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Trademark Appeal Case

再生ボタン図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−6412(T2016−6412/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介した電子メディア又は情報のアップロード・投稿・表示・ディスプレイ・タグ付け・ブロギング・共有又は提供を可能にするソフトウェア」を指定商品として、2014年(平成26年)6月20日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条の規定による優先権を主張して、平成26年7月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、四隅に丸みをつけた赤色の横長長方形内に、頂点を真横に向けた三角形を白抜きにした図形からなるところ、インターネット記事の動画再生ボタンとして親しまれている形状と極めて酷似しているものと認められる。してみると、本願商標をその指定商品について使用しても、本願商標に接する需要者は、これを動画などの再生ボタンであると理解するにすぎず、結局、本願商標は、特別顕著な部分はなく、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、別掲のとおり、赤色の丸みを帯びた横長長方形の中央に、白抜きで右向きの三角形を表した図形からなるものである。

ところで、その構成中の右向きの三角形部分は、これだけを見れば、動画や音楽を再生する機器やソフトウェアのコントローラーに、「再生」の操作を行うボタンを表すものとして一般に使用されているものである。

しかしながら、本願商標は、特徴的な赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形の中に、白抜きで右向きの三角形が表されているものであって、その態様は、赤色の色彩を基調とした一体不可分の構成として看取されるものというのが相当である。

(2)本願商標の使用状況について

請求人による主張の全趣旨及び甲各号証並びに職権による調査によれば、以下のことが認められる。

ア 請求人について

請求人は、1998年にアメリカで創業した世界的規模のコンピューターソフトウェア会社であり、同名の検索エンジンのほか、電子メール・地図閲覧などのサービスを提供している(株式会社岩波書店 広辞苑第六版より引用)。そして、2000年から日本においてもサービスが開始されている。

イ 本願商標の使用について

(ア)本願商標は、請求人の提供する動画共有ウェブサイト「YouTube」において使用されているものであって(甲1の2)、動画を起動させるためのアイコンや、タブレットコンピューターやスマートフォンの画面に、「YouTube」を閲覧するアプリケーションソフトウェアのアイコンとして表示されているものである(甲1の1、甲1の3)。

(イ)本願商標中の横長長方形の輪郭図形は、「YouTube」を象徴的に表すものとして採択され、長年使用されてきた商標(甲2:別掲2)中の輪郭図形と同じ色彩及び形からなる輪郭図形である。

(ウ)「YouTube」は、2005年の立ち上げ以来、全世界で何十億人ものユーザーが自ら作成した動画をアップロードし、共有し、再生することができる場として親しまれ、世界中のユーザーが繋がり、情報を交換し、お互いに影響を与え合うことができることから(甲3)、インターネット上における動画配信サービスの先駆けとなり、極めて短期間のうちに世界中で広く知られるようになった。また、動画コンテンツ制作者や広告主は、「YouTube」を用いて、動画や広告を自由に配信することもでき、広告媒体としての利用も推奨されていることから(甲4)、個人のインターネットユーザーのみならず、多くの企業にも幅広く活用されている。

(エ)請求人は、「YouTube」を利用する個人や企業に対し、本願商標の使用を許諾しているところ、長年にわたる「YouTube」の運営・提供を通じて得られたブランド価値を守るとともに、他社の業務との混同防止のため、本願商標の使用に際しては、ロゴの表示方法に事細かなガイドラインを策定し、使用者に対しその遵守を求め、ロゴの改変を固く禁じており、これに違反する者に対しては適宜修正も求めることとしている(甲5)。(オ)「YouTube」は、サービス開始直後の2006年3月時点において、日本国内からのアクセスが1か月あたり200万あり、2007年6月には日本語版「YouTube」のサイトが完成し、日本において急速に広まった。日本語版「YouTube」の登録閲覧者は93万人に上り、2013年8月20日から2015年9月30日までの間に、述べ約6,125万回閲覧された。本願商標がアイコンとして動画の表示画面に使用されてきた事実は、「YouTube」を特集した書籍・雑誌又はインターネット記事、それらの紹介記事における説明図でみることができる(甲54〜甲59)。

(カ)タブレットコンピューターやスマートフォンにプレインストールされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアの総数は、2013年8月20日から2015年9月30日の間で、約2,717万に上り、アプリケーションダウンロードサービスを通じてダウンロードされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアの総数は、同期間で約26万7千件に上り、計約2,743万7千となる。

上記によれば、動画共有ウェブサイト「YouTube」のサービス開始直後の2006年から現在までの間に、赤色の色彩を基調とした本願商標は、「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンとして、また、タブレットコンピューターやスマートフォンにプレインストールされた「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示するものとして、我が国において使用され知られているというのが相当である。

(3)本願商標の使用による識別性について

本願商標は、動画や音楽を再生する機器やソフトウェアのコントローラーに一般に使用されている再生ボタンを認識させる態様の右向きの三角形を含むものであるとしても、前記(1)のとおり、特徴的な赤色の色彩を基調とした一体不可分の構成からなる図形商標として看取されるものであって、その構成全体として、印象づけられる特徴を有する識別力のある商標というのが相当である。

また、前記(2)のとおり、「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンや、「YouTube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示するものとして継続して使用された結果、周知性を得ているといえるものである。

してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の出所表示機能を有しないとはいい難いものであって、これをその指定商品に使用したとしても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないものであるから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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