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Trademark Appeal Case

NUITの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900251(T2013−900251/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5581684号商標の指定商品中,第3類「化粧水,美容液,クリーム,ヘアトリートメント」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5581684号商標(以下「本件商標」という。)は,「NUIT」の文字を標準文字で表してなり,平成24年2月29日に登録出願,同25年3月4日に登録査定,第3類「せっけん類,化粧品,香料」を指定商品として,同年5月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は登録要件を具備しないものとして取り消されるべきものである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第41号証を提出した。

(1)本件商標は,英文字で「NUIT」と横書きしてなるものであって,フランス語で「夜」の意味を有する語である。

(2)本件商標とその指定商品との関連をみるに,化粧水,クリーム,美容液等においては,夜間に使用することによって効果を発揮する「夜用の商品」があって広く流通している。

この「夜用の商品」には,夜間に使用することがわかるように商品名等に「夜用」の語が記され,「ナイトクリーム」のように英語の「ナイト(NIGHT)」の語が記されているものがあるが,併せてフランス語の「ニュイ(NUIT)」の語も普通に使用されている(甲2ないし甲41)。

(3)すなわち,「NUIT」は,これを本件指定商品に使用するときは,「夜用の商品」であることを直感させ,単に商品の品質を表すにすぎないものであることから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(4)また,「NUIT」を,「夜用の商品」以外の本件指定商品に使用するときは,あたかも,その商品が「夜用の商品」であるかの如く直感させ,その商品の品質について誤認を生ずるおそれにあることは明白であって,商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審における取消理由

当審において,商標権者に対して平成25年12月20日付けで通知した取消理由の内容は,要旨以下のとおりである(アクセント記号は省略して記載する。)。

(1)申立人が提出した証拠によれば,以下の事実がある。

ア 甲第1号証は,クラウン仏和辞典第3版(写し)であり,「nuit」について「ニュイ」と発音され,「夜,深夜」の意味を有することが記載されている。

イ 商品の容器に「NUIT(Niut)」の文字が表示されているもの。

(ア)甲第2号証は,「LE CLUB DES CREATEURS DE BEAUTE」(2010年春夏号)(写し,抜粋)であるところ,3葉目(14頁)には,「COSMENCE」の「SARナイトクリーム」(ナイトクリーム)の容器に,「NUIT」の表示があり,商品説明に「昼間受けた紫外線ダメージを夜のうちにケアするクリーム。」の記載がある。

4葉目(16頁)には,「COSMENCE」の「クレーム ド ジュネス ナイトクリーム」(ナイトクリーム)の容器に,「NUIT」の表示があり,商品説明に「ナイトケア」,「夜は美肌づくりのゴールデンタイム」の記載がある。

6葉目(19頁)には,「COSMENCE」の「イドラソースナイトクリーム」(夜用保湿クリーム)の容器に,「NUIT」の表示があり,商品説明に「夜の肌こそ集中保湿。朝まで満たし続けるナイトクリーム。」の記載がある。

(イ)甲第22号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「パルファン・クリスチャン・ディオール」の「ディオール スノーホワイトニング ナイトクリーム」(フェイスクリーム)の「容器」に,「NUIT/NIGHT」の表示があり,商品説明に「睡眠中に肌の透明感を育む夜用薬用ホワイトニングクリーム。」の記載がある。 ウ 商品の容器又は商品の紹介に,商品の普通名称等を表す文字と,「NUIT(nuit)」又は「ニュイ」の文字が使用されているもの。

(ア)甲第2号証の2葉目(10頁)には,「jean−marc maniatis」の「リニューナイトクリーム」(ヘアトリートメントクリーム(洗い流さないタイプ))の容器に,「Creme De Nuit」の記載があり,商品説明に「うるおう髪に整える夜用トリートメント」の記載がある。

(イ)甲第6号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「ミック」の「ソワン ディヴァン パジック」シリーズの「ジェル ド ニュイ」(美容液)について,その商品説明に「弱酸性ナイトジェル。」の記載がある。

(ウ)甲第12号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「ミック」の「エヴィドンスドゥボーテ」シリーズの「クレームドゥ ニュイ」(フェイスクリーム)の「容器」に,「Creme de Nuit」の記載があり,商品説明に「肌ストレスや疲れをケアし,・・・ナイトクリーム」の記載がある。

