sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標と類似商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900405(T2015−900405/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5795757号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5795757号商標(以下「本件商標」という。)は、「pure yoga」の文字を標準文字により表してなり、平成27年2月19日に登録出願、第41類「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,ヨガの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,ヨガに関する施設の提供,運動用具の貸与,ヨガに関する用具の貸与,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」を指定役務として、同年9月10日に登録査定、同年10月2日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。

1 申立人について

申立人は、アジアにおいてヨガスタジオ、フィットネススタジオ、アパレル、バー及びレストランを含むビジネスを広く扱う「ピュアグループ」(Pure Group)の関連会社である。

ピュアグループは、アジアにおけるライフスタイルのリーディングブランドであり、中心となる上記のビジネスについて5万人以上の顧客と1,300人以上の従業員を有する。継続的な事業を通じて、ピュアグループは、ライフスタイル全般の様々な分野までサービスを広げており、健康的で活動的な生活を促進することにより地域に貢献している(甲2及び甲3)。

また、ピュアグループは、2002年に香港にヨガスタジオを構えたことから始まり、現在は、世界で20か所を超える施設を有し(甲2)、そのヨガスタジオ、フィットネススタジオ、アパレルを含む幅広い商品・役務について、「pure yoga」、「pure fitness」、「pure」の商標を継続して使用してきた。

2002年のスタジオ開設以降は、アジアの多くの都市部でヨガスタジオを開設し続けてきた。日本のヨガ愛好家の間でも申立人のヨガスタジオは、「香港大手のヨガスタジオ」の一つとして知られている。香港、シンガポール、台北、上海、ニューヨークにおける申立人及びピュアグループ(以下「申立人ら」という。)のヨガスタジオが開設されている(甲2及び甲4)。

2 申立人らの使用商標とその周知・著名性について

(1)申立人らの使用商標

申立人らは、「pure yoga」及び「PURE YOGA」を広く社会一般において、長期間にわたり一貫して継続的に使用してきた(甲2ないし甲4)。

また、日本人の需要者の間では、これらに加え、その商標の読み方を片仮名にした「ピュアヨガ」という商標でも親しまれてきた。その結果、「pure yoga」、「PURE YOGA」及び「ピュアヨガ」(これらをまとめていうときは、以下「申立人商標」という。)は、申立人らの業務に係る商品・役務を示す商標として、また、そのヨガスタジオの名称を表示するマークとして申立人らによって継続的に使用されてきた。

(2)商品・役務についての申立人商標の使用

申立人らは、2002年の香港におけるスタジオ開設以降、海外にも進出し、現在に至るまでスタジオの数を継続的に増やし、役務を提供し続けてきた。また、世界的に著名なヨガのインストラクターを招いてヨガの指導を行ったり、申立人らのヨガスタジオに所属するインストラクターが日本でのレッスンを行うなど、一地域内のスクールにとどまらない幅広い業務の展開を行ってきた。

申立人らは、その提供する商品・役務及び業務、すなわち、「ヨガの教授」を中心に、「ヨガの興行の企画・運営又は開催,ヨガに関する施設の提供,ヨガに関する用具の貸与,ヨガに関するセミナーの企画・運営又は開催」について、長年にわたり継続して申立人商標を使用してきた。

さらに、申立人らは、グローバル展開を進めており、各国でスタジオが開設されていて、日本においても近々進出の予定であることは、多くの需要者にも認識されていた。

(3)申立人商標とその役務が広く知られていること

申立人商標は、ヨガスタジオの名称を表示するマークとして、申立人らによって継続的に使用されてきた結果、香港、台湾、シンガポール、上海、ニューヨークを中心とする外国と日本国内において、本件商標の指定役務の需要者の間で周知・著名な商標と認められるに至っている。

日本の需要者についてみると、申立人らのヨガスタジオは、海外に所在するにも関わらず、多くの日本人、特にヨガの愛好家達に知られている。例えば、香港、台湾、シンガポール、上海、ニューヨークに滞在している日本人、海外旅行でこれらの都市を訪れる日本人が多く、申立人らのヨガスタジオを訪れており、会員として通っていたり、体験入学をしていたりする事実がある。

