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Trademark Appeal Case

一般名称結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900042(T2015−900042/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5714817号商標の指定商品中、第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,香料,薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,入れ歯安定剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5714817号商標(以下「本件商標」という。)は、「ミックスベリーミント」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年4月9日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,香料,薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,入れ歯安定剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと,食用グルテン」を指定商品として、同年9月25日に登録査定、同年10月31日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。

1 具体的理由

本件商標は、標準文字で「ミックスベリーミント」と表してなるものであり、これは、複数のベリー類の混合物を意味する「ミックスベリー」と薄荷を意味する「ミント」をつなげて表記したに過ぎないから、「複数のベリー類とミントの香味を有する」程度の意味の品質表示に過ぎない。したがって、本件商標は指定商品のうち、そのような品質の第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤」、第5類「サプリメント」、第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,即席菓子のもと」に用いられた場合は、商標法第3条第1項第3号に該当し、それ以外の指定商品に使用する場合は商標法第4条第1項第16号に該当する。

(1)指定商品第30類「口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子」について

「ミックス」は広辞苑の第二番目の意味として「所定の材料を混ぜたもの」とあり(甲2)、「ベリー」は広辞苑には記述がないが、ウィキペディアにて「単一の子房から生み出される多肉果」「日常的には『ベリー』は、イチゴ(ストロベリー)、ブルーベリー、ラズベリー、セイヨウスグリ(グーズベリー)、ブラックベリー、クランベリーなど、多肉質の小果実の総称である。」という記述があり(甲3)、なじみのある語である。

「ベリー」を含む商標の商標法第3条拒絶事例はきわめて多い(甲4ないし甲6)。それゆえ、「ミックスベリー」という商標も過去に3度にわたり商標法第3条による拒絶査定が出ており(甲7ないし甲9)、「ベリーを混ぜたもの」程度の品質表示と判断されていることは明らかである。実際、大手の菓子会社がこぞって「ミックスベリー」味の製品を売っており、その中には「ミックスベリーミント」を採用しているものもある(甲10ないし甲16)。

一方、「ミント」は、ガム、キャンディなど一般になじみのある原料であり(甲17)、「ミント」を含む商標の商標法第3条拒絶事例は過去に多数ある。

したがって、「ミックスベリーミント」は原材料を2つ並べたにすぎないので、これらの組み合わせがきわめて特殊であり、これらの2原料名が並べて表記されることは考えられず、これら2原料名を並べて表記したというだけで自他商品識別力を有する商標となることはない。

たとえば、「口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子その他の菓子」の中で特徴的な「ガム」においては、日本チューインガム協会によれば「フルーツ」と「ミント」は2大主要フレーバーで(甲18)、かつては刺激の強い欧米の「ミントガム」は日本では受け入れられにくく「フルーツ系」が主流だったが、その後、爽やかさを売りにした「ミント系」も、フルーツの甘いフレーバーをセットにすることによって刺激を和らげる「進化」で日本でも受け入れられるようになった。

ガムの味名のネーミングにおいては、ミント系であれば「ミント」を語尾に配した「○○ミント」というのが多く使われている。たとえば、ガムの大手企業の株式会社ロッテの商品一覧でも「○○ミント」が極めて多く、フルーツとの組み合わせであれば、例外なく「フルーツ名+ミント」の構成になっている(甲19)。

とりわけ、「清涼効果」、「口臭を消す」という効果においては、「ミント」は必須の材料と言え、むしろミントを含まない製品を探すほうが困難である。また、ミントのみでは刺激が強いため、多くの人への汎用性という点からは、フルーツの甘いフレーバーをセットにすることがこのような業界では一般的である。

このような点からすると、フルーツのフレーバーの中で一般的な「ミックスベリー」を選択し、該菓子分野の基本原料の「ミント」をセットで用いることになんらの特殊性もない。「ミックスベリーミント」という味を標榜する該菓子が広く売られていればもちろんであるが、仮にそれほど多く売られていないとしても、「販売者が誰でも使えるようにしておくべき」商標であって、到底、独占適応性があるとは思われない。「口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子」において、登録は取り消されるべきである。

