sokuhyo

Trademark Appeal Case

効能の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900070(T2014−900070/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5639022号商標の指定商品中、「化粧品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5639022号商標(以下「本件商標」という。)は、「KOJIWA」の文字を標準文字で表してなり、平成25年8月7日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年11月19日に登録査定、同年12月20日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出している。

1 商標法第3条第1項第3号について

(1)商品「化粧品」は、薬事法による規制を受けている商品であるが、昭和36年2月8日付け厚生省の局長通知には、化粧品の効能の範囲が記載されており、この中で、「化粧水類」、「クリーム乳液類」等については、「小じわを防ぐ」の表現がある(甲1)。「小じわを防ぐ」の表現は、昭和55年10月9日付け厚生省の局長通知では削除されたが、平成23年7月21日付け厚生労働省の局長通知によって「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の表現が追加された(甲2、甲3)。

(2)「小じわ」に関する効能については、上記(1)のように変遷はあるものの、「化粧水類」、「クリーム乳液類」等の化粧品は、「小じわに効果がある」ことが期待される商品であり、需要者もその期待をもって使用する商品であることは明白である。さらに、ファンデーション等の商品は、肌に塗布することにより、「小じわを目立たなく見せる」等の、いわゆるメーキャップ効果を表現することも平成13年3月9日付け厚生労働省の課長通知によって認められている(甲4)。

(3)さらに、「小じわ(小ジワ)」の語は、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品において、「乾燥による小じわ肌の潤い対策液」、「アイスクリームのような使い心地で、小じわを自然にぼかすコンシーラー」のように、「小じわ(小ジワ)を目立たなくする商品及び小じわ(小ジワ)を目立たなく見せる商品」、すなわち、「小じわに対応するための商品」を表す語として普通に使用され、認識されているものである(甲5〜甲16)。

(4)したがって、「小じわ(小ジワ)」を英文字で「KOJIWA」と表現したにすぎない本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、「小じわに対応するための商品」であることを直感させ、単に商品の用途、効能、品質を表す標章にすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

2 商標法第4条第1項第16号について

本件商標を「小じわに対応するための商品」以外の指定商品に使用するときは、あたかもその商品が「小じわに対応するための商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれのあることは明白であって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

第3 本件商標の取消理由

商標権者に対して、平成27年6月24日付けで通知した本件商標の取消理由は、以下のとおりである。

1 「KOJIWA」の文字について

(1)本件商標の構成

本件商標は、「KOJIWA」の欧文字を標準文字で表してなるものである。

(2)取引等における「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語の使用状況について(下線は合議体が付加。以下同じ。)

本件商標の識別性についての判断基準時はその登録査定時であり、甲各号証によれば以下のような事実が認められる。

ア 「化粧品の効能の範囲」に関する厚生労働省から各都道府県知事に宛てた通知書等における「小ジワ」の語の使用について

「化粧品」は薬事法による規制を受ける商品であるが、平成23年7月21日付け薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」と題する厚生労働省医薬食品局長から各都道府県知事宛通知書には、「化粧品の効能の範囲については、昭和36年2月8日付け薬発第44号薬務局長通知『薬事法の施行について』の別表第1で定め、平成12年12月28日付け医薬発第1339号医薬安全局長通知『化粧品の効能の範囲の改正について』により改正したところであるが、今般、その効能の範囲について、下記のとおり改正し、別紙のとおりとしたので、貴管下関係業者に対して周知徹底をお願いする。」として、「記 1.別表第1に次の1項を加える。(56)

乾燥による小ジワを目立たなくする

。」と記載され、別紙別表第1には同項が記載されている(甲3)。

イ 商品「化粧品」の取引における「小じわ」又は「こじわ」の語の使用について

(ア)ウエブサイトのアットコスメにおいて、「メンソレータム リニアバスター」の商品説明として「(乾燥による

小じわ肌の潤い対策液

)」と記載され、同商品については2009年(平成21年)8月10日、同年10月4日、2010年(同22年)2月5日及び同年2月16日付けのクチコミ投稿が掲載されている(甲5)。

(イ)YAHOO!BEAUTYには、製品情報として、製品名「薬用美白&

乾燥小じわケア

とじこめパック美容液」、メーカー名「クラシエホームプロダクツ」、カテゴリー「ジェル・美容液」、発売日「2013年9月17日」、商品説明として「天然型グルコサミン、レチノールEx、ヒアルロン酸、浸透促進成分CHD配合で、うるおいとハリを与え、

乾燥小じわ

・シミ

をケアします

。」などと記載されている(甲6)。

(ウ)クラシエホームプロダクツ株式会社が2013年9月26日に行ったニュースリリースには、「クラシエホームプロダクツは、基礎化粧品ブランド『モイスタージュ』から、

『乾燥小じわ』を目立たなくする洗い流せるコールドクリーム

『モイスタージュ Wコールドクリーム(リンクルケア)』を、2013年9月17日に新発売いたします。

洗顔料にも乾燥小じわケアを求める

30代後半以降の女性をターゲットに開発。メイククレンジングしながら、

乾燥小じわケアができるコールドクリーム

の登場です。...お肌をいたわりながら、すべすべに整え、

乾燥小じわの目立たない弾力ハリ肌へ導きます

。厚生労働省が指定した試験を実施し、皮膚専門医等の判定により、

乾燥小じわが目立たなくなる効能評価を確認しています

。」などと記載されている(甲7)。

(エ)YAHOO!BEAUTYには、製品情報として、製品名「コンシーラー(

小じわ用

)」、メーカー名「資生堂」、カテゴリー「パウダー・コンシーラー」、発売日「2007年8月21日」、商品説明として「アイスクリームのような使い心地で、

小じわを自然にぼかすコンシーラー

、...」などと記載されている(甲12)。

(オ)YAHOO!BEAUTYの製品情報として、M・A・Cが2005年9月2日に発売した「セレクトモイスチャーカバー」の商品説明として「ソフトフォーカス効果のパウダーが目元の

