結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2016−300031(T2016−300031/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4597538号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成12年12月6日に登録出願,第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,求人情報の提供,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,栄養の指導,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,超音波診断装置の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,理化学機械器具の貸与」を指定役務として,同14年8月23日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成28年2月1日である。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件審判において取消対象とされている役務は,「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」であり,これは依頼に基づき,専門的知識を活用して試験,検査又は研究を行う役務である。
つまり,他人からの依頼により,その他人のために,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究を独立した業務として提供するのが,「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」の意義である。
したがって,商標法第2条第1項第1号(いわゆる商品商標)に規定された,業として商品を生産し,証明し,譲渡する者がその商品について使用をするものの付帯業務(独立取引性のない業務)として使用する商標は,役務商標には当たらない(商標法第2条第1項第2号括弧書き)。
(1)被請求人は,乙第1号証を根拠に,「この3社共同での化粧品の研究開発において,被請求人は,化粧品の試験・検査・研究の業務を行っている。」と主張する。
しかしながら,この3社共同で行っている化粧品の研究開発は,唐津発のコスメティック商品(乙1)なる商品を生産し,譲渡するために行う付帯業務にすぎず,独立して商取引の目的たりえない。しかも,被請求人が「この3社共同での化粧品の研究開発において,被請求人は,化粧品の試験・検査・研究の業務を行っている。」と自白する以上,被請求人が他の2社のために化粧品の試験・検査・研究の業務を行っているともいえない。「研究開発」という以上,その商品の生産の初期段階の業務と解するのが相当であり,他人のためにする,独立して商取引となる業務と解するには無理がある。
よって,本件商標を付した名刺及び封筒の各使用(乙1,2)は,業として商品(化粧品)を生産し,証明し,譲渡する者がその商品について使用をする,いわゆる商品商標としての使用にすぎず,「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」の使用には当たらない。
(2)被請求人は,乙第4号証及び乙第5号証を根拠に,「商品名『漢美潤』なる化粧品の研究開発を行っている。商品名『漢美潤』なる化粧品は,被請求人が研究開発を行い,株式会社漢方みず堂(佐賀県佐賀市)(以下「漢方みず堂」という。)にて製造及び販売を行っている商品である。被請求人が研究開発した化粧品については,商品包装箱の裏側に『販売名:化粧水MIZ』と『MIZ』を含めた表示をしている。」と主張する。
しかしながら,第一に,乙第4号証及び乙第5号証に示される商品包装箱の「化粧水MIZ」なる商標と本件商標とは,明らかに,商標法第50条第1項に規定する社会通念上同一と認められるものではない。すなわち,本件商標は,図形と文字との結合商標であるのに対し,「化粧水MIZ」なる商標は,文字のみからなる商標である。したがって,「化粧水MIZ」なる商標の使用は,商標法第50条第1項の登録商標の使用には当たらない。
また第二に,被請求人が,「商品名『漢美潤』なる化粧品の研究開発を行っている。被請求人が研究開発した化粧品については,乙第5号証に示すように,商品包装箱の裏側に『販売名:化粧水MIZ』と『MIZ』を含めた表示をし,被請求人が研究開発した化粧品に対する使用者からの意見等を反映して新たな化粧品の研究開発が円滑に行えるように努力している。」と自白する以上,商品名「漢美潤」なる化粧品の主たる生産者は被請求人であり,漢方みず堂に製造及び販売を委託するか又は同社と分業しているにすぎないと解するのが自然である。
「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」における「研究」とは,新規な商品の開発業務を含む趣旨ではなく,「試験,検査」と同等に行われる,他人のためにする研究である。
よって,乙第4号証及び乙第5号証の登録商標の使用は,商標法第50条第1項に規定する社会通念上同一と認められるものではない。また,業として商品(化粧品)を生産し,証明し,譲渡する者がその商品について使用をする,いわゆる商品商標としての使用にすぎず,「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」の使用には当たらない。
(3)被請求人は,乙第6号証ないし乙第10号証を根拠に,「被請求人は,自分が運営する店舗において化粧品を販売しており,販売した化粧品が顧客の肌に適しているかの診断,試供した化粧品が顧客の肌に合っているかの試験,合っていない理由の研究を行っている。」と主張する。
しかしながら,被請求人が主張する診断,試験,研究は,いずれも自分が販売した化粧品の品質を自分のために確認するものであり,他人のためにする労務又は便益ではないことは明らかである。また,商品の販売に付帯した業務であって,独立した商取引でもない。
よって,本件商標を付したメンバーズカード,ポイントカード,紙袋,粘着テープ及び手提げ袋の各使用(乙6〜10)は,業として商品(化粧品)を生産し,証明し,譲渡する者がその商品について使用をする,いわゆる商品商標としての使用にすぎず,「第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」の使用には当たらない。
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
(1)被請求人は,少なくとも2015年11月4日には,一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(乙第1号証では「JCC」と表記されている。)(以下「JCC」という。)と大日本印刷株式会社(以下「大日本印刷」という。)との3社共同で化粧品の研究開発を行っている。