(エ)甲第13号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「日本ロレアル」の「ケラスターゼ」シリーズの「NO セラム ニュイ」(アウトバストリートメント)の「容器」に,「SERUM NUIT」の記載があり,商品説明に「ケラスターゼ初の夜用ナイトセラム」の記載がある。

(オ)甲第16号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「オルラーヌジャポン」の「オルラーヌ」シリーズの「ソワン アブソリュート クレーム ド ニュイ」(フェイスクリーム)について,その商品説明に「美肌へ導くナイトクリーム」の記載がある。(カ)甲第23号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「パルファン・クリスチャン・ディオール」の「ディオール プレステージ サテン ナイトクリーム」(フェイスクリーム)の「容器」に「CREME NUIT」の記載があり,商品説明に「・・・リッチな夜用クリーム。」の記載がある。

(キ)甲第24号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「パルファン・クリスチャン・ディオール」の「ディオール カプチュール トータル ナイトクリーム」(フェイスクリーム)の「容器」に,「CREME DE NUIT」の記載があり,商品説明に「新しいナイトクリームです。」の記載がある。

(ク)甲第25号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「ゲラン」の「ゲラン アベイユ ロイヤル ナイトクリーム」(フェイスクリーム)の「容器」に,「CREME NUIT・NIGHT CREAM」の記載があり,商品説明に「夜の間に・・・整える夜用クリーム。」の記載がある。

(ケ)甲第36号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「トリニテ ジャパン」の「Arise(アリーズ)エーデルホワイト クレーム ドゥ ニュイ」(フェイスクリーム)について,その商品説明に「・・・夜用フェイシャルクリーム。」の記載がある。

(コ)甲第38号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「資生堂プロフェッショナル」の「カリタ ホワイト クレーム ド ニュイ クリスタル」(フェイスクリーム)の「容器」に,「creme de nuit」の記載があり,商品説明に「明るい肌へと導くナイトクリーム。」の記載がある。

(サ)甲第39号証は,「@cosme(アットコスメ)」のウェブサイト(写し)であるところ,「シャネル」の「シャネル エクストレム コレクシオン ファーミング ニュイ クリーム」(フェイスクリーム)について,その商品説明に「ハリ・弾力のある肌に導く夜用クリーム。」の記載がある。

上記各証拠によれば,「NUIT」,「Nuit」及び「ニュイ」の文字は,商品「フェイスクリーム,美容液,トリートメント」等について,夜用の商品を表すものとして,複数の化粧品メーカーにより使用されている実情がある。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は,「NUIT」の文字を表してなるところ,該文字は,「夜,深夜」等の意味を有する仏語であって,上記(1)イ及びウのとおり,本件指定商品中「化粧品」との関係においては,「夜用の商品」を表すものとして使用されている実情があることから,この種商品の取引者や需要者の間においては,「NUIT」の文字(語)は,少なくとも本件商標の登録査定時には,「夜用の商品」であることを表すものとして理解,把握されていたものということができる。

そうとすれば,本件商標を,その指定商品中,第3類「化粧品」について使用するときは,「夜用の商品(化粧品)」であることを容易に理解,認識させるにすぎず,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。

したがって,本件商標は,これをその指定商品中の「夜用の化粧品」について使用するときは,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記以外の「化粧品」に使用するときは,その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。

4 商標権者の意見

前記3の取消理由に対し,商標権者は,要旨以下のように意見を述べ,証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。

(1)本件指定商品「化粧品」の範囲について

「類似商品・役務審査基準」〔国際分類第10版対応〕によると,第3類「化粧品」には,「おしろい」,「化粧水」,「クリーム」,「紅」,「頭髪用化粧品」,「香水類」等,「化粧品」は,様々な商品を含む包括的な表示である。

また,同じく「商品及び役務の区分解説」によると第3類「化粧品」は,「薬事法(昭和35年法律第145号)に規定する『化粧品』の大部分及び『医薬部外品』のうち『人体に対する作用が緩和なものであって,身体を清潔にし,美化し,魅力を増し,容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として,身体に塗擦,散布等の方法で使用するもの』が含まれます。」とされている。

したがって,「化粧品」と一まとめにいっても「身体を清潔にする」ためのものや「美化し魅力を増す」,「容貌を変える」,「皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つ」ため等,その範囲は広いものである。

