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Trademark Appeal Case

指定商品と原材料の使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30573号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3140027号商標の指定商品中「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3140027号商標(以下「本件商標」という。)は、「柴正」の文字と「SHIBASHO」の文字とを二段に併記してなり、平成5年7月9日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成8年4月30日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を以下のように述べた。

(1)請求の理由

請求人が本件商標の指定商品中「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」について市場を調査してみたところ、本件商標は、継続して3年以上、これらの指定商品について使用をされた形跡は発見できなかった。

したがって、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが、上記指定商品についての本件商標の使用をしておらず、この指定商品について本件の商標登録は取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁(平成11年10月22日付の弁駁書による)

被請求人は、商品写真等を証拠として提出し、本件商標を指定商品に使用していると主張しているが、本件商標がその指定商品について使用されていないことは、以下の点から明らかである。

ア 商品等の写真について

被請求人が主張しているように、乙第2〜3号証及び乙第5〜7号証の写真は、いずれも、本件審判の請求書の副本の送達があった後である平成11年7月に撮影されたものであり、本件審判の請求の登録前に本件商標が指定商品について使用されていたことを証明したものとは言えない。

イ 被請求人はアーモンドペーストを商品として販売していない

乙第6号証の2から明らかなように、アーモンドペーストは被請求人が販売していると主張する商品アーモンドプラリネの「原材料」である(但し、この原材料の表示が正しくないことについては後述)。乙第10号証の記載を勘案しても、被請求人が販売しているのは、「ペースト状のアーモンドプラリネ」或いは「ペースト状のヌガー」に他ならず、その原材料たる「アーモンドペースト」を商品として販売しているのではない。

商標法第50条では、指定商品についての登録商標の使用をしていないことを登録取消の要件にしており、被請求人は、商標登録の取消を回避するために登録商標が指定商品について使用されていることを証明しなければならない。

被請求人は、本件商標をアーモンドプラリネに使用していることを証明せんとしているが、この事実を証明できたとしても、被請求人が指定商品「アーモンドペースト」について本件商標を使用していることを証明したことにはならない。

ウ 小分け商品「アーモンドプラリネ」の信憑性

被請求人の商品「アーモンドプラリネ」の販売に関しては、以下の点において信憑性を欠いている。

被請求人は、小分け販売をしていると主張する商品を店頭に陳列して販売している。

被請求人が販売しているとする商品は、乙第6号証の1からペースト状のものであることは推測できる。しかしながら、ペースト状の食品はその保存性が悪いことは食品を取り扱う業界においては常識である。それゆえ、小分け前のプラリネは、缶詰の包装形態をとっていて、「要冷蔵(10°C以下)」での保存を要求しているのである(乙第7号証の2参照)。

にもかかわらず、被請求人はプチスチック製のパック容器に小分けしたまま店頭に陳列して販売している(乙第5号証の1〜4参照)。

被請求人が提出している写真は、いずれも本年7月に撮影されたとのことであるが、本年は例年になく気温が高かったことは周知の事実である。冷房整備を使用していたとしても、店内へは人の出入りに伴って外気が流入するため、せいぜい24〜26°Cの室温を保つのが精一杯で、乙5号証の3の女性の被服を勘案しても、到底10°C以下に保たれていたとは思えない。

顧客の求めに応じて缶を冷蔵庫から取り出し、その場で量り売りするならいざ知らず、「要冷蔵(10°C以下)」の商品をあらかじめ小分けし、包装したパックをそのまま店頭に陳列して販売することは、常識では理解することができない。

また、乙第7号証の2によれば、アーモンドプラリネの原材料は「アーモンド、砂糖、光沢材(蜜ろう)」となっている。ところがこれを小分けしたと主張している包装容器には原材料として「アーモンドペイスト、砂糖」となっており、商品の原材料が異なったものとなっている。したがって、被請求人が販売している商品が乙第7号証の2に表されている商品を小分けしたものとするには疑問が残るのである。

以上のように、本件商標はその指定商品である「アーモンドペースト」に使用されていないことは明らかであり、本件商標登録は本件審判請求に係る商品について取り消されてしかるべきである。

(3)答弁に対する弁駁(平成12年6月7日付の弁駁書による)

被請求人は、乙第11、12号証を提出しているが、これらの証拠は、あくまでも被請求人が本件商標をアーモンドプラリネに使用していることを証明しているにすぎず、指定商品「アーモンドペースト」について本件商標を使用していることを証明するものとはいえない。

被請求人が、販売している商品はアーモンドプラリネ(乙第7号証の2)の小分け商品に他ならない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)答弁の理由

本件商標権者は、自らが営業する柴正上脇店にて、2年ほど前より専ら業務用として流通しているlkg缶入りの「アーモンドプラリネ」を仕入れ、それを100g毎に小分けし、その小分けした商品を、主に家庭用を目的とし、同じく自らが営業する酒と米の店M&Sと、実父が経営するディスカウントショップ柴正にて販売を行っている。

