結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35546号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3137652号商標(以下「本件商標」という。)は、「ウィルスバスター」の文字を横書きしてなり、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務とし、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月30日に登録出願、特例商標として同8年3月29日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第6号証(枝番を含む。)を提出している。
(1) 本件商標は、「ウイルスバスター」の文字を書してなるが、現在コンピュータの業界において、オペレーションシステム等を破壊するプログラムを「コンピュータウイルス」、又は単に「ウイルス」と称している(甲第2号証及び甲第3号証)。
また、本件商標中の「バスタ一」からは「破壊する物(者)」を意味する英語「BUSTER」(甲第4号証)が容易に想起される。
したがって、本件商標からは「コンピュータウイルスを破壊(撃退)する物(者)」といった観念が生じるものである。
一方、本件商標は「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務とするものであるから、本件商標「ウイルスバスタ一」をその指定役務中「コンピュータウイルスを破壊(撃退)するプログラムの設計・作成又は保守」或いは「コンピュータウイルスを破壊(撃退)する役務」に使用した場合、本件商標は単に役務の内容・質を表示するにすぎないものである。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2) また、本件商標を上記「コンピュータウイルスを破壊(撃退)するプログラムの設計・作成又は保守」或いは「コンピュータウイルスを破壊(撃退)する役務」以外の役務に使用したときは、役務の内容・質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第16号にも該当するものである。
(3) 因みに、第9類「電子応用機械器具及びその部品」等を指定商品とし、本件商標と同一視し得る構成よりなる以下の商標が、上記請求人の主張と同趣旨の理由により、拒絶査定、拒絶理由通知を受けている(甲第5号証及び甲第6号証)。
・商願平7−34447号「ウイルスバスタ一」
・商願平9−21493号「ウイルスバスター/VirusBuster」
これらは上記請求人の主張に客観性を与える一証左である。
(4) 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第9号証(枝番を含む。)を提出している。
(1) 請求人は、本件商標からは、「コンピュータウイルスを破壊(撃退)する物(者)」という意味が容易に想起され、それは、単にその指定役務の内容・質を表示するに過ぎないと主張する。
しかし、本邦において、「ウイルス」という単語が所謂コンピューターにトラブルを起こすコンピューターウイルスを表わす一般名詞として広く認識されていることは認めるが、「バスタ一」については、いまだその意味が広く認識されているとは言えない。「バスタ一(buster)」という英語が日本で聞かれるようになったきっかけは、「ゴーストバスターズ」という映画(昭和59年製作、同年日本劇場公開)であるが(乙第9号証)、「ゴーストバスターズ」と本件商標である「ウイルスバスタ一」以外に「バスタ一(buster)」という単語が日本で外来語として使用されている例はない。各種外来語辞典、広辞苑、現代用語の基礎知識、知恵蔵(朝日現代用語)のいずれにも登載されておらず(乙第3ないし第8号証)、英和辞典おける高頻度(ないし重要語句)表示もついていない。この点、「キラー(killer)」というような外来語として広く定着している言葉とは異なる。
事実、次に掲げる例のとおり、平成8年から同10年までのあいだに、日本語又は外来語でよく知られた名詞に「バスタ一」を組み合わせて「何かを撃退する商品」を対象とする商標登録が多数認められている(乙第2号証の1ないし6)。
(イ)アンツバスター
平成8年4月3日登録、指定商品「薬剤」
*「アンツ」(蟻)と「バスタ一」の組み合わせで、蟻を撃退する薬剤の商標として使われることが予想される。
(ロ)ウイードバスター
平成8年12月25日登録、指定商品「除草剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る)」
*「ウィード」(雑草)と「バスタ一」の組み合わせで雑草を撃退する除草剤用噴霧器を対象とする商標として登録されている。
(ハ)ダニバスター
平成9年5月30日登録、指定商品「害虫駆除剤、殺虫剤、防虫剤、その他の薬剤」
*「ダニ」と「バスタ一」の組み合わせで、ダニを撃退する殺虫剤の商標として使用されることが予想される。
(ニ)ダストバスタ一
