Trademark Appeal Case
香りの記述的表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−609(T2014−609/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ラベンダーアロマの香り」の文字を標準文字により表してなり、第5類、第10類及び第11類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成25年5月14日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成25年10月7日付け手続補正書により、第5類「ラベンダーの香りを有するシート状及びその他の患部冷却剤,不織布に薬剤を塗布してなるラベンダーの香りを有する冷却パップ剤,紙又は不織布に含浸させたラベンダーの香りを有する薬剤,その他のラベンダーの香りを有する薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりもの専用シート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ラベンダーアロマの香り』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『ラベンダー』の文字部分は『シソ科の木質常緑多年草。花を蒸留して揮発性のラベンダー油をとり、香料・薬用とする。』の意味を、『アロマ』の文字部分は『芳香。香料。』の意味を有するものであり、また、『の香り』の文字部分は『〜の良い匂い』程の意味で解されるから、本願商標は、全体として『ラベンダー香料の香り』程の意味を理解させるものといえる。そうとすると、本願商標は、その指定商品中『ラベンダー香料の香りを有する商品』に使用するときは、単に上記商品であることを認識させるもの、すなわち、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『ラベンダー香料の香りを有する商品』に照応しない商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ラベンダーアロマの香り」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中「ラベンダー」の文字は、よい香りがあり、揮発性のラベンダー油をとり、香料・薬用に用いられる植物を表す語であって、また、「アロマ」の文字は「芳香、香料」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典」第4版)の意味を有する語であり、「香り」の文字は「よい匂い」を表す語であることから、その構成全体として「ラベンダー香料の香り」程の意味合いを理解させる。
ところで、一般的に使用される日用品の分野において、各種の香りを付けた商品が販売されている実情(別掲1)のもとに、「ラベンダー」は、「花を蒸留して揮発性のラベンダー油をとり、香料・薬用とするもの」であり、該文字は、香料の原材料や香りの種類を表す表示として広く使用されている(別掲2)。
そして、「フローラル」「グリーン」「フルーティ」の語は、香り(香料)の表現における代表的な表示であるところ(別掲3)、「アロマの香り」の文字が、それらの特定の香りを表す語と結合して、花の香りの商品について「フローラルアロマの香り」、スズランのフローラル調の香りの商品について「ホワイトフローラルアロマの香り」、植物などの青々しい香りの商品について「グリーンアロマの香り」、フルーツの香りの商品について「フルーティアロマの香り」等の表示が使用されている。また、「アロマの香り」の文字が、香りの効果を認識させる表示と結合して、くつろぎ感のある香りの商品について「リラックスアロマの香り」、爽やかな香りの商品について「すっきりアロマの香り」等の表示が使用されていることが認められる(別掲4)。
してみると、香りを付けて販売される商品との関係において、特定の香りを表す語又は香りの効果を表す語と「アロマの香り」の文字を結合した表示からは、その構成全体として「○○(香料)の香り、○○効果のある(香料の)香り」程の意味合いを表したものとして認識されるということができる。
これを本願の指定商品を取り扱う分野についてみると、「ラベンダー」の文字は、商品の香りを表す語として広く使用されていること(別掲5)及び香りの効果又は香りを表す語と「アロマの香り」の文字を結合して、「ナイトアロマの香り」の表示が寝る前に心が安らぐ香りを表すものとして、また、「グリーンアロマの香り」の表示がほのかで自然な香りを表すものとして使用されていることが認められる(別掲6)。
そうすると、本願商標は、商品の香りを表したものとして使用される「ラベンダー」の文字と「アロマの香り」の文字を結合してなるものであるから、香りを付けた商品との関係において、全体として「ラベンダー香料の香り」の意味合いを容易に認識させるものであり、商品の香り(品質)を表示したものとして理解されるに止まるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、本願の指定商品中「ラベンダーの香りを有するシート状及びその他の患部冷却剤,不織布に薬剤を塗布してなるラベンダーの香りを有する冷却パップ剤,紙又は不織布に含浸させたラベンダーの香りを有する薬剤,その他のラベンダーの香りを有する薬剤」との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、商品の香りを感覚的なイメージとして想起させることがあるとしても、そのような商標は暗示的商標にすぎず、全体として「大人の気品があって、爽やかな良い香り」等のイメージを複合的に喚起させる造語であるから、商品の具体的な品質を表す言葉として認識されるとはいえないと主張し、また、「ラベンダー」又は「アロマ」の語を含んだ商標が登録されている例を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、指定商品の品質、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品の品質、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである(東京高裁平成13年(行ケ)第207号(平成13年12月26日言渡))とされていることから、たとえ、本願商標「ラベンダーアロマの香り」の構成文字全体が、指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、香りを特徴とする様々な日用品等が製造、販売されていること、また、「ラベンダー」及び「アロマの香り」の語について、指定商品を取り扱う分野における実情を勘案すれば、本願商標は、その取引者、需要者に、「ラベンダー香料の香りを有する商品」という商品の具体的な品質を認識させる表示であるというのが相当である。
また、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて個別具体的に検討・判断されるべきものであるところ、請求人の主張に係る各登録例は、商標の構成態様等が本願商標と相違するものであって、事案を異にし、これらが存在するからといって、本願商標が同号に該当することを否定することはできない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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