結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2014−900089(T2014−900089/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5649566号商標(以下「本件商標」という。)は、「おうこうくん」の平仮名を上段に、「桜香薫」の漢字を下段に、それぞれ横書きしてなり(平仮名は、漢字より小さい文字で表されている。)、平成25年10月7日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物,食用魚介類(生きているものを除く。),カレー・シチュー又はスープのもと,加工野菜及び加工果実,食肉,冷凍野菜,お茶漬けのり,ふりかけ」を指定商品として、同26年1月20日に登録査定、同年2月14日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4622659商標(以下「引用商標」という。)は、「香薫」の漢字を標準文字により横書きしてなり、平成14年3月26日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチューまたはスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、同年11月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のとおり述べ、本件商標の登録を取り消すべきであると申し立て、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標に類似するものである。すなわち、引用商標は、本件商標と指定商品を第29類「肉製品,加工水産物」で共通にし、実際に、桜スモーク材で燻製したことから、「桜」のイメージを前面に打ち出して広告宣伝及び販売を長年行っており、当該商品が「ウインナーソーセージ」について国内シェア4位となっている周知商標である。そして、本件商標は、引用商標に係る「香薫」の語をその構成の一部に含むものであり、かつ、引用商標に係る「ウインナーソーセージ」に密接不可分な「桜」の語を前置したものであり、本件商標と引用商標とは明白に類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商標として、「ウインナーソーセージ」において、シェア4位の「ウインナーソーセージ」として、広く国民食として一般に知られており、かつ、「桜」のイメージを前面に打ち出して長年、販売を継続しているものである。本件商標は、引用商標の語に、密接不可分な「桜」の語を前置したものであり、その指定商品「肉製品、加工水産物」に使用された場合には、経済的又は組織的に関係があると誤認するおそれがあり、引用商標との関係で、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
当審においては、平成26年11月12日付けをもって、商標権者に対して、本件商標の取消理由を通知したところ、その取消理由の要旨は、以下のとおりである。
(1)申立人の主張及び提出に係る甲各号証によれば以下のことが認められる。
ア 引用商標の使用
引用商標は、「香薫」の文字よりなるところ、この語は申立人が採択した造語であり(申立人の主張の趣旨)、申立人は、2002年5月から商品「ウインナーソーセージ」に使用を開始し(甲第4号証)、以降、「こうくん」の振り仮名を添えて、継続して使用されてきていること(甲第6号証(枝番を含む。))。
イ 引用商標を使用した商品と「桜」の関係
引用商標を使用した商品「ウインナーソーセージ」の広告おいて、「桜は日本人にとって生活の中に深く取り込まれている樹木です。その桜(やまざくら)をスモーク材に使用し、嫌みの少ないまろやかな燻製の『薫り』をほどこしました。」との記載(甲第5号証15頁)、「桜のスモーク材を使い燻製しています。」との記載(甲第6号証の2)、「桜(ヤマザクラ)をスモーク材に使用し、まろやかな燻製の『薫り』に仕上げました。」との記載及び「桜スモークの薫り」とのパッケージを使用した商品の紹介がされていること(甲第6号証の3、同号証の4)、そのほかにも、同様の記載による商品の紹介がされていること(甲第6号証の5ないし12、甲第18号証)。
さらに、春の季節には、パッケージ自体に「桜」の花びらを配置した商品の紹介が行われていること(甲第6号証の3ないし6及び同号証の8ないし12)。
ウ 引用商標を使用した商品の市場における規模
引用商標を使用した商品「ウインナーソーセージ」は、近年のソーセージの購入(販売)金額のランキングでは4位に位置付けられるに至っているものであること(甲第7号証の1ないし甲第7号証の3(甲第7号証の1のソーセージ製品売れ筋品目ベストランキングにおいては、2014年2月、2013年12月、同年6月に4位、甲第7号証の2のハム・ソーセージ・ベーコン・焼豚部門におけるウインナー製品100人当たりの購入金額において4位、甲第7号証の3の全国スーパー等715店舗におけるウインナーソーセージ製品POS売れ筋品目2013年4月〜2014年3月で4位である。))。
エ 引用商標を使用した商品の宣伝広告
引用商標を使用した商品「ウインナーソーセージ」について、本件商標の登録出願及び登録査定の前に、テレビ(甲第10号証の2)、スーパーマーケットの店内(甲第11号証(枝番を含む。))、東日本旅客鉄道の電車内(甲第12号証(枝番を含む。))において宣伝広告がされてきたものであること。
オ その他
(ア)コンクール等における評価
申立人の商品が国際的なコンテストで金賞を受賞などの評価(南ドイツ食肉加工コンテスト、ドイツ国際ハムソーセージ品質コンテスト及びドイツSUEFFA食肉加工コンクール)を受けていること(甲第8号証の1ないし同号証の9及び甲第9号証。なお甲第8号証の10及び同号証の11のものは「ウインナーソーセージ」についてのものとは認められない。)、2007年度の「食品産業技術功労賞(食品産業新聞社)」を受賞していること(甲第8号証の12)。
(イ)需要者の関心
「朝ごはん」をテーマに計10,000人へのアンケート結果をもとにランキングを決定するTV番組において引用商標を使用した商品「ウインナーソーセージ」が、肉部門において第1位に選ばれていること(甲第15号証)。