したがって、本件審判事件の主張は不充分な市場調査に基づいた何の根拠もないものであって、商標登録は取り消されるべきものではない。

乙第1号証は、本件商標登録権者(名古屋市中川区上脇町二丁目1番地)が代表者(事業主)となっている柴正上脇店(名古屋市中川区上脇町一丁目100番地)、酒と米の店M&S(名古屋市中川区昭和橋通4丁目26番地)の小売業の登録通知書、乙第2号証は、前記柴正上脇店の店頭を撮影した写真であって、店の表に掲げられている看板から「柴正米穀部上脇店」の文宇を確認できる。この「柴正米穀部上脇店」は、前記登録通知書に記載されている柴正上脇店を表示したものである。

乙第3号証の1,の2,の3,の4は、前記酒と米の店M&S店の所在地に近い交差点風景、酒と米の店M&Sの店頭、及び店内を撮影した写真であって、交差点風景の写真からは、交差点には昭和橋四の町名が掲示されており、少し離れた写真のほぼ中央位置に、酒と米の店M&Sの特徴ある「酒」の看板と、黄色い建物が見える。又、店内には酒類に混じって菓子作り材料を集めたコーナが設けられており、その菓子作りコーナにおける最上段左端にアーモンドプラリネが陳列されている。

乙第4号証は、本件商標登録権者の実父が代表者(事業主)となっているディスカウントショップ柴正が掲載されている名古屋小売酒販組合名簿、乙第5号証の1,の2,の3,の4は、そのディスカウントショップ柴正の店頭及び店内を撮影した写真であって、店の表に掲げられている看板から、「ディスカウントショップ柴正」の文字を確認でき、店内には酒類に混じって菓子作り材料を集めたコーナが設けられている。そしてその菓子作りコーナにおける下から二段目左端にアーモンドプラリネが陳列されている。

乙第6号証の1,の2は、前記各店にて陳列されているアーモンドプラリネの商品をアップして撮影した写真であって、蓋の表には品名「アーモンドプラリネ」と本件商標「柴正」の文字が、ケースの底には販売者として「柴正」の商標と、アーモンドプラリネの原材料である「アーモンドペイスト」と「砂糖」の文字が記載されている。

よってこの写真から、社会通念上、本件商標と同一と認められる商標がアーモンドプラリネに使用された事実を確認できる。

乙第7号証の1,の2は、小分けして販売するために仕入れた「アーモンドプラリネ」のlkgの缶入り商品を撮影した写真である。

なお、これら乙第2〜3号証、乙第5〜7号証の写真は、審判請求書の副本を受領した後に撮影したものであるが、被請求人はこのような審判がなされるとは全く予期しておらず、又かつてこの商品を商品説明用等を目的として撮影したこともなかったので、やむを得ず本年(平成11年)7月に撮影したものを採用した。

乙第8号証の1,の2は、前記乙第4号証の1,の2に示したアーモンドプラリネと同等の商品を納入した事実を証明する「森山株式会社(名古屋市中村区竹橋町22−2)」作成の納品書である。

この納品書は、平成7年12月11日付と、平成9年6月5日付、平成10年12月5日付、平成11年4月5日付との四枚あり、三年以上も前から現在に至るまで柴正上脇店にて購入し、小分けして販売されていたことが判る。

乙第9号証の1,の2は、小分けして販売されている商品の容器、即ち乙第6号証の写真に写っている商品の蓋の表及び容器の底に貼り付けられているシールの現物である。

乙第10号証は、製菓事典の抜粋コピーであり、「7.1.4 アーモンドの半製品」の項の「c.ヌガー(プラリネ)(Naugat,Praline)」には、プラリネが、「火にかけて溶かしておいた砂糖に皮つき,皮むきのアーモンドを加えて表面にカラメル状の砂糖をからませたものである。...これを挽砕ローラで油分がでるまで挽きつぶしてペースト状にしたものは,チョコレート菓子のセンターや風味料として利用されている。」との説明があり、前記アーモンドペーストと、使用中のアーモンドプラリネとが同一商品であるか否かについては確信はないが、少なくともアーモンドプラリネがアーモンドペーストの類似商品であることはこの乙第10号証より明らかである。

以上のように、本件商標は、商標権者が事業主である柴正上脇店、酒と米の店M&S、並びに実父の経営するディスカウントショップ柴正にて、平成7年12月より現在に至るまで本件商標をアーモンドペースト或いはそれに類似する商品に使用しているものであるから、本件審判は成りたたない。

(2)弁駁に対する答弁(平成12年1月12日付の答弁書による)

