第4号証は、要証期間内のものと認められない。

(3)被請求人は、本件商標の使用に関して、「本件商標は、商標権取得後使用しており、現在も継続使用中につき、本件審判請求は成り立たない。」と述べるのみで、本件商標の使用に関して具体的な主張は何らしていない。そして、被請求人は、前記第3、2のとおり、上申書において、「答弁書において主張、立証を尽くした」と述べている。

(4)以上のことからすると、商標権者(被請求人)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間内に日本国内において、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を本件商標の指定商品について使用したと認めることができない。

3 むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしたことを証明したということはできない。

また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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