(2)引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、2002年5月から商品「ウインナーソーセージ」について使用され、それ以降も「こうくん」の振り仮名を添えて、継続して使用されており、申立人により「桜」をイメージした商品パンフレットをもって「ウインナーソーセージ」の紹介がされていること、近年のソーセージの購入(販売)金額のランキングでは4位に位置付けられるに至っていること、同商品が本件商標登録の出願及び登録査定の前に宣伝広告がされていたこと、同商品がドイツにおけるコンテストで金賞を受賞するなど国際的評価等を受けたものであること、引用商標を使用した商品「ウインナーソーセージ」が需要者間において一定の関心がもたれていることなどが認められるものであり、これらを総合して勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の商品「ウインナーソーセージ」を表すものとして、取引者・需要者間において周知となっていたということができる。
(3)出所の混同のおそれについて
ア 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、上記1のとおりの構成からなるものであるところ、「おうこうくん」の平仮名が「桜香薫」の漢字の上段に表され、しかも、平仮名の部分が漢字の部分に比べ明らかに小さな文字で表されている態様であることをも勘案するならば、平仮名の部分は漢字の部分の読みを表したものとして認識されるといえる。
他方、引用商標は、上記2のとおり、「香薫」の漢字を横書きしてなるものであるところ、既成の語にない造語と認められ、申立人の商品「ウインナーソーセージ」を表すものとして、「こうくん」の読みをもって需要者の間で広く認識されているものである。
そして、本件商標は、「桜香薫」の漢字全体としては、特定の熟語的意味合いを有するとはいえないものであるところ、一方で、その構成中の「香薫」の漢字は、申立人の商標として周知となっている引用商標と同一の文字であり、しかも、同じく構成中の「こうくん」の平仮名も、引用商標が実際に使用される際に添えられている「香薫」の漢字の振り仮名「こうくん」と同一のものである。さらに、本件商標の構成中の他の構成文字である「桜」の漢字と「おう」の平仮名は、バラ科サクラ属の落葉高木の総称で、日本の代表的な花、樹木として、広く親しまれているものを意味する漢字とその音読みに相当するものである。
そうすると、本件商標は、少なくとも、「ウインナーソーセージ」を扱う業界においては、その取引者、需要者によって、申立人の周知商標である「香薫」の漢字とその振り仮名である「こうくん」の平仮名と、日本の代表的な花、樹木を意味する「桜」の漢字とその振り仮名(音読み)の「おう」の平仮名によって構成されるものとして認識、把握されることも少なくないものといえる。
イ ウインナーソーセージと「桜」の関係
「ウインナーソーセージ」とは、「豚肉や牛肉を塩漬けし、そのひき肉にその他の調味素材を加えて羊腸につめ、燻製した」もの(「新編 日本食品事典」医歯薬出版株式会社 第1版第5刷。)であり、その「燻製」は、「木くずを燃やした煙に獣鳥魚肉、卵、チーズなどをさらして特有の風味と貯蔵性を与えた食品。・・・燻煙材には、香味がよくて樹脂の含有量が少ない硬木類の桜、カシ、ナラ・・・などが適している。」(「調理用語辞典」社団法人全国調理師養成施設協会)ものであるから、食肉の燻製加工を経て生産される肉製品である「ウインナーソーセージ」と、樹木である「桜」とは密接な関連があるといえる。
加えて、申立人の「ウインナーソーセージ」の包装袋や広告においても、引用商標の表示とともに、「桜スモークの薫り」、「桜(ヤマザクラ)をスモーク材に使用し、まろやかな燻製の『薫り』に仕上げました。」、「桜のスモークのまろやかな『薫り』」、「桜(やまざくら)のチップをスモーク材に使用した燻製の『薫り』が深みのある味わいを演出しています。」、「食欲をそそる外からの薫り 桜スモーク 桜スモーク材を使用した、まろやかな燻製仕立てです。」などの記載があるとおり、「桜」を強調した記載がなされている(甲第3号証、甲第6号証の3ないし11など)。
ウ 小括
本件商標は、上記アのとおり、「ウインナーソーセージ」を扱う業界においては、その取引者、需要者によって、申立人の周知商標である「香薫」の漢字とその振り仮名である「こうくん」の平仮名と、日本の代表的な花、樹木を意味する「桜」の漢字とその振り仮名(音読み)の「おう」の平仮名によって構成されるものとして認識、把握されるといえるものであり、しかも、上記イのとおり、ウインナーソーセージ等の生産においては、「桜」が燻製にあたってのスモーク材として広く利用される樹木であり、申立人も、その商品の包装袋や広告において、スモーク材として使用した「桜」を強調した記載を行っているものである。
そして、引用商標が使用されている商品「ウインナーソーセージ」は、本件商標の指定商品「肉製品」に含まれる商品である。
そうすると、本件商標をその指定商品中の「肉製品」に使用したときは、取引者、需要者をして、申立人の周知商標である引用商標と同じ「香薫」の文字部分に注目し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中「肉製品」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといえる。
本件商標権者は、上記4の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べるところがない。
本件商標について、その指定商品中の「肉製品」については商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるとした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
他方、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品である「加工水産物」については、引用商標の使用商品である「ウインナーソーセージ」とは、生産部門や流通部門等が異なり、引用商標の周知性も「加工水産物」の分野にまで及んでいるとまではいい難いことから、本件商標をその指定商品中の「加工水産物」に使用したときにも、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとまではいうことができない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、「肉製品」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項により、登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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