Trademark Appeal Case
「ミスター」の識別力と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900025(T2016−900025/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5813998号商標(以下「本件商標」という。)は、「ミスタービームス」と「MR BEAMS」の文字を二段に書してなり、平成27年7月23日に登録出願、第11類「電球類及び照明用器具,LEDを使用したライト」を指定商品として、同年12月7日に登録査定され、同年12月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4175459号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 ビームス
指定商品 第11類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成8年10月4日
設定登録日 平成10年8月7日
(2)登録第4175460号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 BEAMS
指定商品 第11類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成8年10月4日
設定登録日 平成10年8月7日
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標1との対比
本件商標は、「ミスタービームス」というカタカナ表記と、「MR」及び「BEAMS」という欧文字との二段標記からなり、いずれも同じ書体、同じ大きさで、各単語の文字も概ね同間隔で配置されている。そして、カタカナ表記からは「ミスタービームス」あるいは「ミスター」と「ビームス」という称呼が、欧文字表記からは「MR」の部分から「ミスター」との称呼が生じ、「BEAMS」の部分から「ビームス」との称呼が、それぞれ生じる。
ここで、「ミスター」あるいは「MR」が英語で男性の敬称を意味することは、我が国において義務教育の段階で英語教育がなされている現状を考慮すれば広く認識されていることは明らかである。そうすると、本件商標の「ミスター」及び「MR」の部分には自他商品の識別性は無く、要部は「ビームス」あるいは「BEAMS」の部分にある。つまり、要部の称呼は「ビームス」である。
一方、引用商標1は「ビームス」というカタカナからなる。したがって、両商標は共に「ビームス」との称呼が生じるので、類似する。
また、本件商標と引用商標1は、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)本件商標と引用商標2との対比
本件商標の称呼については既に述べたとおり、要部が「ビームス」との称呼が生じる。
一方、引用商標2は「BEAMS」という欧文字からなり「ビームス」との称呼が生じる。したがって、両商標は共に「ビームス」との称呼が生じるので、類似する。
また、引用商標2の指定商品は、引用商標1のそれと同一であるため、本件商標と引用商標2とでは、指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)出所の混同の発生について
申立人は、本件商標に関し、引用商標を付した商品と関係があるか問合せを受けたことがあり、実際に出所の混同を生じている。
(4)むすび
以上より、本件商標は、引用商標と類似し、その指定商品についても同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、上記1のとおり「ミスタービームス」と「MR BEAMS」の文字を二段に書してなり、両構成文字は、いずれも同書、同大で、まとまりよく一体的に表され、これから生じる「ミスタービームス」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、その構成中前半の「ミスター」及び「MR」の文字は、男性の姓又は姓名の前に付ける敬称として一般に知られているものであるから、本願商標は、その構成文字全体に相応して人名としての「ビームス氏」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中「ミスタービームス」及び「MR BEAMS」の両構成文字がいずれも一体不可分のものであって、該文字に相応して「ミスタービームス」の称呼のみを生じ、人名としての「ビームス氏」の観念を生じるものである。
なお、申立人は、英語で男性の敬称を意味する「ミスター」及び「MR」の部分には自他商品の識別性は無く、本件商標の要部は「ビームス」又は「BEAMS」の部分にある旨主張しているが、上記のとおり本件商標は、全体として、人名としての「ビームス氏」の観念が生ずるものであるから、本件商標中の「ビームス」又は「BEAMS」の文字部分のみが独立して認識されるということはいえず、「ミスタービームス」及び「MR BEAMS」の両構成文字が一体不可分のものと判断するのが相当であるから、かかる主張は採用できない。
(2)引用商標
引用商標1及び引用商標2は、上記2のとおり、それぞれ「ビームス」及び「BEAMS」の文字からなるものであるから、いずれもその構成文字に相応し「ビームス」の称呼を生じるものであって、本件商標の指定商品との関係においては特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
そこで本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず外観においては、本件商標の構成全体と引用商標とは、前者は構成文字が二段で、後者は一段で表されているなど、両者は明らかな差異を有するから相紛れるおそれのないものである。また、前者の構成中「ミスタービームス」の文字と引用商標1の「ビームス」の文字との比較及び前者の構成中「MR BEAMS」の文字と引用商標2の「BEAMS」の文字との比較においては、それぞれ語頭において「ミスター」及び「MR」の文字の有無という明らかな差異を有するから、両者はいずれも相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標の称呼「ミスタービームス」と引用商標の称呼「ビームス」とは、8音と5音という構成音数の差異、語頭における「ミスター」の音の有無という差異を有するから、明らかに聴別し得るものである。
さらに、本願商標は、全体として、人名としての「ビームス氏」の観念が生じるのに対し、引用商標は特定の観念が生じないものであるから、両商標は観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点から見ても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
なお、申立人は、本件商標に関し引用商標を付した商品と関係があるか問合せを受けたことがあり実際に出所の混同を生じている旨主張しているが、問い合わせを受けたことを裏付ける証拠の提出はないから、かかる主張は採用できない。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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