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Trademark Appeal Case

卵形図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900357(T2015−900357/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5786743号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5786743号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年3月30日に登録出願され、第35類に属する別掲2に記載の役務を指定役務として、同年7月24日に登録査定、同年8月14日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第5号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第3条第1項第3号について(卵形の図形が一般的に使用されている事実)

本件商標の指定役務中、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、「類似商品・役務審査基準[国際分類第10−2015版対応]によれば、類似と推定する商品の範囲もクロス・サーチを行うものである(甲2)。つまり、一般的な食品である「卵、卵加工品、調味料、菓子及びパン」等の商品と類似と推定されるものである。ここで、一般的な食品である「卵、卵加工品、調味料、菓子及びパン」等の卵関連商品について考察すると、卵型の図形は「卵、卵加工品」や卵を原材料に使用した飲食料品において、一般的に使用されており(甲3)、卵の形状をした商品も多数存在している(甲4)。さらに、卵関連の商品については、その販売促進のための印刷物、ホームページ等で卵形の図形を一般的に使用している(甲5)。加えて、食品業界では、アレルギー表示をよりわかりやすく消費者に伝えるため、アレルゲンである食材をイラストでアイコン化しパッケージに表示する例が多く存在し、卵のイラストもそのような使い方をする例が多くある。

また、上記事実を裏付けるものとして、甲第6号証ないし甲第8号証に示す商標が、特許庁の審査において商標法第3条第1項各号により拒絶査定となっている。

以上の事実に鑑みれば、本件商標は卵形の図形からなるところ、その商品の形状、原材料、品質等を表示するにすぎず、一般の需要者・取引者をして何人かの業務に係る商標であると認識することのできないものである。

以上により、本件商標をその指定役務中「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、卵関連商品の形状・原材料・品質等を認識するにとどまり、自他商品識別標識としての機能を有しないものである。

2 商標法第3条第1項第5号について(卵形の図形が極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標である事実)

本件商標は、黒ベタ塗りした鶏卵に似た楕円形、いわゆる卵形の図形からなるものである。これに接する需要者・取引者は本件商標から直ちに鶏卵を想起するものである。すなわち、我が国の鶏卵の消費量は、メキシコ、マレーシアに続き世界第3位であり、一人当たり年間329個消費するとの統計があること(甲9)、また、一般消費者への流通は殼付き卵がほとんどで、鶏卵の形状は見慣れており、馴染みの深いものであることから、これに接する取引者・需要者は、本件商標から単なる楕円形と受け取るのではなく、直ちに卵形であると受け止め、卵に何らかの関係のある商品や役務を想起するものである。つまり、卵形の図形は日本において極めてありふれている図形であるといえ、その構成も極めて簡単であり、特段特徴的なものではない。

したがって、本件商標は極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものである。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」と規定し、同3号において「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨を定めている。

本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの縦長楕円図形の横部分の形状を、下部から上部に向けて収斂するように変形させた形状からなるものである。

そして、この形状は、鶏卵を黒塗りで描いたシルエット図形と認識する場合があるとしても、特定の商品や、その品質及び役務の質を客観的に表したものとはいえないから、本件商標の指定役務中の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との関係で、その役務の質や内容を具体的に、かつ、普通に用いられる方法で表示するものということはできず、また、役務の「提供の用に供する物」として、小売等役務の取扱商品を表示しているともいえないとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その指定役務の質や内容、又は提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。

この点に関して申立人は、「一般的な食品である卵関連商品について、卵形の図形は『卵、卵加工品』や卵を原材料に使用した飲食料品において、一般的に使用され(甲3)、また、卵の形状をした商品も多数存在し、さらに、卵関連の商品については、その販売促進のための印刷物、ホームページ等で卵型の図形を一般的に使用しており、卵形の図形は、商品の形状、原材料等を表示するにすぎず、一般の需要者、取引者をして何人かの業務に係る商標であると認識することができない。」旨を主張している。

しかしながら、上記甲各号証の事例は、鶏卵型の図形の内部に「たまご」、「卵」や「新潟県産 赤卵」などの商品の具体的内容を表す文字や修飾語等が表示されており、鶏卵型の図形を含めて当該部分が全体として自他識別機能を果たすとはいえないとみられる事例(甲3の3、4及び5(鶏卵型の図形内に数字を表したものを含む。)、甲3の10、甲6ないし甲8)、商品の内容を具体的に認識させるとはいい難い事例(甲3の6)、鶏卵型の図形の内部に識別力を有する文字や図形を配することで、鶏卵型の図形を含めて当該部分が全体として自他識別機能を果たし得るとみられる事例(甲3の1及び2、甲2の7ないし9、甲3の11ないし14、甲3の16)である。

また、鶏卵型をした菓子等の商品が存在すること(甲4)は、本件商標の自他役務の識別機能を否定する証左ということはできない。

さらに、甲第5号証の事例は、鶏卵型の図形の内部や周囲に、文字、図形、数字ないし文章が表示されているものであって、鶏卵型の図形そのものが、役務の質や内容を表している証左ということはできず、矩形図形の内部に鶏卵の図形を配した事例(甲5の8)や、鶏卵の図形を装飾図形的に表した図形(甲5の11及び12)についても、これが、役務の質や内容を表している図形ということはできない。

してみれば、卵形の図形を構成要素とする図形であっても、その構成態様によっては、自他役務識別機能を発揮するものとみるのが相当であるから、上記証拠をもって、本件商標の自他役務の識別性を否定する申立人の上記主張は、採用することができない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

2 商標法第3条第1項第5号について

商標法第3条第1項第5号は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」と規定しているところ、申立人は、本件商標について、「卵形の図形は日本において極めてありふれている図形である。」旨を主張している。

しかしながら、申立人が提出した甲第5号証をみると、これらは、鶏卵の図形が他の文字や図形と組み合わされて使用されているものが主であって、それが単独で使用されているのは、甲第5号証の11及び12にすぎず、これについても、「げんまんE」、「めざましたまご」(甲5の11)、「まるかね商品一覧」(甲5の12)の文字などとともに表示されており、当該図形のみが単独で、標章として、ありふれて使用されている事例ということはできないものである。

そうすると、卵形の図形は、極めて簡単な図形であるともいえないし、円、三角形、四角形やハート型の図形とは異なり、日常生活においてありふれて使用されるとはいえず、輪郭として一般に用いられるものでもないから、これが極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標ということはできないというのが相当である。

よって、申立人の上記主張は、採用することができない。

その他、卵形の図形が、本件商標の指定役務について、ありふれて使用されているということを認めるに足りる証拠の提出はない。

してみれば、本件商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標ということはできないものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当しない。

3 まとめ

以上、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同第5号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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