また、日本人の需要者は、口コミで情報を交換しており、少なくともインターネットにおいて、申立人らのヨガスタジオが香港最大手のヨガスタジオであること、台湾、シンガポール、上海、ニューヨークにも進出していること、著名なヨガインストラクターが指導していること、インストラクターが日本でセミナーを行うことなどが平成27(2015)年2月19日以前から知られていた(甲5ないし甲46)。一例にすぎないが、インターネット上では、2005年8月にはすでに申立人らのヨガスタジオが紹介され、記事が掲載されていた(甲5)。

以上のとおり、申立人商標は、申立人らが提供するヨガに関するサービスに長年にわたって使用され、各都市でサービスが提供されてきた。

その結果、現地に居住しているか日本国内に居住しているかを問わず、ヨガのレッスンやヨガセミナーの受講者を中心とした日本人の需要者の間において、申立人商標が広く知られていることが明らかである。すなわち、日本の需要者間においても、遅くとも2005年8月からの長期間にわたり、本件商標の指定役務の需要者と共通の需要者層の間で申立人らの業務に係る商品・役務が申立人商標をもって、繰り返し紹介され、実際に多くの日本人が申立人らのサービスを受けてきた。

かかる実情に鑑みれば、我が国の取引者、需要者の間でも申立人商標といえば、申立人らの業務に係る商品・役務を容易に想起させるものとして広く知られた商標となっていることは明白であり、本件商標の登録出願日以前から、申立人商標は、その取引者・需要者間において周知・著名であったというべきである。

したがって、申立人商標は、外国又は日本において周知・著名な商標であることが本件商標の登録出願時にすでに我が国内の需要者によって認識されていたものである。

(4)本件商標と申立人商標との同一・類似性

本件商標は、ローマ字を横書きした「pure yoga」(標準文字)からなる。

他方、申立人商標は、「Pure Yoga」及び「PURE YOGA」からなり、大文字と小文字の区別を別とすれば、ローマ字のスペルは本件商標と同一である。

称呼についても、本件商標と申立人商標の態様は、上記のとおりであるから、本件商標から生じる称呼は、申立人商標から生じる称呼と同一である。また、両商標から生じる観念も同一である。

したがって、本件商標と申立人商標が同一又は類似であることは明白である。

3 申立人らの業務に係る商品・役務との混同を生ずるおそれ

(1)申立人商標は、申立人らの業務に係る商品・役務を示すものとして国内外で需要者間に広く知られていることが明らかである。特に、申立人商標は、ヨガの教授やヨガスタジオ(ヨガに関する施設)の提供等について、申立人らの業務に係る商品・役務を示すものとして広く知られている。

(2)申立人商標は、「pure」及び「yoga」という語のそれぞれは既存の言葉であるにしても、「pure yoga」という言葉自体が特定の内容の商品や役務を直接的、かつ、一義的に意味するものではないことから、申立人商標は、申立人らが提供する商品・役務との関係において特段記述的であるものではない。

したがって、申立人商標の独自性・独創性は極めて高いというべきであり、識別力が強いというべきである。

(3)申立人商標は、特定の商品・役務のみに使用されるのみの商標にとどまらず、申立人らの名称の一部である「PURE」の文字を含むものであって、ヨガスタジオの他にも、フィットネススタジオ、アパレルを含む幅広い商品・役務について、「pure yoga」、「pure fitness」、「pure」の商標を継続して使用し、業務を行ってきた。また、継続的な事業を通じて、ピュアグループは、ライフスタイル全般の様々な分野までサービスを広げ、健康的で活動的な生活を促進することにより地域に貢献してきた。このように広い分野の取引で商標が使用されてきた結果、申立人商標は、ヨガの教授やヨガスタジオ(ヨガに関する施設)の提供の他、申立人らを指標するものとして、強い出所表示力を発揮するものとなっている。

したがって、その混同を生じる範囲は広いものとして考慮されるべきである。

(4)商品役務間の関連性

申立人商標は、香港最大手のヨガスタジオとして、また、台湾、シンガポール、上海、ニューヨークでも著名なヨガスタジオとして知られている。

「ヨガの教授」は、本件商標の指定役務ときわめて関連の強い役務であり、また、「ヨガスタジオ(ヨガに関する施設)の提供」及び「ヨガに関するセミナーの企画・運営又は開催」は、本件商標の指定役務に包含されている。

