結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2015−900133(T2015−900133/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5736622号商標(以下「本件商標」という。)は,「Swing Note」の欧文字を横書きしてなり,平成25年7月11日に登録出願され,第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類,書道用半紙,その他の紙類」及び第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として,同27年1月30日に設定登録された。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第2318910号商標(以下「引用商標」という。)は,「SWING」の欧文字を横書きしてなり,昭和60年12月25日に登録出願,第25類「文房具類」を指定商品として,平成3年7月31日に設定登録され,その後,同13年4月25日に指定商品を第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とする書換登録がなされたものであり,現に有効に存続している。
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号,同項第10号,同項第15号及び同項第16号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
(1)申立人の周知・著名性について
申立人は,1923年に雑誌合本・図書修理を業として創業し,現在は文房具・事務用品関連事業等を主力事業とする東証一部上場企業であって,連結ベースの売上高は500億円を超えるなど,文房具・事務機器分野における最大手企業のひとつである(甲3)。
株式会社矢野経済研究所発行の「文具・事務用品マーケティング総覧」によれば,ノート部門での申立人のシェアは,2005年度は業界4位,2007年度は5位,2011年度は3位,そして2012年度及び2013年度は2位であり,年々順位を上げている(甲4)。
したがって,申立人は,ノート分野を含む文房具・事務用品関連業界において,確固たる地位を築いている著名な企業であるといえる。
(2)引用商標の周知・著名性について(取引の実情)
申立人は,1977年から商品「ノート(ノートブック)」について商標「SWING」「スイング」の使用を開始し,同商標を付した商品は,現在(2015年)に至るまで約38年間,全国的に販売されているロングセラーかつ主力商品となっている(甲5及び甲6)。申立人は,全国各地に商品販売網を構築しており,その販売地域は47都道府県全てを網羅している(甲7)。また,上記(1)で述べたとおり,申立人はノート業界で確固たる地位を築いており,「SWING」ブランドは,ノートの分野における申立人の主力ブランドであって,長年にわたる全国的な使用により,多大な業務上の信用が化体しているといえる。
申立人は,2009年に「SWING」ブランドの一商品として「スイング・ロジカルノート」を発売した(甲8)。同商品は,高学歴お笑い芸人「ロザン」と共同開発した機能性ノートであり,その高いデザイン性と機能性から需要者間で大ヒット商品となり,上記「文具・事務用品マーケティング総覧」(2013年度版及び2014年度版)において,同商品は,申立人の主力商品として取り上げられ(甲4),また,同商品は,その発売以降現在に至るまで,様々な雑誌・新聞・インターネット等のメディアにおいて取り上げられている(甲10)。
申立人は,「SWING」の認知度を高めるべく,紙媒体の広告(甲11),テレビCM(甲12,甲13),インターネットにおける動画広告(甲15及び甲16),交通広告(甲17)を行うと共に,ご当地キャラクター等をデザインしたノートも販売している(甲18)。
さらに,申立人は,近年のスマートフォン等の普及に対応すべく,2015年1月13日にLINEの公式アカウントを開設し,申立人の商品情報等を発信しており(甲19),同アカウントへの登録者数は現在250万人を超えている(甲20)。申立人は,同アカウントにおいて,これまで「スイング・ロジカルノート」に関する広告のメッセージを7度配信した(甲21)。
このように,申立人は,同ブランドの更なる認知度向上を図るべく,膨大な費用をかけて積極的な宣伝広告活動を行っている。
「SWING」ブランドのノートは,毎年着実な販売冊数を記録しており,特に2009年の「スイング・ロジカルノート」の発売以降は,販売冊数の伸びが顕著になり,2014年度は1600万冊に届こうかという勢いであった(甲22)。なお,「SWING」ブランドにかかるノートは,申立人のノート全体の売上金額の約90%を占める。
また,申立人は,ノート以外のクリップファイルにも「SWING」ブランドを展開している(甲23)。
以上述べたとおり,引用商標は,長年にわたる継続的な使用の結果,各種メディアでも継続的かつ頻繁に取り上げられ,さらには様々な媒体における大量の広告活動などとも相まって,高い著名性を獲得していることは明らかである。
