結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2012−900361(T2012−900361/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5522907号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年2月29日に登録出願、第33類「ラム,ラムを使用したリキュール,ラムをベースにしたカクテル,ラム酒入りのアルコール飲料,その他のアルコール飲料」を指定商品として、同年8月10日に登録査定、同年9月21日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、その構成中に国名としての「キューバ共和国」(以下「キューバ」という場合がある。)を表す「CUBA」の欧文字を含み、かつ、該文字は、顕著に表されているものである。
また、キューバでは、本件商標の指定商品中の「ラム」や「ラム酒入りのアルコール飲料」が盛んに生産されている。
したがって、本件商標をその指定商品中、キューバ産の商品以外の商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これがあたかもキューバ産の商品であるかのように産地等について誤認するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消されるべきである。
本件商標は、別掲のとおり、その構成中に「RUM」の欧文字及び「CUBA」の欧文字を含んでなるところ、該「RUM」の文字は、本件商標に係る指定商品との関係においては、糖蜜からつくられる蒸留酒の一である商品「ラム」を意味する語(甲第6号証)として、また、該「CUBA」の文字は、「キューバ共和国」を指称する語(「コンサイス外国地名事典<第3版>」、株式会社三省堂発行)として、いずれも一般に広く知られているものである。
また、「キューバ共和国」のある西インド諸島は、商品「ラム」の主産地の一とされていて(甲第6号証)、同国産の「ラム」は、我が国において、輸入、販売されている(甲第7号証)。
そうとすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「RUM」及び「CUBA」の各欧文字から、該商品を「キューバ産のラム」ないしは「キューバ産のラムを用いてなるアルコール飲料」と認識する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
以上を踏まえれば、本件商標をその指定商品中、「キューバ産のラム,キューバ産のラムを使用したリキュール,キューバ産のラムをベースにしたカクテル,キューバ産のラム酒入りのアルコール飲料」以外の商品について使用するときは、該商品があたかも上記「キューバ産のラム」等であるかのように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものである。
前記第3の取消理由に対して、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、要旨次のように意見を述べ、資料1ないし資料8を提出している。
本件商標権者は、1872年にキューバのサンティアゴで創業し、本件商標に係る「Matusalem(マツサレム)」の製造を始めており、1950年代には、キューバ国内で50%以上の市場シェアを有していたが、その後、アメリカ合衆国を経て、ドミニカ共和国へ移り、現在に至っている(資料1ないし資料3)。
ラム酒は、17世紀の初めに、西インド諸島のバルバドス島に蒸留技術を身につけたイギリス人が移住し、サトウキビを利用して蒸留酒を造ったことが起源とされており、少なくともキューバがラム酒の発祥国であるという情報は見当たらず、また、ラム酒は、多数の国で生産されており、現状においては、キューバは単に生産国の一にすぎないものであり、キューバ産のラム酒に係るブランドが、ラム酒全体に係る多数のブランドの中心を占めているということもない(資料3ないし資料5)。
さらに、我が国においては、プエルトリコやジャマイカ産のラム酒が人気を得ているものと推測される(資料6)。
してみれば、現状において、「ラム酒」といえばキューバが有名であり、人気であるという状況は存在しないことから、その生産者等において、ブランド価値を高める、あるいは、品質の良いことを示すために「CUBA」の表示を行いたいという願望が生じる背景は、存在しない。
本件商標は、その構成態様に照らせば、その構成中の「Matusalem」の文字部分が自他商品の識別における要部となるものである。
また、本件商標の構成中には、「CUBA」の文字が表されているが、該文字は、その上方に表された「FORMULA ORIGINAL DE」の文字とのつながりを有するものであって、両文字全体をもって、「キューバに起源をもつ製法」あるいは「キューバを起源とする製法」程の意味合いを表したものであり、これは、上記1において述べた本件商標権者によるラム酒の製造に係る事実を示しているものである。
さらに、我が国において販売されている本件商標に係る「Matusalem(マツサレム)」のラム酒には、原産国の表示が日本語で明示されている(資料8)。
加えて、ラム酒は、我が国において、一般の消費者が日常の消費活動として自ら購入、保管するという状況は少なく、カクテルバーやレストランでの飲用が圧倒的に多い状況にあるものであるから、ラム酒を購入する者のほとんどは、業としてカクテル等を提供している者、すなわち、酒の知識が豊富な者(専門家)であり、このような者が、本件商標の構成中の「CUBA」の文字部分のみを抽出して、その生産国がキューバであると誤認することはあり得ず、また、自ら家庭においてカクテル等を楽しむためにラム酒を購入するような需要者であれば、ラム酒についての知識も豊富であると考えられることから、上記と同様、本件商標の構成中の「CUBA」の文字部分のみを抽出して、産地国を判断するとは考え難い。
以上によれば、本件商標は、その指定商品との関係において、品質の誤認を生ずるおそれはないから、その登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものではない。