「果物名+ミント」の構成の商標が商標法第3条により拒絶された事例を併せて提出する(甲20ないし甲22)。

(2)指定商品第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤」及び第5類「サプリメント」について

第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤」、第5類「サプリメント」及び第30類「菓子」は、指定商品としては類似するものと推定して取り扱っていないが、これらは店舗において販売される棚が近接しているなどの理由により、受容者からは商品的に極めて近いものとみられていることや、これら指定商品は同じような香味を付して売られることが多いことから、本件商標のように「味名」を示す表現についてはセットで考えなければならない。

「口中清涼剤,口臭用消臭剤」としての具体的な商品は、口中にスプレーして、あるいは口をゆすぐ時に用いて口臭を予防、除去する「マウスウォッシュ」、「口内洗浄液」のほか、丸薬形状で口に含み、なめて上記の効果を示すものなども挙げられている(甲23)。このように、「口中清涼剤,口臭用消臭剤」の形状は多様であるし、後者の場合は口中に含み、なめたり噛んだりして服用するという点で、医薬部外品の「薬用ドロップ」、「菓子(キャンデー)」及び「菓子(ミント系清涼食品)」として売られているのどあめなどと、見かけ上あまり区別がつかず、「口中清涼剤」をキーワードとするネット検索でも、これらの商品は同じコーナーに記載されている(甲24)。このほか、服用し、胃の中でカプセルがはじけることにより息を爽やかにすることで口臭除去を狙った製品まで「口中清涼剤」に記載されている。これについては服用して有効成分を摂取する性質上、第5類の「サプリメント」に属するか、属さないとしても限りなく近いものといえる。

近年売り上げが好調なドラッグストアの売り場を見れば、このように効果や使用方法が近い製品群は販売相乗効果を狙って「オーラルケア商品」として近接した棚に配置されるのが普通であるし、ネット販売においても近いカテゴリーで提示されている(甲25及び甲26)。

企業によっては、口腔ケアのための製品(洗口剤、歯磨き、サプリメント、口臭ケアのガムやタブレット等)を同じブランドで横断的に売っている場合もあり、その場合はフレーバーも共通である(甲27)。(「デントウェルポスカ」はガム、「デントウェルマウススプレー」は口中清涼剤)。したがって、「口中清涼効果を有する菓子、口臭を消すための菓子、その他の菓子」において自他商品識別力を有さない商標は、「口中清涼剤,口臭用消臭剤」、「サプリメント」においても当然、自他商品識別力を有さないというのは、決して乱暴な理屈ではない。

また、「口をさっぱりさせる」という目的で使用される以上、「ミント」は必須成分と言っても過言でなく、さらに刺激を和らげるためにフルーツの香味を加えるということはガムなどの「菓子」と同様、十分に考えられることで、実際に行われている(特に子供用)(甲28)。

本件商標出願人は製品に「ミックスベリーミント」の表示をしているが、ドラッグストアの通販サイトでは、この製品についてその区分について「口内清涼剤/清涼食品/グミ」としており、さらに摂取方法としては機能性を有する食品を噛んで食べるという意味で「サプリメント」ともいえる。このことも「口中清涼剤」「サプリメント」「菓子」は明確に分けられないことの傍証である。さらに「ミックスベリーミント味」と書かれていることから、流通業者が「ミックスベリーミント」を商標ではなく味の名前としか感じていないことの傍証である(甲29)。

また、サプリメントは多様であり、外出先でも水なしで口の中で溶かして服用できるサプリメントも多く、「チュアブル状」として指定商品でも認められている(甲30)。サプリメントの有効成分は苦み、えぐ味があることが多く、それをごまかすために香料を加えることは常識であり、香料としてフルーツやミントは基本的なものである(甲31ないし甲34)。香料の中でも基本的な「ミックスベリー」や「ミント」の風味がサプリメントに使われる蓋然性は十分ありうるものである。