したがって、本件商標の指定役務の需要者層と申立人の業務に係る商品・役務の取引者層・需要者層が一致していることが明らかである。よって、本件商標の使用により混同を生じる範囲は広く、混同を生じる蓋然性はきわめて高い。

(5)申立人商標に化体した信用を害されるおそれ

申立人らは、その商標のブランドイメージを維持し、より一層発展させるため、ブランド管理を行っている。つまり、申立人商標は、申立人らの業務に係る商品・役務を表示するものとして国内外において、需要者の間に広く認識されている周知・著名商標であり、申立人らの提供する商品・役務に係る絶大な信用が化体した重要な財産である。

したがって、申立人らが現にその商標を付して使用している商品・役務とその取引者層・需要者層を共通にする役務について、申立人商標と同一・類似の商標である本件商標が自由に使用される結果、申立人商標の希釈化が生じ得るおそれがあることは否定できない。

このような事態が生じた場合、申立人が永年にわたり多大な努力を費やして培ってきたブランドイメージは、著しく毀損され、申立人が多大な損害を被ることは明白である。

4 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記の記述及び証拠から明らかなとおり、申立人商標は、外国及び日本において、著名な商標であることが本件商標の登録出願時にすでに我が国内の需要者によって認識されていた。また、本件商標と申立人商標は、同一又は類似である。さらに、本件商標の指定役務の需要者と申立人らがその商標を使用する役務の提供を受ける需要者が一致している。

したがって、本件商標がその指定役務に使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者が、申立人ら又はこれに関連する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同する可能性は非常に高い。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 商標法第4条第1項第10号該当性について

上記のとおり、本件商標は、申立人又はこれに関連する者の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

6 商標法第4条第1項第19号該当性について

(1)本件商標の商標権者が登録出願前から申立人商標を知っていた可能性

申立人商標とその役務は、遅くとも本件商標の登録出願時以前である2005年から、我が国の需要者間に広く知られており、特に海外では、日本よりも先に知られていたことから、次第に日本国内においても申立人の役務が知られ、利用されるようになるであろうことを本件商標の商標権者は知っていたというべきである。特に、申立人らのサービスも本件商標の商標権者の業務もともにヨガの教授とヨガの施設の提供を中心とするものであって、この業務が一致し、需要者及び取引者も共通している。

また、提出する証拠からも明らかなとおり、ヨガを愛好する需要者達の多くがインターネットを通じて情報を提供・交換していることから、国内外に居住するインターネット利用するヨガ愛好者を介して、初めは海外やある一部の地域・国でのみ知られていたものであっても、これが瞬く間に日本国内を含む他の地域に広がり知られていくタイプのサービスであることは疑いようがない事実である。すなわち、この分野の需要者の年齢層と生活・活動パターンや情報収集手段の特徴、申立人らがサービスを提供している地域と日本の距離、それらの地域を訪れる(あるいは、滞在する)日本人の多さ、日本国内におけるヨガブームの時期等に鑑みれば、申立人らがヨガスタジオを開設してサービス提供を開始した後、本件商標が登録出願されるまでの間に、申立人らのサービスとその商標が日本人の需要者の中に浸透し、広く知られていたと考えることはきわめて自然である。

さらに、本件商標の指定役務の内容からみても、本件商標の商標権者は、申立人らが提供するヨガ関連のサービスと同様の役務に強い関心をもっていたはずである。しかも、アジア大手のヨガスタジオとして広く需要者に知られていた申立人のサービスを本件商標の商標権者が知らなかったとは到底いい難い。事実、申立人のヨガスタジオには、日本人インストラクターもおり、日本でのセミナーが開催されている(甲28)。

また、申立人のヨガスタジオに所属の外国人インストラクターも日本の需要者にたびたび紹介されている。

したがって、申立人商標は、2015年2月19日時点ですでに、申立人の役務を示すものとして周知・著名なものとなっていたのであり、本件商標の商標権者が申立人商標を登録出願時点において知っていたことは明らかである。

