Trademark Appeal Case
原材料表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−16110(T2015−16110/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ナノアスタキサンチン」の片仮名を標準文字で表してなり、第3類「化粧品,せっけん類,香料,薫料」及び第5類「アスタキサンチンを配合したサプリメント」を指定商品として、平成26年7月1日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ナノアスタキサンチン』の文字からなるところ、その構成中、『ナノ』の文字は『10億分の1』を表す単位の接頭語であって、『アスタキサンチン』の文字は、指定商品である『化粧品』、『サプリメント』等においては、成分を表示する語として使用されている。そうすると、本願商標は、これらの文字を組み合わせたものと容易に理解され、その全体から『ナノ化(超微粒子化)したアスタキサンチン』といった意味合いが認識されるから、これをその指定商品中『アスタキサンチンを成分とする商品』に使用しても、単に、商品の品質、原材料を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の項番1ないし項番4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成28年4月19日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知(以下「証拠調べ通知」という。)に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「ナノアスタキサンチン」の片仮名を標準文字で表してなるところ、証拠調べ通知で示した別掲の項番2の事実から、化粧品及びサプリメントを取り扱う分野において、「抗酸化作用のあるカロテノイドの一種」である「アスタキサンチン」が、化粧品及びサプリメントの原材料として用いられていることが認められる。
また、同じく証拠調べ通知で示した別掲の項番3及び4から、同分野において、ナノ化技術を使って開発されたナノ化(超微粒子化、極小化)した成分を商品に配合するといったナノ化技術が広く利用されており、このようなナノ化した成分や原材料を表す場合に、「十億分の一」の意味を有する接頭語である「ナノ」の語を成分名や原材料名等を表す語に付して、「ナノ○○」(○○は成分名、原材料名等を表す語が入る)と表す場合があり、さらに別掲の項番1によれば、化粧品に配合されている機能原料に「ナノアスタキサンチン」の文字が使用されている事実が認められる。
かかる事実からすれば、「ナノアスタキサンチン」の文字に接する取引者、需要者は、「アスタキサンチン」の語に「ナノ」の語を付けたものと理解し、「ナノ化(超微粒子化、極小化)したアスタキサンチン」ほどの意味合いを容易に理解するものというのが相当である。
そうすると、「ナノアスタキサンチン」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「ナノ化(超微粒子化、極小化)したアスタキサンチンを配合した化粧品,ナノ化(超微粒子化、極小化)したアスタキサンチンを配合したサプリメント」について使用するときは、その商品が「ナノ化(超微粒子化、極小化)したアスタキサンチンを配合した商品」であることを表示したものと認識させるにとどまるから、単に、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当し、前記商品以外の「化粧品,アスタキサンチンを配合したサプリメント」に使用するときは、品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「ナノアスタキサンチン」の語を継続的に使用しており、今日では周知性を獲得している旨主張し、甲第11号証ないし甲第14号証を提出しているので、以下検討する。
ア 請求人は、「ナノアスタキサンチン」をインターネットで検索すると、その結果は請求人との関連における記載であり、本願商標の指定商品に関する分野では、第三者による「ナノアスタキサンチン」は見受けられない旨(甲第11号証)述べている。
しかしながら、「ナノアスタキサンチン」の文字が、第三者により化粧品の原材料を表すものとして用いられている事実があること別掲の項番1のとおりである。
イ 請求人は、2014年11月に本願商標を使用した新聞折り込み広告(甲第12号証)を北海道、宮城県、茨城県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、岐阜県、大阪府、京都府、兵庫県、岡山県、香川県、広島県、福岡県において配布した旨述べている。
しかしながら、甲第12号証は、化粧品「アスタリフト」の宣伝広告のための広告物とみて取れるものであり、「ナノアスタキサンチン」の文字は、該商品に配合されている成分のひとつとして掲載されているにすぎず、自他商品の識別標識として使用されているものとはいい難い。また、当該広告物が新聞に折り込まれた部数及び回数も明らかにされていない。
ウ 請求人は、2014年10月から同年11月まで、テレビコマーシャルを日本全国に約300回放映した旨を述べ、テレビコマーシャルの画像及びテレビスポットスケジュール表(甲第14号証)を提出している。
しかしながら、甲第14号証に掲載されたテレビコマーシャルの画像は、化粧品「アスタリフト」の宣伝広告のためのものとみて取れるものであり、「ナノアスタキサンチン」の文字及び音声(ナレーション)は、浸透感を高めたりエイジングケアのために当該商品に配合されている成分のひとつとして表示、解説されているにすぎず、自他商品の識別標識として使用されているものとはいい難い。また、テレビスポットスケジュール表には、テレビコマーシャルの放映日(2014年10月25日〜11月16日)及び地域別の放映本数が記載されているが、一地域で視聴可能な放送局が複数あり、常に多数のテレビコマーシャルが放映されていることからすると、表に示された本数は、決して多いものということができず、このテレビコマーシャルが需要者の目に触れる機会が多かったとはいい難い。
エ 請求人は、約10万部発行の会報誌「en effet」(甲第13号証)において本願商標を使用し、その周知に務めている旨述べている。
しかしながら、甲第13号証は、「en effet」の2012年9月号、2013年1月号、2014年1月号及び同年10月号の抜粋であることがみて取れるものの、これらに掲載された「ナノアスタキサンチン」の文字は、いずれも化粧品「ASTALIFT」の成分のひとつとして表示されているものであり、自他商品の識別標識として使用されているものとはいえない。また、「en effet」が頒布された部数及び地域も不明である。
以上、上記アないしエのとおりであるから、請求人の提出する証拠によっては、「ナノアスタキサンチン」の文字は、これに接する需要者に、請求人の業務に係る商品であることを認識させるほどに周知性を獲得しているということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。