我が国において,「note(ノート)」が「ノートブック」を意味する和製英語として浸透し,定着している事実があり(甲24),この事実は,実際の取引実情によっても裏付けられる(甲25)。また,文房具・事務用品を取り扱う大手業者のカタログを見ても,商品「ノートブック」は「ノート」と表記されてカテゴライズされている(甲26ないし甲29)。さらに,特許庁の実務においても,第16類の指定商品の記載表現として「ノート」と記載することが認められ(甲30),意匠にかかる物品の記載方法としても「ノート」が認められている(甲31)。
以上の事実に鑑みると,「Note」の文字が商品「ノートブック」に使用された場合には,単に商品の普通名称を指し示すものと認識され,取引者・需要者をして商品「ノートブック」と理解させると考えるのが相当であり,この点に議論の余地はないと考える。
上記1及び2を踏まえ,本件商標の商標法第4条第1項各号への該当性について検討する。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「Swing」及び「Note」の欧文字を横書きしてなり,「Swing」の文字は,「振れる」等の意味を有する,日本人に親しみのある平易な英単語であるところ,ノートブックを含む文房具等の性質を示すものではなく,取引者・需要者の記憶に残りやすい,強い識別性を有する言葉である一方,「Note」の文字は,上記2のとおり,ノートブックに使用された場合には,取引者・需要者をして商品の普通名称を指し示すものと認識させるとみるのが相当であるから,識別性が欠如しており,また,ノートブック以外の文房具類全般及び「書道用半紙,その他の紙類」との関係においても,それほど高い識別性を有するものではない。そして,引用商標「SWING」の著名性を併せ考慮すれば,本件商標の要部は「Swing」の文字部分であり,本件商標からは,「スイングノート」の称呼のみならず,「スイング」の称呼も生じると考えられ,また,引用商標からは「スイング」の称呼が生じることが明らかであるから,両商標は,「スイング」の称呼を共通にする類似の商標といえる。
そして,本件商標の指定商品中「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」は,引用商標の指定商品と類似群コードを同じくするものであり,両者は類似する商品である。また,本件商標の指定商品中「書道用半紙,その他の紙類」についても,文房具類と流通系統や販売場所が共通する極めて高い近似性を有する商品であることから,両者は類似する商品であるといえる。
したがって,本件商標は,引用商標に類似するものであり,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
上記1のとおり,引用商標は,ノートブックの分野において高い周知・著名性を獲得しており,本件商標と引用商標とは「スイング」の称呼を共通にする類似の商標であり,また,本件商標と引用商標の指定商品とは相抵触する関係にあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり,引用商標は,極めて高い著名性を獲得し,ノートブックの取引者・需要者において広く知られている。そして,ノートブックが本件商標の指定商品である,書道道具入れ等を含む文房具類に包含されることは自明であり,両者は生産部門や販売部門が一致し,需要者の範囲も一致する。また,ノートブックと「書道用半紙,その他の紙類」は,その性質上極めて近似した商品であるといえる。
本件商標の構成要素のうち,「Note」部分については,ノートブックとの関係においては単に普通名称を示すものとして認識され,また,ノートブック以外の文房具類や「書道用半紙,その他の紙類」との関係においても,その商品性がノートブックと極めて近似していることから,識別力が弱いと考えられる。
そうすると,引用商標が極めて高い著名性を獲得していることと相まって,本件商標がその指定商品に使用された場合には,それがあたかも申立人やその子会社,もしくは申立人やその子会社と経済的・組織的に何らかの関係があるものの業務に係る商品であると,取引者・需要者において誤認混同を生じる蓋然性が極めて高い。
また,この分野の商品の特徴として,取引者・需要者をして,商標として機能する言葉に商品の一般名称を付加して商品名を称呼することが頻繁に行われている事実があり(甲32),実際に,申立人の商品は「スイングノート」「スウィングノート」等と称呼されることも多い(甲33)。このような取引実情も考慮すると,本件商標「Swing Note」がその指定商品について使用された場合には,非常に紛らわしく,申立人の商品と誤認混同を生じる蓋然性がより一層高まると考えられる。
以上から,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標には「Note」の文字が含まれ,「Note」が本件商標の指定商品に使用された場合には,商品「ノートブック」と本件商標の指定商品との近似性により,取引者・需要者は,「Note」部分から「ノートブックに関連する」程の意味合いを想起すると考えられるところ,「Note」が本件商標の指定商品中,ノートブックに関連する商品以外の商品に使用される場合には,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといえる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号,同項第15号及び同項第16号に該当するため,商標登録を受けることができないものであるから,同法第43条の2第1号の規定により,その登録は取り消されるべきである。