これらの事実を加味すると、第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤」、第5類「サプリメント」においても「口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子」と同様、本件商標登録は取り消すことが妥当であると考えられる。

(3)指定商品第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,即席菓子のもと」について

「菓子」と同じ類似群がつけられている「パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は登録を取り消されるべきである。現代においては、加工食品には多かれ少なかれ香料は使用されているものであり、果物やミントの風味を付与することはどれに対してもされる可能性があることから、「菓子」同様に、「ミックスベリーミント」という味の名前に独占権を付与して自由な使用を阻害することは、商標本来の趣旨に則るものでない。

そして、「食品香料(精油のものを除く。)」についてはフルーツ香料、ミント香料などが多くあり、香料は複数のものを配合して食品原料とするのが普通であり、「茶」においては、「ミントティー」や、フルーツの香味を入れた「アップルティー」「レモンティー」などが一般的なことから、本件商標は識別力を欠くというべきである。

また、「ココア」はチョコレートの飲料版ともいえることから「ミントチョコ」及び「フルーツを入れたチョコ」が一般的なことを考慮すれば、「ココア」についても自他商品識別力を欠くというべきであり、「茶」や「ココア」と関連性もある「コーヒー」についても同様の判断が妥当である。

「即席菓子のもと」については、「ミックスベリー」という味の名前も使われている(甲35)。

2 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同法第4条第1項第16号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由

当審において、平成27年6月30日付けで、商標権者に対して、本件商標の指定商品中、第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,香料,薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,入れ歯安定剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと」について登録を取り消すべき旨の通知をした。

その理由は要旨次のとおりである。

1 登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)本件商標の構成中の「ミックス」の文字は、「まぜること。混合。混和。ミクス。所定の材料などをまぜたもの。」の、「ベリー」の文字は、「イチゴ(ストロベリー)、ブルーベリー、ラズベリー、セイヨウスグリ(グーズベリー)、ブラックベリー、クランベリーなど、多肉質の小果実の総称」の各意味を有する語としていずれも広く知られており、両語を結合した「ミックスベリー」の文字は、複数のベリー類を混合したものを指称する語として普通に用いられている(甲2、甲3、甲10ないし甲15、甲31、甲32及び甲35)。

(2)同じく「ミント」の文字は、「シソ科ハッカ属(ミント属、メンタ属)の総称。和名は薄荷(ハッカ)」を意味する語として広く知られ、ミントを原材料等とする菓子、歯磨き、香料、サプリメント等について、上記ミックスベリー同様、商品の品質、原材料、風味、芳香等を表示するために普通に使用されている(甲17ないし甲19、甲24、甲28、甲29及び甲31)。

特に、ミントは、フルーツ(果物)の風味と共に用いられることも多く、フルーツ名と組み合わせ、「ライムミント」、「ブラックベリーミント」、「グレープミント」、「アップルミント」等、「○○ミント」として商品の品質、原材料、風味、芳香等を表示するために普通に使用されている(甲19、甲24及び甲28)。

また、上記「ミックスベリー」と組合せ、「ミックスベリーミント」として使用されている例もある(甲16及び甲29)。

2 上記1の事実を総合すると、本件商標は、複数のベリー類の意味を有する「ミックスベリー」の文字と薄荷(ハッカ)の意味を有する「ミント」の文字とを結合したものであって、全体として複数のベリー類及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品であることを記述的に表示したものとして認識し理解されるものというべきである。

そして、本件商標の指定商品には、商品特性としてベリー類やミント(ハッカ)の風味、芳香等を有する(原材料等とする)商品が多く含まれている。

そうすると、本件商標は、その指定商品のうち、ベリー類やミント(ハッカ)の風味、芳香等を有する(原材料等とする)商品といえる第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,香料,薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,入れ歯安定剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと」について使用しても、単に商品の品質、原材料、風味、芳香等を表示するものとして認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、上記商品中の複数のベリー及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品以外の商品について使用するときは、複数のベリー及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品であるかの如く、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきであるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。

