第1 本件商標
本件登録第5675845号商標(以下「本件商標」という。)は、「PORTICO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年12月13日に登録出願、第14類「身飾品,キーホルダー,時計,貴金属,宝石箱」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同26年5月1日に登録査定、同年6月6日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が引用する国際登録第998471号商標(以下「引用商標」という。)は、「portico」の欧文字を横書きしてなり、2008年(平成20年)12月2日に国際商標登録出願、第3類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第27類に属する商品を指定商品として、平成22年5月26日に登録査定、同年10月8日に設定登録され、その後、指定商品については、2012年(平成24年)4月5日付けで国際登録簿に記録された取消しの結果、第3類「Aromatherapy creams, lotions and oils; shampoos; shampoo-conditioners; hair conditioners; facial cleansers; lip balm; toning lotion and mist, for the face, body and hands; sugar scrub; body butter; non-medicated bath salts, skin soap, body lotion.」、第20類「Pillows.」、第21類「Shoe polishing mitts.」、第24類「Bed pads; feather beds; bed linens; bath linens; bath towels; blankets, namely, bed blankets; mattress pads; mattress covers.」、第25類「Robes and shower caps.」及び第27類「Bath mats.」となり、現に有効に存続しているものである。
第3 請求人の主張の要点
1 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
2 無効原因
請求人であるポルティコ アイピー ホールディング,エルエルシー(Portico IP Holding,LLC)は、商標「portico」について2007年7月17日に米国の国内出願を基礎として国際登録番号第998471号に係る国際登録出願(国際登録日:2008年12月2日)をした際に、第3類、第20類、第21類、第24類、第25類および第27類の商品を指定したが、第25類の「Robes and shower caps.」が削除された状態であった。請求人は、日本国における指定において、第25類「Robes and shower caps.」が引用商標の国際登録に記載されていないことに気付き、WIPO(国際事務局)に問い合わせたところ、WIPOは国際登録の訂正を行った。
その後、WIPOは、第25類の「Robes and shower caps.」を含めるために国際登録の記録を正した。
2015年5月8日付けのWIPO(国際事務局)のROMARINデータベースに載っている国際登録の詳細によれば、間違いなく引用商標の国際登録の日本指定において第25類「Robes and shower caps.」が含まれている(甲1)。
本件商標は、平成25年12月13日に商標登録出願され、平成26年6月6日に商標登録されたもので(甲3)、引用商標(国際登録日:2008年12月2日)は、本件商標に対して明らかに先願の国際登録商標となるので、本件商標は少なくとも第25類の指定商品について、本来拒絶理由を有し商標登録を受けられない立場にあった。
このような次第で、請求人は本件商標の指定商品中、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」について商標登録無効審判を請求する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の上記主張に対し、何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「PORTICO」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字を小文字書きした「portico」は、イタリア語で「ポーチ,玄関」等の意味を有するものであるが、我が国において慣れ親しまれた外来語とはいえないことから、特定の意味を生じない造語であるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し、「ポルティコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
2 引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「portico」の欧文字を横書きしてなるところ、上記1と同様に、「ポルティコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
3 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標の「PORTICO」の文字と引用商標の「portico」の文字は、大文字と小文字の違いはあるものの、ともに同じアルファベットの文字列からなり、外観上極めて近似するものであって、両商標は、ともに「ポルティコ」の称呼を生じるものであるから、称呼を共通にするものである。そして、観念については、両商標は特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較し得ないとしても、外観が酷似するもので、称呼を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念を総合的に考察すると、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
4 本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品の類否について
引用商標に係る指定商品中の「Robes and shower caps.」は、身体に着るものであり、本件商標に係る指定商品中の「被服」に包含される商品といえるものである。
そうすると、本件商標に係る指定商品中の「被服」は、引用商標に係る指定商品中の「Robes and shower caps.」と同一又は類似の商品である。
5 小括
上記1ないし4のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、本件商標に係る指定商品中の「被服」と引用商標に係る指定商品中の「Robes and shower caps.」とは、同一又は類似のものであるから、本件商標は、請求に係る指定商品中の「被服」との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
そして、請求に係る指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」は、引用商標に係る指定商品と類似するとはいえないものであるから、本件商標は、請求に係る指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
6 むすび
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品中、「被服」については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項により、その登録を無効とし、その余の請求に係る指定商品「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」については、同法第4条第1項第11号に該当するものではないから、その登録を無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。