(2)申立人らの事業・サービスが我が国で展開される見込み

申立人らのサービスは、日本や韓国にも進出することが期待され、そのような情報も流れていた(甲12)。

このことからみると、申立人が日本に参入する可能性が以前から業界や需要者の間では予想されていたと考えられる。そうすると、本件商標の登録出願日が2015年2月19日であることから、申立人の周知・著名な商標と同一・類似の商標を申立人が提供するビジネスと完全に一致し、これを含むきわめて関連の深い役務について、日本において本件商標を登録出願した商標権者の行為には、申立人商標の周知・著名性に勝手に便乗すること、あるいは、申立人が日本に進出してきた際には何らかの金銭の請求をすることをもくろむといった不正の利益を得る目的や、申立人の将来における日本への参入を阻むなどの損害を加える目的があったことが認められる。

(3)結論

上記のとおり、申立人商標は、外国及び日本において、周知・著名な商標であることが本件商標の登録出願時にすでに我が国内の需要者によって認識されていた。また、本件商標と申立人商標は、同一又は類似である。

さらに、本件商標の商標権者は、不正の目的をもって、本件商標を登録出願したことが明らかであって、本件商標を不正の目的で使用するものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について

(1)申立人商標の周知著名性について

ア 申立人の提出した証拠(甲2〜甲46)によれば、以下の事実が認められる。

(ア)PURE GROUPのパンフレット及び「Pure International」のウェブサイトからの抜粋(甲2ないし甲4)には、頁の右上に「PURE」の表示のもと、「ピュア グループはアジアにおけるライフスタイルのリーディングブランドで、Pure Yoga、Pure Fitness、Pure Apparel、RED bar+Restaurant、nood foodという5つの核となるビジネスで構成されています。香港を拠点に5万人以上の顧客と1300人以上の従業員がいます。」及び「2002年、講師わずか2人だった香港のヨガスタジオ1店から、ピュア グループは今日、世界的クラスの下記20店以上にまで広がり、引き続き拡大していく計画です。」の記載(和訳)とともに「Pure Yoga」が2002年1月から2014年4月までの間に香港に6店、シンガポールに2店、台湾に2店、上海に1店、ニューヨークに2店あることが紹介されている。

(イ)日本経済新聞社のウェブサイトからの抜粋(甲7、甲11、甲32、甲35及び甲40)

a 「本格的『ヨガブーム』、香港に到来(2007/06/08 AFPBB NEWS/AFP通信)」の見出しのもと、「香港の『ピュア・ヨガ(Pure Yoga)』は2006年、世界最大のヨガ・スタジオをオープンした。」、「『ピュア・ヨガ』の創業者、コリン・グラント(Colin Grant)さんと『ヨガ国際会議』主催者によれば、香港総人口の約2パーセントが、定期的にレッスンに通っているとのこと。」の記載がある(甲7)。

b 「香港ヨガブームでけが人増加傾向に(2009/08/02 AFPBB NEWS/AFP通信)」の見出しのもと、「例えば、香港最大のヨガ教室チェーン『ピュア・ヨガ(Pure Yoga)』は2002年に4000平方メートルのスタジオを開設。現在、チェーン最大のスタジオは3万5000平方メートルあり、台湾の台北(Taipei)や米ニューヨーク(New York)市にもグローバル展開している。」の記載がある(甲11)。

c 「結婚秒読みの歌姫ココ・リー、富豪婚約者と6億円超え豪華パーティー−香港(2008/10/27 Record China)」の見出しのもと、「ココの婚約者・・・貿易会社Li&FungLtd.(利豊有限公司)の社長でもあり、台湾や香港ではヨガスタジオ『Pure Yoga』やフィットネスクラブ『Pure Fitness』の経営者としても活躍、大富豪として知られている。」の記載がある(甲32)。なお、ウェブサイト「exciteニュース」(甲33)は、甲第32号証と同一内容が掲載されている。

d 「台湾入りレディー・ガガの初日は『ヨガ』、市民が殺到=交通も大混乱!−台北市(2011/07/03 Record China)」の見出しのもと、「・・・レディー・ガガ・・・台北市内の繁華街にある大手ヨガチェーン『Pure Yoga』に登場。店舗は500人を超える市民が取り巻き、付近の道路まで大混乱に陥れた。」の記載がある(甲35)。