第4 商標権者の意見

商標権者は、平成27年8月6日付け意見書において、要旨下記の意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第58号証(枝番号を含む。)を提出した(商標権者が提出した号証の記号は、「甲第○号証」と記載されているが、決定中では、「乙第○号証」又は「乙○」として記載する。)。

1 本件商標

本件商標は、「ミックス」、「ベリー」及び「ミント」の文字を構成に含むとしても、スペースなく一連に表記され、構成全体として視覚上もまとまりがあり、滑らかに称呼することが可能であり、軽重の差なく一体不可分の造語を構成しており、「『ミックスベリー』と『ミント』」を結合したものとして観察すべき必然性はない。

「『ミックスベリー』と『ミント』」の結合といった解釈があるとすれば、「『ミックス』、『ベリー』と『ミント』」、「『ミックス』と『ベリーミント』」の結合など、如何様にも解釈可能であり、このような解釈の多様性こそ、本件商標が看者の主観に委ねられた、特定の意味合いを想起させない造語であることを物語るものというべきである。

したがって、「複数のベリー類の意味を有する『ミックスベリー』の文字と薄荷(ハッカ)の意味を有する『ミント』の文字とを結合したもの」といった意味合いを一義的に導きだすべきではない。

2 使用の事実について

本件商標である「ミックスベリーミント」の使用について挙げられている証拠資料は僅か2件であり、しかもそのうち1件は、本件登録商標権者による使用である。

また、現在においても、インターネットにおいて「ミックスベリーミント」を検索すると、多数の結果が表示されるが、そのほとんどが、本件商標権者の使用に関するものである(乙3)。したがって、本件商標権者が自己の商標として使用していることが判明するとしても、取消対象とされている商品群について普通に使用されているという事実は見出せるものではなく、結局、本件商標権者が自己の提供する商品について自他商品を識別するために使用している造語商標であることはこの点からも明白である。

3 本件商標の周知性について

本件商標は、菓子類・口中清涼剤等にかかわる商品についての本件商標権者のメインブランドのひとつである、「ブレスケア」と共に使用されており、2014年8月に発売されたものである。

口中清涼剤市場において最大の売上を有するブランドである「ブレスケア」の複数シリーズ(以下、「ブレスケア」商品ということがある。)のうち、「ミックスベリーミント」を使用している「噛むブレスケア」シリーズの商品(以下、「噛むブレスケア」商品ということがある。)は、口中清涼剤市場全体の売上において、30%以上ものシェアを占め、その年間売上は、2014年度で25億円を超えており、本件商標権者の「噛むブレスケア」商品は、菓子類・口中清涼剤等における人気商品となっている。

「噛むブレスケア」商品に占める「ミックスベリーミント」の売上のシェアは、商標登録時でもある2014年10月には、10%を超えており、2015年5月時点でも7%以上のシェアを維持している。また、「ミックスベリーミント」発売以降、噛むブレスケア全体の売上が高まり、他の「噛むブレスケア」商品のシェアを殆ど奪うことなく推移していることから、「ミックスベリーミント」の発売により、新規のユーザーが獲得できているといえる(乙4)。

以上より、「ミックスベリーミント」は、発売直後から需要者の購買意欲に訴え、商品の売上に結びついている事情があり、商標権者の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至っているといえる。

4 審査例及び審決例

申立人は、「ベリー」や「ミント」を構成中に含む商標の商標法第3条拒絶事例を証拠として挙げているが、何れも拒絶理由通知に対して意見書で反論せず、拒絶査定を受け入れており、登録の意思が感じられないものであり、審査・審判段階で十分に審査・審理を受けたものとはいえない。

一方で、乙第5号証ないし乙第53号証のような商標が登録されている。

これらの登録商標はいずれも、認定の解釈に従えば、品質表示を問題にされ、登録されるべきでないこととなる。しかし、いずれもこの点を問題にされずに登録されており、本件商標のみが拒絶されるべき格別の根拠はないと思料する。