当審において,本件商標権者に対して平成27年9月9日付けで通知した取消理由の内容は,以下のとおりである。
(1)申立人は,1977年から現在に至るまで継続して,ノートブックについて「swing」,「SWING」又は「スイング」の文字からなる商標を使用している(甲5及び甲6)。
(2)2009年9月には,「SWING」(スイング)シリーズの一つとして,高学歴芸人としてクイズ番組などで知られる「ロザン」(所属:吉本興業)と申立人とにより共同開発された「スイング・ロジカルノート」と称する高機能性ノートブックが発売されたところ,該商品は,文房具市場で注目され,現在に至るまで各種メディアにおいてしばしば紹介されている(甲8及び甲10)。
(3)上記「スイング・ロジカルノート」については,2009年9月の発売開始以来現在に至るまで,雑誌,新聞等の紙媒体による広告をはじめ,テレビ広告,インターネット動画広告,交通広告が行われているほか,「ディズニーキャラクター」,「ハローキティ」,「スヌーピー」,「ガリガリ君」等の人気キャラクターをデザインした商品の開発・販売が行われたり,近年のスマートフォンやタブレット端末の普及に対応すべく,それらに利用されるアプリケーションソフトを活用してキャンペーン等の商品情報の発信が行われている(甲11ないし甲21)。もっとも,これらテレビ広告,インターネット動画広告,交通広告及び人気キャラクターのデザインは,本件商標の登録出願後に行われたものがほとんどであり,紙媒体による広告も本件商標の登録出願後のものが多い。
(4)「SWING」シリーズのノートブックの販売冊数は,発売開始の1999年が約309万冊,2000年が約269万冊で,その後2008年には約161万冊までに落ち込んだものの,2009年の上記「スイング・ロジカルノート」の発売により翌2010年には約830万冊と急増し,本件商標の登録出願年の2013年には約1283万冊となっている(甲22)。
(5)申立人は,ノートブック以外にも「SWING」ブランドを展開し,1999年から現在まで,商品「クリップファイル」について「SWING」(スイング)の商標を継続して使用している(甲23)。
(6)我が国においては,「note(ノート)」は「ノートブック」を意味する和製英語として多くの各種辞典・事典に掲載されている。例えば,岩波書店発行「広辞苑第6版」の「ノート【note】」の項には,「書きとめること。また,書きとめたもの。手記。覚書。注。注釈。ノートブックの略。」等と記載され,創芸社発行「英語と比較できる和製カタカナ語事典」の「ノート」の項には,「notebookの略。手帳,筆記帳,帳面,notebook,英語のnoteに帳面の意味はない。」と記載され,丸善出版発行「和製英語事典」の「ノートnote」の項には,「ノートとは,通常『ノートブック』の略とされます。ノートブックは物を書き留めておくための『帳面,筆記帳』です。・・・英語のnoteには,・・・様々な意味があります。でも『帳面,筆記帳』の意味はありません。日本語では『ノート』を,話者の本人も無意識に『筆記帳』と『書き留めたもの』の両方に使っていますので,英訳の時は注意が必要です。」と記載されている(甲24)。
(7)文房具類を取り扱う業界においては,ノートブックの表紙に,「SCHOOL NOTE」,「Boston Note」,「spiral note」,「スキャンノート」等のように,「NOTE」,「Note」,「note」又は「ノート」の文字が用いられているほか,取扱商品のカタログにも見出し項目に商品名として「ノートブック」ではなく「ノート」の文字が普通に用いられている(甲25ないし甲29)。
また,当庁の商標登録出願において指定商品として「ノートブック」ではなく単に「ノート」の表示が用いられており,意匠登録の物品名としても「ノート」の表示が用いられている(甲30及び甲31)。
(8)上記(1)ないし(7)の事実によれば,請求人による「スイング・ロジカルノート」の標章は,本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「ノートブック」を表示する商標として,取引者・需要者の間に相当程度知られていたものというべきである。そして,ノートブックをはじめ,文房具類を取り扱う業界においては,「Note」の文字は,「notebook」の略称ないしは「ノートブック」を指称する語として普通に使用されているものといえる。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
以上を前提にして,本件商標と引用商標との類否についてみるに,本件商標は,上記第1のとおりの構成よりなるところ,「Swing」の文字と「Note」の文字との間に1文字分ほどの間隙があり,視覚上,両文字部分に分離して看取されるばかりでなく,両者はいずれも親しまれた語であることから,「Swing」と「Note」の2語からなるものとして容易に認識し把握されるというべきである。また,両語を結合した本件商標全体として,親しまれた既成の観念を有する成語は見当たらない。
