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Trademark Appeal Case

要部認定と称呼観念

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900285(T2013−900285/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5586768号商標の指定商品中、第12類「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5586768号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年8月1日に登録出願、第12類「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品,二輪自動車用ホイール」を指定商品として、同25年4月25日に登録査定、同年5月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

(1)申立人が引用する商標について

申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第600030号の2商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり「POLO」の欧文字からなり、昭和36年5月12日に登録出願、同37年10月29日に設定登録された登録第600030号商標の商標権の分割に係るものであって、第12類「自動車、自動車の部品および附属品(自動車のタイヤ、チューブを除く)」を指定商品として、同63年5月30日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、平成15年11月5日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品(自動車のタイヤ・チューブを除く)」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、現に有効に存続するものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、商品を表す「WHeeLS」の上部に肉太で顕著に表された部分が要部であり、これより「ポロ」の称呼と、周知著名な自動車「POLO」(ポロ)を観念させるものであるから、「POLO」の文字よりなり「ポロ」の称呼と周知著名な自動車「POLO」(ポロ)の観念を生ずる引用商標と、その称呼と観念を共通にする類似のものである。

そして、本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

3 本件商標の取消理由

商標権者に対して、平成26年4月24日付けで通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。

(1)引用商標の周知性について

引用商標は、別掲2のとおり、「POLO」の欧文字からなるところ、申立人の提出に係る証拠及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人は、世界有数の自動車メーカーであり、引用商標は、1975年から今日に至るまで、申立人の製造・販売に係る自動車に継続して使用されていること。

イ 引用商標を使用した申立人の製造・販売に係る自動車は、1975年の初代モデルの発売以来、これまで5代目モデルまで販売され、その世界累計生産台数は、2010年に1111万1111台に到達したこと。

ウ 引用商標を使用した申立人の製造・販売に係る自動車は、我が国においても1981年の2代目モデルから販売され、現在の5代目モデルまで継続して販売されていること。

エ 日本自動車輸入組合のウエブサイトに掲載されている統計情報(http://www.jaia-jp.org/wp-content/uploads/Model_year.pdf)によれば、我が国における引用商標を使用した申立人の製造・販売に係る自動車の販売台数は、2003年から2013年まで、ほぼ毎年1万台以上であって、外国メーカー車モデル別新車販売台数順位で上位に位置していたこと。そして、直近3年の新車販売台数は、2011年1月から12月までは15,171台、2012年1月から12月までは14,442台、2013年1月から12月までは11,698台であって、外国メーカー車モデル別新車販売台数の順位においても、それぞれ、2位、4位、7位と上位に位置していたこと。

オ 引用商標を使用した申立人の製造・販売に係る自動車は、本件商標の登録前より、新聞等の記事に多数掲載されていたこと。

カ 上記アないしオの事実からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時に、我が国において申立人の製造、販売に係る自動車を表示するものとして、この種商品の需要者の間で広く認識されていたものと認められる。

(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「P」をデフォルメした文字と、「L」の文字を左右反転させたような図を挟むように「O」の文字とも認識し得る円図形を配し、全体として「POLO」の文字をデザイン化したと思しき図形(以下、「図形部分」という。)の下部に小さく「WHeeLS」の文字を書してなるところ、図形部分は、本件商標構成中の「WHeeLS」の文字より大きく描かれ、また「WHeeLS」の文字部分は本件指定商品との関係において、商品が「ホイールであること」または「ホイールの部品及び附属品であること」を表示するものと認められるから、図形部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。

そして、前記(1)のとおり「POLO」の欧文字からなる引用商標が、申立人の製造、販売に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されているから、図形部分は、自動車の部品及び附属品を含む本件指定商品の取引者、需要者をして、全体として「POLO」の文字をデザイン化したものと一見して認識し得ると判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標の図形部分からは、「ポロ」の称呼を生じ、「申立人の製造、販売に係る自動車のポロ」の観念を生じるものである。

イ 引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり、「POLO」の欧文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「ポロ」の称呼を生じ、「申立人の製造、販売に係る自動車のポロ」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