乙第11号証は、乙第8号証の1〜の4として提出した納品書に基づく添付写真の商品(アーモンドプラリネ)の納入事実を証明する森山株式会社の証明書である。

なお、この証明書に貼付の写真は、先に提出した乙第7号証の1、の2と同一写真である。

乙第12号証は、柴正(上脇店)における小売り先の一人である長峰美代殿が本件審判請求の提出があった平成11年5月13日より過去3年間以内に、柴正(上脇店)より添付写真の商標が付された商品(アーモンドプラリネの100g入り商品)を購入した事実を証明する本人の証明書である。

なお、この証明書に貼付の写真は先に提出した乙第6号証の1,の2と同一の商品写真である。

これらにより、商標権者が本件商標を使用していることは紛れもない事実である。

(3)弁駁に対する答弁(平成12年6月21日付の答弁書による)

乙第2〜3号証及び乙第5〜7号証の写真は、審判請求前の状態を再現し、それを撮影したものであって、これにより審判請求前における商標の使用事実を立証しようとするものでなく、あくまでも使用事実の説明上必要と判断して添付したものである。

次に、被請求人は、アーモンドペーストはアーモンドプラリネの砂糖抜きであり、これらは社会通念上同一商品と理解しており、アーモンドペーストとアーモンドプラリネとが異なる商品と判断されるなら、被請求人はアーモンドプラリネにのみ商標を使用していると認識されたい。

アーモンドプラリネは、糖分が極めて多いため、常温下に長時間放置しても全く問題がなく、これまで写真に示した形態に小分けし、陳列している。 被請求人が本件審判請求前に登録商標をアーモンドプラリネに使用していたことは紛れもない事実であるが、現時点にてその証拠資料となる確定的な記録は残っておらず、現在も継続して使用している事実から推測してもらうしかないのが実情である。

4 当審の判断

(1)本件商標の使用を証明すべき商品について

請求人は、本件商標を「アーモンドプラリネ」に使用している事実を被請求人が証明できたとしても、指定商品「アーモンドペースト」について本件商標を使用していることを証明したことにはならないから、本件商標はその指定商品である「アーモンドペースト」に使用されていないことは明らかであり、本件商標は本件審判請求に係る商品について登録を取り消されてしかるべきである旨主張している。

しかし、請求人は、本件商標の指定商品中「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」について商標登録を取り消すとの請求をしているものであり、商標法第50条第2項は「・・・その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り・・・」と規定するから、商品「アーモンドペースト」について本件商標を使用した事実が証明されなくても、「アーモンドペーストに類似する商品」について所定の使用証明がなされた場合は、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」について商標登録の取消しを免れると解される。

(2)「アーモンドプラリネ」について

被請求人が、本件商標を使用し、現在も使用していると主張する商品「アーモンドプラリネ」は、この商品は乙第11号証の商品(品名が「アーモンド・プラリネ」と表示されている。)を仕入れて、これを小分けにして販売しているとの被請求人の主張と乙第6号証の1、乙第6号証の2、乙第7号証の1、乙第7号証の2及び乙第10号証の製菓事典163頁「7.1.4 アーモンドの半製品」の項の記載とを総合すれば、溶かしておいた砂糖に、皮つき、皮むきのアーモンドを加えて、表面にカラメル状の砂糖をからませたものを挽きつぶしてペースト状にしたものであって、洋菓子を作る材料として使用され、砂糖を多く含み加熱加工して製造していることから、常温でもある程度の期間は保存できるものと認められる。

また、この商品「アーモンドプラリネ」は、請求人が取り消しを求めている商品中の「アーモンドペースト」そのものではないとしても、「アーモンドペーストに類似する商品」であって、本件審判において請求人が登録の取り消しを求めている指定商品である「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」に含まれている商品と認められる。

(3)被請求人が提出した証拠について

被請求人は、「被請求人が本件審判請求前に登録商標をアーモンドプラリネに使用していたことは紛れもない事実であるが、現時点にてその証拠資料となる確定的な記録は残っておらず、現在も継続して使用している事実から推測してもらうしかないのが実情である。」としており、本件商標を商品「アーモンドプラリネ」について使用していた事実を示す確定的な証拠がないことを自ら認めているものである。

そして、乙第8号証の1ないし3として提出した納品書には本件審判の請求日である平成11年5月17日より前の日付(それぞれ、平成7年12月11日、平成9年6月5日、平成10年12月5日)が記載されいるが、この納品書用紙は、平成11年1月に印刷されたものである(被請求人もその事実を認めている。)ことからすると、これらの納品書は、これに記載されている日付より相当後に作成された認められるものであって信用できない。また、乙第8号証の4の納品書及び乙第11号証の証明書も、前記の納品書に関連するものであって、作成者が同一人であるから、同様に信用できない。

乙第12号証の証明書についても一個人が証明しているものであり、信用し難い。

(4)まとめ

以上のようにみてくると、被請求人のいう「アーモンドプラリネ」は、本件取消請求に係る「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」に含まれている商品であるが、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内おいて本件請求に係る「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」のいずれかについて本件商標を使用した事実を認めるに十分な証拠を提出していない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「アーモンドペースト及びこれに類似する商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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