この3社共同での化粧品の研究開発において,被請求人は,化粧品の試験・検査・研究の業務を行っている。
その際に,被請求人の社員は,本件商標を付した名刺を使用している。また,被請求人は,3社共同での化粧品の研究開発において,化粧品の試験・検査・研究についての報告書などを,本件商標を付した封筒に入れて郵送している。
(2)被請求人は,少なくとも商品名「漢美潤」なる化粧品の研究開発を行っている。
商品名「漢美潤」なる化粧品は,被請求人が研究開発を行い,漢方みず堂にて製造及び販売を行っている商品である。
漢方みず堂では,他社が研究開発した市販の化粧品だけでなく,被請求人が研究開発したオリジナルの化粧品の販売も行っており,被請求人が研究開発した化粧品については,商品包装箱の裏側に「販売名:化粧水MIZ」と「MIZ」を含めた表示をして,市販品とオリジナル品とを識別できるようにしている。これにより,被請求人が研究開発した化粧品に対する使用者からの意見等を反映して新たな化粧品の研究開発が円滑に行えるように努力している。
この漢方みず堂で販売する化粧品の研究開発においても,被請求人の社員は,本件商標を付した名刺を使用し,化粧品の試験・検査・研究についての報告書などを,本件商標を付した封筒に入れて渡している。
(3)被請求人は,被請求人が運営する溝上薬局(店舗)において化粧品を販売しており,販売する化粧品がそれを実際に使用する方の肌に適しているか否かの診断をも行っている。
具体的には,被請求人は,化粧品を付けていない状態の肌を肌診断機「SKIN VISION」(資生堂)や肌測定機器「ビューティアナライザーADII」(カネボウ化粧品)や水油計(アルビオン)を用いて測定し,その肌に適する化粧品を市販の化粧品から選択し,提供(試供)するとともに,その化粧品を実際に付けた状態の肌を前記測定機器を用いて測定し,化粧品が肌に適しているか否かの検査(試験)を行っている。さらに,被請求人は,前記測定機器を用いた測定データを分析し,市販の化粧品と肌の状態との適否について研究を行っている。
その際に,被請求人の社員は,溝上薬局において,本件商標を付した名刺を使用し,化粧品の適否についての測定結果などを,本件商標を付した封筒に入れて渡している。
また,被請求人は,溝上薬局において,上記肌診断を受けた方を含む顧客に対して,本件商標を付したメンバーズカード及びポイントカードを発行し,本件商標を付した紙袋と本件商標を付した粘着テープを用いて化粧品を包装し,本件商標を付した手提げ袋に入れて渡している。
(4)以上のとおり,被請求人(商標権者)は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定役務について本件商標の使用をしている。
被請求人は,請求人の弁駁に対し,更なる主張立証は行わない。
証拠及び当事者の主張によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証によれば,大日本印刷は,JCCと連携して「唐津コスメタウン」構想の実現に向けた活動を行っているところ,大日本印刷は,商標権者に対し,2015年11月4日付けの書面をもって,上記活動の一環として行われる唐津を原産地とする化粧品の開発に関し,顧客像,商品に付されるブランド,売り場展開などといった商品の企画や販売に関する助言を求めたことを認めることができる。
しかし,本件請求に係る指定役務中の「化粧品の試験・検査又は研究」とは,依頼に基づいて,例えば,化粧品の原材料等に関し,専門的な知識を活用して試験,検査又は研究を行う役務である(甲2)と解されるから,乙第1号証に応じた助言は,「化粧品の試験・検査又は研究」には該当しない。
また,乙第1号証に係る商品の企画や販売などの助言の際に使用したと主張する名刺(乙2)及び封筒(乙3)には,本件商標が表示されているが,被請求人は,これらが本件審判の請求の登録前3年以内に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)が本件請求に係る指定役務(化粧品の試験・検査又は研究)について使用した事実については何ら立証していない。
(2)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証によれば,漢方みず堂を製造販売元とする商品「ボディミルク」及び「化粧水」等の化粧品に係る包装箱には,それぞれ,「販売名:ボディミルク MIZ」及び「販売名:化粧水MIZ」等の表示が付されていることが認められる。
しかしながら,商標法上の役務とは,他人のためにする労務又は便益であって,独立して商取引の目的たり得るものをいうと解されていることからすると,それ自体独立して商取引の対象とならない役務は,商標法上の役務には該当しないというべきであるところ,本件審判の請求の登録前3年以内に,商標権者等が,商取引上,他人の依頼に基づいて,上記商品の試験・検査又は研究を行った事実,その際に本件商標を使用した事実については何ら立証していないのであるから,本件請求に係る指定役務の取引が行われたとは認めることができない。
さらに,乙第4号証及び乙第5号証に示す化粧品に付された「ボディミルク MIZ」及び「化粧水MIZ」等における「MIZ」の文字よりなる商標は,本件商標中の図形部分を伴わないものであるから,本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない。
(3)乙第6号証ないし乙第10号証について
ア 商標権者が運営する溝上薬局のメンバーズカード(乙6)及びポイントカード(乙7)には,本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が表示されていることが認められるとしても,これらを本件審判の請求の登録前3年以内に,他人の依頼に基づいて,商標権者等が本件請求に係る指定役務との関係で使用した事実については何ら立証していない。
イ さらに,紙袋(乙8),粘着テープ(乙9)及び手提げ袋(乙10)にも,本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が表示されているものの,被請求人の主張によれば,これらは溝上薬局で販売される化粧品の包装のために使用したとのことであるから,本件請求に係る指定役務との関係で使用したものでないことは明らかである。
(4)小括
したがって,被請求人の提出に係る証拠によっては,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者等のいずれかがその請求に係る指定役務について,本件商標の使用をしていたと認めることはできない。
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者等のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その指定役務中「結論掲記の役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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