上記ア及びイによれば、本件商標と引用商標は、その外観において相違するものの、「POLO」の構成文字を共通にし、称呼及び観念を共通にするから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象等を総合して全体的に考察すれば、互いに相紛らわしい類似の商標といわなければならない。

エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について

本件商標の指定商品中の「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」は、引用商標の指定商品中の「自動車の部品及び附属品」の範ちゅうに含まれる商品と認められるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品というのが相当である。

(3)まとめ

したがって、本件商標は、その指定商品中「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 商標権者の意見

商標権者は、前記3の取消理由に対し、平成26年7月14日付け意見書を提出し、要旨以下のように述べ、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。

(1)引用商標の周知性について

「POLO」の語は、少なくとも、日本国内においては、昭和62年頃より、ラルフ・ローレンの著名商標として認識されており、馬上球技を示す普通名詞であること、襟付の半袖のカジュアル衣料を示すポロシャツの語源となっていることが公知の事実である。また、申立人にとって他人であるラルフ・ローレンの「POLO」は、判決(平成17年(行ケ)第10018号)において、その周知著名性が認められており、社会一般の認識において、申立人が主張する周知性を凌駕するものであるといえる。

このような状況を考慮し、引用商標の周知性を検討するに、その周知性の範囲は、決して広く解釈されるものではなく、商標の態様及び指定商品に関し、厳格に判断されるべきである。引用商標の周知性は、提出された取引の実情によれば、商標については、欧文字「POLO」の標準文字的な態様であり、指定商品については、「自動車」にのみ認められるものである。

したがって、引用商標は、本件商標を「自動車」に類似する商品「タイヤのホイール」に使用する場合にまで、広く、類似の範囲及び禁止権が及ぶものではない。

(2)本件商標について

本件商標は、図形と文字からなる結合商標である。

取消理由において、本件商標は、「POLO」のアルファベットが書されたものと認識し、「ポロ」の称呼が生じるものと判断している。

しかしながら、本件商標の構成は、たとえ、構成中に「P」、「L」と思しき文字を表現し、車輪をイメージさせる円図形が「O」と思しき文字を表現していたとしても、これらの表現は文字を表すのに用いられる方法の範囲を逸脱した独創的で特異な組合せ・態様よりなることから、これより、称呼「ポロ」に通じる「POLO」の文字を表したものとは、直ちに認識し得ない程度までに図案化されていると言うべきである。特に二つの円からは、車輪を彷彿させる特徴的な外観を有しているといえる。

そして、これに接した一般の需要者及び取引者が、直ちに、これを申立人の出所を示す「POLO」であると認識し、これより「ポロ」の称呼が生じるものと看取し、認識するとはいい難いというべきである。

したがって、本件商標は、簡易迅速を尊ぶ取引の経験則に照らしても、独創的で特異な組合せ・態様よりなる図形部分からは殊更に称呼は生じず、文字部分に照応した「ホイールズ」の称呼のみ生じるものというべきである。

そして、その観念は、「乗物の車輪」を彷彿させる。

(3)商標法第4条第1項第11号の該当性について

引用商標は、アルファベット4文字にて「POLO」と同書・同大・同間隔にて一連に記載された文字商標である。そして、その構成より、「ポロ」との称呼が生じるものであり、その観念については、「乗馬競技の一つであり、四人編成の2チームで、馬上からT字形のスティックで木製のボールを相手側のゴールに入れ合って得点を競う競技」「ラルフ・ローレンの著名商標」「襟付の半袖のカジュアル衣料を示すポロシャツの語源となっている語」「申立人の製造、販売に係る自動車のポロ」といった複数の観念が生じるものであるから、いずれの観念を有する商標であるか特定することができない。したがって、申立人が主張する周知性を凌駕する著名性を有する他人の著名商標が存在している実情を併せて考慮すると、引用商標が有する識別力は強いものではなく、弱いものであるというべきである。