こじわを目立たなくさせる仕掛けも

。」と記載され(甲13)、クラランスが2001年10月5日に発売した「イドラバランスパウダーファンデーション」の商品説明として「あらゆる光を自在に操り、毛穴や

こじわ

、くすみ

を消し

、完璧な素肌感を引き出します。」と記載され(甲14)、ヘレナルビンスタインが2001年3月9日に発売した「フューチャーホワイトフィニッシュコンパクト」の商品説明として「光拡散反射により、シミや

こじわ

、毛穴、キメの粗さ

を目立たなくします

。」と記載され(甲15)、また、ウエブサイトのアットコスメにおいて、ザ・ボディショップの「ライトニングタッチ」の商品説明として「目もとのクマや

こじわをカバーし

、お肌に透明感ある明るい輝きをあたえます。」と記載され、同商品については2004年1月19日のクチコミ投稿がされている(甲16)。

ウ まとめ

以上によれば、「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語は、本件商標の登録査定日(平成25年11月19日)以前より、「こまかい皺」を意味するものとして、広く一般に知られているばかりではなく、厚生労働省から各都道府県知事宛に通知される「化粧品の効能の範囲」に関する公文書において「小ジワを目立たなくする」と記載されており、そしてこの通知は各都道府県が関係業者に対して周知徹底をはかるよう依頼しているものであるから、化粧品業界にもこの情報は伝えられているものと推認され、さらに、化粧品業界における取引の実際においても、「小じわを目立たなくする」用途、効能を有する「小じわケア用の化粧品」が存在することが認められる。

2 商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号該当性について

本件商標は、上記1(1)のとおり、「KOJIWA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字からは「コジワ」の称呼のみが生ずるものであり、我が国においては、「こまかい皺」を意味する語として「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語が広く一般に知られていることからすれば、本件商標「KOJIWA」は、「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語を、欧文字で表したものと容易に認識させるものである。

そして、「小ジワ」の語については、化粧品業界と密接な関係を有する厚生労働省が、各都道府県知事宛に通知する「化粧品の効能の範囲」に関する公文書において、その効能として「小ジワを目立たなくする」と記載されており、また、化粧品業界での取引においても、「小じわを目立たなくする」用途、効能を有する「小じわケア用の化粧品」が存在することが認められる。

そうとすれば、本件商標をその指定商品中の「化粧品」に使用するときは、取引者、需要者をして、その商品が「小じわケア用の化粧品」であることを想起、連想させるにすぎず、単に商品の用途、効能を普通に用いられる方法で表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができないものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

また、本件商標を「小じわケア用の化粧品」以外の「化粧品」に使用するときは、その商品が「小じわケア用の化粧品」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第4 商標権者の意見

上記第3の取消理由に対して、商標権者は、平成27年7月31日付けの意見書において要旨次のように述べた。

1 商標法第3条第1項第3号について

(1)「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語が「小じわケア用の化粧品」等を想起、連想させ、これらが「単に商品の用途、効能を普通に用いられる方法で表示するもの」と認定されることに異論はない。

しかしながら、本件商標は、欧文字で表された「KOJIWA」であり、「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語とは異なるから、「小ジワ」等を「KOJIWA」と表記することは、「普通に用いられる方法で表示する」という要件に該当しない。

(2)インターネット検索を行っても、「小ジワ」等を「KOJIWA」と表記した例は一切見いだされないから、「小ジワ」等を「KOJIWA」と表記することは、「普通に用いられる方法で表示する」という要件に該当しない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第16号について

(1)「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語から、「小じわケア用の化粧品」等を連想・想起させることについては、理解できなくもない。

しかしながら、称呼が共通するからといって、欧文字「KOJIWA」の文字からも「小じわケア用の化粧品」を想起するというのは、論理の飛躍であり、根拠がない。現に商品「化粧品」について、「KOJIWA」の文字を使用して、「小じわケア用の化粧品」である旨を表した使用例は、一切見いだされない。

(2)したがって、本件商標「KOJIWA」を「小じわケア用の化粧品」以外の「化粧品」に使用した場合に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとの認定には根拠がないから、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

第5 当審の判断

1 本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当なものであって、本件商標をその指定商品中の「化粧品」に使用するときは、取引者、需要者をして、その商品が「小じわケア用の化粧品」であることを認識させるにすぎず、単に商品の用途、効能を普通に用いられる方法で表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができないものである。

また、本件商標を「小じわケア用の化粧品」以外の「化粧品」に使用するときは、その商品が「小じわケア用の化粧品」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

2 商標権者の意見について

商標権者は、本件商標は、「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語とは異なる欧文字で表された「KOJIWA」であり、インターネット検索を行っても、「小ジワ」等を「KOJIWA」と表記した例は一切見いだされないから、「小ジワ」等を「KOJIWA」と表記することは、商標法第3条第1項第3号の「普通に用いられる方法で表示する」という要件に該当しない旨、主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁 平成12年(行ケ)第76号判決参照)。

また、漢字、平仮名又は片仮名で表示された日本語をローマ字綴りで表示することは、一般に行われていることであり、本件商標は、上記第3、2のとおり、「小ジワ」、「小じわ」又は「こじわ」の語を、欧文字で表したものと容易に認識させるものである。

したがって、商標権者の主張は採用することができない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

しかし、本件商標の指定商品中「化粧品」以外の商品については、その取引者、需要者に本件商標が品質等を表わすものとして認識されるというべき実情は見いだすことはできず、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するということはできないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。