そして,本件商標の構成中の「Note」の文字部分は,文房具店等で販売される本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」との関係においては,商品「ノートブック」を指称する語として認識されるに止まり,自他商品の識別力を有しないか極めて弱いものであって,当該文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められることからすると,本件商標は,その構成中の「Swing」の文字部分が看者の注意を強く惹き,支配的な印象を与えるものであって,自他商品の識別標識としての要部というべきであるから,これより単に「スイング」の称呼及び「揺れ動く,振幅」等の観念を生ずるものとみるべきである。
他方,引用商標は,上記第2のとおりの構成よりなるところ,その構成文字に相応して「スイング」の称呼及び「揺れ動く,振幅」等の観念を生ずること明らかである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,称呼及び観念を共通にする類似の商標といわなければならず,外観についても,本件商標の要部である「Swing」の文字部分において,引用商標の構成文字と同一の綴りよりなることから,類似するものといえる。
また,本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものといえる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
商標法施行規則別表の第十六類には,「八 文房具類」の見出し下に「(一)紙製文房具」として「ノートブック」が掲げられているほか,「(二)筆記用具」として「鉛筆,万年筆,毛筆」等が掲げられ,(四)として「下敷き,書類挟み,すずり,墨,墨汁,筆立て,筆箱,文鎮」等が掲げられていることからすると,「ノートブック」はもとより,本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」は,いずれも文房具類の範疇に属する商品であって,用途,販売場所,流通系統,需要者等を共通にする互いに類似の商品といえる。
そして,本件商標は,上述のとおり,「ノートブック」を指称する語として普通に使用されている「Note」の文字を有することから,上記指定商品中の「ノートブック」以外の商品「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」について使用するときは,これら商品があたかも「ノートブック」であるかの如く,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおり,本件商標は,本件申立てに係る指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第16号の規定に違反して登録されたものであるから,その登録を取り消すべきものである。
本件商標権者は,上記第4の取消理由に対して,要旨以下のとおり意見を述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第42号証を提出した。
本件商標は,「Swing Note」の欧文字を,同書・同大・等間隔,かつ,一連一体に書しているものであり,これに接する取引者・需要者は,本件商標をまとまりよく一体的に認識,把握するのが自然である。また,その構成から生じる「スウィングノート」の称呼も一気一連によどみなく称呼し得るものである。さらに,本件商標からは「揺れ動く音符」等の観念が生じるため,観念上一体のものということができる。したがって,本件商標は,構成上一体不可分の商標として認識,把握されるべきものであり,その称呼も構成文字全体に相応した「スウィングノート」の称呼のみが生じる。
本件商標の構成中の「Swing」の語は「揺れ動く,回転する」などの意味合いを有し(乙1),「Note」の語は「音符,覚書,記録」等の意味合いを有する(乙2)ものとして広く親しまれていることから,本件商標の構成全体から「揺れ動く音符」等の観念が生じる。そして,「Note」の文字は商品「ノートブック」を指称する語ではないことから,本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類,書道用半紙,その他の紙類」との関係においても,自他商品の識別標識として十分に機能するものであり,「Swing」の文字部分のみが要部とはなり得ず,むしろ本件商標全体として一体不可分と認識,把握するのが自然である。
この主張が妥当であることは,過去の審決例(乙3ないし乙5)及び登録例(乙6ないし乙25)からも明らかである。
そこで,本件商標と引用商標の類否を判断すると,まず,本件商標から生じる「スウィングノート」の称呼と,引用商標から生じる「スウィング」の称呼とは,その音数及び語韻語調が全く異なるため,これらに接する取引者・需要者は,両者を明瞭に識別することができるから,本件商標と引用商標とは,称呼上紛らわしいものではない。次に,本件商標と引用商標とは,外観上非類似であることが一見して明白である。そして,本件商標から生じる「揺れ動く音符」等の観念と,引用商標から生じる「揺れ動く」の観念は,互いに非類似であることは明らかである。
以上から,本件商標と引用商標とは,称呼,外観,観念のいずれも相紛らわしいものではなく,全く別異の商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
