Trademark Appeal Case
欧文字の類否と要部
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900109(T2016−900109/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5823277号商標(以下「本件商標」という。)は、「IIG」の文字を標準文字で表してなり、平成27年7月1日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務(別掲1)を指定役務として、同28年1月19日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する国際登録第1142992号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2012年5月2日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2012年(平成24年)10月24日に国際商標登録出願、第9類及び第36類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲3)を指定商品及び指定役務として、平成26年12月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議申立ての理由
(1)商標の類似について
本件商標は、その構成文字に相応して、「イーグ」又は「アイアイジー」の称呼を生じる。
これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して、「イグ」又は「アイジー」の称呼を生じる。
そして、本件商標から生じる「イーグ」の称呼と引用商標から生じる「イグ」の称呼は、中間における長音の差異を有するにすぎないから、紛らわしいものである。
また、本件商標は、申立人を表示するものとして認識されている「IG」を含み、その前に識別力のない数字又は欧文字「I」を結合したにすぎないものであるから、両商標は、外観上紛らわしい。
さらに、引用商標は、申立人を想起させるものであり、本件商標は、引用商標と同一の文字を含むから、引用商標と同様、申立人を想起させるものである。
したがって、両商標は、観念において類似する。
よって、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念において類似する商標である。
(2)役務の類似について
本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は、同ー又は類似する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「IIG」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体・大きさ・間隔で、外観上まとまりよく表されているものであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、そのうちの「IG」の文字部分のみに印象付けられるとはいえず、欧文字の3文字を表示したものと認識するというべきである。
そして、本件商標は、我が国において親しまれた成語又は略語ではないから、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと認識され、少ない文字数の欧文字を称呼する場合は、アルファベット読みにした「アイアイジー」の称呼をもって、役務の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、これから生じる自然の称呼は、「アイアイジー」であって、特定の観念を生じないものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、やや図案化した肉太の「IG」の文字がまとまりよく表されているものであるから、その構成全体の特異性をもって把握・認識されるといえ、また、引用商標は、本件商標と同様、我が国において親しまれた成語又は略語ではないから、少ない文字数の欧文字を称呼する場合は、アルファベット読みにした「アイジー」の称呼をもって、商品・役務の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
したがって、引用商標は、これから生じる自然の称呼は、「アイジー」であって、特定の観念を生じないものといえる。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は、前記アのとおり、欧文字の3文字を標準文字で表したものであるのに対し、引用商標は、別掲のとおり、欧文字の2文字をやや図案化した肉太の文字で表したものであるから、その構成態様は、著しく異なるばかりでなく、いずれも簡潔な構成からなるものであるから、「I」の文字の有無の差異は、本件商標及び引用商標の指定役務の需要者が通常有する注意力をもってすれば、これらを互いに見誤るおそれはなく、このことは、両商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合においても同様といえる。
したがって、本件商標と引用商標は、外観上相紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標から生じる「アイアイジー」の称呼と引用商標から生じる「アイジー」の称呼は、前者が6音、後者が4音からなるものであって、「アイ」の音の有無の差異を有するものである。そして、該差異音は、前者において、「アイアイ」と繰り返される音のうちの「アイ」であるところ、「ア」及び「イ」の音は、いずれも明瞭に発音され聴取される音であり、「アイアイ」と繰り返し称呼されるか否かは、比較的短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きいといえる。
そうすると、両称呼は、これらを一連に称呼した場合には、称呼全体の語調、語感が著しく相違したものとなるから、本件商標と引用商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。
(ウ)観念
本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較するに至らず、観念上相紛れるおそれはない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、本件商標から「イーグ」の称呼が生じ、引用商標から「イグ」の称呼が生じ、これらの称呼は、中間における長音の有無の差異にすぎないから、相紛らわしい旨主張する。
しかしながら、前記認定のとおり、本件商標及び引用商標から生じる自然の称呼は、「アイアイジー」及び「アイジー」であるというべきである。仮に本件商標を「イーグ」と称呼し、引用商標を「イグ」と称呼する場合があるとしても、両称呼における長音の有無の差異は、2音ないし3音といった極めて短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、これらを全体として称呼した場合においても、その語調、語感が著しく相違したものとなるから、両商標は、称呼上相紛れるおそれはない。
イ 申立人は、引用商標は、申立人を想起させるものであるから、「IG」を含む本件商標は、引用商標とは、外観及び観念において類似する旨主張する。
しかながら、前記認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって、一種の造語を表したと認識されるものであり、その構成中の「IG」の文字部分のみが、その需要者に、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることはできないばかりか、引用商標が、これより直ちに申立人を想起させる程度に我が国の需要者の間に広く認識されているに至ったと認めるに足りる証拠の提出はない。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、申立人の主張はいずれも採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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