そこで、まず、本件商標と引用商標の外観について検討するに、両者は十分明確に識別することができる。

次に、両商標の称呼について検討するに、本件商標からは「ホイールズ」の称呼が生じ、引用商標からは、「ポロ」の称呼が生ずるものであるから、両者は、音数・語調・語感が著しく異なるものであり、両者をそれぞれ一連に称呼した場合は、互いに聞き誤るおそれのないものというべきである。

次に、観念について検討してみるに、本件商標は「車輪」の観念を彷彿させ、他方、引用商標は、複数の観念が生じ、いずれを特定することができないから、両者は比較すべくものでは無く、両者は観念においては相紛れるおそれのないものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、特に外観構成及び称呼において、大きく異なり、観念においても相違することから、具体的な取引の場において、商品の出所の混同は生じないものというべきであり、商標法第4条第1項第11号に該当しないというべきである。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について

本件商標は、前記3で述べたとおり、引用商標と類似する商標であって、その指定商品中「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。

そして、本件商標は、その指定商品中「二輪自動車用ホイール」については、引用商標の指定商品と商品の生産・販売部門、用途、需要者の範囲等が相違する商品とみるのが相当であり、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品といえないから、同号に該当しない。

(2)商標権者の意見について

ア 商標権者は、「POLO」の語は、少なくとも、日本国内においては、昭和62年頃より、ラルフ・ローレンの著名商標として認識されており、引用商標の周知性の範囲は、決して広く解釈されるものではなく、商標の態様及び指定商品に関し、厳格に判断されるべきであるから、引用商標の周知性は、提出された取引の実情によれば、「自動車」のみに認められるものである。したがって、引用商標の類似の範囲及び禁止権は、「自動車」に類似する商品「タイヤのホイール」に使用する場合にまで及ぶものではない旨、主張している。

しかしながら、「POLO」の語が、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等を表示するためのものとして、我が国において広く知られているとしても、引用商標は、前記3(1)のとおり、我が国において申立人の製造、販売に係る「自動車」を表示するものとして、この種商品の需要者の間で広く認識されているものと認められるものである。

そして、前記3(2)のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」は、「自動車の部品及び附属品」の範ちゅうの商品と認められるものであって、「自動車」とは、その需要者を共通にし、販売経路等も共通にする場合が極めて多いから、類似する商品といえるものである。

そうとすれば、本件商標をその指定商品中「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」に使用した場合は、申立人の業務に係る商品と、その出所について誤認混同を生じるおそがあるものと認められる。

イ 商標権者は、本件商標の構成は、たとえ、構成中に「P」、「L」と思しき文字を表現し、車輪をイメージさせる円図形が「O」と思しき文字を表現していたとしても、これらの表現は文字を表すのに用いられる方法の範囲を逸脱した独創的で特異な組合せ・態様よりなることから、これより、「POLO」の文字を表したものとは、直ちに認識し得ない程度にまで図案化されているというべきであり、これに接した一般の需要者及び取引者が、直ちに、これを申立人の出所を示す「POLO」であると認識し、これより「ポロ」の称呼が生じるものと看取し、認識するとはいい難いというべきである旨、主張している。

しかしながら、一般に文字の図案化が進み、ロゴや商品の広告・宣伝等の様々な場面において図案化された文字が使用されている昨今にあっては、相当程度図案化された文字からなる商標であっても、判読されて取引に資されることが多いといえる。

そして、引用商標が、申立人の製造、販売に係る「自動車」を表示するものとして、この種商品の需要者の間に広く認識されていること、及び「自動車」と本件商標の指定商品中「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」は、需要者等を共通にすることに照らせば、本件商標に接した需要者は、その図形部分を「POLO」の欧文字をモチーフに図案化されたものであると理解、認識し得るものと判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標の図形部分からは、「ポロ」の称呼を生じ、「申立人の製造、販売に係る自動車のポロ」の観念を生じるものである。

したがって、商標権者の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第12類「自動車用ホイール,ホイール,自動車用ホイールの部品及び附属品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、その登録を取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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