e 「ヨガ教室チェーン、中南部進出へ【表】(2014/03/19 Y’sニュース台湾)」の見出しのもと、「台湾ヨガ市場は・・・『SPACE YOGA』(3店舗)、香港の『Pure Yoga』(2店舗)、シンガポールの『TRUE YOGA』(2店舗)の大規模ヨガ教室チェーンの他、個人教室が約3割を占めている。ただ、かつてのブームが去り、個人教室の閉鎖が相次ぎ、もともと急速な店舗拡大を狙っていたチェーン教室も出店に慎重になっており、北部に教室が集中している。業界関係者は、ヨガ人口は人気のバスケットボールやジョギングなどに比べると少なく、成長速度は遅いが安定市場のため、チェーンの台湾中南部進出は年1店舗ペースになるとの見方を示した。」の記載がある(甲40)。

(ウ)他の証拠は、香港、台湾、ニューヨーク等の「pure yoga」に関する個人ブログである。

イ 申立人商標の周知著名性についての判断

以上からすると、ピュアグループは、「PURE」の文字を表示して、ヨガスタジオ、フィットネススタジオ、アパレル、バー及びレストランを含むビジネスを展開しているところ、ヨガスタジオは、2002年に講師2人だった香港のヨガスタジオ1店を開設してから、2014年4月までの間に香港に6店舗、シンガポールに2店舗、台湾に2店舗、上海に1店舗、ニューヨークに2店舗と、13店補の施設までになった。

そして、ピュアグループのヨガスタジオは、2002年には4000平方メートル、2009年には3万5000平方メートルという広さが最大のスタジオとして紹介されている。

しかしながら、2014年の台湾ヨガ市場は、かつてのブームが去り、チェーン展開も慎重になっている状況であって、ヨガ人口は、バスケットやジョギングと比べて多いともいえない。

さらに、昨今、日本人の海外旅行や仕事は、世界中にわたり、インターネット等を通じて情報が発信されている状況であり、ピュアグループのビジネス展開が広い範囲で行われているとしても、申立人商標に関しては、世界における13店舗のヨガスタジオにすぎず、しかも、「PURE」の文字のもと、ヨガスタジオやフィットネススタジオが紹介されている。

そうとすると、申立人らの提出に係る証拠によっては、申立人商標に関する具体的な顧客数、世界全体における市場占有率、広告の範囲及び回数等について明らかでなく、申立人商標が外国及び日本国内で広く知られていると認めるに足りない。

したがって、申立人商標は、甲各号証のみによっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人らの取り扱いに係るヨガスタジオを表示する商標として取引者、需要者間において広く認識されるに至っていたとはいい難い。

(2)本件商標と申立人商標の類否について

本件商標は、「pure yoga」の文字からなり、申立人商標は、「pure yoga」、「PURE YOGA」及び「ピュアヨガ」の文字を表してなるものである。

そこで、両商標を比較するに、外観においては、本件商標「pure yoga」と申立人商標の「ピュアヨガ」とは、外観が異なるとしても、申立人商標の構成中「pure yoga」及び「PURE YOGA」とは、欧文字の綴りが同じであって近似した印象を与えることから、外観上類似するものであり、称呼においては、両者は、同一の「ピュアヨガ」の称呼を生じる。

また、観念においては、「pure(ピュア)」が「純粋な、清い」を意味し、「yoga(ヨガ)」が「ヨガ(ヒンドゥー教の宗教哲学)、ヨガの行(体操)」をそれぞれ意味するものであり、「pure yoga(ピュアヨガ)」全体からは、「純粋なヨガ(体操)」ほどの意味合いを容易に理解させるから、「純粋なヨガ(体操)」の観念が生じるものであって、両者は、観念において同一のものである。

したがって、本件商標と申立人商標とは、外観において、類似であり、称呼及び観念において、同一の称呼及び観念を生じるものであるから、両者は同一又は類似の商標といえる。

(3)出所の混同を生じるおそれについて

本件商標と申立人商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、申立人商標は、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示する商標として需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることができない。

そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして申立人商標を連想、想起することはなく、該役務が申立人ら又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

なお、申立人らの提出した証拠によっては、本件商標と申立人商標とが取引者、需要者において現実に出所の混同を生じている事実を認め得る具体的、客観的証左は見いだせないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものではない。

2 商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標と申立人商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、申立人商標は、前記1(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。

さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。

そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情が存するものということはできず、かつ、申立人商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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