Trademark Appeal Case
治部丼の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−85(T2016−85/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「治部丼」の文字を標準文字で表してなり、第29類「肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」を指定商品として、平成27年2月12日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『治部丼』の文字を標準文字で普通に用いられる方法で表してなるが、その構成中の『治部』の文字は、本願指定商品との関係において、『石川県金沢を代表する郷土料理のひとつ』である『鴨肉又は鶏肉等の煮物』料理を表す『治部煮』を想起させ、また、『丼』の文字は、料理名の一つである『どんぶりもの』を表すことから、本願商標全体よりは『鴨肉又は鶏肉の煮物を使用したどんぶりもの』程の意味合いを理解させるものといえる。してみれば、本願商標をその指定商品中『鴨肉又は鶏肉の煮物(治部煮)』に使用しても、本願商標に接する取引者・需要者は、単に『どんぶりもの用の鴨肉又は鶏肉の煮物(治部煮)』程の意味合いを認識するにとどまり、単に該商品の用途、品質を表示したもので自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「治部丼」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「丼」の文字は、「どんぶりばちに飯を盛り、その上に具をのせた料理。」を意味する漢字であり、また、「治部」の文字は、「治部省の略。また、治部省官吏の総称。」を意味するものであるが、該文字を使用した「治部煮」が「石川県金沢の郷土料理で、とろみをつけた鴨肉の煮物のこと。」を表すもの(いずれも「広辞苑第六版」岩波書店発行)として一般に認識されているものである。
そして、別掲の新聞記事情報及びインターネット情報のとおり、「治部丼」、「治部定食」、「治部御膳」、「治部鍋」、「治部そば」、「治部うどん」及び「治部ラーメン」などのように、「治部煮」を用いた「治部○○」と称する商品が取り扱われていることが認められる。
してみると、本願の指定商品の分野である食料品においては、本願商標の構成中の「治部」の文字は、「石川県金沢の郷土料理である治部煮」のことを容易に想起させるものといえる。
そうすると、「治部」と「丼」の文字とを一連に「治部丼」と表してなる本願商標は、これに接する看者に、「治部煮の丼物」であることを認識させるものである。
してみれば、本願商標は、その指定商品中の「鴨肉の煮物」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「丼物用の鴨肉の煮物(治部煮)」であることを把握、理解するにとどまるから、商品の用途、品質を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商品の用途、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記指定商品「鴨肉の煮物」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「治部」の文字は、「治部省」をはじめとして複数の意味があり、「丼」の前に来る語が材料又は料理名に限られないことから、必ずしも「治部煮」であるとは限らない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その文字全体から、「治部煮の丼物」の意味合いを容易に理解、認識させるものであること、上記(1)の認定のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。
イ 請求人は、「治部おでん」及び「じぶなべ」が商標登録されており、「なべ」は「丼」と同様に調理器具・食器であり、「おでん」は「丼」と同様に料理名であるから、本願商標も過去の登録事例と事案を異にするものではない旨主張する。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するかどうかは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務の取引の実情等に基づいて個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものである。
そこで、請求人の挙げた登録例を検討するに、「治部おでん」については、「おでん」が煮込み料理であり、「治部煮」と「おでん」のように異なる煮込み料理を記載されていると理解するとは考え難いものであるから、「治部」の文字から「治部煮」であることを認識するとはいい難いものであり、「じぶなべ」については「じぶ」の文字部分が平仮名であり、直ちに「治部」の漢字を想起するものとはいい難いものである。
そうすると、請求人の主張する登録例は、いずれも、本願とは事案を異にするものといわざるを得ないものであり、それら登録例の存在によって、上記(1)の判断は何ら左右されないというべきである。
したがって、請求人の上記主張も採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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