平成9年6月13日登録、指定商品「掃除用具」
*「ダスト」(ほこり)と「バスタ一」の組み合わせで、ほこりを撃退する掃除用具を表わすとする商標として登録されている。
(ホ)NOISEBUSTER
平成9年6月13日登録、指定商品「ヘッドセットと電子モジュルから成る電子防音機械機具、その他の電子応用機械器具及びその部品」
*「NOISE」(騒音・雑音)と「BUSTER」の組み合わせで、騒音・雑音対策の機器を表わす商標として登録されている。
(ヘ)チカンバスター
平成10年7月17日登録、指定商品「電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気ブザー、電気通信機械器具」
*「チカン」(痴漢)と「バスタ一」の組み合わせで、痴漢撃退用のブザー(警報器)を表わす商標として使用されることが予想される。
上記の例と「ウイルスバスタ一」との間に商品識別性において異なるところはない。したがって、上記各商標が、商標としての商品識別力を認められて登録され、本件商標には商品識別力がないとされるのはいかにも不当である。
(2) さらに、東京地方裁判所における商標使用差止請求訴訟(平成9年(ワ)第16468号使用差止請求事件、原告・被請求人、被告・請求人)における経過が本件商標に顕著性ないし識別力のあることの証左である。平成9年8月の訴え提起以来、本件商標の一般的識別力については、裁判官のみならず、被告(請求人)ですら、疑問をはさまずに一年以上のあいだ攻防がなされてきたことは争いようのない事実である。被告(請求人)は、平成10年10月5日の準備書面で突然「識別力がない」と主張するに至るまで、一貫して、被告(請求人)商品を表わす標章として、識別力がある旨を力説していた。被告は、平成9年11月17日付準備書面(一)では(乙第1号証)、「一般需要者に対して...極めて高い識別力を持つものとなっている」とまで主張しているのである。
(3) 請求人は、本件商標を「コンピュータウイルスを破壊(撃退)するプログラムの設計・作成又は保守」あるいは「コンピュータウイルスを破壊(撃退)する役務」以外の役務に使用したときは、役務の内容・質について誤認を生じさせるおそれがあると主張する。
しかし、被請求人は、もともと、いわゆる「コンピュータウイルス」を検知、防止、または駆除するためのコンピュータソフトウェア及びコンピュータの周辺機器の開発及び販売並びコンピュータウイルスによる被害を防止又は復旧するための電子計算機の保守に従事する会社であり、本件商標を上記役務以外に使用することは考えられないし、本件商標の名称からして、上記役務以外の役務に使用することは通常ありえない。したがって、誤認を生じさせるおそれはない。
以上から、請求人の主張に何ら理由が無く、請求は成り立たない。
請求人の提出に係る各甲号証によれば、電子計算機関連の業界においては、コンピュータのソフトウエアに侵入してプログラムやデータを破壊するプログラムの一種を「コンピュータウィルス」又は単に「ウィルス」と称していることが認められる。同じく、「バスター」の文字は、「破壊する物(者)」を意味する英語「buster」の表音に通ずるものであることが認められる。また、被請求人の提出に係る乙第9号証によれば、「ゴーストバスターズ」という映画が昭和59年に製作、公開され人気を博したことが認められ、それ以来「バスター」の語が我が国においても知られるようになったものといえる。
しかして、本件商標は、上記のとおり、「ウィルスバスター」の文字を書してなるところ、上記意味合いを有する「ウィルス」及び「バスター」の文字を組み合わせたものと容易に理解され、全体として「コンピュータウィルスを破壊(撃退)する物(者)」の意味合いを認識せしめるというのが相当である。
また、電子計算機との関連において、コンピュータウィルスを検出・除去する機能を備えたプログラムソフトが現実に存在していることが認められる。
以上の事実を総合すると、本件商標は、その指定役務中「コンピュータウィルスを破壊(撃退)するプログラムの設計・作成又は保守」に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は単に役務の内容、質を表示したものと認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
なお、被請求人は当庁における登録例を挙げて主張するところがあるが、掲げられた登録例は、いずれも商品に係るものであり、かつ、商標の構成が異なるものであって、本件とは事案を異にするものであるから、本件の判断に影響を及ぼすものではない。また、被請求人は東京地方裁判所における商標使用差止請求訴訟事件(平成9年(ワ)第16468号)における経過が本件商標に顕著性ないし識別力のあることの証左である旨主張しているが、同訴訟事件の判決(平成11年4月28日判決言渡)においても、本件商標の出所識別力が乏しい旨判示されている。結局、被請求人の主張はいずれも採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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