Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900374(T2015−900374/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5789798号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成26年11月28日に登録出願、第14類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年7月14日に登録査定、同年9月4日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第3316897号商標(以下「引用商標1」という。)は、「I.K.K.S.COMPANY」の文字を横書きしてなり、平成7年3月8日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年5月30日に設定登録されたものである。
(2)登録第4015059号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年3月8日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年6月20日に設定登録されたものである。
(3)国際登録第805635号商標(以下「引用商標3」という。)は、「IKKS」の文字を横書きしてなり、2005年4月14日に国際商標登録出願(事後指定)、第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年1月13日に設定登録されたものである。
(4)国際登録第899209号商標(以下「引用商標4」という。)は、「IKKS」の文字を横書きしてなり、2006年9月11日に国際商標登録出願、第18類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年9月28日に設定登録されたものである。
(5)国際登録第1091951号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、2011年3月7日にフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2011年8月29日に国際商標登録出願、第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年8月31日に設定登録されたものである。
(6)国際登録第1092111号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、2011年3月7日にフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2011年8月29日に国際商標登録出願、第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年8月31日に設定登録されたものである。
(引用商標1〜6をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)
3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標と引用商標は、その要部である「ikka」と「I.K.K.S.」又は「IKKS」は、語頭から3文字を共通にし、相違する「a」と「S」は外観上近似した印象を与えるから、本件商標と引用商標は外観上類似する。
また、本件商標より生ずる「アイケーケーエー」の称呼と引用商標より生ずる「アイケーケーエス」の称呼は、末尾の長音と「ス」の音の差異を有するにすぎないから、本件商標と引用商標は称呼上類似する。
したがって、本件商標と引用商標は、観念上の対比ができないとしても、外観及び称呼上、互いに類似するものであるから、商標全体として考察した場合において、互いに類似する商標といわざるを得ない。
さらに、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を指定商品とするものであって、引用商標の後願に係るものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、引用商標と類似性の程度が高いものであること、引用商標が申立人の取扱いに係る被服(主として子供服)の商標として、本件商標の出願時及び査定時に高い周知著名性を獲得していたこと、引用商標の独創性が高いものであること、本件商標と引用商標の指定商品の需要者の範囲が一致すること及び需要者の普通の注意力その他の取引の実情から、本件商標をその指定商品に使用した場合には、申立人の業務に係る商品であると想起・連想し、あたかも申立人又はその関連会社が取り扱う商品であると錯覚して、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、第18類及び第25類に属する指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性
申立人の提出した証拠によれば、「IKKS(イックス)」は、1987年(昭和62年)に、フランス国において、申立人の業務に係る子供服のブランドとして使用が開始され、1999年(平成11年)に婦人服に、2003年(平成15年)に紳士服について、それぞれ使用が開始された(甲17の2・4)。申立人は、2015年(平成27年)11月10日現在で、世界40カ国で約240店舗を展開している(甲17の7)。我が国においては、「IKKS(イックス)」ブランドの商品がいつ頃から販売されたのか、あるいは、申立人が当該商品を販売する店舗を展開しているのかは、申立人の提出した証拠からは判然としないが、通販サイトを紹介するウェブサイト「子供服のブランドリスト」(2007年6月22日:甲17の10)によれば、2007年(平成19年)6月頃には、「IKKS(イックス)」ブランドの商品がインターネット等を介して販売されていたと推認することができる。
しかし、「IKKS」の文字よりなる商標を含む引用商標を付した被服について、我が国において、本件商標の登録出願日前より、その主たる需要者といえる一般の消費者に向け、各種メディアを通じて広く宣伝広告がされた事実を明らかにする証拠はなく、さらに、本件商標の登録出願日前において、引用商標を付した被服が我が国でどの程度の売上高があったのかも明らかではない。
してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、「IKKS」の文字よりなる商標を含む引用商標が、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、長さや色の異なる多数の短冊状の細い長方形を無作為に重ね合わせ、全体的に観察すると、これらの短冊状の細い長方形が円図形を形成しているとの印象を与える図形と、該図形の下に、「ikka」の文字を横書きにした構成よりなるものであるところ、その構成中の図形部分は、これより直ちに特定の称呼、観念が生ずるものではないから、本件商標に接する取引者・需要者は、読みやすい文字部分を捉えて、これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。そして、本件商標中の「ikka」の文字部分は、我が国で親しまれた英語その他の外国語を表すものではないから、これをローマ字読みにした「イッカ」との称呼を生ずるとみるのが相当である。また、該「イッカ」の称呼からは、「一花」、「一価」、「一家」、「一荷」、「一過」など様々な漢字(日本語)が想起される場合があり、したがって、「ikka」の文字部分は、その意味を特定することができないから、造語を表したものと認める。
