Trademark Appeal Case
ウッドパネル工法の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−14073(T2015−14073/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ウッドパネル工法」の文字を標準文字で表してなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,不動産賃料の回収代行」及び第37類「建築一式工事・その他の建設工事,建築工事に関する助言,照明用器具の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,畳類の修理」を指定商品として、平成26年9月5日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ウッドパネル工法』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ウッド』の文字は『木,木材』の意味を有する英語『wood』の表音、『パネル』の文字は『鏡板,羽目板』の意味を有する英語『panel』の表音を片仮名で表したものであり、また、『工法』の文字は『加工・工事などにおける造り方・組立て方』の意味を有する語であって、一般に広く使用されているものであるから、その構成文字全体からは、『木製パネルを用いた工法』程の意味合いを理解・認識させる。そして、本願の指定役務に関連する分野において、『ウッドパネル工法(木製パネル工法)』の文字が上記の意味合いで、使用されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務中『木製パネルを用いた工法による建物や建築に係る役務』に使用しても、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に対して、平成28年3月22日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
証拠調べ通知書で示された証拠中には、「ウッドパネル工法」の語は、後掲3(1)に1件掲載されているにずぎない。また、後掲3(5)に記載されたウェブサイトの「ウッドパネル工法」の項目による検索結果は、すべて、請求人のものであり、このことは、「ウッドパネル工法」の語が請求人にのみ使用されている、請求人の役務の出所を示す標識であること、さらには、検索項目の1つとして区分されるほどに既に請求人の標章として著名となっていることを証明している。
よって、本願商標は、請求人にしか使用されておらず、役務の出所表示機能を果たしているとみるのが相当であるから、「木製パネルを用いた工法」の意味合いを直観させるものではなく、また、役務の質について誤認を生じさせる商標ではない。
したがって、本願商標は、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「ウッドパネル工法」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ウッド」の文字は「木、木材」の意味を、同じく「パネル」の文字は「鏡板、羽目板」の意味を、また、同じく「工法」の文字は「加工・工事などにおける造り方・組立て方」の意味を、それぞれ有する語であり、一般に広く使用されているものである。
そうすると、本願商標は、構成文字の有する上記語意により全体として「木製パネルの工法」程の意味合いを容易に理解、認識させるというのが相当である。
そして、「建設工事」を取り扱う分野においては、後掲1の辞典及びインターネットの情報のとおり、パネルを用いて建築各部を構成する「パネル方式」という手法があり、この手法を採用した工事方法が「パネル工法」と称されており、当該パネル工法においては、そのパネルが木製である場合には「木造パネル工法」、「木質パネル工法」等と称されていることが、後掲2の辞典及びインターネットの情報から明らかである。
加えて、後掲3のインターネット情報のとおり、「ウッドパネル工法」の文字が、「木製パネルを用いた工法」程の意味合いで、使用されている事実も見受けられる。
そうすると、本願商標は、その指定役務中の「木製パネルを用いた工法による建設工事」に使用した場合には、当該建設工事が木製パネルを用いた工法によるものであることを理解させるにとどまり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人により、役務「建設工事」(以下「使用役務」という。)に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものである旨、及び商標が特定の商品又は役務に使用されて周知、著名になった場合には、当該商品又は役務に関連する商品又は役務についても周知、著名性が及ぶことは裁判所も認めるところである(平成23年4月21日知的財産高等裁判所判決)から、本願商標は、第36類及び第37類の指定役務について出所識別標識として機能しており、商標法第3条第2項に規定する要件を満たしている旨主張し、証拠方法として、第11号証ないし第15号証を提出している。
ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、商標の使用開始時期、使用期間及び使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものである。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