(2)たとえば,「おしろい」について「NUIT」を使用しても,これが「夜用のおしろい」として認識,理解されることはない。「容貌を変える」ために用いられる「おしろい」や「口紅」を,夜寝る前に使う人はいない。 「頭髪用化粧品」の中の「ヘアースプレー」,「香水」や「アイシャドウ」等も事情は同じで,このような「化粧品」について,そもそも「夜用」のものは存在しない。

「夜用」のものが存在しない以上,こうした商品に「NUIT」を使用しても商品の品質表示たり得ないことは明らかである。

逆に,「保湿クリーム」のように夜寝る前に使用してはじめて効果が発揮される化粧品が存在することも事実であり,こうした商品について「昼用」,「夜用」の表示は,商品の品質(用途)を示すために必要な表示とすることに異論はない。

したがって,本件商標が取り消されるべきかの判断にあっても「化粧品」を画一的に捉えるのではなく,「化粧品」の中に含まれる様々な化粧品について,個別に判断する必要がある。

(3)「NUIT」が品質表示になり得る化粧品

申立人から提出された証拠には,「頭髪用クリーム」にかかるもの,「肌用クリーム」にかかるもの,「美容液」にかかるものが確認でき,そろって「ダメージ回復機能」がうたわれている。

すなわち,人体には昼間に受けた刺激・ダメージを夜寝ている間に回復する機能があり,こうした機能に関連する化粧品,前記の定義でいえば「皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つこと」を目的とした化粧品のみが「NUIT」を以て商品の品質表示となり得る化粧品に該当する。

化粧品の中でその大半を占めている単に「身体を清潔にし,美化し,魅力を増し,容貌を変える」ための化粧品について,本件商標は,全く使用されておらず,また,その立証もされていない。

現に,申立人が提出した証拠によると,「NUIT」の表示が使用されている化粧品は「頭髪用クリーム」,「肌用クリーム」,「美容液」の僅か3種類であって,仮に,本件商標がある種の化粧品との関係で品質表示に該当する可能性があるとしても,それは多々ある化粧品の中のごくごく一部の「化粧水,クリーム,美容液,トリートメント」程度にすぎない。

(4)本件商標が維持されるべき商品

異議申立書の主張及び取消理由通知において認定された事実によれば,端的には「化粧品(化粧水,クリーム,美容液,トリートメントクリームを除く。)」については,本件商標が維持されるべきものである。

それ以外の化粧品については,本件商標が品質表示として使用されている事実が全く立証されていない。問題となる表示が商品の品質を表すものとして必ず使用されているものであるとか,現実に使用されている等の事実は,法第3条第1項第3号の適用において必ずしも要求されるものではない(平成12年(行ケ)第76号)。とはいえ,前記のとおり「ダメージ回復機能」に全く関係のない化粧品まで内容表示に該当するとしたのでは,取引の実情から著しく乖離する。

(5)まとめ

以上のとおり,本件商標については,「化粧品(化粧水,クリーム,美容液,トリートメントクリームを除く。)」若しくは「化粧品(基礎化粧品を除く。)」については,登録を維持するべきである。

なお,商標権者は,既に通常使用権者を通じて,本件商標を「香水」に使用開始している(乙2)。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は,「NUIT」の文字を表してなるところ,該文字は,「夜,深夜」等の意味を有する仏語である。

ところで,化粧品のなかには,「化粧水,美容液,クリーム,ヘアトリートメント」のように,特に,夜間に皮膚(肌)等のダメージをケアするための商品があり,当該商品について,「夜用の商品」を表すものとして,「NUIT」,「Nuit」及び「ニュイ」の文字が使用されている実情がある。

そうとすれば,本件商標を,その指定商品中,例えば,上記商品について使用するときは,「夜用の商品」であることを容易に理解,認識させるにすぎず,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。

したがって,本件商標は,その指定商品中,「夜用」の「化粧水,美容液,クリーム,ヘアトリートメント」について使用するときは,商標法第3条第1項第3号に該当し,「夜用」以外のこれらの商品について使用するときは,その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。

また,「化粧水,美容液,クリーム,ヘアトリートメント」以外の「化粧品」及び「せっけん類,香料」については,「夜用の商品」,及び,「NUIT」の文字が商品の品質を表示したものとすべき実情等が存しないものであるから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

(2)まとめ

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第3類「化粧水,美容液,クリーム,ヘアトリートメント」について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の3第2項により,その登録を取り消すべきものとし,本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものであるから,その登録は,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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