してみると、本件商標は、その構成中の「ikka」の文字部分に相応して、「イッカ」の称呼を生ずるものであって、構成全体として、特段の観念を生じないものということができる。
上記に関し、申立人は、本件商標から「アイケーケーエー」の称呼をも生ずる旨主張し、これを前提に、本件商標と引用商標とが称呼上類似すると主張するが、本件商標の構成各欧文字を発音した場合には、「アイケーケーエー」の称呼が生ずることを否定するものではないが、一般的に、欧文字よりなる商標において、各欧文字にそれぞれピリオドが付されている場合であればともかく、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、簡潔なローマ字読みができる文字よりなる商標にあっては、これを殊更構成各欧文字を発音し一文字一文字を称呼するものとは考え難いところである。そして、本件商標についても、各欧文字にそれぞれピリオドが付されているものではなく、しかも、ローマ字読みにした「イッカ」の称呼が無理なく生ずるものであるから、「アイケーケーエー」と構成各欧文字を称呼するというより、簡潔であり、かつ、想起される漢字(日本語)も存在する「イッカ」の称呼を選択する場合が多いというべきである。
したがって、本件商標より生ずる自然の称呼は、「イッカ」であるというべきであるから、上記に関する申立人の主張は理由がない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、前記2(1)のとおり、「I.K.K.S.COMPANY」の文字を横書きしてなるものであるところ、その構成中の「COMPANY」の文字部分は、「会社」を意味するものとして理解されるとみるのが相当であって、自他商品の識別機能が弱い部分であるから、その要部といえる「I.K.K.S.」の文字部分より「アイケーケーエス」の称呼を生ずるものであり、該文字部分は、特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
(イ)引用商標2は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中、顕著に表された「I.K.K.S.」の文字部分が看者の注意を強く引く部分であるから、これより「アイケーケーエス」の称呼を生ずるものであり、該文字部分は、特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
(ウ)引用商標3及び4は、前記2(3)及び(4)のとおり、「IKKS」の文字を横書きしてなるものであるところ、本件商標の登録出願日前に掲載されたと認め得るインターネット上の紹介記事等(甲17の6・8)には、「IKKS/イックス」と表記されていたことを認めることができる。
してみると、引用商標3及び4は、「イックス」と称呼されるか、あるいは、これらの商標を知らない需要者は、特段の意味を有しない欧文字4字を羅列したものと認識し、これを構成する各欧文字を発音した「アイケーケーエス」の称呼をもって商品の取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
したがって、引用商標3及び4は、その構成文字より「イックス」又は「アイケーケーエス」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認める。
(エ)引用商標5及び6は、別掲(3)及び(4)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「IKKS」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を果たし得るものであるから、前記(ウ)で認定した引用商標3及び4と同様に、これより「イックス」又は「アイケーケーエス」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認める。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標と引用商標は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから、その構成態様に照らし外観上明らかに相違するものである。仮に本件商標中の「ikka」の文字部分のみを抽出して、引用商標中の「I.K.K.S.」又は「IKKS」の文字部分と対比した場合においても、いずれも欧文字4字といった簡潔な構成よりなるものであるから、その構成において、字形の異なる「a」と「S」の差異は、構成全体に及ぼす影響は決して小さいものではなく、また、両者は、小文字と大文字との差異があるばかりか、本件商標と引用商標1及び2とは、ピリオドの有無の差異をも有するものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似するものではない。
(イ)称呼
本件商標より生ずる「イッカ」の称呼と引用商標より生ずる「アイケーケーエス」の称呼は、構成する音の数・音質・音調等において著しい差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調・語感が相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「イッカ」の称呼と引用商標3〜6より生ずる「イックス」の称呼は、語頭部分の「イッ」の音を同じくするものであるとしても、末尾部分において、「カ」と「クス」の音の差異を有するものであるから、該差異音が短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調・語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似するものではない。
(ウ)観念
本件商標は、構成全体として、特段の観念を生じないものであるから、引用商標とは観念において比較することはできず、観念上類似するものともいえない。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
また、前記(2)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
してみると、本件商標に接する取引者・需要者が、引用商標を連想又は想起することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者・需要者をして、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと認める。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。