本件商標についてした前記第3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、その指定商品中、「キューバ産のラム,キューバ産のラムを使用したリキュール,キューバ産のラムをベースにしたカクテル,キューバ産のラム酒入りのアルコール飲料」以外の商品について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたというべきものである。
(1)本件商標権者は、本件商標の構成中、自他商品の識別のための要部は「Matusalem」の文字部分であり、また、その構成中の「CUBA」の文字は、その上方に位置する「FORMULA ORIGINAL DE」の文字とつながり、その全体をもって、「キューバに起源をもつ製法」あるいは「キューバを起源とする製法」程の意味合いを表したものであって、自身のラム酒製造に係る事実を示したものである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、別掲のとおり、特定の事物を表したものとは認識され難い薄茶色の図形を背景的なものとして、該図形に重ねるように、多数の文字及び図形が配されているものであるところ、その上方には、大きく、かつ、赤色及び白色で縁取りされた黒色の「Matusalem」の文字が左斜め下方から右斜め上方に向けて表されており、また、該文字の左斜め上方には金色の「RON」の文字、同じく、右斜め下方には金色の「Est.1872」の文字等が表され、さらに、該文字の下方には、上から順に、金色の「RUM」の文字、黒色の「GRAN RESERVA」の文字、金色の「15」の数字等を含んでなる赤色円形様の図形、黒色の「FORMULA ORIGINAL DE」の文字及び金色の「CUBA」の文字等が表されているものである。
そして、上記各文字等のうち、黒色の「FORMULA ORIGINAL DE」の文字は、ほかの文字等に比して、極めて小さく表されているばかりでなく、その綴りが我が国で最も普及している外国語である英語に必ずしも一致するとはいえないものである一方、金色の「RUM」及び「CUBA」の各文字は、それぞれ、糖蜜からつくられる蒸留酒の一である商品「ラム」及び「キューバ(共和国)」を意味する語として、一般に広く知られているものである。
また、我が国においては、キューバ産のラム酒のほか、各国等で生産されたラム酒が輸入、販売されているところ、これらの商品のラベルには、例えば、以下に示すとおり、我が国の取引者、需要者をして、国名等を表したものとして認識され得る文字が表示されているというのが実情である。
ア 「CUBA」の文字
(http://item.rakuten.co.jp/tsutaya/10002627/)
イ 「JAMAICA」の文字
(http://item.rakuten.co.jp/tsutaya/rum19/)
ウ 「BARBADOS」の文字
(http://item.rakuten.co.jp/tsutaya/rum62/)
エ 「BERMUDA」の文字
(http://item.rakuten.co.jp/tsutaya/10005436/)
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中、大きく、かつ、文字飾りが施されて表されている「Matusalem」の文字部分に注意を惹かれるのはもとより、金色で表され、かつ、馴染みのある「RUM」及び「CUBA」の各文字部分にも着目し、これらが、それぞれ商品「ラム」であること及び該商品が「キューバ産」であることを表したものとして看取、理解する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
なお、本件商標権者は、本件商標の構成中、黒色の「FORMULA ORIGINAL DE」の文字と金色の「CUBA」の文字とが一連で「キューバに起源をもつ製法」あるいは「キューバを起源とする製法」程の意味合いを表したものであって、自身のラム酒製造に係る事実を示したものである旨主張するが、該両文字は、それぞれの構成態様に照らせば、視覚上、必ずしも一体のものとしてのみ看取されるとはいい難い上、全体の綴りが我が国において馴染みのある外国語とはいえないことからすれば、これより、取引者、需要者が、直ちに上記意味合いを表したものと理解するとはいい難く、まして本件商標権者のラム酒製造に係る事実を示したものとして認識するとはいい得ない。
また、本件商標権者は、我が国において販売する本件商標に係るラム酒には、原産国の表示が日本語で明示されている旨述べるが、その表示は、本件商標と別異のものであるから、これが、上記1においてした判断を左右することはない。
したがって、本件商標権者による上記主張は、採用することができない。
(2)本件商標権者は、我が国におけるラム酒の購買者のほとんどは酒の知識が豊富な者であるから、このような者が、本件商標の構成中の「CUBA」の文字部分のみを抽出して、その生産国がキューバであると誤認することはない旨主張する。
しかしながら、ラム酒は、我が国において、カクテル等をつくる際に用いられるのみならず、例えば、菓子等をつくる際にも用いられるものであり、また、その販売は、一般の需要者が利用する酒類販売店やインターネット上の通信販売サイトを通じても行われているものである。
また、本件商標権者の提出に係る資料1ないし資料8を総合してみても、上記主張を認めるに足る事実は見いだし得ない。
そして、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「RUM」の文字及び「CUBA」の文字部分に着目し、これがキューバ産のラムであることを表したものとして看取、理解し得ること、上記(1)において述べたとおりである。
したがって、本件商標権者による上記主張は、採用することができない。
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、取り消すべき理由が認められないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
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