本件商標の構成中の「Note」の欧文字は,「覚え書き,メモ,(簡単な)記録,草案,注釈,音符」等様々な意味合いを有する多義語であるため(乙2),これに接する取引者・需要者は,本件商標の構成中の「Note」の文字から「ノートブック」の略称であることを直ちに連想,把握することは極めて困難であり,本件商標の指定商品中の第16類「文房具類」との関係において,品質誤認が生じることは皆無といって差し支えない。
また,「Note」の文字は英語であるから,その意味合いは,広辞苑ではなく,英和辞典を参照すべきであるところ,主に小中学生などの英語の初学者を対象とする三省堂初級クラウン英和辞典第10版によれば,「notebook」の項において,「英語ではnotebookをnoteと短くしない」との記載があるし(乙26),同様の記載は,申立人が提出したカタカナ語辞典等にも記載されている(甲24)ことからしても,本件商標に接する取引者・需要者は,その構成中の「Note」の欧文字部分から,「notebook」を認識,把握することは,一般常識の観点から考えられない。
してみれば,本件商標は,「Swing Note」の欧文字を,同書・同大・等間隔,かつ,一連一体に書しているものであり,外観上一体のものとして看取され,その構成中の「Note」の文字は,本件商標の指定商品中の第16類「文房具類」との関係において「ノートブック」の意味を有する語でないことは明らかであるから,かかる構成にあっては,構成文字全体をもって一種の造語と認識,把握されるとみるのが自然である。そうすると,本件商標は,その構成中の「Note」の文字部分が独立して把握,認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないものであるから,当該文字部分のみを分離,抽出して,これが商品の品質等の表示として理解されるとはいい難い。そのため,本件商標をいずれの指定商品について使用しても,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがないものといわなければならない。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
この主張が妥当であることは,過去の審決例(乙27)及び登録例(乙28ないし乙42)からも明らかである。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の2第1号の規定により,その登録は取り消されるべきものではない。
本件商標についてした上記第4の取消理由は妥当なものであって,本件商標は,その指定商品中,第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
(1)商標権者は,商標法第4条第1項第11号の該当性について,本件商標の構成中の「Note」の文字は,商品「ノートブック」を指称する語ではないことから,本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類,書道用半紙,その他の紙類」との関係においても,自他商品の識別標識として十分に機能するものであり,「Swing」の文字部分のみが要部とはなり得ず,むしろ本件商標全体として一体不可分と認識,把握するのが自然である旨,主張する。
しかしながら,上記第4の取消理由の通知で示したとおり,文房具類を取り扱う業界においては,商品「ノートブック」の表紙に,「SCHOOL NOTE」,「Boston Note」,「spiral note」,「スキャンノート」等のように,商品「ノートブック」を指称する語として「NOTE」,「Note」,「note」又は「ノート」の文字が用いられているほか,商品「ノートブック」を取り扱う業者の取扱商品のカタログやWEBサイトにも見出し項目に商品名の表示として「ノートブック」の文字ではなく「ノート」の文字が普通に用いられている(甲25ないし甲29)ことからすれば,商品「ノートブック」を含む文房具類を取り扱う業界においては,「Note」,「ノート」等の文字は,「notebook」の略称ないしは「ノートブック」を指称する語として普通に使用されているものといえる。
そうすると,本件商標の構成中の「Note」の文字は,我が国では,商品「ノートブック」と用途,販売場所,流通経路,需要者等を共通にする本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」との関係においては,商品「ノートブック」を指称する語として認識され,商品の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いというのが相当であり,本件商標は,その構成中の「Swing」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから,当該文字部分を抽出して他の商標と類否判断をすることが許されるというべきである。したがって,商標権者の主張は採用できない。
(2)商標権者は,商標法第4条第1項第16号の該当性について,本件商標は,外観上一体のものとして看取されるものであり,また,その構成中の「Note」の文字は英語であるから,その意味合いは英和辞典を参照すべきであるところ,英和辞典等によれば,「Note」には「notebook」の意味はなく,本件商標の指定商品中の第16類「文房具類」との関係において商品「ノートブック」の意味を有する語でないことは明らかであり,本件商標の構成中の「Note」の文字部分のみを分離,抽出して,これが商品の品質等の表示として理解されるとはいい難いことからすれば,本件商標をいずれの指定商品について使用しても,商品の品質について誤認を生じさせるおそれはない旨,主張する。