ア 請求人は、2015年1月から同年7月までにパンフレット及びチラシを配布しているとして、第11号証ないし第13号証を提出している。該証拠には、「ウッドパネル工法」の文字が使用されている事実が認められるものの、該文字は「住友不動産の木の家」若しくは「住友不動産の注文住宅」の文字とともに、又は、「住友不動産のウッドパネル工法」のように、他の出所識別標識としての機能を有する文字と共に使用されたり、「選べる2つの工法」として「2×4工法」の文字と共に工法の一種を表すように使用されていることが認められる。
そうすると、「ウッドパネル工法」の文字に接する需要者は、該文字のみをもって使用に係る役務の出所識別標識として認識するとはいい難いものである。
イ 請求人は、本願商標の使用に係る家屋の数は、2014年11月から2015年7月までに663棟で、その総売上は175億7000万円に達しているとして、請求人の注文住宅事業部長の受注実績に係る陳述書(第14号証)及び一覧表(第14号証別添1)を提出している。
しかしながら、第14号証は、請求人の従業員の陳述書にすぎず、該陳述書に添付された別添1の受注実績に係る一覧表は、その体裁からして内部資料というべきものであることから、直ちに陳述書の内容を客観的に認め得るものではなく、さらに、市場における本願商標に係る使用役務の占有率等は、明らかにされていない。
なお、「不動産経済 住宅データ・ニュース」(2015年7月27日、株式会社市場経済研究所及び株式会社不動産研究所)によれば、2014年度の戸建供給戸数実績は合計約35万戸であることからすれば(https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/213/md20150727.pdf)、請求人の主張する本願商標の使用に係る家屋の数である663棟は、それが1年に満たない期間の供給数であるとしても、極めて少ないといわざるを得ない。
ウ 請求人は、2014年11月から2015年7月までの使用役務の宣伝広告費は、約21億円に達し、2015年1月から同年7月までのチラシの配布枚数も約2831万枚に達している旨を主張し、請求人の注文住宅事業部長の宣伝広告費に係る陳述書(第14号証)及び一覧表(第14号証別添2、3、第15号証)を提出している。
しかしながら、上記イと同様に、該陳述書に添付された別添2及び別添3並びに第15号証の宣伝広告費に係る一覧表は、その体裁からして内部資料というべきものであり、第11号証ないし第13号証で提出されたパンフレット及びチラシ以外に、広告等における本願商標の使用態様も明らかにされていない。
以上のことから、本願商標が、請求人の業務に係る役務「建設工事」を表示するものとして需要者の間に広く認識され、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる商標に至っていたものということができない。
してみれば、本願商標がその指定役務について使用された結果、取引者、需要者が、請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。
(3)請求人の主張
請求人は、本願商標は「ウッド」と「パネル」と「工法」の語を結合した造語であるため、これら三つの語の関係が不明確であって、本願商標から「木製パネルを用いた工法」を直観することは困難であり、本願商標を記述的語として、使用する競業者の要求もなく、本願指定役務の分野での実際の取引において、「ウッドパネル工法」の文字は他社により使用されていない旨、及び日本の木造住宅の従来工法である軸組工法に耐力面材(パネル)を併用することで耐震性を高めた新しい工法を指し示す記述的な語としては、「木軸パネル工法」、「軸組パネル工法」のような役務の質、内容を正確に記述する語が用意されており、戸建建築業界ではこの語が広く一般的に使用されていることから、本願商標は特定人に独占使用を認めても問題無い旨を主張し、第5号証ないし第8号証を提出している。
しかしながら、商標の識別性の判断は、その指定商品及び指定役務に係る取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきところ、本願商標の構成中の「ウッド」の語の用法及び「建設工事」を取り扱う分野における「パネル工法」の語の使用事実等に鑑みれば、本願商標が、その指定役務中の「木製パネルを用いた工法による建設工事」に使用した場合に、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものにすぎないことは、上記(1)で述べたとおりであり、「木製のパネルを用いた工法」を表す語が他に存在する事実をもって、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を有することの理由とはならない。
そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者・需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において、必ずしも要求されないものと解すべきであると判示している(東京高裁平成12年(行ケ)第76号)ところであるから、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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