また、審決例(乙54ないし乙56)をみると、構成中に「ミント」の文字を含む「ミストミント」「ピーチミント」「フラワーミント」は、直ちに特定の商品の品質を表したものと認識させるものではなく、むしろ、全体をもって一種の造語を表したものとして理解されるものとみるのが相当であり、商品の品質を表示するものとして、普通に使用されている事実を見いだすことができないことから、品質等を表すものではないと認定されており、本件商標「ミックスベリーミント」も、一種の造語であり、また普通に使用されているものでないから、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るというべきである。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、特定の意味合いを想起させない造語商標であり、本件商標権者が自他商品を識別するために使用する商標である。

本件商標権者以外の「ミックスベリーミント」の使用例はごく僅かであり、品質等を表示するものとして普通に使用されている事実もない。また、「ミックスベリーミント」は、菓子類及び口中清涼剤等にかかわる商品についての本件商標権者のメインブランドのひとつである、「ブレスケア」と共に使用されており、2014年8月に発売され、「噛むブレスケア」商品に占めるその売上のシェアは、商標登録時でもある2014年10月には、10%を超えており、発売直後から需要者の購買意欲に訴え、商品の売上に結びついている事情があり、商標権者の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至っているといえるものである。すなわち、「ミックスベリーミント」は「ブレスケア」商品のサブブランドとして需要者の間に広く認識されており、自他商品の識別機能を果たしている。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標についてした上記第3の取消理由は妥当なものである。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,香料,薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,入れ歯安定剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子,口臭を消すための菓子,その他の菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。

2 商標権者の意見について

(1)商標権者は、本件商標は、「ミックスベリー」と「ミント」の結合、「ミックス」、「ベリー」と「ミント」の結合、「ミックス」と「ベリーミント」の結合など、如何様にも解釈可能であり、本件商標は看者の主観に委ねられた、特定の意味合いを想起させない造語であって、「複数のベリー類の意味を有する『ミックスベリー』の文字と薄荷(ハッカ)の意味を有する『ミント』の文字とを結合したもの」といった意味合いを一義的に導きだすべきではない旨主張する。

しかしながら、本件商標は、「ミックス」、「ベリー」及び「ミント」の各語からなるものであるところ、これらは、「ミックスベリー」と「ミント」の結合、「ミックス」と「ベリーミント」の結合というように、看者の主観によって解釈可能であるとしても、上記第3のとおり、本件商標の指定商品との関係においては、「ミックスベリー」及び「ミント」の各語が、それぞれ「複数のベリー類」及び「ハッカ」を意味する語として普通に使用されているものであることから、その商品が「複数のベリー及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品」であることを認識するものである。そうすると、本件商標は、ベリー類やミント(ハッカ)の風味、芳香等を有する(原材料等とする)商品といえる上記商品に使用したときは、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、その指定商品中、複数のベリー及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品以外の上記1の商品について使用するときは、複数のベリー及びミント(ハッカ)を原材料等とする商品であるかの如く、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきであるから、商標権者の主張は採用することはできない。

(2)また、商標権者は、「ミックスベリーミント」は「ブレスケア」商品のサブブランドとして需要者の間に広く認識されており、自他商品の識別機能を果たしている旨主張する。

しかし、「ミックスベリーミント」の文字の使用については、本件商標権者のメインブランドのひとつである「ブレスケア」と共に使用されているとの説明がされているほか、「ミックスベリーミント」のみで使用されている証左や説明もなく、本件商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであることは、上記1のとおりであるから、この点についての商標権者の主張も採用することはできない。

(3)さらに、商標権者は、過去の登録例、審決例を挙げて、本件商標も自他商品の識別標識としての機能を果たし得る旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、商標権者が挙げた登録例等は、いずれも本件商標とは構成等を異にし、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記第3のとおりであるから、商標権者の主張は採用できない。

(4)したがって、商標権者の意見はいずれも採用することはできない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、その登録を取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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