Trademark Appeal Case
バリューパックの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−17674(T2015−17674/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「バリューパック」の片仮名を標準文字で表してなり、第1類、第3類、第5類、第10類、第11類、第16類、第21類、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年2月14日に登録出願されたものである。そして、その指定商品については、原審における平成26年9月10日付け並びに当審における同27年9月29日付け及び同28年7月4日付けの手続補正書により補正された結果、第5類、第10類及び第11類に属する別掲1のとおりの商品となったものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『徳用』等を意味する英語の『VALUE』の表音を片仮名で表記した『バリュー』の文字と、『一包み』等を意味する英語の『PACK』の表音を片仮名で表記した『パック』の文字とを、『バリューパック』と一連に標準文字で表してなるものであるから、商標全体として『徳用の一包み』程の意味合いを理解させるにすぎないものである。そして、該文字が『徳用な、一包みの商品』という意味で使用されている事実が認められる。してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、『徳用な、一包みになった商品』に使用するときには、単に商品の品質を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲2に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年5月18日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、平成28年7月4日付けで意見書及び手続補正書を提出し、要旨以下のように主張し、指定商品を別掲1のとおりの商品に補正した。
証拠調べ通知書に記載の別掲2(1)の事典等における「バリュー」及び「value」の記載は、本願商標を構成する「バリューパック」の語が普及していることを示すものではなく、また、「バリュー」についての「お値打ち、お得用」の意味合いは、一般に普及している中級程度の辞書には掲載されていない意味合いであるから、本願商標に接する取引者、需要者がかかる意味合いを認識することはあり得ない。
また、証拠調べ通知書に記載の別掲2(2)及び(3)の事実は、補正後の本願指定商品とは無関係な商品に関する使用例に過ぎないから、本願商標がその補正後の指定商品について、自他商品識別力を有さないことの根拠にはなり得ない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、「バリューパック」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成中の「バリュー」の文字は「ねうち、価値、お徳用」の意味を、また、「パック」の文字は「包装すること、包装したもの」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行、別掲2(1)ア)の意味を有する語として、共に我が国において広く親しまれた語であるから、本願商標は、「バリュー」の文字と「パック」の文字からなるものと容易に理解されるものである。
そして、本願商標は、その構成文字の有する上記意味から、全体として「お徳用のパック(包装したもの)」の意味合いが容易に想起されるといえるものである。
また、当審における職権調査による別掲2(2)及び(3)の証拠によれば、絆創膏、マスク、生理用品、サプリメント等の本願商標の指定商品と関係の深い医療、衛生及び健康に関する商品ばかりでなく、洗剤、食品、化粧用品、おもちゃ、運動用品、被服、食器等、多種多様な分野の商品においても、「バリューパック」の文字が「お徳用のパック」の意味合いで広く一般的に使用されている取引の実情がうかがえる。
してみれば、本願商標をその補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者においては、「お徳用のパック」程の意味合いを理解するにとどまるというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であるというのが相当である。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願の指定商品は、別掲1のとおりの商品に補正されており、証拠調べ通知書に記載の別掲2(2)及び(3)の事実は、補正後の指定商品を取り扱う分野における証拠ではないから、本願商標が自他商品識別力を有さないことの根拠にはなり得ない旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)76号 平成12年9月4日判決参照)とされていることからすれば、たとえ、「バリューパック」の文字が、本願の補正後の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして、実際に使用されている事実が存在していないとしても、取引者、需要者によって、当該商品の品質を一般に認識する場合には、本願商標が商品の品質を表示するものであると認定、判断することは許されるというべきである。
そして、本願商標が、その指定商品について商品の品質を表示するものであると認識されることは、上記(1)で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、過去の審判決例、登録例等を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、本願商標とは構成等を異にするものが含まれ、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記(1)のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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