しかしながら,「Note」の文字が商品の品質を表すものであるか否かは,辞書上の意味にかかわらず,本件商標の指定商品の需要者が,当該文字に接してどのように認識するかが問題となるところ,上記(1)のとおり,「Note」の文字は,「notebook」の略称ないしは商品「ノートブック」を指称する語として普通に使用されている実情がある。そして,商品「ノートブック」はもとより,本件商標の指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」は,通常,文房具店で販売される商品であって,用途,販売場所,流通系統,需要者等を共通にする互いに類似の商品といえる。
そうすると,本件商標は,その構成中に,商品「ノートブック」を指称する語として普通に使用されている「Note」の文字を有するものであり,本件商標の指定商品中の「ノートブック」以外の商品「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」について使用するときは,これら商品があたかも商品「ノートブック」であるかの如く,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきであるから,商標権者の主張は採用できない。
(3)請求人は,過去の審決例及び登録例を挙げ,本件商標についても同様に判断されるべきである旨,主張する。
しかしながら,本件商標が商標法第4条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時において,当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた審決例は,いずれも本件商標とは,判断時期,使用する商品,商標の構成態様等が異なるものであるから,事案を異にするものというべきであり,また,過去の審決例及び登録例が存在することをもって,本件商標の上記判断が左右されるものではないから,商標権者の主張は採用できない。
(1)引用商標の周知・著名性
引用商標は,上記第2のとおり「SWING」の文字よりなるところ,申立人の提出に係る証拠によれば,申立人は,自己の業務に係る商品「ノートブック」については1977年から,商品「ファイル」については1999年から,「SWING」の文字(小文字,片仮名含む)からなる商標を使用していたことは認められる(甲5,甲6,甲23)。
しかしながら,申立人が,引用商標が文房具・事務用品関連業界において申立人のブランドとして周知・著名性を獲得していると主張し,その証拠として提出する甲第8号証,同第10号証ないし同第21号証は,大半が申立人の「スイング・ロジカルノート」と称する商品に係るものであり,証拠に表された標章のほとんどは「Logical」の文字や「スイング・ロジカルノート」の文字が看者の目を引く態様で使用されているものである。そして,「SWING」の文字のみの商標が使用された商品「ノートブック」については,その販売実績や,広告実績等の証拠の提出もない。
これより,上記第4の取消理由の通知に示したとおり,申立人による「スイング・ロジカルノート」の標章は,本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「ノートブック」を表示する商標として,取引者・需要者の間に相当程度知られていたものといえるものの,「SWING」の文字のみの商標が周知の程度に至っているものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の該当性
上記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時に申立人の業務に係る商品「ノートブック」を表示する商標として,取引者・需要者の間に広く認識されていたものということはできないから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号の要件を具備せず,また,本件商標を,その指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」以外の商品に使用しても,他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれもない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しないから,両規定に違反して登録されたものではない。
以上のとおり,本件商標は,本件申立てに係る指定商品中の第16類「書道道具入れ,硯,墨,墨汁,毛筆,筆置き,文鎮,下敷き,文房具類」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第16号の規定に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消し,その余の指定商品については,取り消すべき理由はないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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